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- モダンフィジシャン 39-11 循環器緩和ケアの実際
商品情報
内容
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序文
巻頭言
2018年4月から心不全の緩和ケアに診療報酬加算が認められて以降,循環器領域でも緩和ケアへの関心が一層高まっています.しかし,循環器疾患患者が抱える緩和ケアのニーズに向き合いながら,よりよい医療・ケアを日々実践しようとすると,いくつもの障壁があることに医療スタッフは気付きます.われわれもそのような難しさを感じるなか,2017年11月より関東循環器緩和ケア研究会を開始して,これまで6回にわたり事例検討を重ねてきました.研究会は,多くの施設からさまざまな経験や専門性を有した仲間が集い,議論を重ねながら集合知を醸成する役割を担ってきました.この学びを参加いただいた皆様と一つの形に残すことができればと思い,本書を企画いたしました.
緩和ケアという全人的苦痛に対するアプローチを理解するうえで,従来あまり論じられてこなかった切り口で検討してみたいと考えました.具体的には,"場面""内容""疾患"というそれぞれの切り口から,循環器緩和ケアを記載頂きました."場面"としては,救急外来⇒集中治療⇒一般病棟⇒在宅という診療の流れにおいて,それぞれの場面で緩和ケアを実践する強みを再確認するとともに,課題を浮き彫りにして頂きました."内容"という切り口では,事例検討において必ずこれらの話題に集約されるといっても過言ではない症状緩和と意思決定支援に焦点を絞りました."疾患"では診療報酬加算の対象となった心不全に加えて,末梢動脈疾患・重症下肢虚血,成人先天性心疾患,不整脈についても取り上げました.頻度から考えると心不全の緩和ケアが重要なことは疑いないわけですが,実臨床ではそれ以外の場面でも多々悩むことを触れておくことは大切ではないかと思っております.
症例検討の項では,緩和ケアに実際取り組んだ際の工夫や,振り返りによって実感した課題をぜひ感じ取っていただきたいと思います.それぞれの症例のポイントをタイトルに込めました.すべての症例において,何らかのジレンマを現場で感じながら,患者の最善がどこにあるのかをチームで考え抜き,意見をぶつけ合い,葛藤を抱えながら医療・ケアを進めていることがわかります.そのようなジレンマを克服することこそ,循環器緩和ケアを発展させるうえでの勘所なのではと思い,取り上げさせて頂いた次第です.もちろん,振り返りの過程でもっとよい医療・ケアを提供できたのではという思いは常に残ります.集合知として記載した内容ですが,さらなる議論が必要な点も多々あるかと思います.読書の皆様からもぜひご意見・ご批判をいただき,継続的に議論をしながら,よりよい緩和ケアの提供をめざすことができればと考えております.
スペースが許す範囲で,コラムも用意させて頂きました.コンセンサスが得られていない内容も含まれているかと思いますが,循環器緩和ケアをよりよいものに発展するためにも,まずは議論をすることが大切という思いから執筆いたしました.こちらも併せてぜひご意見を頂ければ幸いです.
本特集を企画するにあたり,多忙な診療のなか,快くお引き受け頂いた筆者の先生方には厚く御礼を申し上げます.冒頭に記載しました通り,今回の企画が「関東循環器緩和ケア研究会」の内容を中心に展開したため,執筆者がかなり関東の医療従事者に偏っていることはお許しください.最後に本特集が,循環器領域における緩和ケアの現状を皆で共有する機会となるとともに,循環器疾患患者が抱える緩和ケアに対するニーズに少しでも応えるために,日々診療を重ねているすべての医療スタッフの皆様の一助となり,この領域のさらなる質の向上に向けた新たな一歩につながることができれば幸いです.
聖路加国際病院循環器内科 水野 篤
杏林大学医学部付属病院循環器内科 河野 隆志
目次
巻頭言
《シチュエーションにより緩和ケアに違いがありますか?》
1.救急外来
2.集中治療領域
3.病棟における循環器緩和ケアの実際 ―まずは話し合うことから―
4.外来・在宅医療の緩和ケア
《実際,緩和ケアの症状緩和はどのようなことをしていますか?》
1.痛み・呼吸困難への対処
2.精神症状への対応
3.社会的苦痛
《実際,緩和ケアの意思決定支援はどのようなことをしていますか?》
1.アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の実際
2.意思決定支援における倫理的ジレンマ(総論)
3.認知機能障害が疑われる患者における意思決定支援
《疾患別で注視するべき特徴:病みの軌跡の違いと緩和ケアのポイント》
1.心不全
2.末梢動脈疾患・重症下肢虚血
3.成人先天性心疾患
4.不整脈
《緩和ケアのケーススタディ》
1.代理意思決定者の妥当性に関するジレンマ
2.治療選択の困難さと緩和ケア重視に変化するタイミングへのジレンマ
―心臓移植登録を行った不整脈原性右室心筋症の症例を経験して―
3.緩和ケアの症状と積極的治療の内容のジレンマ
4.手術など侵襲的処置の妥当性のジレンマ
5.緩和ケアに時間がかかるジレンマ・加算が取れないジレンマ
6.状況による意思決定能力判断のジレンマ
■私の処方■
高中性脂肪血症患者
嚥下障害患者における投薬の見直し
大うつ病性障害の寛解を目指した薬物療法
■診療の秘訣■
BATHE technique
マスク換気困難患者にはインターサージカルi‒gelを
血清トリグリセライド値が高いケース
■認知症の診断とともに患者さんに伝えたいこと■
「できなくなったこともさせた方がよいでしょうか」と相談されたときに伝えたい言葉
■実践! 在宅救急現場リポート■
日本の在宅医療の現状と問題点
高齢者は治療すべきではないのか? 在宅医療20年の経験から
○次号予告
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書籍情報
- ISBN:9784001003911
- ページ数:114頁
- 書籍発行日:2019年11月
- 電子版発売日:2019年10月25日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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