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- 問診票の回答と主訴から適合処方をさがす 漢方医学入門
商品情報
内容
◆各診療科にわたる95項目の問診票の回答から,患者の漢方医学的証の診断,適切な方剤の選択を導き出す画期的な入門書。
◆問診票の詳しい使い方のほか,実際の症例での回答をもとに,そのキーワードがどのような意味を持ち,どのような方剤が必要なのかをわかりやすく解説。
◆35年以上にわたり,他科疾患の愁訴も併せて漢方を用いてプライマリに治療してきた筆者だからこそ書ける漢方入門書。
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序文
序文
筆者は皮膚科専門医として,35年間以上診療に携わってきた。研修医1年目から幸運にも,旭川皮膚病治療研究会という市内の皮膚科漢方勉強会にも参加させて頂いた。毎日診察している多数の患者のほとんどが当然,皮膚疾患だけではなく,他の疾患の愁訴も抱えている。筆者は,それらの患者の愁訴も併せて漢方薬でプライマリーに治療することにしている。
皮膚科疾患以外の愁訴に対処するたびに思うのは,西洋医学の知識と経験だけでなく,東洋医学のパラダイム(知識)を併せ持つことがいかに大事か,である。2つの異なった医学体系を融合し,いわゆる懐を深くして診療に当たることで,皮膚科診療医に限らず,すべての診療科のドクターとして,それがいかに大事であるかが体感できるはずである。よって,1人でも多くのドクターが漢方薬に目を向け,ご自身の診療にそれを取り入れて下さることが筆者の希望するところである。そのために少し従来と異なる漢方入門書を考えてみた。
本書と従来の漢方入門書との違いは,漢方問診票で患者情報を入手し,そのデータに基づいて,適切な漢方選択ができるように工夫した点である。この問診票と,それに対して実際の症例で患者さんが回答してくれた結果をもとに,主訴と問診票の回答に書かれたキーワードがどのような意味を持ち,どのような漢方薬が必要であるかを見開き2ページですぐに理解できるようにした。筆者が普段使用している漢方問診票の詳しい使い方(臨床メモ)も付録にしたので,実地医療の上で,実際の患者さんの問診票の回答を手にして,臨床メモを見比べても適合処方を簡単に選択できるようにした。この病態にはこの方剤,それが無効であれば二次選択はどうすべきか,実際の患者情報からプラクティカルに方剤選択法や各漢方薬の特徴を知ることができる入門書になっている。
問診票は,すべての診療科にわたる95項目のキーワードからなっており,その症状の重い,軽いで患者自身に選択してもらえば(◎,○,△をつけて頂く),それらの情報から考えられる漢方医学的証の診断や,適切な方剤を選択できるように腐心したつもりである。したがって,漢方初心者はもちろんのこと,漢方の上級,中級者にとってもこれらに目を通すだけで,漢方の知識の再確認や整理にも役立つことと思う。
しかしながら,本書はいささか変則的ではあるが,あくまでも入門書である。したがって,最低限内容が理解できるように巻末にテクニカルタームの語彙説明をつけたので参照して頂きたい。本書を一通り読めば,もっと深く漢方理論や漢方の知識を学びたいという意欲が湧くはずだ。そうなれば,もう読者は漢方に関して中級~上級の実力をつけているに違いない。
2022年2月
JA北海道厚生連 旭川厚生病院
診療部長/臨床研修センター長/皮膚科主任部長
橋本喜夫
目次
漢方問診票の解説と使い方
漢方問診票
臨床メモ
A 全般的な体の状態についてお聞きします。
B はつねつ,さむけについてお聞きします。
C ひふについてお聞きします。
D あせについてお聞きします。
E あたまについてお聞きします。
F かお・目についてお聞きします。
G くち・したについてお間きします。
H みみ・はな・のどについてお聞きします。
I むね・かた・せなかについてお聞きします。
J おなか・こしについてお聞きします。
K 関節,手足についてお聞きします。
L 小便についてお聞きします。
M 便通についてお聞きします。
N 生理についてお聞きします。
主訴と問診票回答からの処方選択
1 内科系疾患
①感冒初期 [主訴]頭痛,熱感
②感冒初期 [主訴]発熱,汗が出る,悪寒
③感冒初期 [主訴]発熱,筋肉痛
④感冒中期(亜急性期) [主訴]咳嗽,発熱
⑤感冒初期 [主訴]高齢者の発熱,咽頭痛
⑥気管支炎 [主訴]乾燥性咳嗽(乾いた咳)
⑦気管支炎 [主訴]咳嗽
⑧気管支炎 [主訴]湿性咳嗽
⑨気管支炎 [主訴]粘稠痰
⑩冷え性 [主訴]冷え症,しもやけ
⑪冷え症 [主訴]冷え(特に下半身)
⑫高血圧 [主訴]のぼせ,肩こり(高血圧)
⑬高血圧 [主訴]頭痛,めまい,高血圧
⑭倦怠感 [主訴]疲れやすい
⑮倦怠感 [主訴]疲れやすい,夏バテ
⑯貧血 [主訴]疲れやすい,肌荒れ,顔色悪い
⑰貧血 [主訴]倦怠感,不眠,気分がすぐれない,顔が青白い
⑱肥満 [主訴]肥満と脂質代謝異常の心配,のぼせ
⑲浮腫 [主訴]下肢のむくみ,浮腫
⑳気管支喘息 [主訴]喘息,咳き込み
㉑気管支喘息 [主訴]咳嗽・喉の違和感
2 消化器系疾患
①胃炎・胃腸虚弱 [主訴]胃もたれ感,腹部膨満
②胃炎・胃腸虚弱 [主訴]胃痛
③胃炎・胃腸虚弱 [主訴]胃もたれ,気分が優れない
④食欲不振 [主訴]食欲不振,疲れやすい,胃部不快感
⑤吐き気・嘔吐 [主訴]胃もたれ,悪心,嘔吐
⑥便秘 [主訴]便秘
⑦便秘 [主訴]便秘,発熱
⑧下痢 [主訴]慢性の下痢
⑨逆流性食道炎 [主訴]胃もたれ,げっぷ,喉のつまり感
⑩痔疾患 [主訴]痔出血
3 整形外科系疾患
①腰痛・坐骨神経痛 [主訴]腰痛,下肢痛
②腰痛・坐骨神経痛 [主訴]腰痛,頻尿
③腰痛・坐骨神経痛 [主訴]下肢のしびれ,腰痛
④膝痛 [主訴]下腿の浮腫,膝痛
⑤肩関節周囲炎 [主訴]肩が痛い,肩が上がらない,肩こり
⑥肩こり・首こり [主訴]肩こり
⑦肩こり・首こり [主訴]のぼせ,肩こり
⑧筋肉痛・こむら返り [主訴]こむら返り
⑨打撲・捻挫 [主訴]打撲痛
⑩関節リウマチ [主訴]関節痛
⑪関節リウマチ [主訴]関節痛
⑫関節リウマチ [主訴]四肢関節痛
4 産婦人科系疾患
①婦人科系の冷え症 [主訴]手足の冷え,月経痛
②婦人科系の冷え症 [主訴]手荒れ,冷え症
③月経不順 [主訴]生理痛,頭痛
④月経不順 [主訴]手足の冷え,月経過多
⑤月経不順 [主訴]生理痛
⑥更年期障害 [主訴]不眠,肩こり,月経不順
⑦更年期障害 [主訴]閉経後ののぼせ,ほてり
⑧更年期障害 [主訴]便秘,のぼせ
⑨妊娠中・産褥期 [主訴]嘔吐,吐き気(妊娠中)
5 精神神経系疾患
①うつ状態 [主訴]喉の異常感
②うつ状態 [主訴]不眠,気分がすぐれない
③不眠症 [主訴]不眠
④不眠症 [主訴]不眠
⑤不眠症 [主訴]不眠,肩こり
⑥認知症(BPSD) [主訴]イライラ,易興奮性
⑦認知症(BPSD) [主訴]抑うつ気分,全身倦怠感,食欲不振
⑧不安 [主訴]不安感
⑨頭痛 [主訴]頭痛
⑩頭痛 [主訴]頭痛,発熱
⑪パーキンソン病 [主訴]両側臀部の耐えがたい皮膚の疼痛
⑫三叉神経痛 [主訴]右目の奥が痛い
6 腎泌尿器科系疾患
①前立腺肥大 [主訴]頻尿
②腎炎 [主訴]血尿,蛋白尿
③膀胱炎 [主訴]排尿痛,頻尿
④排尿障害 [主訴]頻尿,不眠
⑤男性不妊症 [主訴]挙児希望
7 眼科・耳鼻科系疾患
①ドライアイ [主訴]両眼の眼痛,羞明
②眼精疲労 [主訴]目がかすむ,目が痛い
③結膜炎・角膜炎 [主訴]目の結膜の充血,出血,違和感
④アレルギー性鼻炎 [主訴]鼻水,くしゃみ
⑤めまい [主訴]めまい
⑥めまい [主訴]めまい,頭痛
⑦副鼻腔炎 [主訴]慢性の鼻汁,鼻閉,頭痛,肩こり
⑧耳鳴り [主訴]右耳難聴,耳鳴り
8 皮膚科系疾患
①アトピー性皮膚炎 [主訴]痒いカサカサした皮疹
②手湿疹・進行性手掌角皮症 [主訴]手荒れ,冷え症
③尋常性痤瘡(にきび) [主訴]にきび
④酒さ・酒さ様皮膚炎 [主訴]顔のほてり,顔の発赤,AD がある
⑤蕁麻疹 [主訴]アルコールを飲むと悪化する蕁麻疹
⑥円形脱毛症 [主訴]脱毛
⑦尋常性乾癬 [主訴]カサカサした赤い皮疹
⑧掌蹠膿疱症 [主訴]手掌,足底の水疱,膿疱
⑨皮膚瘙痒症 [主訴]全身の痒み,乾燥
⑩多汗症 [主訴]多汗(上半身)
9 がん医療・緩和ケア
①全身倦怠感・疲労感 [主訴]全身倦怠感,疲労感,放射線治療後の皮膚潰瘍
②食欲不振と体重減少 [主訴]食欲不振,体重減少
③末梢神経障害 [主訴]手足(主に手)のしびれ
④口内炎・下痢 [主訴]口内炎,下痢
⑤オピオイドにおける眠気 [主訴]眠気(オピオイド内服中),だるさ
10 その他の疾患
①腹部膨満感・便秘 [主訴]腹部膨満感,腸がモクモク動くのを感じる,便秘
②感染性粉瘤 [主訴]炎症を伴う顔面のできもの
③陰部疼痛症 [主訴]陰部の疼痛と痒み
④下肢静脈瘤 [主訴]下肢の静脈瘤
⑤特発性血小板減少性紫斑病 [主訴]両下肢に軽度の痒みがある点状紫斑
⑥乳腺炎 [主訴]産褥期の乳腺炎
⑦過敏性腸症候群 [主訴]便秘や下痢(便通に不安)
⑧アルツハイマー型認知症のせん妄 [主訴]入院時せん妄(認知症)
巻末資料─本書を理解するための漢方用語解説
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書籍情報
- ISBN:9784784947690
- ページ数:288頁
- 書籍発行日:2022年3月
- 電子版発売日:2022年3月3日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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