ギャノング生理学 原書26版

  • ページ数 : 910頁
  • 書籍発行日 : 2022年2月
  • 電子版発売日 : 2022年3月11日
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商品情報

内容

長年にわたって世界的に高い評価を得ている生理学の定番教科書、待望の原書最新版の完訳。生理学の魅力を伝える優れた紙面構成はそのままに、内容を全面的にアップデート。
新版では、慢性疼痛、生殖生理学、酸塩基の恒常性などの重要な分野の最新の知見が反映されている。
生理学の重要なトピックを網羅し、詳細で充実した内容とともに、臨床事例、フローチャート、章末問題も増加。
また、正確で読みやすい翻訳で、最新の知見や国内事情に配慮した訳注も随所に収載。
各章の学習目標・章末のまとめを全面的に見直し、要点を確認・整理しながらより効果的に学習できる構成となっている。
基礎医学と臨床医学との関連性が明示され、医系学生のみならず、臨床家や各種医療関係者にも役立つ一冊である。

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序文

原書26 版,翻訳まえがき

「Physiology(生理学)」は,その和訳漢字が示す通り「Logic of Life(生命の論理)」を究めるものであり,生体のすべての機能とそのメカニズム(機構)を解明する学問です.そもそも生理学は,人類史において自然(ギリシャ語で「Physis」フュシス)を取り扱う学問として開始された「Physiologie(自然科学)」が,物質を扱う「Physics(物理学)」と生命を扱う「Physiology(生理学)」とに分化したことに始まります.その後,生理学から解剖学や薬理学,生化学などが分枝し,さらに分子生物学や脳科学なども分かれてそれぞれが発展してきました.しかし,分子・遺伝子レベルと脳・情報レベルの研究が深化した現在では,生理学はそれらすべてを統合した学問(統合生物学)として再確立され始めています.さらには,ヒトの疾患は人体の機能とその機構の異常として捉えることができるので,臨床医学・医療の基礎は生理学によって与えられるものであります.これこそが,生命科学全般を授賞対象とするノーベル賞が「ノーベル生理学・医学賞」と称されている所以であります.また,今後の発展が期待される再生医学・再生医療においても,「再生細胞・組織・器官・臓器の機能が,まさにシステム全体の中でしかるべき機構のもとに正しく発揮されているのか?」という点がこれから特に問われることになりますので,生理学研究の果たす役割が今後さらに強く求められていくに違いありません.

本書『ギャノング生理学』は,『Ganong’s Review of Medical Physiology』の原書26 版の翻訳書です.1963 年の初版から22 版までの『Review of Medical Physiology』をたった一人で著され,46 年間もの間絶やすことなく2 年ごとの改訂作業をされたWilliam F. Ganong 博士が2007 年暮に亡くなられました.そして,その3 年後からKim E. Barrett 博士ら4 名の執筆者が改訂を行った23 版より,本書は『Ganong’s Review of Medical Physiology』として新たな装いで再出発し,その後3 年ごとに改訂されてきました.

本書の第一の特徴は,「臨床医学・医療の基礎としての生理学」の教科書を体現すべく,「クリニカルボックス」と「治療上のハイライト」を随所に配して臨床医学・医療との関連性を強めていることです.第二の特徴は,最新の生理学を分子レベルから個体レベルにまで統合した形で鳥瞰しつつ,わかりやすく書かれていることです.それがゆえに,本書はこれまで実際に多数の医学生のみならずすべての医系学生の教科書として,また臨床医師や医療スタッフの方々の参考書として,広く親しまれてきました.加えて,本書の第三の特徴は,いわば「原書を超える内容」が付加されている点にあります.それは,我が国を代表するトップ生理学研究者に各章の翻訳をご担当いただくことにより,原書の誤りや不十分な点の訂正・補足,さらには現代生理学に必要な最新情報を「訳注」として加えていただくことにしたからです.また,これらの原書の要改訂点は原著者にフィードバックして,次版原書の改善にも貢献しています.

前版より,監訳者の責は私から佐久間康夫先生と岡村康司先生のお二人にお譲りし,私は監修者としての務めに回りました.そして各章訳者としては,今回,北川 誠一,小西 真人,(故)泰羅 雅登,(故)中村 一芳,渡辺 修一の各先生が退かれ,新たに稲田 仁,金田 誠,林 由起子,吉村 昭彦の各先生に加わっていただきました.

すでに55 年以上も前の学生時代に,私は『Review of Medical Physiology』原書をテキストとして学び,以来生理学研究の道を歩んでからも,学生や同僚との輪読会にもしばしば用いて親しんできました.また当時,京大・医・生理の大先輩であり,本年2 月に他界された田代 裕先生(元関西医大学長)が日本で最初に本書初版を,そして多くの全国の先生方も初期版を,教材に講義をされていました.そのような本書に,2000 年出版の19 版から訳者の一人として,20 版からは訳者代表,23 版からは監訳者,そして25 版からは監修者として関わらせていただき,本書との深い縁に感慨深いものを感じております.2017 年3 月末に学長職を退いて,2020 年3 月までの3 年間,再び全生活を生理学研究・教育に傾けることができるようになり,改めて本書の果たす役割の大きさを感じました.また,2020 年4 月より医科系3 大学の客員教授として教育・研究に関わり続けるとともに,介護老人保健施設での入所者・通所者の健康維持・病気治療・介護サポートにも関わるようになり,臨床サイドからも生理学と本書の重要性を益々体感しています.今回も,すべての訳文を原文と対照しつつチェック・校正する過程を踏み,それが結果として本原書を隅から隅まで読み直して大いに楽しむ機会ともなりました.読者の皆様も,それぞれの立場で本訳書を繙き,生理学の魅力を,たとえその一端でも感じていただければ,それは翻訳に関わった者一同の喜びであります.そして,読者の皆様方から,ご意見・ご教示・ご批判をいただければ,さらにありがたく存じます.

このたびの改訂版の編集・校正・刊行にあたり,丸善出版株式会社企画・編集部第一グループの岡田三佳氏のご苦労と,寛容と熱意あるご対応に深謝いたします.

最後に,他の教科書には見られない優れた特徴をもつ,この原書26 版訳書『ギャノング生理学』が,広く読者の皆様のお役に立つとともに,より一層愛されることによって,現代生理学の果たす役割の一角を担えることを念願する次第です.


2021年12月

監修者 岡田 泰伸

目次

第I編 医科生理学のための細胞と分子の基礎

1.医科生理学の一般原理とエネルギー産生

 はじめに/一般原理/エネルギー産生/構成単位となる分子/アミノ酸とタンパク質/炭水化物/脂肪酸と脂質

2.細胞生理学の概要

 はじめに/細胞の機能的形態学とホメオスタシス/細胞膜を横切る輸送/細胞間コミュニケーション

3.免疫,感染,炎症

 はじめに/免疫/免疫の可溶性調節因子/その他の免疫担当細胞 /炎症と創傷治癒

4.興奮性組織:神経

 はじめに/ニューロン:神経系における基本的な動作単位/興奮と伝導/神経線維の種類とその機能/軸索輸送/グリア細胞/神経栄養因子:その機能と受容体

5.興奮性組織:筋肉

 はじめに/骨格筋の形態/電気的現象とイオンの流れ/収縮/エネルギー源と代謝/生体内での骨格筋の性質/心筋の形態/電気的性質/機械的性質/代謝/平滑筋の形態

6.シナプス伝達と接合部伝達

 はじめに/シナプス伝達:機能的解剖学/シナプス後ニューロンの電気現象/シナプスの抑制と促通/神経筋伝達/平滑筋と心筋における神経終末/軸索損傷と除神経性過敏

7.神経伝達物質と神経修飾物質

 はじめに

第II編 中枢および末梢神経生理学

8.体性感覚の神経伝達:触,痛み,温度の感覚

 はじめに/感覚受容器/皮膚受容器におけるインパルスの発生/感覚のコーディング/痛み/体性感覚の経路/痛み情報伝達の修飾

9.嗅覚と味覚

 はじめに/嗅覚/味覚

10.視 覚

 はじめに/眼の構造/結像機構/光受容機構/色覚/視覚経路と大脳皮質における応答/眼球運動

11.聴覚と平衡感覚

 はじめに/耳の構造と機能/聴覚/前庭系

12.姿勢と運動の反射と随意制御

 はじめに/反射の一般的性質/単シナプス反射:伸張反射/逆伸張反射/引っ込め反射/反射の脊髄での統合機構/運動制御経路の中枢構造の一般原則/運動皮質と随意運動/体幹と四肢の遠位筋の制御/姿勢と随意運動に関わる脳幹下行路/姿勢制御系/大脳基底核/小脳

13.自律神経系

 はじめに/自律神経遠心路の解剖学的構成/自律神経接合部における化学伝達/自律神経インパルスに対する効果器の反応/自律神経節前ニューロンに対する下行性入力/腸神経系 

14.脳の電気的活動,睡眠-覚醒状態,サーカディアンリズム

 はじめに/視床-大脳皮質経路と上行性覚醒系/脳波/睡眠-覚醒サイクル:脳波の変化/サーカディアンリズム

15.学習,記憶,言語,発話

 はじめに/学習と記憶/言語と発話

第III編 内分泌と生殖生理学

16.内分泌調節の基本概念

 はじめに/ホルモンの標的細胞に対する特異的作用/ホルモンの分泌/血中でのホルモンの運搬/ホルモンの作用/フィードバック制御の原則/内分泌疾患の分類

17.ホルモン機能の視床下部性調節

 はじめに/視床下部:形態と構造/下垂体後葉からの分泌の制御/下垂体前葉からの分泌の制御/体温調節

18.下垂体

 はじめに/下垂体の発生,形態,および細胞の種類/プロオピオメラノコルチンと誘導体の合成と機能/成長ホルモンの分泌/成長の時間的経過と調節因子/下垂体のゴナドトロピンとプロラクチン/下垂体機能低下症の影響

19.副腎髄質と副腎皮質

 はじめに/副腎の形態学/副腎髄質:髄質ホルモンの構造と機能/副腎髄質の分泌制御/副腎皮質:副腎皮質ホルモンの構造と生合成/副腎皮質ホルモンの輸送,代謝,排泄/副腎のアンドロゲンとエストロゲンの効果/グルココルチコイドの生理的効果/グルココルチコイドの薬理的効果と病的効果/グルココルチコイド分泌の調節/ミネラルコルチコイドの効果/アルドステロン分泌の調節/ミネラルコルチコイドの塩分均衡における調節作用/ヒトの副腎機能亢進症と機能低下症についての要約

20.甲状腺

 はじめに/甲状腺の発生,形態および細胞の種類/甲状腺ホルモンの合成および分泌/甲状腺ホルモンの輸送および代謝/甲状腺ホルモン分泌の調節/甲状腺ホルモンの作用/甲状腺機能の異常

21.カルシウムとリン酸代謝の内分泌性制御と骨の生理学

 はじめに/カルシウムとリンの体内におけるバランス/ビタミンDとヒドロキシコレカルシフェロール類/副甲状腺(上皮小体)/カルシトニン/他のホルモンや液性因子のカルシウム代謝への効果/骨の生理学

22.女性生殖器系の発達と機能

 はじめに/性の分化と発達/女性生殖器系

23.男性生殖器系の機能

 はじめに/男性生殖器系

24.膵臓の内分泌機能と炭水化物代謝の調節

 はじめに/膵島細胞の構造/インスリンの構造,生合成および分泌/分泌されたインスリンの変化過程/作用機構/インスリン欠乏の徴候/インスリン過剰/インスリン分泌の調節/グルカゴン/その他の膵島ホルモン/他のホルモンと運動の炭水化物代謝に及ぼす効果/ヒトの低血糖症と糖尿病

第IV編 消化器生理学

25.消化器のはたらきとその調節の全体像

 はじめに/消化液の分泌/消化管機能の調節/ ホルモン/傍分泌 /腸神経系/消化管粘膜の免疫システム/消化管の血液循環(内蔵循環)

26.消化と吸収,および栄養学の基礎

 はじめに/栄養学の基礎/消化と吸収:炭水化物/タンパク質および核酸/脂質/ミネラルおよびビタミンの吸収/食物摂取の調節

27.消化管運動

 はじめに/消化管運動の一般的様式/部位特異的運動様式/胃/小腸/結腸

28.肝臓の輸送機能と代謝機能

 はじめに/肝臓/肝臓の機能/胆道系

第V編 心血管の生理学

29.心臓の自動性と電気的活動

 はじめに/心臓興奮の発生源と伝播/心電図/臨床への応用:心臓不整脈/その他の心臓および全身的疾患の心電図所見

30.ポンプとしての心臓

 はじめに/心臓の機械的活動と心周期/心拍出量

31.体液の循環成分としての血液,血液とリンパの循環力学

 はじめに/体液の循環成分としての血液/骨髄/白血球/血小板/赤血球/血漿/リンパ/血液型/止血/循環系の機能形態学/生物物理学的考察/動脈と細動脈での循環/毛細血管循環/静脈循環/リンパ循環と間質液量

32.循環の調節機序

 はじめに/心血管系の神経性調節/局所調節/血管内皮細胞から分泌される物質/ホルモンや神経分泌物質による全身的調節機序

33.特殊部位の循環

 はじめに/脳の循環:脳血管の形態/脳脊髄液/血液脳関門/脳血流量とその調節/脳の代謝と酸素需要/冠状循環/皮膚の循環/胎盤の血行,胎児の循環

第VI編 呼吸生理学

34.肺の構造と機能 序論

 はじめに/肺の解剖/呼吸のメカニクス/肺内ガス交換/肺循環

35.ガス輸送とpH

 はじめに/酸素輸送/二酸化炭素輸送/アシドーシスとアルカローシス/低酸素症/低酸素血症/低酸素血症を来す疾患/他の低酸素症の病型/高炭酸ガス血症と低炭酸ガス血症

36.呼吸の調節

 はじめに/呼吸の神経性調節/呼吸活動の制御/呼吸の化学性調節/呼吸に影響する非化学的因子/呼吸異常/運動の効果

第VII編 腎生理学

37.腎機能と排尿

 機能的構造/腎循環/糸球体濾過/尿細管の機能/ナトリウム排出の調節/水排泄の調節/カリウム排泄の調節/利尿薬/腎機能障害/膀胱 

38.細胞外液の組成と量の調節

 はじめに/有効浸透圧濃度変動に対する防衛/細胞外液量変動に対する防衛/レニン-アンジオテンシン系/心筋その他に由来するナトリウム利尿ペプチド/特定のイオン組成変動に対する防衛/エリスロポエチン

39.尿の酸性化と重炭酸イオン排泄

 はじめに/腎臓のH+分泌/H+濃度変動に対する防御

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書籍情報

  • ISBN:9784621307083
  • ページ数:910頁
  • 書籍発行日:2022年2月
  • 電子版発売日:2022年3月11日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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