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医学のあゆみ283巻5号 細胞死のすべて―そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり

  • ページ数 : 220頁
  • 書籍発行日 : 2022年10月
  • 電子版発売日 : 2022年10月26日
6,490
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商品情報

内容

企画:清水重臣(東京医科歯科大学難治疾患研究所病態細胞生物学)
・一時代前には,細胞死は生存プロセスの崩壊によってもたらされる受動的な生命現象であると認識されていたが,現在は能動的な現象であり,生体の恒常性維持,ストレス応答などに必要な生命現象であると理解されている.
・細胞死研究はネクローシスとアポトーシスに二極化して考えられていた時期があったが,現在はネクロプトーシスやオートファジー細胞死など,多様な細胞死が存在していることが明らかとなっている.
・細胞死の基礎的研究は細胞死の多様性の発見によって新たなフェーズに入っているが,疾患研究においても,従来のアポトーシスからのアプローチが深化するとともに,多様な細胞死の概念が導入されつつある.

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序文

はじめに

われわれの体が正常に発生し,恒常性を保って生きていくためには,細胞死が細胞増殖,分化と協調して機能することが必要不可欠である.一時代前には,細胞死は生存プロセスの崩壊によってもたらされる受動的な生命現象であると認識されていたが,現在は能動的な現象であり,生体の恒常性維持,ストレス応答などに必要な生命現象であると理解されている.

細胞死研究はネクローシスとアポトーシスに二極化して考えられていた時期があったが,現在はネクロプトーシスやオートファジー細胞死など,多様な細胞死が存在していることが明らかとなっている.これらの多様な細胞死は,生体の環境や細胞の種類,刺激の種類によって使い分けられている.また,このような細胞死様式の違いは死細胞周囲に存在する生細胞に異なった影響を与えるものと考えられており,このためにこそ,細胞死の多様性が必要であると思われる.このように,細胞死の基礎的研究は細胞死の多様性の発見によって新たなフェーズに入っているが,疾患研究においても,従来のアポトーシスからのアプローチが深化するとともに,多様な細胞死の概念が導入されつつある.さらに,神経変性疾患,血液疾患,がんなどの疾患では細胞死制御を薬理作用とする薬剤も開発されつつあり,細胞死研究は臨床面でも広がりをみせている.

本特集では,多様な細胞死などの基礎的な知見の概説からはじまり,さまざまな疾患や創薬を対象とした臨床的知見の概説まで,最新の細胞死研究の全体像が明らかになるように企画を行った.細胞死の専門家や細胞死の立場から疾患研究をされておられる第一線の研究者に執筆していただくことができたものと考えており,貴重な時間を割いて原稿を執筆していただいた先生方に深謝する次第である.本特集が,細胞死研究に関わっておられる専門家のほか,多くの研究者の一助となれば幸いである.


企画:清水重臣(東京医科歯科大学難治疾患研究所病態細胞生物学)

目次

特集 細胞死のすべて―そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり

アポトーシスと非アポトーシス細胞死

細胞死研究の歴史-いかにして細胞死がホットトピックになったか

ミトコンドリアを経由するアポトーシス

デスレセプターを介したアポトーシス

カスパーゼによるアポトーシスの実行

ネクロプトーシスの分子機構と意義

オートファジー細胞死

パイロトーシス-炎症をつかさどる“燃える”細胞死

ネトーシスの誘導機構とその感染症における役割

フェロトーシス(鉄依存性細胞死)-転写因子NRF2とBACH1による競合的制御とフェロトーシス伝播現象

ミトコンドリア膜透過性遷移を介したネクローシス

死細胞の行方

脂質スクランブルによる“eat me”シグナルの提示

ゴーシェ病における神経細胞死誘導の新たな分子機構

マクロファージによる死細胞貪食とその意義

さまざまな細胞機能と細胞死

小胞体ストレスと細胞死

核小体ストレスによる細胞死と病態

細胞競合を制御する分子機構

治療ターゲットとしての細胞老化とその機能

ASK1と細胞死

生死を制御するJNKシグナル伝達経路

さまざまな生命現象と細胞死

発生と組織修復におけるカスパーゼの非細胞死性の機能

成体脳におけるニューロンの細胞死と再生

骨形成と細胞死

死細胞からのdanger-associated molecular patternsの放出機構

自己免疫と細胞死

パイロトーシスによる自然炎症とその制御-オルガネラを標的とする新たな抗炎症薬の開発

疾患と細胞死

神経変性疾患における細胞死研究

がんの細胞死回避戦略としてのワールブルグ効果とカルジオリピン代謝を制御するMieap液滴について

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と細胞死

メタボリックシンドロームと細胞死

自己炎症性疾患と細胞死

皮膚疾患と細胞死-表皮角化細胞アポトーシスとリンパ球のダイナミクス

脳梗塞における神経細胞死の誘導機序

放射線による細胞死と組織障害

細胞死を応用した創薬

アポトーシス抵抗性BCL2ファミリー阻害薬BH3-mimetic drugsの基礎と臨床

IAPの医薬品開発-IAPアンタゴニストとSNIPER

TRAIL創薬

細胞死解析技術とその応用

ケミカルバイオロジーを用いた細胞死の解析

二分割発光タンパク質の再構成法を用いる細胞死イメージング

蛍光タンパク質レポーターを利用した細胞死イメージング

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書籍情報

  • ISBN:9784006028305
  • ページ数:220頁
  • 書籍発行日:2022年10月
  • 電子版発売日:2022年10月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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