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臨牀消化器内科 2022 Vol.37 No.9 増刊号 食道疾患の診療
臨牀消化器内科編集委員会 (編) / 日本メディカルセンター
商品情報
内容
本増刊号を企画して,この14 年間における食道疾患診療の目覚ましい進歩を実感した.本増刊号が読者の先生方の診療,研究に,少しでもお役に立てば幸甚である.(序文より抜粋)
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序文
序文
本誌の増刊号で食道疾患を取り上げるのは2008 年以来で,3 回目となる.当時の増刊号との比較から14 年間の歩みを胃食道逆流症(gastroesophageal refl uxdisease;GERD),食道がん,その他の食道疾患に分けて振り返りたい.GERD については,evidence―based medicine(EBM)の手順に則った診療ガイドライン初版が2009 年に日本消化器病学会から発行され,六つの項目(疫学,病態,診断,内科的治療,外科的治療,術後食道炎,食道外症状)についての科学的根拠が整理された.2015 年には新項目としてBarrett 食道を加え第2 版に改訂され,2021 年の第3 版へと引き継がれている.その過程で新たな知見がガイドラインに多く取り入れられ,proton pump inhibitor(PPI)抵抗性GERD(標準量のPPIを8 週間内服しても① 食道粘膜傷害が治癒しないand/or ② 胃食道逆流症由来と考えられる症状が十分に改善しない状態)が定義され,本病態にPPI 倍量分割投与が推奨されるとともに,2015 年の発売以降,カリウムイオン競合型アシッドブロッカーであるボノプラザンが,重症逆流性食道炎の初期治療に代表されるGERD 診療に広く用いられるようになった.また,2022 年の診療報酬改定においては,外科的逆流防止手術に代わる薬物治療抵抗性逆流性食道炎の治療として,経口内視鏡的治療〔anti―refl ux mucosectomy (ARMS)やendoscopic submucosaldissection for GERD(ESD―G)〕が保険収載されたことは画期的な出来事であった.
食道癌については,すでに日本食道学会から診療ガイドラインが発行されていたものの,2008 年以降の病態メカニズム解明,診断,治療における進歩は目覚ましく,当時の常識がいくつも塗り替えられている.
2006 年から米国で開始された大型がんゲノムプロジェクトThe CancerGenome Atlas(TCGA)のデータベースが公開されるなど,ゲノム・オミックス情報の公開データベース化が加速するとともに,それぞれの研究者が次世代シーケンサーやマイクロアレイ等に容易にアクセス可能となったこと,シングルセル解析などの手法も確立してきたことから,食道癌の病態メカニズムについてもさまざまな知見が明らかとなってきている.
食道癌診断においては,日本食道学会による食道表在扁平上皮癌やBarrett 食道・表在腺癌に対する拡大内視鏡分類の作成,超拡大内視鏡観察による細胞レベルでの生体内観察が可能となったことは特筆すべき進歩である.食道癌治療においては,新たな内視鏡治療としての光線力学療法,外科的切除としてのロボット手術,進行・再発病変に対する一次薬物療法としての免疫チェックポイント阻害薬+化学療法の開発は日常診療に変革をもたらした.2012 年より先進医療として新たな放射線療法である粒子線(陽子線,重粒子線)治療が行われており,有望な治療法として期待されている.
その他の疾患に関しては,アカラシアを含めた食道運動障害の分類として2009 年にシカゴ分類が発表され,本邦でも2016 年に日本消化管学会から食道運動障害診療指針が発行され,疾患概念が整理されたことで本領域の診断・治療法の更なる発展が期待される.また,本邦発の食道アカラシアおよび類縁疾患に対する内視鏡治療である経口内視鏡的筋層切開術(peroral endoscopic mucosectomy;POEM)は世界的な広がりを見せており,2018 年に日本消化器内視鏡学会からPOEM 診療ガイドラインが発行されたことで,先進施設のみで行われてきたPOEM が,今後,全国に安全に普及していくものと思われる.POEM の派生手技として内視鏡下で粘膜下層トンネルを形成後,食道粘膜下腫瘍を切除する新たな経口内視鏡的腫瘍核出術(per―oral endoscopic tumor resection;POET)も開発されている.また,2020 年より先進医療としてZenker 憩室に対する内視鏡的憩室隔壁切開術が開始されており,今後の保険収載が期待される.
2008 年の増刊号では取り上げられていなかった好酸球性食道炎については,元来,白人,欧米に多い疾患とされていたが,その後の研究により本邦でも多数例の存在が判明し,2020 年に厚生労働省研究班より幼児・成人好酸球性消化管疾患診療ガイドラインが発行されたことで,今後,さらに疾患の理解が進むものと思われる.
本増刊号を企画して,この14 年間における食道疾患診療の目覚ましい進歩を実感した.本増刊号が読者の先生方の診療,研究に,少しでもお役に立てば幸甚である.最後に,ご多忙極まるなか,素晴らしい原稿をお寄せいただいたすべての先生方に御礼を申し上げ,序文を締めくくりたい.
2022 年7 月
東京大学大学院医学系研究科消化器内科学
藤城 光弘
目次
I 食道疾患の理解に必要な基礎知識
1 食道の解剖 高木 靖寛
2 食道の血行動態 林 涼子,山本 果奈,中村 真一 徳重 克年
3 食道の生理機能 舟木 康,加藤 駿介,田村 泰弘,井澤 晋也,小笠原尚高,春日井邦夫
II 胃食道逆流症の診療
1 「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021」の概要 岩切 勝彦
2 胃食道逆流症の成因と疫学 沢田 明也,藤原 靖弘
3 胃食道逆流症の診断 和田 将史,畑 佳孝,水流 大尭, 牟田 和正,伊原 栄吉
4 胃食道逆流症の薬物療法 小池 智幸,伊丹 英昭,大原 祐樹, 齊藤 真弘,正宗 淳
5 胃食道逆流症の非薬物療法 島村 勇人,田邊 万葉,年森 明子,鬼丸 学,井上 晴洋
III 食道癌の診療
1 「食道癌診療ガイドライン」の概要 坊岡 英祐,北川 雄光
2 「食道癌に対するESD/EMR ガイドライン」の概要 石原 立
3 食道がんの罹患率・死亡率の動向 井上真奈美
4 食道癌治療成績の全国集計 渡邊 雅之,藤 也寸志,土岐祐一郎
5 食道癌の危険因子 古江 康明,堅田 親利
6 食道癌のゲノム,エピゲノム異常 竹内 千尋,張 春東,牛島 俊和
7 食道癌のX 線,CT,PET による診断 田中 努,大西 祥代,山田 啓策,田近 正洋
8 食道癌の超音波内視鏡診断 大岩 恵祐,古川 和宏,川嶋 啓揮
9 食道扁平上皮癌の内視鏡診断―拾い上げ診断から質的診断まで 小山 恒男,高橋亜紀子
10 Barrett 食道表在腺癌の内視鏡診断―拾い上げから質的診断 郷田 憲一,阿部圭一朗,金森 瑛 , 近藤 真之,田中 孝尚,鈴木 統裕,山宮 知,富永 圭一,飯島 誠,入澤 篤志
11 食道癌の生検病理診断 小嶋 結,日下恵理子,小柏 剛,立石 陽子
12 食道癌切除標本の病理診断 塚本 徹哉
13 食道扁平上皮癌に対する内視鏡的切除,辻 陽介,坂口 賀基,藤城 光弘
14 食道腺癌に対する内視鏡的切除 鈴木 悠悟,布袋屋 修
15 食道癌に対する光線力学療法(PDT) 浦部 昭子,矢野 友規
16 食道癌に対する開胸手術 尾﨑 麻子,峯 真司
17 食道癌に対する鏡視下手術ロボット手術, 瀬戸 泰之,八木 浩一,西田 正人, 愛甲 丞,山形 幸徳,森 和彦
18 進行・再発食道癌に対する薬物療法 中田 晃暢,室 圭
19 食道癌に対する集学的治療―周術期補助療法 前田 修
20 食道癌に対する集学的治療―化学放射線療法 髙木 正統,吉武 忠正,石神 康生
21 食道癌に対する放射線療法―粒子線治療も含む 溝口 信貴,高草木陽介,加納 希生, 島 聖,土田 圭祐,芹澤 慈子,鎌田 正,吉田 大作,加藤 弘之
22 食道癌に対する緩和治療―ステント治療も含む 松山 仁,上田 正射,中島 慎介,谷田 司,池永 雅一,山田 晃正
IV その他の食道疾患の診療
1 「食道運動障害診療指針」の概要 栗林 志行,草野 元康,浦岡 俊夫
2 「POEM 診療ガイドラインの概要」と最新の知見 塩飽 洋生,岡田 浩樹,塩飽 晃生, 長谷川 傑
3 食道アカラシア 井上 晴洋,福田 舞
4 食道憩室 桑井 寿雄,楠 龍策,田丸 弓弦
5 食道裂孔ヘルニア 望月 暁,八木 浩一,石岡 充彬
6 先天異常に伴う食道疾患 内田 広夫
7 食道カンジダ症 小田島慎也
8 好酸球性食道炎 阿部 靖彦,佐々木 悠,水本 尚子,八木 周,小野里祐介,上野 義之
9 その他の食道炎 舩坂 好平,堀口 徳之,大森 崇史,宮原 良二,柴田 知行,廣岡 芳樹
10 バレット食道,バレット食道癌 松崎 一平,横井太紀雄,角嶋 直美,菊池 正和,服部 昌志
12 特発性食道破裂 島田 英雄,西 隆之,千野 修,數野 暁人,谷田部健太郎,小柳 和夫,幕内 博康,阿部清一郎,野中 哲,鈴木 晴久,斎藤 豊
15 食道異物 西本 正幸,井口 幹崇
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書籍情報
- ISBN:9784004003709
- ページ数:288頁
- 書籍発行日:2022年8月
- 電子版発売日:2022年8月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:2
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