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- 排泄リハビリテーションー理論と臨床 改訂第2版
商品情報
内容
排泄リハビリテーションとは,排泄障害をもつ人が排泄の自立やQOLの向上を目指すとともに,その人の社会的統合の達成を目的とするものである.これを進めるうえで必要となる解剖や生理,障害を引き起こす疾患などの知識はもとより,治療・ケア,社会環境や医療経済について,多くの最新情報をもとに解説をアップデートした.
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序文
第2版 序
初版の『排泄リハビリテーション─ 理論と臨床』が発刊されてから10年が経過した.初版では,排泄に関連するすべての領域を網羅し排泄にかかわる医療者がそれぞれの立場で用いるように,また「排泄障害を診るだけでなく,排泄障害をもった人を診ることができる」成書となるように編集された.当時,この成書は排泄に関する最高で網羅的な本であると自負していたが,10年の経過のなかで多くの知見の蓄積や診断・治療の進歩も行われてきた.本改訂では,新しい領域も加え著者も一部刷新し現時点のトップランナーの先生方に原稿をお願いし,初版と同様に排泄に関連するすべての領域を網羅する成書になっている.
人の排泄には排尿や排便だけでなく,呼気や汗など多くの種類があるが,本成書では排尿と排便に限定して,排泄の概念,排泄に関連する臓器の解剖・生理,排泄障害の種類と特徴・原因疾患,アセスメントと治療やケア,排泄に関連する医療環境について述べられている.人は口から食物を摂取し,それが体内で代謝・吸収され,最終的に尿や便として排泄される.これらは動物としての人間の通常の排泄過程であるが,人の排泄ではいろいろな疾病や病態,加齢などにより通常の排泄が障害される.さらに失禁状態(incontinence)で生まれた人間は躾により禁制のとれた状態(continence)になるが,これらは社会人としての人間に必要な排泄の状態の変化であり,この状態も種々の身体的条件や疾患・加齢などにより障害を受ける.また排泄には文化的側面や,人種や国による差,地球環境的な側面も存在する.これらは,まさに排泄の理論として本書に織り込まれている.
さて本書のタイトルは排泄障害云々ではなく,排泄リハビリテーションである.リハビリテーションというと事故・疾病で後遺症が残った者などを対象に,その能力を回復させるために行う訓練や療法を想像しがちであるが,世界保健機関(WHO,1981年)では,「リハビリテーションは,能力低下やその状態を改善し,障害者の社会的統合を達成するためのあらゆる手段を含んでいる.リハビリテーションは障害者が環境に適応するための訓練を行うばかりでなく,障害者の社会的統合を促す全体として環境や社会に手を加えることも目的とする.そして,障害者自身・家族・そして彼らの住んでいる地域社会が,リハビリテーションに関するサービスの計画と実行にかかわり合わなければならない.」と定義している.リハビリテーションの語源はラテン語で,re(再び)+habilis(適した)すなわち“再び適した状態になること”,“本来あるべき状態への回復”などの意味をもつ(Wikipedia).この『排泄リハビリテーション─ 理論と臨床』は,まさに排尿・排便に関するリハビリテーションの概念を実現すべくまとめられた,排泄全体を網羅する実用的な専門書である.本成書が,排泄障害に関連する各職種の参考となり,患者に還元できれば編集者および著者の望外の喜びである.
2022年2月
編者を代表して 前田耕太郎
目次
【第Ⅰ部 排泄とは何か】
A 排泄総論−排泄とは何か 衛藤 謙,穴澤貞夫
B 排泄障害の疫学
1 排尿 吉村耕治
2 排便 前田耕太郎
C 排泄の心理学 梶原睦子
【第Ⅱ部 解剖と生理】
解剖
A 下部尿路の解剖 嘉村康邦
B 消化管の解剖 辻仲眞康
C 骨盤底の解剖 竹山政美
生理(メカニズム)
A 排尿機能の生理 今村哲也,石塚 修
B 排便の生理
1 腸管運動
便のでき方と性状 照井隆広,福土 審
ガスのでき方・成分・臭い 大毛宏喜
2 直腸肛門部の排便機構 黒水丈次
3 排便機能の性差,年齢差 角田明良
4 脳腸相関 福土 審
【第Ⅲ部 排泄リハビリテーション】
排泄障害の種類と特徴
A 排尿障害
1 排尿とその障害に関する用語 本間之夫
2 排尿機能障害(下部尿路機能障害)と下部尿路症状 鈴木康之,古田 昭
3 尿排出障害 関戸哲利
4 蓄尿障害 𠮷澤 剛,髙橋 悟
B 排便障害
1 排便とその障害に関する用語 味村俊樹
2 便秘(排便困難) 山名哲郎
3 下痢 有賀 元
4 便失禁 味村俊樹
排泄障害の原因疾患
A 排尿障害をきたす疾患
1 中枢神経疾患 榊原隆次,澤井 摂,治田博之
2 末梢神経疾患 井川靖彦
3 過活動膀胱 柿崎秀宏,和田直樹,阿部紀之,宮内琴菜
4 下部尿路閉塞性疾患 松川宜久
5 骨盤底弛緩・尿道括約筋障害 大川あさ子
6 炎症性疾患 巴ひかる
7 医原性疾患 藤村哲也
8 下部尿路症状をきたすその他の尿路外疾患 鈴木基文
9 薬剤性排尿障害 野口 満
B 排便障害をきたす疾患
1 器質的疾患 西澤祐吏
2 器質性便排出障害 前田耕太郎
3 機能性便排出障害 高橋知子
4 肛門部疾患 浜畑幸弘
5 結腸・直腸肛門の先天性奇形 岩井直躬,青井重善
6 低位前方切除術後症候群 幸田圭史
7 過敏性腸症候群 福土 審
8 ディスバイオーシス 内藤裕二
9 脊髄および馬尾神経障害 仙石 淳,乃美昌司
10 炎症性腸疾患 皆川知洋,池内浩基
11 排便障害の原因となる全身疾患 鳥居 明
12 排便に影響する薬剤 舟山裕士,高橋賢一
C ストーマ
1 ウロストーマ 斎藤忠則
2 消化器ストーマ 幸田圭史
排泄障害のアセスメント
A 排泄機能のアセスメントの原理 西村かおる
B 排尿機能のアセスメント
1 アセスメントの考え方,進め方 谷口珠実
2 自覚症状評価と質問票 本間之夫
3 QOL 評価と質問票 後藤百万
4 排尿日誌 田中純子
5 尿検査と残尿測定 羽賀宣博,松﨑洋吏
6 専門医による下部尿路機能評価 武井実根雄
C 排便機能のアセスメント
1 排便のアセスメント 熊谷英子
2 検査の手順,理学的検査 高橋知子
3 注腸造影・大腸内視鏡検査 岡 政志
4 CT,CT コロノグラフィ 松岡弘芳
5 排便造影検査 高野正太
6 その他の造影検査 野明俊裕,荒木靖三
7 シンチグラフィ検査 神谷 武,菅又嘉剛
8 直腸肛門内圧検査 黒水丈次
9 超音波検査(経肛門,経会陰,経腟) 高橋知子
10 大腸通過時間検査 安部達也
11 直腸バルーン排出検査 安部達也
12 QOL 評価 角田明良
D 心理検査 梶原睦子
排泄障害の治療・ケア
A 排泄障害の治療・ケアの共通原理
1 トイレ環境・住宅環境 西村かおる
2 排泄姿勢と排泄介助 岩井 歩,鈴木重行
3 排泄自立支援 吉田美香子
4 おむつによる排泄ケア 渡邉順子
5 排泄補助器具 高崎良子,谷口珠実
6 スキンケア 積 美保子
7 臭いの対策 大毛宏喜
8 災害時の排泄ケア 熊谷英子
9 理学療法(骨盤底筋訓練,バイオフィードバック療法)
原理 井上倫恵
排尿機能障害(排尿機能障害に対する理学療法の実際) 吉川羊子
排便機能障害 本間祐子,味村俊樹
10 仙骨神経刺激療法
原理・作用機序 味村俊樹
排尿機能障害 野村昌良,林 篤正
排便機能障害 勝野秀稔
B 排尿障害の治療・ケア
1 生活指導,食事療法(食事の工夫) 永坂和子
2 排尿ケアの方法
清潔間欠導尿管理 橘田岳也
尿道留置カテーテルによる排尿管理 髙植幸子
膀胱訓練と排尿誘導 曽根淳史
3 薬物療法概論 吉田正貴
4 外科的治療概論 横山 修,秋野裕信
5 下部尿路機能障害の症状からみた治療・ケア
尿排出症状 三井貴彦
蓄尿症状 平山暁秀
C 排便障害の治療・ケア
1 排便ケアの基本(排便と日常生活) 味村俊樹
2 排便ケアの方法
用指排便など 佐藤正美
経肛門的洗腸療法 味村俊樹
排便習慣訓練と排便誘導 藤田あけみ
3 薬物療法概論 安部達也
4 外科的治療概論 吉岡和彦
5 排便障害の症状からみた治療・ケア
便秘 吉原 努,中島 淳
下痢 木下芳一
便失禁 味村俊樹
D 疾患別の排泄障害のケア
1 脳血管障害,パーキンソン病 榊原隆次,澤井 摂,治田博之
2 二分脊椎 吉野 薫,中山 薫
3 脊髄損傷 小倉美輪
4 糖尿病 積 美保子
5 認知症,ADL 障害(寝たきり状態を含む) 横山剛志,吉田正貴
6 がん終末期 鈴木知美
ストーマにおける排泄ケア
ストーマリハビリテーション概説
1 ストーマ共通概論 進藤勝久
2 ウロストーマ 山田陽子
3 消化器ストーマ 佐藤理子
排泄障害者に対する心理学的アプローチ 梶原睦子
【第Ⅳ部 よりよい医療をうけるために】
排泄障害と医療社会福祉環境
A 法律・補助・公共施設・地域 後藤百万
B 多職種連携・病診連携 吉川羊子
排泄障害の医療経済 味村俊樹
Appendix ブリストル便性状スケール
関連学会,研究会,団体 前田耕太郎
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書籍情報
- ISBN:9784521749358
- ページ数:576頁
- 書籍発行日:2022年2月
- 電子版発売日:2022年2月22日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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