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臨牀消化器内科 2022 Vol.37 No.7 Common diseaseとなった 潰瘍性大腸炎の現状と診療のコツ
臨牀消化器内科編集委員会 (編) / 日本メディカルセンター
商品情報
内容
世の中には,炎症性腸疾患診療をきちんと指導してくれる先輩医師はおらず,独学でなんとか患者のためになる医療を提供しようとしている方が多いことと思う.そのような先生方のため,少しでも診療のお役に立てれば,と本特集を企画した.本号を読んでいただくことによって,皆様が明日診療する潰瘍性大腸炎の患者さんが少しでも笑顔になれば望外の喜びである.(編集後記から抜粋)
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序文
巻頭言
炎症性腸疾患,とくに潰瘍性大腸炎の本邦の患者数はますます増加傾向にある.すでに患者数は25 万人を超えていると考えられ,年間約1 万人のペースで増加している.この患者数はもはや希少とはいえず,消化器を診療する医師であれば,好むと好まざるとにかかわらず,日常で診療しなければならない疾患,すなわちcommon disease となりつつある.
その一方で,近年,潰瘍性大腸炎の治療薬の進歩も著しい.とくに,生物学的製剤をはじめとする分子標的薬が多数開発されてきている.また,便中カルプロテクチンや血液マーカーのLRG(leucine‒rich α2 glycoprotein)など,新しく使用可能な臨床検査も登場している.
このように,患者数が増え,治療選択肢や疾患バイオマーカーも増加している状況のなかで,炎症性腸疾患だけを専門に診るわけではない先生方は,はっきり言ってかなり混乱しているのではないかと推察する.その理由は,
① そもそも診断がわかりにくい.内視鏡でも病理でも「これは絶対,潰瘍性大腸炎」という所見が得られない.
② ひとくちで潰瘍性大腸炎といっても,5‒ASA 製剤だけで落ち着いている人もいれば,どんな分子標的薬も効かずに手術になってしまう例もあり,どこまでが自分で診療する範囲かがわからない.
③ 同じ患者でも落ち着いている時期があったり,再燃したりする.再燃するたびにステロイドを使ったりするがその正しい使い方や,再燃しないようにするやり方がよくわからない.
④ 薬剤の選択肢が増えたのはいいが,はっきり言って違いがよくわからない.どういう患者にどのような薬を適用したら良いのかよくわからない.また,免疫を抑制する薬を使うのはなんだかコワイ.
⑤ さらに新しい薬は高価である.そのわりにはどの薬も効いたり効かなかったりする.
⑥ 若い患者が多く,学校,仕事,妊娠・出産などのライフイベントと折り合いをつけていかないといけない.また,食事などを含め,どのような日常生活の指導をすればいいのかもよくわからない.
などがあると考えられる.
上記がいかにやっかいなことかは,消化器内科医が比較的慣れているであろう,癌の診療と比較してみるとわかりやすい.すなわち,癌の診断は,病理医がGroup 5 といって確実に診断してくれるし,癌の進行はおおむね一方通行で,自然経過で良くなったり悪くなったりはしない.最近の進行癌の薬物療法では,薬がまったく効かない,ということもなく,さらに,1st line,2nd line とちゃんと誰かが決めてくれており,“どの薬を使ってもいいよ”ということはない.癌診療は,概ね高齢者が対象であることが多く,癌をやっつける,寿命を延ばす,ということが第一義であり,その他の日常生活やライフイベントについては二の次である.
上記の癌診療と潰瘍性大腸炎診療の違いをひと言でいうと,癌診療は「誰がやっても同じような診断,治療で同じようなゴールを目指す」という方向に進んでいるのに対し,潰瘍性大腸炎診療は「一人ひとり病態も効く薬も違うし,ライフスタイルも違う.診断,治療,目指すゴールも一人ひとり異なる」というコンセプトということになる.だから,潰瘍性大腸炎診療には,絶対の正解はなく,ある患者に対する治療方針や使う薬は,専門医のあいだでも違いがでてくる.
そう,潰瘍性大腸炎診療は,癌の診療とはかくも違うため,消化器内科医がとっつきにくいのは当たり前なのである.
そんななかで,本特集は,このとっつきにくいけどとっつかないわけにいかない潰瘍性大腸炎診療のエッセンスをわかりやすくまとめたつもりである.とくに,上記に挙げた消化器内科医がとっつきにくいポイントにターゲットを絞って各専門家に執筆を依頼した.さらに,専門医間でも異なった意見があることを理解していただくために,失礼ながら一部の原稿には小生の意見も付記させていただいた.通して読んでいただければ,潰瘍性大腸炎診療の全体像が理解でき,また,一人ひとり違う潰瘍性大腸炎患者に対して,前よりは自信をもって診療できるようになること請け合いである.
加藤 順
千葉大学大学院医学系研究院消化器内科
目次
「Common diseaseとなった潰瘍性大腸炎の現状と診療のコツ」
巻頭言: /加藤 順
1.潰瘍性大腸炎の疫学,治療法の進歩,本邦の医療体制の問題点/穂苅 量太 他
2.潰瘍性大腸炎の病態・自然史をふまえた治療戦略/飯島 英樹 他
3.潰瘍性大腸炎診断のコツ/清水 誠治 他
4.5-ASA製剤の種類,適応症例と使い方および副作用 ―不耐も含めて/安富絵里子 他
5.経口ステロイドの上手な使い方,依存例,抵抗例への対処法,副作用対策/杉本 健
6.局所療法の適応,種類と上手な使い方 ―直腸炎型への対処も含めて/加藤 真吾
7.チオプリン製剤とは何か? どのような症例にどう使うのか?/志賀 永嗣 他
8.分子標的薬,生物学的製剤の種類とその適応/金山 健剛 他
9.外来フォローの実際とコツ/那須野正尚,田中 浩紀 他
10.潰瘍性大腸炎からの発癌と手術療法/江本成伸,石原聡一郎
11.スペシャルシチュエーションと腸管外合併症/谷口 勝城
12.紹介のタイミングと病診連携について/上野 伸展,藤谷 幹浩
13.潰 瘍性大腸炎患者の食事,日常生活の指導および難病助成制度などの社会制度について/長堀 正和
私の視点................................./加藤 順
潰瘍性大腸炎の診断と治療コンセプト/潰瘍性大腸炎の基本治療/
潰瘍性大腸炎の治療応用編/知っておくべき知識/
【連載】
【連載】
[新連載]「胃炎の京都分類」の使い方./第1回 既感染診断の実際(総論)/加藤 元嗣 他
大腸ポリープに挑む 第2回 大腸ポリープの検出を向上させるための工夫/河村 卓二
内視鏡の読み方/ 同種造血幹細胞移植後にクローン病様の消化管GVHDを発症した1例/糸井 祐貴,浦岡 俊夫 他
消化管異物の診断と治療/成人における消化管異物/赤松 泰次 他
胆膵超音波内視鏡の読み方と描出法 第4回 肝門部領域胆管および肝臓(前編)/永塩 美邦,肱岡 範
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書籍情報
- ISBN:9784004003707
- ページ数:128頁
- 書籍発行日:2022年6月
- 電子版発売日:2022年7月8日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
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