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- 抗菌薬はこう使え!レジデントのための薬物療法
商品情報
内容
抗菌薬の選び方・使い方は新米ドクターが必ず頭を悩ます共通のポイントです。本書はイラストや図解とともに、講義形式でだれにもわかりやすい抗菌薬の選び方・使い方を解説します。抗菌薬選びの3本の柱を理解すれば、一見複雑な抗菌薬の使い方がひとめで分かります。
序文
抗菌薬は多くの医師にとって身近な薬剤のひとつである.大学病院から一般診療所まで,また内科から眼科まで,幅広い領域で,かつさまざまな場面で使用されている.抗菌薬にはペニシリン系薬をはじめとして多くの系統の薬剤があり,剤型も経口抗菌薬や注射用抗菌薬,さらには点眼薬や軟膏まで多種類の剤型があり,それらの薬剤をすべて理解し,使用することはきわめて難しい.そのため抗菌薬の考え方や使い方の知識は数種類の薬剤に限られた情報になりがちである.それが使い慣れた同じ抗菌薬をどのような感染症の治療にも使ってしまう結果となり,ひいては薬剤耐性菌を作り出すひとつの大きな原因にもなっている.
薬剤耐性菌がそれほど多くない状況では,このような通り一遍の抗菌薬投与でもある程度の感染症は治癒した.しかし,現在,新たな抗菌薬が生まれにくい状況で,さらに薬剤耐性菌が生まれ拡がってゆけば,このような抗菌薬の使い方では感染症は治癒しない.そのため,我々はいま一度,抗菌薬の考え方と使い方の基本に立ち戻ることが大切である.
さらに,感染症や原因微生物,その治療薬である抗菌薬は時とともに変化するため,その基本的な考え方や使い方にはできるだけ最新の情報が必要となる.
この本では抗菌薬の基本的な考え方や使い方を確認することによって,これから医療の現場で働く人たちが抗菌薬をより有効かつ安全に使用し,多くの感染症を治療し,さらに後世に大切な抗菌薬を引き継いでいけるよう解説した.
最後に本書の上梓に際して,できるだけ新しい情報を提供するため,短時間に的確な作業をしていただいた中山書店の編集部の皆さんに深く感謝したい.
平成22年6月
埼玉医科大学感染症科・感染制御科
前﨑 繁文
目次
理解したい!知りたい!早引きインデックス
抗菌薬を使う前に考えること
第1章 抗菌薬の考え方「抗菌薬使用前に病態把握」
1-1 抗菌薬の選択は3つの柱で考えろ!
1-2 まず最初に原因菌を推定せよ
1-3 抗菌薬選択前に宿主の背景をつかめ
1-4 原因菌の推定にはまず病態の理解
1-5 急性上気道炎には抗菌薬は投与しない
1-6 急性上気道炎で抗菌薬適応の場合もある
1-7 外来?入院?市中肺炎治療の簡単な判断基準は
1-8 重症成人市中肺炎患者の診断をするには
1-9 院内肺炎の重症度を判断する
1-10 慢性気道感染症が急性憎悪したら
1-11 急性咽頭・扁桃炎の重症度診断と除外診断
1-12 副鼻腔炎はこうして診断できる
1-13 急性中耳炎では鼓膜所見が診断治療のポイントになる
第1章まとめ
第2章 抗菌薬の考え方「原因菌の推定と見極め」
2-1 グラム染色では臨床検体の精度管理に注意
2-2 市中肺炎の原因菌を迅速に診断するには尿中抗原検出を
2-3 疫学情報から原因菌にあたりをつけろ
2-4 患者年齢だけでも原因菌は推定できる
2-5 慢性気道感染症の急性憎悪の原因菌は簡単に推定できる
2-6 判断が難しい院内肺炎の原因菌
2-7 急性咽頭・扁桃炎の原因菌はレンサ球菌が多い
2-8 急性副鼻腔炎の原因菌は限られている
2-9 急性中耳炎の原因菌は耐性菌であることを覚悟しろ
第2章まとめ
第3章 抗菌薬の考え方「薬剤耐性菌の動向をつかむ」
3-1 抗菌薬はどうやって細菌の活動を抑えるのか
3-2 日々生み出される薬剤耐性菌
3-3 微生物はこうして薬剤耐性を獲得する
3-4 薬剤耐性菌からみえる抗菌薬の使い方
3-5 最新の薬剤感受性の動向をつかめ
3-6 薬剤感受性は常に変化する
3-7 どのようなときに多剤性耐性菌を考慮するか
第3章まとめ
第4章 抗菌薬の考え方「ガイドラインによる抗菌薬選択」
4-1 細菌性肺炎と非定型肺炎の鑑別はどうすればいい?
4-2 ガイドラインによる細菌性肺炎と非定型肺炎の抗菌薬の選択
4-3 抗菌薬選択ガイドライン日本と欧米の違い
4-4 院内肺炎の治療はde ─ escalation で
4-5 慢性気道感染症にはフルオロキノロン系薬で
4-6 急性咽頭・扁桃炎への抗菌薬はこうして選べ
4-7 急性副鼻腔炎で抗菌薬投与が必要な場合は
4-8 急性中耳炎で抗菌薬投与が必要な場合は
4-9 治療効果の判定と投与中止の目安
第4章まとめ
第5章 抗菌薬の使い方「PK/PDによる賢い用法・用量」
5-1 PK とPD が示す指標とは
5-2 PK/PD 理論で抗菌薬の効果を最大限に
5-3 PK/PD 理論が導く3つの抗菌薬グループ
5-4 PK/PD パラメーターを有効に活用すべし
5-5 ターゲット値を算出して薬剤の有効性を確認すべし
5-6 フルオロキノロン系薬のターゲット値
5-7 抗菌薬の臓器移行性の優劣を確認する
5-8 抗菌薬の細胞内移行性の優劣を確認する
第5章まとめ
第6章 抗菌薬の使い方「安全に抗菌薬を使うには」
6-1 副作用のまったくない抗菌薬は存在しない
6-2 濃度(投与量)に依存する副作用を防ぐ
6-3 臨床効果を高める濃度基準はTDMでわかる
6-4 腎排泄か肝排泄かを見極める
6-5 投与時には薬物相互作用に注意すべし
第6章まとめ
第7章 抗菌薬の使い方「耐性菌を作らず,抗菌薬を大切に」
7-1 抗菌薬は殺菌性と静菌性に分けられる
7-2 殺菌性と静菌性に優劣はない
7-3 3 つの投与経路をどう活用するか
7-4 わが国の抗菌薬開発の仕組み
7-5 現代の抗菌薬への考え方は4本目の柱が必要
7-6 最も薬剤耐性菌を生み出しにくい条件とは
7-7 耐性菌を生まない抗菌薬はこうして選べ!
7-8 抗菌薬選択にはコンプライアンスも考慮が必要
第7章まとめ
抗菌薬のこれから
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書籍情報
- ISBN:9784521732350
- ページ数:152頁
- 書籍発行日:2010年8月
- 電子版発売日:2014年4月25日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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