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- 癌診療指針のための病理診断プラクティス 内分泌腫瘍 甲状腺・副腎
商品情報
内容
「内分泌腫瘍」の巻では,甲状腺と副腎の二つの臓器を中心に,現在の病理診断のスタンダードを示す.
最新のWHO分類に基づき,多様な内分泌疾患の病理に迫る.甲状腺検査の機会が増える超音波技師にもお勧め.
■関連書籍
・ 癌診療指針のための病理診断プラクティス 肺癌
序文
序
内分泌疾患は多彩な臨床症状を示すため,診断に苦慮することがある.血清学的検査が診断の第一歩であるが,画像診断による病変部同定も重要である.近年,超音波,CT,MRIなどの機器の精度が向上し,非侵襲的に微小な病変を発見,診断することができるようになってきた.機器の進歩により健診等で偶発的に発見される内分泌腫瘍も多くなっている.そのため,甲状腺では微小病変を含めて,多彩な腫瘍の病理診断,副甲状腺や副腎皮質では過形成,腺腫,癌の鑑別診断,副腎髄質腫瘍の良悪性の鑑別診断が求められる.
甲状腺疾患は女性に多いため,乳癌健診で発見されることも多い.最近では微小な病変が多数発見され,細胞診により診断が比較的容易になっている.そのなかで手術適応が考えられ,かつ明らかな癌でも経過観察をする症例もある.欧米では癌と診断されると甲状腺全摘,術後照射など過大な治療がされていた.しかし,最新のWHO分類では新たな疾患概念が提唱され,境界悪性腫瘍,低悪性度腫瘍を分類し,過大治療にならないようにしている.
副腎疾患においては,測定感度が高い検査で微量でも血清ホルモンの異常が見つかり,サブクリニカルCushing症候群のような前病変,高血圧の精査において微小な腺腫による原発性アルドステロン症も発見されるようになった.だが,術前の生検診断が困難なため,最終的には臨床的診断による治療が選択される.術後は腫瘍性と過形成性病変の鑑別が必要になり,副腎の病理診断に不慣れな病理医にとっては最終診断に苦慮することがある.副腎の病理診断に際しては内分泌所見の理解が必要なこと,複雑な形態所見を呈すること,腫瘍の良悪性の組織学的鑑別がきわめて困難な症例があること,副腎は血流が多い臓器であることから転移性腫瘍も多く,原発病変との鑑別が時に困難になる症例が少なからずあること,多彩な遺伝的背景を有する病変が多いことなどを理解し,診断を進める必要がある.
2017年にWHO分類がしばらく振りに改訂され,内分泌腫瘍における概念に新たな事項が加わった.本書は甲状腺病理,副腎病理に精通している先生方に執筆していただき,最新の知識と病理診断のノウハウを解説していただいた.手術により摘出された内分泌疾患の病巣については,一般病理医でも良悪性を含め,正確な病理診断が求められ,かつ予後との関連も問われる.本書では内分泌疾患の知っておくべき情報を「診断のための基本知識」として概説し,それぞれの疾患について「診断のポイント」を簡潔にまとめた.また,「病理診断のフローチャート」で鑑別診断の道筋を示してある.本書が内分泌疾患を取り扱う病理医および臨床医,さらには研修医にも役に立つことを期待する.
本書の企画,立案,執筆に際しては,中山書店編集部のみなさまに多大な御助力をいただきました.ここに感謝の意を表します.
2018年5月
仙台赤十字病院病理診断科 長沼 廣
東北大学大学院医学系研究科病理診断学分野 笹野 公伸
目次
甲状腺・副甲状腺
1章病理診断の流れとポイント
甲状腺と副甲状腺疾患の病理診断
2章診断のための基本知識
▪病理診断の参考事項
甲状腺・副甲状腺疾患の血清学的診断
甲状腺・副甲状腺画像診断
甲状腺の細胞診
甲状腺癌の広がり―TNM分類
甲状腺微小癌の診断と取り扱い
術中病理診断の意義
甲状腺腫瘍の遺伝子異常と診断応用
▪甲状腺・副甲状腺疾患の治療
外科的治療
甲状腺癌ホルモン療法
甲状腺癌放射線療法
甲状腺癌の薬物療法
3章甲状腺・副甲状腺疾患の概要と鑑別診断
▪甲状腺非腫瘍性および腫瘍性疾患
腺腫様甲状腺腫
濾胞腺腫
硝子化索状腫瘍
境界悪性腫瘍
▪甲状腺悪性腫瘍
乳頭癌
濾胞癌
髄様癌
低分化癌
甲状腺未分化癌
甲状腺リンパ腫
その他,まれな原発性腫瘍
小児甲状腺癌 伊東正博
4章副甲状腺非腫瘍性および腫瘍性疾患の概要と鑑別診断
副甲状腺過形成病変
副甲状腺腺腫
副甲状腺癌
その他の副甲状腺疾患
5章病理検体の取り扱い
甲状腺病理標本の取り扱い方
6章症例の実際
症例1 結節性病変をきたしたIgG4 関連病変
症例2 篩型乳頭癌
症例3 異型間質細胞がびまん性に腫瘍間質に浸潤した低分化癌
症例4 長期生存未分化癌
症例5 CASTLE/ITET
症例6 腎癌の腺腫様甲状腺腫内転移
症例7 副甲状腺疾患
副腎
1章病理診断の流れとポイント
副腎疾患の病理診断の流れとポイント
臨床から病理に期待すること
2章診断のための基本知識
副腎皮質疾患の血清学的診断
褐色細胞腫・パラガングリオーマの生化学的診断
副腎疾患の遺伝的背景
副腎疾患の画像診断
細胞診,免疫染色,術中迅速診の有効性と限界
副腎腫瘍のTNM分類
副腎皮質癌の治療
褐色細胞腫の薬物療法
3章副腎皮質疾患の概要と鑑別診断
▪鑑別が問題になる特殊亜型の腫瘍
Cushing's adenoma
副腎皮質癌粘液亜型,粘液型副腎皮質癌
オンコサイトーマ
▪悪性腫瘍
副腎皮質癌
転移性(二次性)副腎腫瘍
4章副腎髄質疾患の概要と鑑別診断
神経節細胞腫と関連疾患
褐色細胞腫
副腎外パラガングリオーマ
MEN と副腎髄質病変
5章病理検体の取り扱い
副腎皮質疾患
副腎髄質疾患
6章症例の実際
症例1 黒色腺腫,色素性腺腫
症例2 小児副腎皮質癌
参考文献
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書籍情報
- ISBN:9784521742717
- ページ数:411頁
- 書籍発行日:2018年6月
- 電子版発売日:2019年8月2日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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