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- めざせ即戦力レジデント!小児科ですぐに戦えるホコとタテ~小児科ではコモンなディジーズの診かた
商品情報
内容
全ての小児科レジデントに送る入魂の一冊です!
「ガイドラインの選択・組み合わせは,非常に複雑でむずかしい.」
「【型】であるガイドラインを臨床現場にうまく持ち込むコツは,逆説的であるのだが,ちょっと【型くずし】することにある.」
「これは,ガイドラインを遵守するための【型くずし】である.」
「ガイドライン(型)」という名の硬いタテと,その型を突きくずす「現場のライブ感」という名のホコを携えて,あなたも小児科ですぐに戦える!
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序文
序文
よい時代になったと思う.咳には「小児の咳嗽診療ガイドライン2020(日本小児呼吸器学会)」がある.血尿には「血尿診断ガイドライン2013(日本腎臓学会,他)」があり,けいれんには「熱性けいれん診療ガイドライン2015(日本小児神経学会)」や「小児けいれん重積治療ガイドライン2017(日本小児神経学会)」がある.現在の医療はガイドラインで溢れており,これらはスマートフォン1 つでどこからでも閲覧することができる.Minds によるガイドラインのガイドラインも整備され,ガイドラインは読みやすく,わかりやすくなった.本当に便利な時代だ.
しかし,われわれ小児科医は,これらのガイドラインをうまく使いこなせているのだろうか.たとえば,咳と呼吸苦で受診した6歳児を想定してみよう.「小児の咳嗽診療ガイドライン2020」で対応すると,「救急医療の必要な咳嗽フローチャート」に沿って診療を進めることになる.日本蘇生協議会またはアメリカ心臓協会の「蘇生ガイドライン」に準じた「小児二次救命処置(pediatric advanced life support:PALS)」で対応すると,第一印象から児の状態が不安定であることを見抜き,ABCDEを評価しつつ速やかに酸素投与することになる.どちらをどのタイミングで使うか,迷うかもしれない.そして,いずれのガイドラインを使ったにせよ,状態が安定すれば「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017(日本小児呼吸器学会,他)」や「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2020(日本小児アレルギー学会)」などに引き継ぐことになり,結局1つのガイドラインだけで診療は完結しない.このように,実際の診療では適用可能な複数のガイドラインを取捨選択し,うまく組み合わせて,滞りのない診療を形づくらなければならない.とはいえ,ガイドラインの選択・組み合わせは,非常に複雑でむずかしい.ガイドラインには具体例が記載されておらず,また実際の診療の流れも書かれていないからだ.さらには,ガイドラインに忠実に従うと,実際の現場では非効率な動きになってしまう場面もある.結果的にガイドラインを使えていない医師は多い.ガイドラインが使えないと,その診療はどこか自信のないものになる.
そういう背景もあって,「コモンなディジーズに自信をもって対応できる,実践的な小児科マニュアルをつくりたい」と筆者は考えた.筆者は小児科医となって11年になるが,小児科専門医プログラムの「基幹病院」で働いたことがない.「連携施設」とも「二次救急医療機関」ともよばれる,比較的規模が小さい病院でずっと働き続けている.コモンなディジーズをバリバリとこなすのが筆者の仕事である.コモンなディジーズというのはなかなか奥深い.風邪の診断に自信をもてないのも,風邪の診断を過信してしまうのも,どちらも問題である.当然だが,コモンは風邪だけではない.適度な自信をもってコモンに向き合うには,ガイドラインを「型」とした型通りの診療をすることである.診療に「型」が備われば,自信は自然と湧く.つまり「実践的なマニュアル」とは,「ガイドラインを実際の医療現場に持ち込む方法」と同じことである.「型」であるガイドラインを臨床現場にうまく持ち込むコツは,逆説的であるのだが,ちょっと「型くずし」することにある.だが,「型くずし」にはガイドラインに対する深い理解と,現場の流れを見通す経験とが必要になる.ガイドラインを読みながら,コモンばかりを見続けてきた筆者の経験が,「型くずし」のコツとして役立つように思ったのだ.
「型くずし」をアドバイスできれば,「型」を現場に導入しやすくなり,結果的に型通りの(つまりガイドラインに準じた)診療ができるようになる.そう考えて,本書には「型くずし」のアドバイスを散りばめた.これは,ガイドラインを遵守するための「型くずし」である.当然だが,くずさなくていい状況では型通りに実践することが大切である.さらには,できるだけ実践的なマニュアルとなるように,小児科外来の基本的な姿勢から,症候学,各論までできるだけ広く書き尽くした.どうせなら,小児科専門医試験の症例要約にも使えるといい.多くの若手小児科医の最初の目標は,専門医になることだからだ.このマニュアル通りに診療し,それがそのまま症例要約に使えるのであれば,これほど実践的なことはないだろうと思ったのだ.あふれる気持ちがページ数からあふれてしまい,「続きはwebで」のようなスタイルにならざるをえなかった.
小児科専門医試験の「症例要約・指定疾患リスト」には10の区分と,約200の疾患がリストアップされている.小児科医が扱う多岐多様な疾患を前にして,あらためて思う.「小児科医は総合医である」と.この約200疾患のうち,筆者が経験したのは半分くらいだ.一応,認定小児科指導医をもっているにもかかわらず,筆者はまだ小児科のすべてを知らない.むしろ「岡本はコモンしか知らない」と謗られそうだ.それでも,筆者はコモンばかりをずっと診てきたという自負がある.「コモンなんて勉強しなくても大丈夫,コモンなんてガイドラインがなくても簡単だ」という謎の安心感に対して,筆者は全力で否定する.ガイドラインを知ったうえで逸脱するのは医師の裁量だが,ガイドラインを知らずに逸脱しているのはただの無知である.「型」を知らないのに「くずす」のは,破天荒ではなく野放図である.本書の読者は,この本でコモンに対する正しい自信を身につけ,ゆくゆくは「コモンしか知らない」筆者のことをおおいに罵倒していただきたい.
令和4年3月
兵庫県立丹波医療センター小児科医長
岡本光宏
目次
序文
本書の使い方
本書の注意点
Part A 体系的アプローチ
1 第一印象
2 一次評価
3 二次評価
Part B 症候学
1 発熱
2 咳嗽・鼻汁
3 喘鳴
4 下痢・腹痛・嘔吐
5 血便
6 けいれん重積
7 胸痛
8 徐脈
9 頻脈
10 不整脈
11 失神
12 頭痛
13 血尿・蛋白尿
14 発疹
Part C 各論
①呼吸器
1 ウイルス性上気道炎
2 中耳炎
3 副鼻腔炎
4 気管支炎
5 肺炎
6 細気管支炎
7 クループ症候群
8 急性喉頭蓋炎
②感染症
1 溶連菌感染症
2 アデノウイルス感染症
3 インフルエンザ
4 RS ウイルス感染症
5 ヒトメタニューモウイルス感染症
6 手足口病・ヘルパンギーナ
7 ノロウイルス胃腸炎
8 ロタウイルス胃腸炎
9 突発性発疹
10 伝染性単核症
11 マイコプラズマ感染症
12 単純ヘルペスウイルス感染症
13 おたふくかぜ
14 水痘
15 伝染性紅斑
16 百日咳
17 伝染性膿痂疹
18 蜂窩織炎・丹毒
19 肛門周囲膿瘍
20 化膿性リンパ節炎
21 眼窩隔膜前蜂窩織炎・眼窩蜂窩織炎
22 敗血症
③消化器
1 ウイルス性胃腸炎
2 細菌性腸炎
3 急性虫垂炎
4 腸重積症
5 アセトン血性嘔吐症
6 周期性嘔吐症
7 肥厚性幽門狭窄症
8 過敏性腸症候群
9 便秘症
④循環器・血管炎
1 心筋炎
2 起立性調節障害
3 川崎病
4 IgA血管炎
⑤神経
1 無菌性髄膜炎
2 細菌性髄膜炎
3 熱性けいれん
4 憤怒けいれん
5 脳炎・脳症
6 胃腸炎関連けいれん
7 てんかん
8 ギラン・バレー症候群
9 片頭痛
10 緊張型頭痛
⑥腎・尿路系
1 尿路感染症
2 水腎症
3 膀胱尿管逆流現象
4 溶連菌感染後急性糸球体腎炎
5 ネフローゼ症候群
6 溶血性尿毒症症候群
7 尿道下裂
8 停留精巣
9 精巣捻転
10 夜尿症
⑦代謝・内分泌
1 糖尿病性ケトアシドーシス
2 糖尿病
3 成長ホルモン分泌不全性低身長
4 SGA性低身長
5 特発性低身長
6 クレチン症
7 早発乳房
8 思春期早発症
9 肥満症
⑧血液
1 好中球減少症
2 免疫性血小板減少症
3 鉄欠乏性貧血
⑨アレルギー
1 アナフィラキシー
2 食物アレルギー
3 気管支喘息
4 気管支喘息の急性増悪
5 喘息性気管支炎
6 乳児脂漏性皮膚炎
7 アトピー性皮膚炎
8 多形紅斑
9 蕁麻疹
10 アレルギー性鼻炎
⑩自己炎症性症候群・膠原病
1 周期性・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群(PFAPA)
2 全身性エリテマトーデス
⑪外因
1 熱傷
2 頭部打撲
3 異物誤飲
4 熱中症
5 緊張性気胸
コラム
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書籍情報
- ISBN:9784787880154
- ページ数:568頁
- 書籍発行日:2022年4月
- 電子版発売日:2022年5月21日
- 判:B6変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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