石灰化病変に対するインターベンションの全て

  • ページ数 : 428頁
  • 書籍発行日 : 2021年12月
  • 電子版発売日 : 2022年4月6日
¥5,500(税込)
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商品情報

内容

PCIに携わる、全ての医療従事者へ!!
実臨床に生かせる実用書です。

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序文

巻頭言

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は1977 年9 月16 日にグルンツィッヒにより初めて実際の患者さんに対して行われました。それから40 年間以上が経過し,用いられる道具が様々開発されてきました。それらは単純な風船に始まり,その後多彩なメカニズムを有するデバイスが造られ臨床現場で用いられてきました。当初PCI の病変拡張メカニズムは,“新雪を踏みしめるようなもの(stepping in the snow)” と考えられていましたが,すぐにその考え方が当てはまらない病変に対してもPCI の適応は拡大していきました。この適応拡大により,PCI による治療可能な病変および患者さんも拡大していきました。

このPCI 発展の歴史の中で,もっとも克服困難であり,現在でも多くの医師・研究者が挑んでいる病変は言うまでなく「石灰化病変」です。そして,この本は,この石灰化病変に的を絞り,その基礎的な知識に始まり,治療の現状,限界を超えていく工夫,さらには治療に伴う様々な合併症に対する対応,さらには今後の発展について最先端の知見を余すところなく掲載したものです。

私がPCI の世界に入ったのが1981 年ですので,PCI とはすでに40 年間の関わりがあります。そのような私から見て,現在日本国内において,「石灰化病変」に対するPCI において,実績と業績をあげておられる先生方にご執筆を依頼させていただきました。

石灰化冠動脈病変に対して非常に有効なデバイスであるロータブレーターは,1993 年にアメリカ食品医薬品局(FDA)により米国国内臨床使用認可が取得されました。しかし,この強力なデバイスの日本国内導入は様々な理由により遅れ,事実上小倉記念病院においてのみ,「治験」による臨床使用が行われ,私も小倉ライブに参加して,このデバイスの強力な治療効果を実際に見学し,日本国内への早期の導入を長いこと待ち望みました。

そして,ようやく1998 年4 月になり,日本国内でも健康保険償還が認可されましたが,残念なことに,この時の認可条件には,年間PCI 症例数100 例以上かつ年間冠動脈バイパス手術(CABG)症例数50 例以上という施設基準が設定されました。当時,日本国内では1,000 施設以上においてPCI が行われていましたが,この基準をクリアーできる施設は日本全体で30 施設程度しかありませんでした。このため,ロータブレーターという石灰化病変に対する強力な武器はなかなか日本では普及しませんでした。

その後,この施設基準は2000 年4 月と,2008 年4 月に見直しが行われましたが,それでも年間PCI 症例数200 例以上かつ年間開心術あるいはCABG 症例数50 例以上,というものでした。この結果,日本国内ではロータブレーター使用率はPCI 全体の3 〜5%に留まり,多くの施設ではノンコンプライアント・バルーンによる高圧拡張や,スコアリング・バルーンあるいはカッティング・バルーンによる拡張のみを用いて石灰化病変に対応してきました。

しかしながら,状況は一転したのです。日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)により行われてきたJ-PCI レジストリの結果に基づいた科学的データの論文による発表と,それに基づいた強い要望を受け,施設基準の中で一番の課題であった心臓外科の常設という規定が2020 年4 月より原則として外されたのです。また,これと同時にオービタル・アテレクトミーも同様の施設基準で認可されました。

この2つの強力なデバイスの認可によりわれわれは石灰化冠動脈病変に対する強力な武器を手に入れたことになります。もとより日本では冠動脈内超音波断層検査(IVUS)や光干渉断層検査(OCT)が欧米よりも詳細に用いられてきたこともあり,欧米に比してより詳細に治療戦略を組み立てることになります。このようにインターベンションを取り巻く状況が,その始まりから40 年余りで大きく変化・進化している中でこの書籍が世に出ることは大きな反響と影響を巻き起こすものと信じています。

この書籍を刊行するという発案は,2021 年6 月中旬に行われました。そして,かねてより親交があり,また医師としての優れた人格,技術そして業績を存じ上げている諸先生方にメールにより出版のアイディアをお伝えしました。皆COVID-19 パンデミックの影響もあり非常にお忙しい中ではありましたが,ありがたいことに皆様方はこの発案にすぐにご賛同くださいました。そして発案より3 〜4 ヵ月という短時間で原稿を書き上げて下さいました。この事実より,皆様方の石灰化病変に対する強い関心と,挑戦心を伺い知ることとなりました。

この本は,皆の強い意思の結晶です。そしてこの強い意思により,われわれはきっとCOVID-19 を打ち負かすことでしょう。この本が皆の心に勇気と明るさを強く灯すことを期待しています。そしてこの本の出版に関わっていただいた執筆者の方々および,医学図書出版株式会社の皆様方に深く感謝したいと思います。


2021年12月

湘南鎌倉総合病院心臓センター循環器内科
齋藤 滋

目次

第1章 冠動脈における石灰化病変の問題点

   高橋佐枝子

第2章 石灰化病変の病因と病理

   鳥居  翔

第3章 アクセス:石灰化病変へのカテーテルアプローチ部位

   吉町 文暢

第4章 病変の性状に応じた治療戦略

   菅野 晃靖

第5章 冠動脈の解剖に応じた治療戦略

   田中  穣

第6章 石灰化病変の診断

   舩津 篤史,他

第7章 CT所見による石灰化病変の診断

   奥津 匡暁

第8章 石灰化病変治療に必要なIVUSの知識

   本江 純子

第9章 石灰化病変治療に必要なOCT の知識

   森山 典晃

第10章 IVUSかOCT のどちらかを選択する際には?─実際の症例に基づいて─

   宍戸 晃基

第11章 石灰化病変に対する機能的冠動脈狭窄評価

   山中  太

第12章 バルーンとステントのみでとことんやるには?

   (1) 高橋玲比古

   (2) 日比  潔,他

第13章 OAS の構造と操作説明 Diamondback 360® Coronary Orbital Atherectomy システム(OAS)

   福本 富一

第14章 Rotablator™/ROTAPRO™製品紹介

   野島 栄一

第15章 OAS 手技─基礎

   (1) 田中  穣

   (2) 足利 貴志

第16章 OAS 手技─応用

   (1) 田中  穣

   (2) 足利 貴志

   (2) 伊藤 良明

第17章 ロータブレーター手技─基礎

   (1) 柴田 剛徳

   (2) 中村  茂

   (3) 小林 智子

第18章 ロータブレーター手技─応用

   (1) 柴田 剛徳

   (2) 中村  茂

   (3) 小林 智子

第19章 レーザーの登場場面はあるか

   足利 貴志

第20章 石灰化分岐部病変に対する治療の工夫

   足利 貴志

第21章 コンセンサスドキュメントから読み解く石灰化病変の治療戦略

   坂倉 建一

第22章 透析と冠動脈石灰化

   加治屋 崇

第23章 石灰化を伴ったISR( neoatherosclerosis,stent underexpansion)の治療

   足利 貴志

第24章 石灰化病変に対するDES,DCB治療

   足利 貴志

第25章 合併症とその対応

   山崎 誠治

第26章 EVT編

   安藤  弘

第27章 Shockwaveを用いた石灰化病変に対する血管内破砕療法(IVL)

   齋藤  滋

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書籍情報

  • ISBN:9784865174533
  • ページ数:428頁
  • 書籍発行日:2021年12月
  • 電子版発売日:2022年4月6日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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