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- 血液内科医にアクセスする前に読む ”血液疾患もどき”鑑別症例帖~Diagnosis for Mimics of hematologic disorders
商品情報
内容
内科で多く潜むCommonな“血液疾患もどき(ミミック)”の症例を集めた一冊。リンパ節腫大や白血球,血小板異常などの症例を基に,研修医と指導医の会話形式で若手がつまづきやすい点を整理しながら検査値,身体・画像所見,症候の見極めを解説。もどきを見抜くポイントを知ることで鑑別診断が捗り,容易に血液内科にアクセスできない状況でも自己解決できるようになる。また除外診断に直結する頸部エコーのコツや画像のみかた,鑑別すべき疾患等の関連がわかるコラム解説も充実。
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序文
推薦の序
本書の著者・脇本直樹先生は,私が埼玉医科大学病院血液内科の科長を務めていたときに教育の責任者をお願いしていた同僚です。脇本先生は,前任地から教育熱心な方として名を馳せていて,経験した症例に関する膨大なデータ(貴重な写真や検査データを含む)をファイル化し,教育に活用されていました。テキスト作りにも卓越した能力をおもちで,「血液内科研修マニュアル(第1版)」を作成いただきました。加えて,私が大学病院の臨床研修管理委員会を担当していたときには,大学病院の「導入研修の手引き(第1版)」を作成いただきました。
脇本先生は,血液内科での研修医教育には特に熱心で,先生が司会を務めるクリニカルカンファレンスでは提示される資料も充実し,ローテーションしてくる研修医に大変好評で,これまでに489回を数え,現在も回を重ねています。
今回,脇本先生が上梓した「“ 血液疾患もどき” 鑑別症例帖」は,このような先生の長年の経験から,研修医に是非とも知っておいてほしい血液疾患鑑別の「肝(きも)」となるポイントを,実臨床を重視した形でまとめた症例集で,日常診療で血液疾患が疑われ,血液内科に診療を依頼したが,結果的に血液疾患ではなかったという症例を集めた,たいへんユニークな著書です。構成は,まず症例を提示し,研修医と指導医が対話しながら鑑別を進め,解説を加えるという流れになっています。「血液疾患かもしれないが,血液専門医になかなかアクセスできず,どのようにアプローチしていいかわからない」といったニーズに応える内容となっている点も,今までにない独創的な視点と言えます。血液疾患を専攻する医師はもちろんですが,日常診療に携わる一般臨床の先生方や研修医に是非ともお薦めしたい1冊です。
2022年2月
埼玉医科大学学長
別所正美
はじめに
皆さんのなかには,「この症例は血液疾患の可能性があるけれど,うちには血液内科医はいないし,どう診断をつめていこうか…?」と迷ったり,「血液検査で異常があるけれど,今後の検査の組み立てかたがわからない…」と悩む症例を経験した人は多いのではないでしょうか。また,血液疾患を勉強するうちに類似疾患(ミミック)とどう違うのだろうかと疑問を持つ人もいると思います。
本書は「一見,血液疾患かもしれないと思ったが,鑑別を進めると異なっていた」「軽度の血液異常があるが,診断の進め方がよくわからない」症例を集めた,ほかに類を見ない一書です。既存の教科書には載っていないか,少量の記載しかないものの,実臨床で少なからず遭遇し,困ったり戸惑ったりする症例を選り抜きました。すべて筆者勤務病院の外来に紹介されてきた実際の症例をもとに記載されています(プライバシー秘匿のために一部の情報を省略したり,受診の経緯を単純化・変更しています)。筆者自身もすぐには診断に至らず,調べを進めてから対処することになった症例,最終診断が推定診断に終わっている症例,最後まで経過を見届けられていない症例など,実臨床ならではのものばかりを散りばめています。
筆者の勤務する地方病院は,大規模病院ながら町立診療所の役割を兼務し,大都市の大病院では考えられないような多彩な病態の患者さんが予約なく来院されます。専門診療にかける時間が減少する側面はありますが,鑑別診断の腕を磨くには絶好のチャンスとも考えられます。このような事情は日常診療で日々奮闘されている開業医や市中病院の勤務医の先生方に通じるものがあると思われ,総合診療医の目線で“ 血液疾患もどき” の鑑別診断に寄与する参照資料ができるのではないかと考えたのが執筆のきっかけです。
本書が,若い先生や一般外来で日々“ 血液疾患もどき” 症例に遭遇して奮闘されている皆さんの一助になれば幸いです。最後に,患者さんをともに診療し,カンファレンスで貴重な助言をいただいているわが医局の耆婆扁鵲の先生方に感謝いたします。
2021年10月
埼玉医科大学血液内科准教授
脇本直樹
目次
本書に出てくる略語一覧
第1章 “ 血液疾患もどき” に挑む前に
1 まずはここから!「血液疾患かな?」と思ったときの鑑別ポイントとコンサルト
2 初診で血液疾患を疑ったときに考えること
第2章 貧血と多血
1 症例ファイル 1 鉄欠乏のない鉄欠乏性貧血?
2 症例ファイル 2 鉄剤を投与しても改善しない鉄欠乏性貧血
3 症例ファイル 3 検診で見つかった原因不明の貧血
4 症例ファイル 4 心血管系手術後に見つかった原因不明の貧血
5 症例ファイル 5 大酒家にみられた貧血
6 症例ファイル 6 肺の病気で多血症?
7 症例ファイル 7 偶然見つかった多血症
8 症例ファイル 8 エリスロポエチン製剤に反応しない腎性貧血
第3章 リンパ節腫脹と脾腫
1 症例ファイル 9 疼痛のない頸部リンパ節腫脹
2 症例ファイル 10 左頸部と腹部に多発するリンパ節腫脹
3 症例ファイル 11 両側頸部のリンパ節が同じように腫れている
4 症例ファイル 12 頸部リンパ節腫脹と思いきや
5 症例ファイル 13 首のリンパ節が腫れて痛いという若年成人女性
6 症例ファイル 14 化粧の際に首に痛みのないリンパ節を触知!
診断知恵袋1 エコー検査による頸部リンパ節の評価
7 症例ファイル 15 関節リウマチで治療中にリンパ節が腫れてきた
8 症例ファイル 16 検診で縦隔リンパ節腫脹が指摘された若年男性
9 症例ファイル 17 高熱が続きCT検査で腹腔内リンパ節腫脹と脾腫を指摘された
10 症例ファイル 18 右顎下部リンパ節腫脹を指摘され悪性リンパ腫の疑いあり
11 症例ファイル 19 巨大な脾腫の原因は悪性リンパ腫か骨髄線維症か?
第4章 白血球増加と減少
1 症例ファイル 20 定期通院中に徐々に進んできた好中球減少
2 症例ファイル 21 検診で見つかったリンパ球減少の原因は?
3 症例ファイル 22 風邪をひいた後に白血球が少ないと言われた
4 症例ファイル 23 Basedow 病で治療中に熱が出た
5 症例ファイル 24 腎臓病で入院中に急に起こった好中球減少
6 症例ファイル 25 反応性でこんなに白血球が増えるもの?
7 症例ファイル 26 末梢血に芽球がみられたら白血病?
8 症例ファイル 27 異型リンパ球と異常リンパ球はどう違う?
9 症例ファイル 28 白血球減少の原因は肝臓病?
診断知恵袋2 肝硬変症における血清蛋白電気泳動図(蛋白分画)の見かた
第5章 血小板の異常と出血傾向
1 症例ファイル 29 薬剤が関与しない血小板単独の減少はITP といっていい?
2 症例ファイル 30 妊娠中に進行してきた血小板減少症
3 症例ファイル 31 関節リウマチの治療中に血小板が減ってきた
診断知恵袋3 突然起こる血小板減少の原因を見抜くには?
4 症例ファイル 32 血小板が異常に増えたら本態性血小板血症といえる?
5 症例ファイル 33 ずいぶん前から血小板が多いと言われている
6 症例ファイル 34 血小板の異常と出血傾向
7 症例ファイル 35 目の出血で眼科に行ったら血が固まりにくい病気かもしれないと言われた
8 症例ファイル 36 手術前検査でAPTT の延長が見つかり,血友病の疑いあり
第6章 そのほかの血液疾患を疑う異常
1 症例ファイル 37 関節リウマチ治療中に認めた汎血球減少症
2 症例ファイル 38 こんなに好酸球が増えるのは好酸球性白血病ですよね?
3 症例ファイル 39 透析患者の好酸球増加の原因は?
4 症例ファイル 40 原因不明のsIL-2R 上昇は潜在性の悪性リンパ腫?
5 症例ファイル 41 尿中BenceJones 蛋白陽性は多発性骨髄腫?
6 症例ファイル 42 頭骨にpunchedoutlesion がみえるんですけど
7 症例ファイル 43 高ガンマグロブリン血症は骨髄腫のあかし?
まとめ
血液疾患もどき分類(逆引き診断名一覧)
索引
著者プロフィール
side note (用語解説)一覧
Bence Jones型多発型骨髄腫
TIBCとUIBC,膠原病の性差
アルコール多飲と造血障害
CA19-9,CEA
Sjögren症候群,Mikulicz病
Basedow病,Plummer病
亜急性壊死性リンパ節炎
悪性リンパ腫
Li-Fraumeni症候群
唾石症
混合性結合組織病
特発性CD4陽性Tリンパ球減少症
Gilbert症候群
NASH
本態性血小板血症
Alport症候群
抗血小板薬と抗凝固薬
血管の脆弱性や結合組織の異常に伴う出血性疾患
抗リン脂質抗体症候群
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症
好酸球性肺炎
非結核性抗酸菌症
多発性骨髄腫
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書籍情報
- ISBN:9784758318167
- ページ数:256頁
- 書籍発行日:2022年3月
- 電子版発売日:2022年3月16日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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