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小児白血病・リンパ腫 Strategy & Practice <小児科ベストプラクティス>

  • ページ数 : 344頁
  • 書籍発行日 : 2021年4月
  • 電子版発売日 : 2021年4月28日
11,000
(税込)
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商品情報

内容

かつて不治の病だった小児白血病は,層別化治療,支持療法の確立により長期生存率を飛躍的に改善させた. そして現在,次世代シーケンサーなどゲノム解析により遺伝子の全体像が明らかにされ,分子病態に基づく新たな治療戦略が次々に開発されている.生存率の向上に伴い小児がん経験者数は増加し,彼らが成長とともに遭遇する進学,就職,妊孕性などへの対応を専門家から紹介.

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序文

昨今の臨床研究と分子生物学的基礎研究の進歩を背景に,小児造血器腫瘍の分野は目覚ましい変化を遂げています.治療に関しては,近年開発された遺伝子導入T 細胞療法(CAR–T 療法)や二重特異性T 細胞誘導抗体などが導入され,再発・難治の急性リンパ性白血病の治療において革新的な効果を発揮し,治療の選択肢が格段に広がりました.また,次世代シーケンサーの台頭により,この数年で治療標的の同定が急速に進み,その成果はクリニカルシーケンスとして実地診療に実装される時代となりました.一方,分子生物学的手法の進歩に伴う基礎研究の発展によって,エピジェネティックな発がん機構やがん特有の代謝機構など,これまでその希少性から理解が不十分であった小児造血器腫瘍の複雑な病態理解が大きく進展しています.このような現状を鑑みますと,小児造血器腫瘍の診療においては,以前にも増して,幅広い知識と情報の整理,そして膨大な知識を取捨選択する柔軟な思考力が必要となっています.

本書は,小児造血器腫瘍に関する系統的な知識の理解,さらに臨床に直結した思考力の養成を目的に編集しました.そして本書の執筆は,小児造血器腫瘍の各分野で中心的にご活躍の先生方にお願いし,最近の小児造血器腫瘍疾患の臨床,研究における最先端の情報につき網羅的にご概説いただきました.ご執筆いただいた原稿は,どれも期待をはるかに超えた力作ぞろいで,大変読み応えのある内容に仕上がっています.お忙しいところ,執筆をご快諾いただき,本書のためにお時間を割いていただきましたご担当の先生方には,改めて心よりお礼を申し上げます.

本書は,2009 年に発行された小児科臨床ピクシス10『小児白血病診療』(中山書店)を引き継ぐ形で企画されました.これは,現国立成育医療研究センター理事長の五十嵐隆先生が総編集を,故菊地陽先生(元東京大学准教授)が専門編集をご担当して発行されました.菊地陽先生のライフワークでありました臨床研究から得られた治療における最新の知見を中心に編集されており,見事に系統だった解説書として,臨床現場で多くの医師に活用されました.私自身も様々な場面で何度もページをめくって,知識の整理に活用した記憶があります.約10 年経った現時点で読み直しても,学べる点が多く含まれています.大変すばらしい良書を編集された五十嵐隆先生,菊地陽先生には心より尊敬の意を表します.

一方,本書は,臨床のみならず基礎研究の最新の知見に関して比重を高めた構成になっておりますので,前書と合わせてご活用いただけますと,より知識が深まるものと考えます.また詳細な解説形式になっておりますので,辞書のように紐解いていただくこととも有用ではないかと思います.

最後になりましたが,本書に掲載されている新しい知見が,小児血液・腫瘍学を学ぶ若い先生方や研修医の先生方にとって日々の診療や研究の糸口としてお役に立つことを祈念します.そして本書が,小児造血器腫瘍の克服のために戦っている子どもたちとそのご家族にとって,お役に立てますことを切に願っております.


2021年3月

京都大学大学院医学研究科発達小児科学
滝田順子

目次

1章 小児造血器腫瘍の検査

細胞表面マーカー検査 (出口隆生)

染色体・遺伝子検査 (滝 智彦)

ゲノム医療の現状と展望 (真田 昌)

2章 急性リンパ性白血病(ALL)

ALLの分子病態 (加藤元博)

B前駆細胞性ALLの診断・治療 (康 勝好)

T細胞性ALLの診断・治療 (岡本康裕)

Ph染色体陽性ALLの診断・治療 (加藤 格)

成熟B細胞性ALLの診断・治療 (三井哲夫)

若年成人(AYA)世代ALLの診断・治療 (今村俊彦)

再発ALLの診断・治療 (後藤裕明)

ALLの新規治療戦略 (豊田秀実)

3章 急性骨髄性白血病(AML)

AMLの分子病態 (柴 徳生)

AMLの診断・治療 (富澤大輔)

急性前骨髄球性白血病の診断・治療 (高橋浩之)

Down症候群に関連したAMLの診断・治療 (照井君典)

AMLの新規治療戦略 (嶋田 明)

4章 乳児急性リンパ性白血病(乳児ALL)

乳児ALLの分子病態 (才田 聡)

乳児ALLの診断・治療 (宮村能子)

乳児ALLの新規治療戦略 (髙地貴行)

5章 慢性骨髄性白血病(CML)

小児CMLの分子病態 (嶋田博之)

CMLの診断・治療 (遠野千佳子)

CMLの新規治療戦略 (嶋 晴子)

6章 骨髄異形成症候群・骨髄増殖性疾患

小児骨髄異形成症候群の分子病態 (村松秀城)

骨髄異形成症候群の診断・治療 (長谷川大輔)

若年性骨髄単球性白血病の分子病態 (平林真介)

若年性骨髄単球性白血病の診断・治療 (吉田奈央)

7章 リンパ腫・リンパ増殖性疾患

リンパ腫の分子病態 (大木健太郎)

非Hodgkinリンパ腫の診断・治療 (大隅朋生)

Hodgkinリンパ腫の診断・治療 (古賀友紀, 亀井美智)

自己免疫性リンパ増殖症候群の診断・治療 (髙木正稔)

X連鎖性リンパ増殖症候群の診断・治療 (宮澤英恵, 和田泰三)

小児全身性EBV陽性リンパ増殖症の診断・治療 (井澤和司, 八角高裕)

8章 組織球症

組織球症の分子病態 (森本 哲)

Langerhans細胞組織球症の診断・治療 (工藤寿子)

若年性黄色肉芽腫の診断・治療 (坂本謙一)

Erdheim-Chester病の診断・治療 (塩田曜子)

9章 小児造血器腫瘍の支持療法

感染対策 (橋井佳子)

輸血療法 (梶原道子)

小児の緩和ケア (余谷暢之)

10章 小児造血器腫瘍の晩期合併症

二次がん (瓜生英子)

内分泌代謝障害 (前田尚子)

性腺毒性 (清谷知賀子)

心毒性 (荒川ゆうき)

長期フォローアップ体制の現状と展望-移行期医療 (石田也寸志)

略語一覧

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書籍情報

  • ISBN:9784521749211
  • ページ数:344頁
  • 書籍発行日:2021年4月
  • 電子版発売日:2021年4月28日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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