形成外科治療手技全書IV 先天異常

  • ページ数 : 266頁
  • 書籍発行日 : 2020年3月
  • 電子版発売日 : 2020年10月21日
16,500
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商品情報

内容

本シリーズは形成外科治療手技全書の中でも最も基本的な手技を解説する。個人的な論述ではなく、現代の形成外科でのほぼ共通認識を収めるところにシリーズの意義がある。本書はその4、先天異常。現在の最新のスタンダードをここに纏めた。

あわせて読む → 形成外科治療手技全書シリーズ

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序文

監修にあたって

形成外科は過去半世紀以上にわたり非常な発展を遂げ,現在,ほとんどの大学で講座,診療科が設置されており,一般社団法人日本形成外科学会の認定する専門医は2,500名を超えております。また,2018年度から日本専門医機構が認定する基本領域19診療科の一つとして,新しい専門医研修プログラムによる研修もスタートされました。

一方,形成外科が診療する疾患の範囲は非常に幅広く,他科の診療分野とのオーバーラップ,疾患名と治療手技が一致しないことなどがあり,形成外科の治療手技を体系的に記述した日本の教科書はありませんでした。

今回,本全書を刊行する目的の一つに,臨床外科の一分野として発展してきた形成外科を,将来に向けて広く独立した学問としてとらえた教科書を作りたい,ということがあります。すなわち,「形成外科学」を一つの体系としてとらえ,共通の概念に基づく診断から治療法の選択,そして治療の実際に関する標準的かつ最新の知識を網羅した,大系的な教科書作りを目指しております。

「形成外科学」の,より一層の発展に寄与できれば幸いです。


監修 波利井清紀
野﨑幹弘



形成外科治療手技全書シリーズも今回,「Ⅳ先天異常」を発刊する運びとなりました。 私達が形成外科研修を始めた頃,形成外科と言えば,もっぱら先天異常を治す外科でありキズ痕を治す外科でした。形成外科専攻医は日々,種々の先天異常症の治療にあたっていました。上級医の指導の下,口唇裂・口蓋裂症例を執刀し,小耳症症例では軟骨採取やフレームの作成を行っていました。研修を終える頃には主たる先天異常症を一通り経験できていたのです。しかし近年,少子化の進行に伴い症例数が減少し,小児病院を中心とした専門施設への患者集中も相まって,形成外科専攻医であっても研修中に十分な数の先天異常症治療を経験することが難しくなりました。一方この間,形成外科は再建外科,創傷外科,そして美容医療へとその領域を拡げ,それに伴って研修期間中に専攻医が経験し学ぶべきことも飛躍的に増大してきました。このような状況から,先天異常症の治療もまた形成外科の一分野として,必須の疾患は研修中に経験し,残りは教科書などを通じて学ぶものとなっています。

本書では上記の点を鑑み,総論においては先天異常症に関する教科書的知識を網羅し,各論においては研修期間中に経験すべき代表的疾患に対する治療法をstep by stepでわかりやすく記載いただくよう,各執筆者にお願いしました。限られた紙面にもかかわらず期待に応えていただいた先生方に感謝するとともに,本書が諸先生方の日常診療の糧となり研修の役に立つことを切に願っています。


2020年4月1日
総編集  平林慎一
川上重彦
編 集  朝戸裕貴
四ツ柳高敏

目次

監修にあたって

第1章 頭蓋顔面骨の先天異常

1.顔面裂

1)発生と分類 奥本隆行

発生/分類

2)正中裂 奥本隆行

症状/手術時期/方法

Ⅰ眼窩隔離症(眼窩移動術)

Ⅱ鼻裂

3)正中裂以外の顔面裂 彦坂 信・金子 剛

症状/手術時期/方法/合併症/タッチアップサージャリー

Ⅰ横顔面裂(巨口症)

Ⅱ斜顔面裂

2.頭蓋縫合早期癒合症

1)発生と分類 小室裕造

発生/分類

2)非症候群性頭蓋縫合早期癒合症 小室裕造/坂本好昭 25

矢状縫合早期癒合症(舟状頭)/片側冠状縫合早期癒合症(斜頭症)/前頭縫合早期癒合症(三角頭蓋)/両側冠状縫合早期癒合症(短頭)/ラムダ縫合早期癒合症(後頭部斜頭症)/多縫合早期癒合症/全頭蓋縫合早期癒合症/頭位性斜頭症/最近行われている治療法

Ⅰ短頭蓋形成術:前頭眼窩前進術

Ⅱ短頭蓋形成術:後頭蓋延長法

Ⅲ三角頭蓋形成術

Ⅳ斜頭蓋形成術

Ⅴ舟状頭蓋形成術

3)症候群性頭蓋縫合早期癒合症 今井啓介

 Crouzon症候群/Apert症候群/その他の症候群(Pfeiffer症候群,Antley-Bixler症候群)

ⅠLe FortⅢ型上顎前方移動術

ⅡMonoblock型上顎前方移動術

ⅢFacial bipartition

3.顎変形症

1)発生と分類 小山明彦

  総論

2)下顎前突症 山下昌信

手術時期/方法/チーム医療

Ⅰ下顎骨切り移動術

Ⅱ上顎骨切り移動術

3)開咬,顔面非対称 赤松 正

手術時期/方法/チーム医療

上下顎骨切り移動術

第2章 口唇裂・口蓋裂

1.口唇裂

1)発生と分類,口唇の解剖 土佐泰祥

発生/分類/解剖

2)片側口唇裂手術:rotation-advancement法 土佐泰祥

基本的概念/報告されている変法

Ⅰ不全口唇裂

Ⅱ完全口唇裂

3)片側口唇裂手術:三角弁法 岸邊美幸

基本的概念/報告されている変法

Ⅰ不全口唇裂

Ⅱ完全口唇裂

4)両側口唇裂手術:外側唇を中央唇として利用する方法 杠 俊介 93

基本的概念/そのほか用いられている両側口唇裂手術/術前矯正

Ⅰ不全口唇裂

Ⅱ完全口唇裂

5)口唇裂二次手術 田崎幸博

口唇裂術後に見られる典型的な口唇・鼻変形/手術法と手術時期

Ⅰ変形外鼻(就学期前後)

Ⅱ変形外鼻(思春期以降)

Ⅲ口唇変形:片側口唇裂

Ⅳ口唇変形:両側口唇裂

Ⅴ交叉唇弁法:Abbe法

2.口蓋裂

1)発生と分類,口蓋の解剖 小林眞司

発生/分類/解剖

2)口蓋裂手術:プッシュバック法 稲川喜一

基本的概念とその特徴

Ⅰ口蓋裂単独

Ⅱ口唇口蓋裂

3)口蓋裂手術:Furlow法 小林眞司

基本的概念とその特徴

Ⅰ口蓋裂単独

Ⅱ口唇口蓋裂

4)口蓋裂手術:口蓋内筋層再建法 朴 修三

基本的概念とその特徴

Ⅰ軟口蓋裂と裂幅の広くない硬軟口蓋裂

Ⅱ裂幅の広い硬軟口蓋裂と口唇口蓋裂

5)口蓋裂二次手術 益岡 弘

二次手術の適応/手術時期/手技別に見た手術目的

咽頭弁法

3.顎裂 今井啓道

骨移植の目的/骨移植の時期/方法

腸骨海綿骨移植術

第3章 眼瞼の先天異常

1.眼瞼下垂症 尾崎 峰

症状/手術時期/手術法

Ⅰ挙筋前転法

ⅡThread lift(糸を用いた眼瞼挙上術)

Ⅲ筋膜移植法

2.瞼裂狭小症 渡辺あずさ

症状/手術時期/手術法

内眼角形成術:Mustarde法

3.睫毛内反症 河合建一郎

症状/手術時期/手術法/合併症と対策

下眼瞼内反症手術:Hotz法

第4章 外耳の先天異常

1.小耳症 四ツ柳高敏

症状/手術法/手術時期/肋軟骨移植による耳介形成時の合併症

Ⅰ初回手術:肋軟骨移植術

Ⅱ耳介挙上

2.小耳症以外の先天異常 野口昌彦/足立英子・前川二郎

分類/非観血的治療/手術的治療

Ⅰ埋没耳:回転皮弁法

Ⅱ埋没耳:Z形成術

Ⅲ立ち耳

Ⅳカップ耳

Ⅴ耳垂裂

Ⅵ耳瘻孔,鰓弓瘻

第5章 手足の先天異常

1.手の先天異常 福本恵三/安倍吉郎・橋本一郎/鳥谷部荘八・三浦孝行

発生と分類,疾患名/症候群について/手術時期/手術法

Ⅰ母指列多指症(WasselⅣ)

Ⅱ母指列多指症(WasselⅡ):橈側母指切除

Ⅲ母指列多指症(WasselⅡ):Bilhaut-Cloquet法

Ⅳ皮膚性合指症

Ⅴ裂手症(Manske typeⅡB)

Ⅵ絞扼輪症候群

2.足の先天異常 田中克己

発生と分類/疾患名と症状/手術時期/手術法

Ⅰ小趾列多(合)趾症:外側趾切除

Ⅱ小趾列多(合)趾症:内側趾切除

Ⅲ巨趾症

Ⅳ第Ⅳ中足骨短縮症:MP関節部骨移植術

Ⅴ裂足症

第6章 体幹の先天異常

1.胸郭,乳輪,乳頭の異常 玉田一敬/永竿智久

漏斗胸/Poland症候群/副乳/女性化乳房一般

漏斗胸:Nuss法

2.腹壁,腰,臀部の異常 梶川明義

臍ヘルニア,臍突出症,臍欠損/尿膜管遺残症/髄膜瘤,脊髄髄膜瘤

Ⅰ臍ヘルニア,臍突出症

Ⅱ尿膜管遺残症:遺残尿膜管と臍窩底部を全切除する場合

Ⅲ尿膜管遺残症:遺残尿膜管と臍窩底部尾側を切除する場合

Ⅳ脊髄髄膜瘤

第7章 知っておきたい知識

1.頭蓋顔面の先天異常 三川信之

第1第2鰓弓症候群/Treacher Collins症候群/Pierre Robin症候群(Robin Sequence)/頸嚢胞/舌小帯短縮症,上唇小帯短縮症

2.口唇裂・口蓋裂 小山明彦

疫学/集学的治療

3.その他の先天異常 浜島昭人

総排泄腔遺残症/膀胱外反症/包茎/埋没陰茎/尿道下裂/膣欠損症/陰核異常

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書籍情報

  • ISBN:9784771905313
  • ページ数:266頁
  • 書籍発行日:2020年3月
  • 電子版発売日:2020年10月21日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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