- m3.com 電子書籍
- 麻酔 2022年7月号【特集】周術期臓器保護と麻酔
商品情報
内容
周術期臓器保護と麻酔
周術期肺保護換気戦略と麻酔
周術期心筋保護と麻酔 ほか
≫ 「麻酔」最新号・バックナンバーはこちら
≫ 麻酔(2022年・年間購読)受付中!
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版
序文
巻頭言:麻酔科医の将来を考える
麻酔科学会は,日本では他学会に先行して,いち早く専門医制度を創設した。この制度は日本の麻酔科医の質の向上と担保に大いに貢献した。試験は筆記試験に加えて現地での実技試験も併せて行われた。その後,筆記試験,口頭試験,シミュレーションを用いた実技試験の3種類での試験となった。近年,コロナ禍,受験者数の増加と専門医試験受験時期の前倒しなどがあり,実技試験の合否は所属長の推薦が尊重され,書類審査で判定されている。昨年,会員数約14,000人,専門医数7,000人に至った。
一方,日本において,四半世紀前くらいから高齢者数は増加し,それに伴い手術件数が増加し,しかるべく麻酔科医の需要は増大した。供給は追いつけず,市場原理で麻酔科医の報酬は増大することとなる。診療報酬で決められている麻酔点数を上回って報酬を支払う病院も出てきた。当然,独立した形でフリーターが多数出現した。そのような中,麻酔科学会の役員の先生方は多大なる努力が強いられることになった。厚生労働省,外科学会,日本胸部外科学会,整形外科学会など,他団体などからの風当たりは強く,かなりのひんしゅくを買っていたのは事実である。業を煮やした厚生労働省は,患者の安全性をも危惧し,特定看護師制度の設立と養成促進に加えて,パッケージの“術中麻酔看護師”養成過程を導入するに至った。さらには,法改正により医療従事者による処置拡大を制度化した。加えて,麻酔臨床工学技士が施設認定レベルで誕生している。法改正と医師の働き方改革もあり,麻酔科医支援スタッフの育成を後押ししている。
アメリカの麻酔診療を垣間見ると,手術室の麻酔は麻酔看護師が担当している。医育機関以外の麻酔科医は,麻酔看護師の麻酔導入を手伝い,麻酔患者数に対して少ない麻酔科医数でモニター室にて患者の状態を監視し,必要に応じて麻酔看護師をサポートする体制を取っている。ほかの麻酔科医は,手術室以外の内視鏡室,検査室,産科分娩室,施設によっては集中治療室で働いている。一方,ヨーロッパ,特に北欧では麻酔科医が手術室の麻酔に限らず,集中治療室の担当をし,救急車やドクターヘリコプターで現場に直行し,救命活動を行っている。手術室の麻酔は麻酔科医とともに麻酔看護師が主として担当していた。
日本も徐々に医療体制は変わっていくものと思われる。今は,麻酔科医の需要は絶大であるが,年齢人口のもっとも多い団塊の世代が75歳を超える2030‒40年ころから全国の手術件数はプラトーから減少に転じると考えられる。そのころには,麻酔科医は集中治療,ペインクリニック,救急医療,緩和ケアなど,関連領域での活躍がますます期待されることとなるであろう。手術室の業務は麻酔看護師,麻酔臨床工学技士が麻酔科医の指導を受けつつ,主として担当することとなる。麻酔科医の業務は幅広くなるものと思われる。
ところで,日本麻酔科学会学術集会の一般演題登録数が激減している。2021年700題,2022年500題である。コロナ禍の影響もあるかもしれない。しかしながら,2021年の日本救急医学会の一般演題登録数は1,600題,日本集中治療医学会は1,000題であった。麻酔科学会は質の向上を目指し,倫理規定や投稿規定を厳しくし,質の向上を図った影響もあるかもしれないが,麻酔科医のアカデミックマインド自体が低下しているのではないかと不安を感じることもある。
ポストコロナとなったときに,AI革命による麻酔ロボットの開発,ビッグデータを駆使したデータサイエンスの進歩,麻酔科医の役割の変化など,将来の麻酔科医がどのような状況に突き当たるのか読めないところがある。しかしながら,麻酔科学を基礎として,チーム医療を推進し,周術期管理を充実させ,関連領域でも活躍できる資質を身につける研修を必須とすべきと考える。そのような力が,時代の流れや医療界の変化に追従しうる機動力になるものと思われる。そしてその先には,麻酔科医は急性期医療から慢性期医療を担えるオールマイティな医師となり,誇りと自負をもって活躍できる人材が増えてくるものと期待している。
世界でもっとも多く読まれている「進化論」の著者ダーウィンの言葉,“生き残るのは優秀なものや力の強いものではなく,順応し適合していくものである”は真実であると思う。われわれも時代の流れにしっかりと順応すべく,ポテンシャルを高めていかなくてはならない。
山形大学教授 川前 金幸
目次
巻頭言
麻酔科医の将来を考える (川前金幸)
特集
周術期臓器保護と麻酔
緒言とまとめ (岡本浩嗣)
周術期肺保護換気戦略と麻酔 (倉橋清泰)
周術期心筋保護と麻酔 (原 哲也)
周術期脳保護と麻酔 (山下敦生ほか)
周術期脊髄保護戦略と麻酔―大血管手術における管理法― (阿部龍一ほか)
周術期腎保護と麻酔 (山本 偉ほか)
周術期肝臓保護と麻酔 (松下克之ほか)
原著
婦人科腹腔鏡手術におけるオランザピンの術後悪心・嘔吐予防効果―多施設共同無作為化比較対照試験― (関 博志ほか)
講座
統計ノート-31 リスクの比較(1):絶対リスク差,治療必要数(NNT),助けられる可能性と害を受ける可能性(LHH) (浅井 隆)
症例報告
麻酔器部品の経年劣化による回路リークで換気トラブルが生じた1症例 (島田覚生ほか)
vascular slingに合併した先天性気管狭窄症に対する人工呼吸管理の1症例 (濱田貴子ほか)
COVID-19肺炎を合併した妊婦の帝王切開の麻酔経験 (藤井智章ほか)
術中の偶発的ロクロニウム血管外漏出により術後呼吸抑制を来した症例 (本田 潤ほか)
成人先天性心疾患非専門施設で行うフォンタン手術後の肝切除術 (梶野超生ほか)
無症状の遅発性外傷性気胸を合併した鎖骨骨折手術で,予防的に胸腔ドレーンを留置して全身麻酔を行った1症例 (新垣かおるほか)
上腕骨骨折が並存する低心機能高齢患者の大腿骨頸部骨折手術の麻酔管理 (吉﨑真依ほか)
紹介
蘇生の歴史:64.呼吸機能の解明(15)―Robert Boyle:原子論― (浅井 隆)
華岡青洲の“奇方”研究と吉益東洞の“方無古今” (松木明知)
・外国文献紹介
・投稿規定
便利機能
- 対応
- 一部対応
- 未対応
-
全文・
串刺検索 -
目次・
索引リンク - PCブラウザ閲覧
- メモ・付箋
-
PubMed
リンク - 動画再生
- 音声再生
- 今日の治療薬リンク
- イヤーノートリンク
-
南山堂医学
大辞典
リンク
- 対応
- 一部対応
- 未対応
対応機種
-
iOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:8.4MB以上(インストール時:21.5MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:33.6MB以上
-
AndroidOS 最新バージョンのOSをご利用ください
外部メモリ:8.4MB以上(インストール時:21.5MB以上)
ダウンロード時に必要なメモリ:33.6MB以上
- コンテンツのインストールにあたり、無線LANへの接続環境が必要です(3G回線によるインストールも可能ですが、データ量の多い通信のため、通信料が高額となりますので、無線LANを推奨しております)。
- コンテンツの使用にあたり、m3.com電子書籍アプリが必要です。 導入方法の詳細はこちら
- Appleロゴは、Apple Inc.の商標です。
- Androidロゴは Google LLC の商標です。
書籍情報
- ISBN:9784014007107
- ページ数:131頁
- 書籍発行日:2022年7月
- 電子版発売日:2022年7月27日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
お客様の声
まだ投稿されていません
特記事項
※ご入金確認後、メールにてご案内するダウンロード方法によりダウンロードしていただくとご使用いただけます。
※コンテンツの使用にあたり、m3.com 電子書籍が必要です。
※eBook版は、書籍の体裁そのままで表示しますので、ディスプレイサイズが7インチ以上の端末でのご使用を推奨します。