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- ステロイドの虎
商品情報
内容
ただの虎の巻と侮るなかれ。
ステロイドの要諦は初期量と投与期間にあり!
初学者にとってステロイド処方は難しい。これほど臨床で使われているにもかかわらず、薬物動態について不明瞭なことが多く、実際の処方についてのエビデンスも充実しているわけではない。患者さんのなかには副作用について強い不信感を持っている人も少なくなく、ICはとても憂鬱。もちろん実際に副作用は生じるので対策を念頭にいれないといけない。
しかし目の前の患者さんは不調を訴えている、あるいはそれどころかここでパルスをしなければ最悪の転帰になるにもしれないときにステロイドを躊躇する理由はないのではないでしょうか。
本書では基本となるステロイドの使い方を、明瞭にわかりやすく、今すぐどうしたらよいのかを示します。リウマチ専門医や血液内科専門医を指向する方は成書でさらに勉強をしていただく必要がありますが、いま患者にステロイドを処方できるのはあなた一人です。一匹の虎になり、診療ジャングルを駆け抜けていくのは今なのです。
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
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序文
はじめに
「ステロイドを使えるようになりたい」
このような気持ちは、初学者でなくても日頃ステロイドを処方し慣れていない臨床医なら、誰しも持っていると思います。ところが、「ステロイドの使い方」というのはいくら教わっても本を読んでもいまいち掴めた気にならないという人が多いようです。
その理由を考えてみました。それは、「総論が頼りない」からだと思います。医師は割と、「キチッとした総論」を体系基盤にしてそれを拠り所にしたい人が多いと思います。ステロイドに関しても、総論や原理・原則をきっちり理解すればその先に、応用があると信じているのでしょう。しかし実際には、いくら勉強しても盤石な理論とは程遠い総論記述がそこにあることがわかり、結局実地臨床では、臨床家の“さじ加減”に委ねられることに不安を覚えることになります。
実際、ステロイドの作用・効果には謎が多く、その使い方はただの慣習が普及してしまっている部分も多いです。にもかかわらず、あたかもそれなりの根拠があるかのように語れることも多いです。理論で攻めても結局は、詰めて行けばいくほど、つまりきちんと誠実に書けば書くほどエビデンスが示せないことがわかり、最後の核心的なところになってごまかした形になったりします。
すると残るは実践派の実践内容を知りたいところです。しかし、ちゃんとしている先生ほど、「根拠を示せないから」「なんとなくでやっているからとても公表などできない」などと言い、明るみになってきません。施設ごとの格差も大きいと聞きます。
ただ実地の臨床諸家たちは、言うほど盤石な理論を望んではいません。ステロイドの処方が頭をかすめたときに、すぐにとりあえずの解が欲しいものです。それは忙しいからです。臨床家はいつでも忙しいです。それなりのロジックは欲しいけれども、困っているまさに今、それなりの解が欲しいのです。あの人 or この施設ではこうやって使ってるのか、じゃあ私たちもこうしてみようみたいなサンプルを求めているのだと思います。ちゃんと伝えたいからこそ無難なことしか書けない著者(という立場の者。多くが誠実な専門家)と実地の臨床諸家たちとの間に、こうしてすれ違いが生まれるのです。
そこで本書です。というか、そこで國松です。私はこれまでそこかしこで、単著で本を書くというのは公衆の面前で全裸になるくらいの行為であり、単著を仕上げるには「いったん正気を失う」必要があると説いてきました。臨床ステロイド界隈のそうした“モヤっと感”を本などで著せるのはまあ自分かなという 全裸になれる勇気 謎の使命感が湧いてきたのです。これが本書執筆の初期衝動でした。
本書「ステロイド処方の虎(ステトラ)」では、それなりの理論も記述しました。これは私見も多く含みますが、ちゃんと分けて記述したつもりです。「真理!」のようなものではなく、しなやかなロジックを心がけました。
また、ある程度は「あんちょこ本」のように使えるようにも記述を工夫しました。具体的な処方箋を示し、その解説をしました。理論の部分が理屈っぽくて鬱陶しく感じる人は「あんちょこマーカー」なるものを國松自ら施しました。時間のない人、手を抜きたい人、とにかく大事なところだけ読みたい人、などは、見出しや囲みの他は、この「あんちょこマーカー」のところだけ読んでください。ロジックや情報も書きましたが、「安直」な利用の仕方で構わないと著者は思っています。ぜひぜひ、安直にこの本を使ってみて欲しいです。
この本の「売り」をもうひとつ。ステロイドの処方というくらいだから重症例、つまり入院患者を想定していると思うかもしれませんが、外来患者さんにも十分利用できるという点です。かなり色々な診療科でステロイドは処方されます。大病院でも、クリニックでも。特に実地医家という“種族”は、(自分もそうだからわかりますが)何でも自分でやれたらいいなと思うものです。外来でステロイドを自分でうまく処方できたら、世界が広がります。
この本は、「エビデンスなんていいから、処方や処方の仕方を教えて欲しい」という読者に寄り添いたいと思って書き始めましたが、かなりの文献を読んでいるうち、ちゃんとした解説をすることも大事だなと思い始め、その結果「あんちょこ本」にはなりませんでした。ただ、この本を読んでいただければ、ステロイドってこうやって使うんだという一例を垣間見ることはできるはずです。かつてまったくステロイドの使い方を教わらなかった先生、あるいは今は使っていないが自分でも使ってみたい臨床諸家のすべての先生にお役に立てるものと思っています。
医療法人社団永生会南多摩病院
國松 淳和
目次
はじめに
part1 ステロイドは何のために、どう使う?
ステロイドの色々な用途
「てきとうに」がわからない
「てきとうに」は教えられるか
「てきとうに」を「適当に」に変える
ステロイドが使えたら、大きな武器が1つ増える
part2 総論:処方せんを作るための考えかた、処方の決めかた
優先順位の決定
炎症を抑えたいのか、免疫を抑えたいのか
何をどう処方するか!
期間の決め方
ずっと続ける治療とは
止められるかもしれないが、長く続ける治療
ある程度治療したら止められるが、その「ある程度」がやや長い
本来なら4週以内に勝負を決めたいが、逡巡するもの
3~4週間という「持ち時間」を使って治療し切って中止
1~2週間以内くらいで撤退する治療
単回~数日のみの投与
用量の決め方
種類・製剤の決め方
経口か点滴か
経口でも点滴でもいけそうなとき
内服と注射の換算の考え方①:点滴にするときは、増やす
内服と注射の換算の考え方②:経口製剤の、良さ
「経口か点滴か」のまとめ
ステロイド処方をためらう理由
処方をためらう背景
処方をためらう患者背景
ステロイド開始前の説明の心得
part3 ステロイドの副作用とその対策
「予防」は言い訳
予防可能性の観点でのグループ分け
A ハイリスク者に対しては早期覚知して対処したいもの
血糖上昇/消化管粘膜びらん・潰瘍/眼圧上昇/ナトリウム貯留/血圧上昇
B ステロイドを減らせば軽減・消失するもの
睡眠障害/食欲亢進/浮腫/ムーンフェイス
C 予防可能なもの
ニューモシスチス肺炎/結核症/骨粗鬆症
D 発症予測不可能なもの(=起きるかどうかもわからない)
敗血症・細菌感染症/椎体圧迫骨折/骨壊死/日和見感染症/ステロイド筋症
時系列でとらえるステロイド副作用
1 少量/-10mg
2 中等量/10-30mg
3 高用量/40-60mg
予防薬・対策薬のデメリット
プロトンポンプインヒビター(PPI)
ST合剤
ビスフォスフォネート
part4 各ステロイド製剤の攻略法
各項目のみかた
経口剤
プレドニゾロン
メチルプレドニゾロン
ヒドロコルチゾン
デキサメタゾン
ベタメタゾン
注射剤
プレドニゾロンコハク酸エステルNa
メチルプレドニゾロンコハク酸エステルNa
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルNa/ヒドロコルチゾンリン酸エステルNa
デキサメタゾンリン酸エステルNa/ベタメタゾンリン酸エステルNa
part5 ステロイド処方の「型」
CASE1 ステロイドパルス!
型1-1 「コンベンショナル・パルス」
型1-2 「最強パルス」
型1-2改 「変法パルス」
型1-3 「忖度パルス」
CASE2 ひとまず単回点滴投与したい!
型2-1
型2-2
CASE3 外来でプレドニンⓇ!
型3-1 「外来プレドニンⓇ 1週間コース」
型3-1改 「外来プレドニンⓇ やってみようコース」
型3-2 「外来プレドニンⓇ 2週間コース」
型3-2改
型3-2改II
型3-3 「國松用“菊池病セット”」
型3-3改
CASE4 外来でとんぷくステロイド!
型4-1
型4-2 「國松用“地中海スペシャル”」
CASE5 さぁ、免役抑制かけます!
型5-1 「最初の処方」
型5-2 「炎症には分割!」
CASE6 副腎不全かも!(ステロイドカバーをしよう)
型6-1「松」
型6-1改
型6-2「竹」
型6-3「梅」
part6 マニュアル編
とっさのとき
1 造影剤アレルギーをどうする
経口投与ができるとき/経口投与ができないとき/コハク酸アレルギーやアスピリン喘息とわかっているとき
2 薬疹
3 喘息発作をどうする
4 ずっとステロイドを飲んでいる人が飲めなくなったら
5 浮腫をとるということ
6 専門医に受診するまでの間に必要なステロイド処方
7 生命の危機…
免疫が関与する強力な敵との戦い方の原則
脳炎・脳症
血球貪食症候群/サイトカインストーム
リウマチ膠原病性疾患の緊急症
感染症(細菌性髄膜炎、ニューモシスチス肺炎)
8 コントラバーシャル!
疾患・病態別:知っていると外来診療で役に立つ病態
9 リウマチ性多発筋痛症
10 菊池病
11 結節性紅斑
12 亜急性甲状腺炎
13 好酸球性血管浮腫
14 IgA 血管炎(Henoch-Schönlein 紫斑病)
パルスや大量ステロイドはちょっとためらう病態
15 重症筋無力症
16 ギラン・バレー症候群
17 抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎における急速進行性の間質性肺炎
18 ひどいCovid-19
19 好酸球が増多する病気
トラブルシューティング
20 ほんとに診断あってる?(3)
21 ちゃんと飲んでる?(3)
22 そもそも抗炎症・免疫抑制治療だけで治る?
23 実際には順調かもしれない(3)
24 病勢が強いかもしれないor 薬が少ないかもしれない(3)
25 ステロイドが多かったかも?(3)
ステコラ
メチルプレドニゾロンの「肺移行性」について
めっちゃくちゃ細かい調整
デカドロン®錠の形状
人はなぜ温泉に行くのか
強く激しい炎症だからといって…
「ソル・」はどういう意味?
私のPMR 観
細かいことをチェック①:外用44ステロイドを急にやめたりしてないか(3)
細かいことをチェック②:病状を悪化させるようなことを患者がしていないか(3)
あとがき
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書籍情報
- ISBN:9784765319072
- ページ数:281頁
- 書籍発行日:2022年5月
- 電子版発売日:2022年4月29日
- 判:B6変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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