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- 環境適応 実践実技ノート―中枢神経系障害への知覚探索アプローチ
商品情報
内容
中枢神経系疾患の臨床で悩んでいるOT・PT・ST必読の書!
環境適応とは、個人-環境-課題間の知覚探索の過程を再構築し、適応行動を促していくアプローチであり、人間の運動行動の本質を見据えた、他に類をみない考え方に基づく諸活動の分析により熟成されてきた技術である。
全国で展開する環境適応講習会では、目の前の片麻痺者への治療を通してそのことを実証し、セラピストとしてのやりがいと難しさのメッセージを発信し続けてきた。
本書は、「平面適応・移動空間」「洗体・更衣」「アクティビティ」「食事」の各テーマにおける実践的アプローチを凝縮し、これからの臨床を担う皆様に、その理論と技術の奥深さを伝授する。
患者さんにとって有効な感覚情報になりうるユニークな発想の実技が満載!
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
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序文
序文
本書は,平面適応・移動空間,洗体・更衣,アクティビティ(activity),食事,の各々のテーマに基づいた環境適応講習会のなかで,継続して提案させていただいている実技をまとめた1冊です。環境適応講習会は,ご存知の方もおられるかと思いますが,柏木正好氏(柏塾塾長)を中心として展開してきた講習会であり,柏木氏には「環境適応;中枢神経系障害への治療的アプローチ」(2004年,青海社)の著書があります。
柏木氏は,リハビリテーション領域の臨床家の立場から,中枢神経損傷により片麻痺の障害を抱えた方々の本質的な問題は何か,そして,セラピストが具体的な治療展開のなかで考慮し,実践すべき項目は何か,を問い続けてきました。その内容は,臨床を真摯に受け止め,障害を抱えた方々とともに,現場で踏ん張り続けてきた専門家でなければわかりえないこと,また,専門家でも見落としてしまうような鋭い視点での,活動分析と治療技術を提案・紹介することでした。
中枢神経損傷に対するリハビリテーションでは,欠損した運動機能の回復と,残存している非麻痺側での代償活動,あるいはその併用に,問題解決を見出す傾向が一般的ですが,柏木氏は,社会的動物である人間が,障害を抱えるということを深く分析し,片麻痺者の諸活動を,個人と環境・課題との相互作用の結果として,理解してきました。そして,人間が発達のなかで,また日々の生活のなかで蓄え,熟練させてきた運動スキルを改めて獲得する際には,具体的な課題でしか得られない,コアとなる知覚情報が有効であることを,目の前の片麻痺者への治療を通して証明してきました。同時にそれらのメッセージにより,講習会を通じて,セラピストとしてのプライドを追求し,「人間が変化する」「神経系が変わる」その瞬間に立ち会えるセラピストだからこそ得られるやりがい,そして難しさを,発信し続けてきました。
鋭い洞察力と斬新な技術。目の前で人間が生き生きと変化していく,ユーモアと人情味にあふれた治療展開。多くのセラピストの心に,尊敬の念と衝撃を与えないはずはありませんでした。
環境適応講習会・北海道支部の山田勝雄氏,秋田支部の水原寛氏,宮城支部の山根佳子氏,福島支部の渡部昭博氏,埼玉支部の保谷勝義氏,東京支部の八児正次氏,新潟支部の伊林克法氏,関西支部の沼田景三氏(前:南誠一氏),福岡支部の松野豊氏(前:永田誠一氏),四国支部の高須賀秀年氏,宮崎支部の長瀨泰範氏,大分支部の福澤至氏,沖縄支部の新里順治氏。本書の執筆者の皆様。そして,ここでは紹介しきれないほどのセラピストの仲間たち。皆様は,柏木氏の考えに賛同し,お人柄に惚れ,各支部での講習会を立ち上げてくださった責任者・協力者です。皆様がいなければ,環境適応講習会を全国で展開し,講習会の考えと技術の興味深さを,臨床につないでくれる大勢のセラピストに伝え続けてくることは,到底かなわなかったと思っています。
さまざまな準備期間を含め,約30年近くに渡り,各地で展開してきた環境適応講習会ですが,2020年度は新型コロナウイルスの影響で,予定していた講習会は,すべて中止になっています。とても残念ですが,これまで当たり前に行っていた日常生活に,さまざまな制約を強いられている今だからこそ,本書で紹介させていただいている人の運動行動の本質を捉えた技術を,皆さんにご理解いただけるのではないかと期待しています。
リハビリテーションの技術というものは,知識として知ってはいても,すぐにできるものではありません。真に効果的で,片麻痺者に喜んでいただける治療技術を,自分のものにしていくためには,やはり,知覚運動学習を積み重ね,その感覚を自分の身体に染み込ませていくという工程が必要になってきます。その現実があるがゆえに,環境適応講習会では,受講された方々との交流を大切にしてきました。これからも,けっして留まることなく,臨床から学んだ内容を大切にして,多くのセラピストとともに,歩み続けたいと願っています。
そして,対面式での環境適応講習会が再開された際には,本書を手にされた方々と,率直な意見交換をして,「こんな感じで」と,本書で紹介している実技を確認し合えれば,と考えています。その時まで,本書を日々の問題解決のためにご活用いただき,さらに柔軟な思考とアイデアで,応用展開していただければ幸いです。
最後になりましたが,本書の執筆・出版にあたり,撮影と画像提供にご協力いただいた患者さんとご家族,スタッフの皆様に感謝いたします。また,本企画に賛同し出版の機会を与えていただいた三輪書店代表取締役の青山智氏,ならびに,企画から編集に至る,詳細なご指導とご助言をいただき,根気強くお付き合いいただきました編集室の野沢聡氏に,心より深く感謝いたします。
2020年11月吉日
執筆者代表 髙橋 栄子
目次
概説
人間の運動行動と環境適応 柏木正好
I 平面適応・移動空間
平面適応
総論
平面適応 保谷勝義
実践事例
1. ポジショニング(背臥位,車いす) 仲川 仁
2. 寝返りの徒手誘導 髙橋啓吾
3. 起き上がりの徒手誘導 横内俊弘
4. 臥位におけるシーツの活用(緊張緩和,寝返り,起き上がり) 橋本勇也
5. 床上連続動作 伊林克法
移動空間
総論
移動空間 八児正次
実践事例:空間への適応
1. リーチングと移動(前方,上方,下方へのリーチング) 三瓶政行
2. 壁,側面構造への適応 武田幸治
実践事例:応用動作,応用歩行
1. ドアのすり抜け 和氣良彦
2. テーブルの潜り抜け,テーブル周囲の歩行 鈴木良尚
3. 車いす乗車と駆動 髙橋栄子
4. 「人ごみ」のくぐり抜け 古屋実栄
コラム
ちょうちんアンコウ 大和田敦
II 洗体・更衣
洗体
総論
洗体 永田誠一
実践事例
1. 乾布摩擦 渡慶次裕治
2. 手洗い 下里 綱
3. 足浴 長瀨泰範
4. 洗顔 吉嶺 浩
更衣
総論
更衣 新里順治
実践事例
1. 上衣の更衣 松野 豊
2. 下衣の更衣 坂本和則
3. 靴,靴下の着脱 新垣明利
4. 手袋を使った治療介入 塩貝勇太
III アクティビティ
総論
1. リーチング 髙須賀秀年
2. アクティビティと情動 福澤 至
実践事例:治療補助具の利用,基本的な対象活動
1. グラスプ・リリースにかかわる活動 沼田景三
2. ピンチにかかわる活動 藤本 弾
3. 棒を使う 箭野 豊,髙須賀秀年
4. 新聞紙を使う 山口健一
5. ボール,風船を使う 串田雄一郎
実践事例:道具操作
刃物を使う 白木原法隆
実践事例:創作・表現活動,物の加工
1. 書字 立松さゆり
2. 粘土 武田真一
3. 絵画 関根圭介
IV 食事
総論
食事 渡部昭博
実践事例
1. 体幹,頭頸部への介入 広渡一隆
2. 顔面,口腔,下顎への介入 河野千穂
3. 口腔知覚探索 早川美乃里
4. ポジショニングと環境設定 水原 寛
5. 目,手,口の協調 宮下徹也
6. うがい 南部浩志
7. 道具操作(スプーン,箸の活用) 山田勝雄
8. 共食 山根佳子
コラム
食行動における嗅覚情報 箭野 豊
共食へのアプローチ 有泉涼太
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書籍情報
- ISBN:9784895907064
- ページ数:312頁
- 書籍発行日:2020年12月
- 電子版発売日:2022年2月18日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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