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- 弱視・斜視の診療〈専門医のための眼科診療クオリファイ22〉
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内容
>専門医のための眼科診療クオリファイ シリーズ
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序文
序
本巻では“弱視・斜視診療のスタンダード”と題して,弱視・斜視診療の現況について気鋭の先生がたに執筆をお願いした.この領域では,すでに確立している部分も多いが,基礎的な研究や,前向き研究の発展により,新しい知見が得られている分野がある.すでに確立している分野については,臨床に即した観点から,わかりやすく解説いただいた.新しい分野として,弱視・斜視の基礎に“pulley”の概念が導入され,A─V 型斜視の成因がわかりやすくなった点などを解説いただいた.また,時代とともに新しい映像機器が普及し,それに伴って検討すべき両眼視機能も変わってきている.たとえば3D 映像は,映画の領域ですでに定着しているが,3D 映像鑑賞時には輻湊と調節の関係が通常とは異なる.これについては,相対調節・相対輻湊の概念の復習が必要になり,このような点を解説に盛り込んでいただいた.今後は,スマートフォンの両眼視機能への影響などが新しいテーマになる可能性がある.
弱視については,基礎研究が,動物実験から脳機能画像まで進められている.また,治療法については,前向き研究が多く行われるようになり,エビデンスが確立しつつある.このような展開を弱視の項には入れた.
斜視の検査に関しては,脳機能画像を用いると,立体視が脳のどの部位で起こっているかなどがわかるという新しい視点が生まれた.また,眼球運動のシミュレーションソフトが開発され,経験則ではなく眼球運動の理論に基づいて,斜視手術の方針が検討できるようになった.斜視手術の基本手技としては,小切開手術について新しい観点がとりいれられた.斜視の治療は,経験則に基づくものが多く,なかなかEBM (evidence-based medicine)に即した診療ガイドラインがつくりにくい分野である.しかし,たとえば間欠性外斜視のように比較的症例数の多い斜視手術に対して,前後転術と両外直筋後転術の術後の戻りについてのEBM が確立しつつある.また,dissociated vertical complex のような新しい概念も考慮する必要がある.
特殊な斜視の治療では,わが国から発信された術式として,古くは上斜筋麻痺に対する原田─伊藤法などがあり,近年では強度近視内斜視に対する横山法,外転神経麻痺に対する西田法がある.このように英語論文としてきちんと残しておくことが大切で,これから若い世代にがんばっていただきたいと思う.弱視・斜視の分野は地道といえるが,疾患の頻度は高く,また視覚負荷が強いスマホ全盛の時代を迎え,眼科医としてこれまで以上にこの分野を学習する必要があると考える.本書が,その一助となれば幸いである.
2014 年5 月
大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学/教授
不二門 尚
目次
1 弱視・斜視の基礎
弱視・斜視診療の考えかた (不二門 尚)
外眼筋の解剖 (林 思音)
外眼筋の作用 (宮田 学)
外眼筋の運動理論 (長谷部 聡)
SQ 外眼筋のpulleyについて教えてください (河野玲華)
輻湊・開散と斜視 (中村桂子,菅澤 淳)
SQ 3D映像を見るときの輻湊と調節の関係について教えてください (神田寛行,不二門 尚)
CQ AC/A比の臨床的意義について教えてください (林 孝雄)
複視と抑制 (矢ヶ﨑悌司)
視力の発達 (山下 力,三木淳司)
立体視の発達 (森 隆史)
2 弱視の分類,検査,治療
弱視の定義と分類 (岡 真由美,田淵昭雄)
SQ 弱視の病因論について,これまでの変遷を含めて教えてください (三木淳司,山下 力)
小児の屈折・視力検査 (仁科幸子)
SQ 眼球形状発達の定量解析について教えてください (石井晃太郎)
コントラスト感度検査 (四宮加容)
EV 弱視の治療法のエビデンス (内海 隆)
EV 3歳児眼健診の有効性 (山田昌和)
3 斜視の分類,検査
斜視の定義と分類 (大月 洋)
偽斜視 (宇田川さち子,杉山能子)
SQ 斜視の病因論について教えてください (松尾俊彦)
眼位の検査 (中井義典)
融像の検査 (若山曉美)
立体視の検査 (勝海 修)
網膜対応の検査 (矢ヶ﨑悌司)
眼球運動の検査 (原 直人)
外眼筋の画像診断 (西田保裕)
SQ fMRIによる両眼視機能の評価について教えてください (吉田正樹,井田正博,野田 徹)
眼球運動のシミュレーション (横山 連)
4 斜視手術の基本手技
器具一覧 (森本 壮)
麻酔法 (近江源次郎)
結膜切開法 (近江源次郎)
後転術および前転術 (森本 壮)
斜筋手術 (森本 壮)
5 水平斜視,上下斜視の治療とその適応
乳児内斜視手術 (矢ヶ﨑悌司)
CQ 内斜視術後外斜視はどのように治療すべきでしょうか? (根岸貴志)
調節性内斜視の治療成績 (村木早苗)
後天内斜視の治療 (溝部惠子)
CQ 微小斜視について教えてください (長谷部 聡)
間欠性外斜視の手術 (初川嘉一)
SQ 間欠性外斜視と立体視の関連について教えてください (横山 連)
CQ 斜位近視はなぜ成人で起きるのでしょうか? (下條裕史)
成人の恒常性外斜視の手術 (丸尾敏之)
A-V型斜視の手術と適応 (野村耕治)
上斜筋麻痺の手術と適応 (三村 治,木村直樹)
交代性上斜位の手術 (林 孝雄)
Dissociated strabismus complex (矢ヶ﨑悌司)
6 麻痺性斜視,特殊な斜視の治療
麻痺性斜視のプリズム治療 (鈴木利根,杉谷邦子)
動眼神経麻痺の斜視手術 (石倉涼子)
外転神経麻痺の斜視手術 (西田保裕)
滑車神経麻痺の斜視手術 (林 孝雄)
甲状腺眼症の斜視手術 (大庭正裕)
眼窩骨折後の斜視手術 (大庭正裕)
CQ 癒着性斜視に対する羊膜移植術について教えてください (山田昌和)
CQ 副鼻腔内視鏡術後の斜視について教えてください (西村香澄)
Duane症候群 (羅 錦營)
Brown症候群 (牧野伸二)
General fibrosis syndrome (中泉裕子,柴田伸亮,渋谷恵理)
重症筋無力症 (木村亜紀子)
慢性進行性外眼筋麻痺 (木村亜紀子)
固定内斜視 (横山 連)
7 眼振の診断および治療
眼振の分類 (原 直人)
眼振の検査 (山下 力,三木淳司)
眼振の治療 (木村直樹,三村 治)
文献
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書籍情報
- ISBN:9784521739199
- ページ数:350頁
- 書籍発行日:2014年6月
- 電子版発売日:2020年12月30日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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