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- 理学療法士のための足病変知識Q&A
商品情報
内容
●患者と密に接する理学療法士が知っておくべき足病変の基礎知識から臨床での実践までを幅広く解説.
●患者の足の循環障害に気づくために,チーム医療につなげるために,患者・家族への指導のために,臨床での疑問に答えた1冊.
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序文
序
欧米では100年前から足病医が存在し,足病医療が通常医療の中に普通に存在しています.しかし日本では足の診療を専門にする学問である足病学(Podiatry)がなく,その診療を専門にする足病医(Podiatrist)という国家資格が欧米のように存在しません.欧米では歯に異常があれば歯科医を受診し,足に異常があれば足病医を受診するのが一般的です.一方,日本においては,「足が痛い」と感じたとしても,原因がわからない段階でどの診療科を受診すればよいか,患者自身で考え受診先を選択しなければなりません.これらのことが原因で,足の症状を放置する患者が多く存在することが想像されます.足病を放置することで下肢切断に至ってしまうことも珍しくありません.
欧米の足病・足外科認定医の診療では,足のイボ,ガングリオン,シャルコー足,モートン病,外反母趾,靴のトラブル,足根管症候群,中足骨骨頭痛,足底腱膜炎,足底線維腫,水虫,内反小趾,糖尿病性足潰瘍,虚血下肢など多彩な疾患を取り扱いますが,これらの疾患の中で最も下肢切断に至る可能性の高いものが糖尿病性足潰瘍と下肢の循環障害に起因する疾患です.本書を読むことで,下肢切断を余儀なくされる疾患を中心に理解を深めてもらい,下肢を温存して歩行を維持できる患者を一人でも多く増やしていただきたいと思っています.身近で患者に接する理学療法士がこれらの疾患に対する知識を深くもつことで,日ごろの診療の中で一つでも多くの気づきがあり,患者に寄り添う医療を実践していただきたいです.
本書では,足の診療に携わる形成外科,整形外科,リハビリテーション科,外科,血管外科,循環器内科,皮膚科の医師,理学療法士,義肢装具士,看護師などの多くの医療従事者の先生方に執筆いただいています.足病の診療はチーム医療や横断的な診療が必要不可欠です.多くの先生方に執筆いただくことで,本書を通してチーム医療の重要性を実感してもらいたいと思いました.一人でも多くの理学療法士がチームの一員となり,下肢救済・足病診療に積極的にかかわってもらえるよう心より願っています.本書がそのきっかけとなりましたら幸いです.
2022年2月吉日
編者を代表して
田中 里佳
目次
I.足の循環障害の基礎知識
1.足の循環障害とは何ですか(北野育郎)
2.どのような患者が循環障害になりますか(北野育郎)
3.糖尿病足病変と循環障害との関係を教えてください(宇都宮 誠)
4.PADとASOの違いについて教えてください(岡井 巌)
5.CLIとCLTIの違いについて教えてください(仲間達也)
6.循環障害の重症度分類について教えてください(仲間達也)
7.Blue toe syndromeとは何ですか(藤井美樹)
8.CLI患者の予後が悪いというのは本当ですか(華藤芳輝)
9.PAD患者はどのような症状を訴えますか(竹内一馬)
10.足の循環障害の診断方法を教えてください(竹内一馬)
11.ABIとSPPの違いを教えてください(苅部綾香)
12.足の循環障害の画像診断として何が一番よいですか(宇都宮 誠)
13.Angiosomeとは何ですか(宇都宮 誠)
14.足の循環障害がある場合,どのようなことがきっかけで傷ができますか(辻 依子)
II.足の循環障害の治療
15.なぜフットケアが必要なのでしょうか(橘 優子)
16.フットケアチームの役割を教えてください(橘 優子)
17.フットケアにおける看護師の役割を教えてください(橘 優子)
18.フットケアにおける形成外科の役割を教えてください(田中里佳)
19.フットケアにおける循環器内科,血管外科の役割を教えてください(長崎和仁,尾原秀明)
20.虚血肢の創傷は平均どれくらいで治りますか(田中里佳)
21.傷が治らない場合はどのようになりますか(綾部 忍)
22.大切断について教えてください(菊池恭太)
23.感染を合併している潰瘍の注意点は何ですか(藤井美樹)
24.血行再建をすればCLIは治りますか(木村 中)
25.CLTIの潰瘍の再発率はどれくらいですか(辻 依子)
26.血管内治療とdistal bypass術はどのような患者に実施しますか(松原健太郎)
27.デブリードマンのタイミングを教えてください(松本健吾)
28.傷ができたとき(傷をみつけたとき)にはまずどうすればよいですか(古川雅英)
29.循環障害の足病変の予防的手術は可能ですか(菊池 守)
30.陥入爪にはどのような処置を行いますか(福田太郎)
31.植皮や皮弁をした足の注意点を教えてください(石川昌一)
32.TCC(total contact cast)について教えてください(佐藤智也)
33.足浴は有効ですか(福田太郎)
34.潰瘍のあるCLTI患者は装具でどのようなことを注意しなければなりませんか(寺部雄太)
35.足のスキントラブルにはどのようなものがあり,どのように予防しますか(小川尊資)
36.疼痛コントロールにはどのような方法がありますか(福田太郎)
III.理学療法士がどのように関わるか
37.創傷治療期のリハビリテーションにおける注意点は何ですか(榊 聡子)
38.創傷治療期のリハビリテーションは何を目的に,どのようなトレーニングを行いますか(松本純一)
39.創傷治療期のリハビリテーションはどの程度の運動負荷量で行うとよいですか(榊 聡子)
40.免荷デバイスについて教えてください(名和大輔)
41.創傷治療期に免荷デバイスを使用する際の注意点・リスク管理について教えてください(名和大輔)
42.荷重・歩行開始の許可後,荷重・歩行練習を進めていく上での注意点は何ですか(武田直人)
43.荷重・歩行開始後に起こりやすいトラブルとその対応について教えてください(武田直人)
44.創傷治療中の移動手段についてどのように判断しますか(松本純一)
45.創傷治療中の日常生活指導はどのように行いますか(松本純一)
46.糖尿病足病変,CLTI患者のリハビリテーションコストはどのように算定しますか(榊 聡子)
47.フットケアチームとしてどのような職種とどのように連携を取りながら行いますか(大塚未来子)
48.高齢者,心疾患,腎不全患者のリハビリテーションで注意すべき点は何ですか(榊 聡子)
49.再発予防期のリハビリテーションは何を目的に,どのようなトレーニングを行いますか(大塚未来子)
50.CLTI患者の再発を防ぐには,どのような介入をするとよいですか(榊 聡子)
51.小切断患者の義肢装具にはどのようなものがありますか(名和大輔)
52.自宅での生活ではどのような問題が生じやすいですか(大塚未来子)
53.外来のリハビリテーションではどのような介入を行いますか(大塚未来子)
54.透析患者に対する注意点は何ですか(松本純一)
IV.大切断と義足処方
55.大切断の切断術と創部の管理について教えてください(寺門厚彦)
56.どのような患者が義足装着の対象となりますか(寺門厚彦)
57.義足支給制度と作製のフローを教えてください(仁科泰助)
58.断端管理は義足作製にどのように影響しますか(寺門厚彦)
59.糖尿病足病変に起因する切断者を初期評価する上でのポイントは何ですか(梅澤慎吾)
60.装着方法やソケットの種類(荷重・懸垂方法)はどのようなものが選択されることが多いですか(大野祐介)
61.義足装着後のリハビリテーションで重要なポイントは何ですか(梅澤慎吾)
62.義足のアライメント設定は理学療法にどのような関わりをもちますか(梅澤慎吾)
63.義足パーツについて教えてください(大野祐介)
64.義足装着で断端にトラブルが生じたときはどのように対処すべきですか(大野祐介)
65.切断者が転倒する可能性が最も高いのは,歩行中のどのようなときですか(岩下航大)
66.切断者の生活動作は切断部位によってどのように変わりますか(岩下航大)
67.透析を行っている切断者の義足作製とリハビリテーションのポイントは何ですか(岩下航大)
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書籍情報
- ISBN:9784263266564
- ページ数:160頁
- 書籍発行日:2022年3月
- 電子版発売日:2022年4月22日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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