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- 薬剤師のための 医療情報検索テクニック
商品情報
内容
的確・迅速な医療情報検索は薬剤師にとって必須のスキルです。本書では、EBM(エビデンスに基づく医療)を実践する2人の著者が、検索テクニックを丁寧に分かりやすく解説しています。検索対象は添付文書、インタビューフォーム、診療ガイドライン、医学論文(PubMed、コクラン・ライブラリー)など。薬剤師が現場で出会いそうな疑問を事例として取り上げ、どんな資料をどう検索すれば答えが得られるかを示します。単なる診療ガイドラインの読み方、PubMed検索の仕方などにとどまらない、薬剤師の仕事の実情に沿った内容です。
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
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序文
はじめに
日々の生活において、僕たちは常に何らかの情報と関わりを持っています。テレビをつければ、そこには天気予報に関する情報が、スマートフォンやパソコンでインターネットブラウザを立ち上げれば、様々なニュース情報が、Twitter やInstagramのようなソーシャル・ネットワーキング・サービスにログインすれば、関心を引かれるものから、そうでないものまで、膨大な情報に満ちています。
情報とは、「判断や行動するために必要な知識」という意味を含んだ言葉であり、文字通り「知識」と密接な関係を持っています。例えば、「知識」を整理してまとめたものは、1つの「情報」を形作ることでしょう。他方で、「情報」から切り出された信念を「知識」と呼ぶこともできそうです。体系的な「知識」が「情報」を生み出し、「情報」を経験や関心から解釈することで「知識」を得ることができます。人の知的営み、文化的な生活を支えているものは知識であり、また情報そのものだと言えるかもしれません。
医師に対する処方提案や疑義照会、患者さんに対する服薬説明やOTC医薬品の販売など、薬剤師による臨床判断の妥当性を支えているのは、高度な専門的知識と質の高い医療情報です。とはいえ、質の高い医療情報をどのように収集すれば良いのか、思い悩んでしまうことも少なくないでしょう。また、情報を収集することができても、その内容を偏りなく解釈することは決して容易な事ではありません。
効率よく情報を収集するためには、どんな情報を、どのように収集するか、また、得た情報を偏りなく知識化するためにはどのような視点で情報と向き合う必要があるのでしょうか。本書では、情報収集のノウハウと、得た情報との向き合い方について、事例を交えながらその一端を紹介しました。情報の解釈の仕方に正解はありません。しかし、正解がないからこそ、継続的に情報を収集していく作業が大切なのです。継続的に情報と向き合う中で、一つの関心にとらわれない知識のあり様が見えてくることでしょう。本書がその一助となりましたら幸いです。
(青島周一)
私が薬剤師として現場に立って最初に困ったのは、「何を勉強したら良いのか分からない」ということでした。たくさんある薬の薬効分類や適応症、用法用量、禁忌の内容を覚えるだけでも大変ですが、果たしてそれを覚えれば薬剤師として十分に活躍できるのか。もし十分でないとしたら、その先はどんな勉強をすれば良いのか。世の中の先輩薬剤師たちは、どんな資料を使って情報収集しているのか、その資料を読む上でどんな事に気をつければ良いのか、それが全く分からなかったからです。
そこで本書では、同じ苦労をしてしまう後輩を少しでも減らせるよう、「情報収集」に関して自分がつまずいた地点を中心に、よくあるつまずきポイントの解説を行いました。具体的には、まず薬剤師が手に取る「添付文書」をスタート地点に、情報をそれだけに頼っているとどんな落とし穴があるのか、どんな不利益を患者さんに与えてしまうことになるのかを示しながら、「インタビューフォーム」や「ガイドライン」、「医学論文」へと1つずつ情報収集のツールを広げていけるように、それぞれの情報源の特徴や弱点がわかる特徴的な事例を紹介しました。
また、こうした情報を得る方法だけでなく、得た情報を現場でどうやって活用すれば良いのか、薬剤師からの「情報の伝え方」の注意点や、そもそも現場でどうやって勉強の種を見つけるのかといった点についても、ストーリーの中に盛り込みました。
薬剤師の勉強方法に、これと決まった正解はありません。しかし、だからといって全てを手探りで学んでいくのは、あまりに負担が大きく非効率的です。本書が、勉強方法に困っている薬剤師に1つの道筋を示せるものになれたら良いなと願っています。
(児島悠史)
目次
医療情報検索テクニック 基礎編
1 情報検索の大切さ 「コデインリン酸塩」の小児投与リスク、いつから知ってた?
2 添付文書の活用 この睡眠薬(エスゾピクロン)は、飲んだらすぐ効くの?
3 インタビューフォームの活用① 妊娠希望の患者さん、「ロラタジン」継続は選択肢になる?
4 インタビューフォームの活用② 私に出された睡眠薬、飲む量が夫より少ないのはなぜ?
5 診療ガイドラインの活用① 片頭痛の頓服薬、1カ月何回以上は使い過ぎ?
6 診療ガイドラインの活用② 「ロサルタン」の「1日2回服用」は間違い?
7 診療ガイドラインの活用③ 妊娠に気付かず吐き気止めを飲んでしまった
8 医学論文の活用① 「バルプロ酸」と「テビペネム」の併用、3日間なら大丈夫?
9 医学論文の活用② 「チアマゾール」と「プロピルチオウラシル」、副作用のリスクが高いのは?
医療情報検索テクニック 応用編
10 医学論文の活用③ 「桔梗湯」で喉の痛みは本当に軽減するの?
11 医学論文の活用④ 「桔梗湯」の効果そのものの評価に適した試験は?
12 医学論文の活用⑤ SGLT2阻害薬で下肢切断リスクが増加する?
13 医学論文の活用⑥ 有害事象のリスク、評価に適した試験デザインは?
14 医学論文の活用⑦ DPP-4阻害薬の中で類天疱瘡のリスクに違いはある?
15 医学論文の活用⑧ 有害事象のリスク評価 コホート研究以外で参照するのは?
16 医学論文の活用⑨ 「フェブキソスタット」で心血管死亡が増える?
17 医学論文の活用⑩ 片頭痛かどうかをどう判断する?
18 医学論文の活用⑪ PubMed以外に便利な論文検索サイトはある?
Column
Google検索の落とし穴 「上位に表示されている=信頼できる情報」ではない
「どんな人を対象にした話なのか?」を常に考えよう すべての人に当てはまるわけではない「薬の効果」
添付文書の副作用「頻度」は単純に比較できない 「ロキソプロフェン」と「セレコキシブ」、消化性潰瘍のリスクが高いのは?
診療ガイドラインの「客観性」 診療ガイドラインはエビデンスの総体といえるか?
Googleで論文検索をする方法 検索ワードに「ncbi」を追加
インターネット上の医療情報の信頼性 英語検索と比べて劣る日本語検索での医療情報の質
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書籍情報
- ISBN:9784931400979
- ページ数:176頁
- 書籍発行日:2019年12月
- 電子版発売日:2022年1月7日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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