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- 呼吸器疾患 診断治療アプローチ4 間質性肺炎・肺線維症と類縁疾患
商品情報
内容
序文
序
慢性疾患の多くは,原因が特定されないために根本的治療法も確立していない.間質性肺疾患も例外ではなく医学・医療の発展を拒んできたが,この領域には近年治療の分野で大きな進展があった.抗線維化薬の開発,導入である.それが導火線となり,疾患概念の見直し,類縁疾患との異同を巡って,新たな討論を巻き起こしている.
間質性肺炎・肺線維症をテーマとする本書は,以下の8つの章で構成されている.
1章では,歴史的背景に基づく疾患概念の変遷,ならびに疫学情報をまとめた.
2章では,未だ病態の解明が十分とはいえない間質性肺炎と肺線維症の領域における,基礎研究の動向,実態を集約した.各分子病態論の相互関係は今後の解明に委ねられている.
3章では臨床現場における診療の手引きとなるよう,診察,診療の基本的方法を解説した.特に経時的に変化する可能性を踏まえ(working diagnosis),内科学,画像診断学,病理診断学の相互討論を踏まえた「最も確からしい病態診断」へのアプローチ(multi disciplinary discussion:MDD)をわかりやすく解説した.一般医家におかれては,専門医との間で病診連携の重要性を認識していただきたい.
4章は横断的な「管理・治療」の総論である.特に進行病期の病態管理は基礎疾患の管理に留まらず,併存症の管理,治療関連有害事象の管理など,多角的なアプローチを要求されることを,医療提供者として理解していただくことが本章の目標である.
5章では,特発性間質性肺炎のなかでも最も予後不良で難治な「特発性肺線維症」(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)を中心とした鑑別診断の実際を,各論として列記した.診断の柔軟性と治療・管理のあり方を模索するために,3 章と併用して本書を活用していただければと考えている.
6章は類縁疾患,特に鑑別の困難な慢性過敏性肺炎との異同,膠原病に伴う間質性肺疾患への取り組み方を中心にまとめた.類縁疾患でありながら病態の異なる気腫合併肺線維症(combined pulmonary fibrosis and emphysema:CPFE)や薬剤起因性の肺障害など,理解を深めておきたい比較病態を列挙している.
7章では,合併症・併存症の各論に至り,特にIPFの経過で遭遇する急性増悪,肺癌,肺高血圧症,さらには構造改変に伴う易感染病態など,総合的管理や予防の可能性に言及している.まだまだ発展途上にある分野であるが,最新の情報を集約した.
最後の8章では,ガイドライン(時々刻々刷新される)の読み取り方を加え,「難病への取り組み方」がわかるようになっている.国際ガイドライン(ATS/ERS/SRS/ALAT Guideline 2018)は近日改訂される予定であるが,基本的考え方が大きく変わることはない.むしろ上記のような経時的観察に基づいた柔軟な診断管理の重要性を付記する形になっており,保険制度の異なる国際間の齟齬を理解する必要がある一方で,わが国のガイドラインと比較すると日本の間質性肺炎・肺線維症の管理が最上レベルにあることに気付かれるであろう.
本書は一般医家の実用性に配慮し,かつ難解な領域に意欲的に取り組む若手研究者にも興味を抱いていただけるような構成とした.各分野の第一人者が執筆を手がけているが,カラーの図表や写真をふんだんに使い,理解しやすい一冊に仕上がっている.今後の診療や研究のうえで大いに活用されることを期待する.
2018年8月
吾妻安 良太
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野
目次
1章 疾患概念の定義
2章 病因・病態論における基礎研究
3章 診断の進め方
4章 管理と治療
5章 特発性間質性肺炎
6章 類縁疾患の診断と管理
7章 合併症・併存症の診断と管理
8章 ガイドラインの活用法と国際的整合性
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書籍情報
- ISBN:9784521745282
- ページ数:388頁
- 書籍発行日:2018年9月
- 電子版発売日:2019年7月26日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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