胸部X線・CT画像420症例

  • ページ数 : 268頁
  • 書籍発行日 : 2022年8月
  • 電子版発売日 : 2022年8月12日
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商品情報

内容

420症例の画像を掲載

呼吸器疾患は病歴や現症だけではその疾患を把握することは困難です。しかし胸部の画像を見ることで、初めて何を疑い、どのように対処すべきかを決定できます。画像を多く経験することが疾患の判定、確定診断の近道です。実際の臨床で同じような画像に出会ったとき、「見たことある」という経験が、読影力アップにつながります。

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序文

序文

レオナルド・ダ・ヴィンチLeonardo da Vinciは「対象物の形態を文字と文章では完璧に描写できないであろう、しかし文章の代わりに絵画をもってすればほぼ完璧に対象を語ることができる」と著書で述べている。またVincent Van Goghも「絵画を通じてのみ話すことができる」と。

呼吸器疾患を専門にしていると、病歴や現症だけではその疾患を把握することは困難です。しかし胸部の画像を見ることで、初めて何を疑い、どのように対処すべきかを決定できます。闇の世界に燭光が灯ったように。

医師になって半世紀の間、常に画像の凄さを見てきました。多分この出版が最後になるだろうと思う時に沢山の症例が記憶から浮上してきますが、その中心はいつも画像です。特別な画像からはその症例の病歴を思い出せます。私達が経験した画像の記憶は私達の宝物ですが、これは呼吸器科医を目指す後進の参考にもなると考えたので上梓しました。

今、思えば「胸部の異常陰影」にしても「外科書」や「CT」にしても、常に画像を中心にした出版であったと感慨深いものがあります。それはfirst penguinだったと思っているからかもしれません。

私達は60年ほど前に京都大学結核研究所外科に入局しました。当時、教授回診や疾患カンファレンスでは胸部X線写真がシャウカステンに並びました。主治医はそれを見て「右上が曇っています」とか「左下に雲絮状の陰があります」とか「右肺が汚いですね」などと説明しました。教授も私達みたいな新米もそれで納得していてカンファレンスは何の問題もなく進行していました。

しかし、これでは陰影を他人に「言葉」で伝えることは困難と考え、Fraser and Páreなどの著書を参考に1973年に「胸部の異常陰影」を出版しました。

最近の大病院では胸部の異常を疑えば、すぐに胸部CTで病状を見るようなことも多々あります。しかし、多くの臨床医や健診医はまず胸部X線写真を撮ってからCT等が必要かどうかを判断をします。両者ともに大事で大切なデータだと考えて、次のような出版を続けて来ました。

1973年「胸部の異常陰影」(池田貞雄、船津武志、人見滋樹、甲斐隆義)金芳堂

1982年「胸部X線読影のポイント」(池田貞雄、船津武志、人見滋樹、甲斐隆義)金芳堂

1980年「呼吸器外科手術書」(畠中陸郎、松原義人、船津武志、池田貞雄)金芳堂

-1988年 改訂2版(WernerMaaβen参加)

-1996年 改訂3版(WernerMaaβen参加)

-2002年 改訂4版(WernerMaaβen参加)

-2007年 改訂5版(WernerMaaβen、桑原正喜参加)

-2015年 改訂6版(WernerMaaβen、桑原正喜参加)

1989年「AtlasderThoraxchirurgie」(Rikuro Hatakenaka、Yoshito Matsubara、Takeshi Funatsu、Sadao Ikeda und Werner Maaβen.Übersetzer:Masayoshi Kuwabara)Dustri-Verlag Dr.Karl Feistele

-1989年 第2版1995年「胸部CTの異常陰影」(松原義人、畠中陸郎、桑原正喜、池田貞雄、船津武志)金芳堂

2003年「めざせ!基本的読影の向上 胸部X線写真」(畠中陸郎、池田貞雄、船津武志、桑原正喜)金芳堂

-2009年 改訂2版

2011年「肺癌を見逃さないための胸部X線写真の読影」(畠中陸郎、池田貞雄)金芳堂

2012年「胸部CTの立体解剖」(畠中陸郎、桑原正喜、池田貞雄)金芳堂

2013年「なに?これ?胸部X線写真」(池田貞雄、畠中陸郎)金芳堂

2015年「呼吸器カンファレンス」(長坂行雄、畠中陸郎)金芳堂

今までに私達が画像を見て驚嘆し、感激し、その真実を解き明かそうとした画像の群を、勝手に、好きなように蒐めました。読者の皆様がパラパラ漫画を見るように楽しんで頂けると嬉しいなぁと、年寄の高望みです。

また、長い間に疑問に思っていたいくつかの陰影について私達の考えを加えていますので、皆様の御意見が聞ければ幸いです。

金芳堂から出版した全ての著書は、金芳堂の市井輝和氏と共に完成して来ました。また、種々の症例や画像を提供して頂いた、京都工場保健会、洛和会ヘルスケアシステムに心からお礼を申し上げます。

人が皆 健やかであれ 湖うみの虹***


2022年7月

著者一同


悲しいことに、残念ながら共著者の池田先生がこの3月に亡くなりました。生前に西行の「ねがはくは 花のしたにて 春しなん そのきさらきの もちつきのころ」を生涯終焉の希望でありました。長い間のご指導を頂き感謝します。ご冥福をお祈りいたします。

畠中陸郎

目次

カラー図

立体モデル-正面像-

軟部胸壁-前面-

軟部胸壁-後面-

骨性胸壁

胸郭上口

胸郭下口、横隔膜

縦隔 前面から肺と胸腺、心膜を除く

縦隔 前面から左房、肺静脈を除く

気管・気管支

気管支と肺の構造

細葉の微細構造

肺胞図

本文カラー図

1 胸郭

鳩胸

樽型肺

扁平胸

ポーランド症候群

脊椎側弯症

脊椎カリエス

胸郭委縮

線維性骨異形成

大理石病

SAPHO syndrome

弾性線維腫

肩甲骨の随伴陰影

翼状肩甲

tattoo

神経線維腫-Ⅰ型

神経線維腫-Ⅱ型

脂肪腫

海綿状血管腫

軟骨肉腫

類腱腫

慢性膿胸に発生した悪性リンパ腫

多発性骨髄腫

漏斗胸

脊柱は優しい!

2 横隔膜

モルガニ孔ヘルニア

ボクダレク孔ヘルニア

外傷性横隔膜ヘルニア

食道裂孔ヘルニア

横隔膜弛緩症

横隔膜挙上

横隔神経麻痺

キライディティ症候群

横隔膜平低下

3 胸膜

apical cap

phantom tumor

胸水による縦隔偏位

肺結核に伴う胸膜炎

細菌性胸膜炎

肺炎合併胸膜炎

肺癌の胸膜播種

悪性胸膜中皮腫

胸膜中皮腫

アスベスト良性胸水

乳糜胸

低蛋白血症による胸水漏出

腎不全(透析中)

心不全による胸水

胸膜炎後の円形無気肺

拡張型心筋症-心不全-胸水-円形無気肺

再膨張性肺水腫

孤立性線維性腫瘍

転移性胸膜腫瘍

右胸水の好発

外傷性血気胸(転倒)

肺気腫、血気胸

肺結核-人工気胸-慢性膿胸-気管支瘻48

膿胸合併リンパ腫

胸膜石灰化陰影

胸膜炎-被包化

慢性膿気胸の治療

肋横角のmeniscus shadow

肺下胸水

気胸

4 縦隔

腺腫様甲状腺腫

気管発生の気管支嚢胞

気管発生の気管支嚢腫

縦隔気腫

ボエルハーヴェ症候群

神経鞘腫

結核性リンパ節炎

心膜嚢腫

胸腺嚢腫

胸腺腫、再生不良性貧血合併

胸腺腫、重症筋無力症、赤芽球癆.の合併

嚢胞性胸腺腫

胸腺癌

サルコイドーシス

成熟奇形腫

類表皮嚢胞

卵黄嚢腫瘍

セミノーマ(類上皮腫)

アカラシア

食道平滑筋腫

神経線維腫Ⅱ型

5 気道(気管・気管支・細気管支)

気管支鏡による気管支像

気管壁の変性-気管支鏡所見

気管支鏡でみられる気管支の病変

気管支の先天性異常

気管気管支

気管憩室と右肺の異常

Marfan症候群

気管結核

気管・気管支軟化症

再発性多発性軟骨炎

気管支拡張症

signet ring sign

mucoid impaction(粘液栓)

牽引性気管支拡張

カータゲナー症候群

気管腫瘍

腺様嚢胞癌

甲状腺癌の気管浸潤

気管の狭窄

左主気管支-食道瘻

気管支結核による気道狭窄の経過

右上葉切除後の合併症

左上葉切除後の合併症

右肺全摘後の合併症

左肺全摘後の合併症

気管支は隣接臓器による被害者

無気肺

無気肺発症の機序

右上葉の無気肺

中葉の無気肺

右下葉の無気肺

左上葉の無気肺

左下葉の無気肺

円形無気肺

一側肺の無気肺

癌性胸膜炎により大量の胸水で生じた受動性(圧迫性)無気肺

肺門部肺癌による左全葉の無気肺

癌性胸膜炎による右肺無気肺(圧迫性)

右肺門部小細胞癌による無気肺.無気肺は僅か2日で出現

右肺門の胸腺癌-放射線肺炎

6 肺

A.肺炎

レジオネラ肺炎

肺炎球菌肺炎

肺炎桿菌肺炎

マイコプラズマ肺炎

気管支肺炎

緑膿菌肺炎

メチシリン耐性ブドウ球菌肺炎

アクチノミセス症

異物誤嚥による肺炎

インフルエンザ肺炎

成人水痘肺炎

COVID-19肺炎

B.肺結核

肺結核の変遷

初感染巣

結核腫の石灰化

気管支結核と浸潤陰影

結核性空洞

空洞から経気道性の散布

脊椎カリエスと粟粒結核

粟粒結核、脳結核

結核性皮下膿瘍

結核性胸膜炎

結核性心膜炎

肺結核+腸結核

結核死

慢性膿胸

tree in buds vs tree in blossoms(抗酸菌症)

往時の肺結核の治療と手術

C.非結核性抗酸菌症

D.肺クリプトコッカス症

E.塵肺

珪肺

超硬合金肺

珪肺-大陰影

塵肺-大陰影の生成過程

珪肺-卵殻状石灰化

珪肺-大陰影、肺癌合併

F.アスベスト関連病変

石綿肺(胸膜直下の病変)

アスベストによる胸膜病変

アスベスト良性胸水と円形無気肺

胸膜中皮腫

肺癌の合併

G.びまん性疾患

すりガラス様陰影

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

過敏性肺炎

急性好酸球性肺炎

慢性好酸球性肺炎

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

IgG4関連肺疾患

薬剤性肺障害

膠原病

多発血管炎性肉芽腫症

好酸球性肉芽腫症

血管内リンパ腫

肺血管内腫瘍塞栓症

急性細気管支炎

肺胞出血

急性呼吸窮迫症候群

near drowning

ニューモシスチス肺炎

リンパ脈管筋腫症

肺胞蛋白症

肺胞微石症

多中心型Castleman症

肺水腫

H.嚢胞

bullaの消滅

包虫症

先天性肺気道奇形、先天性嚢胞状腺腫様形成奇形

一側肺の嚢胞肺

肺癌治療後の囊胞化

嚢胞から肺癌の発生

giant bulla、肺気腫

I.空洞

肺癌

転移性肺癌

肺結核

非結核性抗酸菌症

慢性型肺アスペルギルス症

クリプトコッカス症

肺膿瘍(肺化膿症)

多発血管性肉芽腫症

敗血症性肺塞栓症

J.閉塞性肺疾患

汎小葉性肺気腫

小葉中心性肺気腫

傍隔壁型肺気腫

いわゆるCPFE

びまん性汎細気管支炎

びまん性汎細気管支炎の経過

K.間質性肺疾患

特発性肺線維症

気腫合併肺線維症

特発性胸膜肺実質線維弾性症(網谷病)

非特異性間質性肺炎

NSIP

膠原病肺

特発性器質化肺炎

L.肺腫瘍+肺末梢のGGO+サブトラクション

肺腫瘍の形状、形態の画像

発育の速度

血管の捕食!

石灰化陰影

肺癌の組織型別の陰影の特徴

発生母地の疾患

肺癌の初発症状

肺癌腫瘍随伴症候群

前浸潤性病変、微小肺癌

肺炎様肺癌

縦隔型肺癌

悪性小円形細胞腫瘍

類表皮癌

癌性空洞

肺門の腫瘤か否か?

悪性度の低い肺腫瘍

悪性リンパ腫

転移性肺癌

男性乳癌

肺末期のGGO

サブトラクションを用いた健診

M.肺と血管

上肺静脈の還流異常

左下葉動脈大動脈起始症

肺分画症

肺動静脈奇形

大きなAVM

奇妙な形のAVM

肺塞栓症

敗血症性塞栓症

奇静脈葉

肝肺症候群

肺水腫

7 石灰化陰影

胸膜石灰化

刺青

胸膜炎後の胸膜石灰化

肺結核-人工気胸

肺結核-人工気胸-慢性膿胸-悪性リンパ腫

石灰化乳腺症

骨島

線維性肋骨骨異形成

豊胸術後

ヒトアジュバント病

大動脈硬化症

僧帽弁膜症

冠動脈瘤

初感染巣

肺炎後

水痘肺炎後の石灰化巣

砥石製造による珪肺

胸膜炎後の慢性膿胸

アスベスト曝露による胸膜石灰化

透析による転移性石灰化

大理石病

軟骨性肺過誤腫

肺腺癌

気道内の過誤腫

8 X線写真でみられる“気になる所見”-異常陰影?それとも正常?-

A.肋骨随伴陰影

B.骨性胸壁1(肋骨)

C.骨性胸壁2(肋骨以外)

D.軟部胸壁・肺・胸膜

E.横隔膜

F.心・血管系

G.X線写真の読影のpitfall

主な疾患の略称

日本語索引

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書籍情報

  • ISBN:9784765319171
  • ページ数:268頁
  • 書籍発行日:2022年8月
  • 電子版発売日:2022年8月12日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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