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- コンパス顔面骨骨折の治療 ベーシック編
商品情報
内容
顔面骨骨折の治療を、準備や目標など初歩的なところから段階を追って詳しく解説されました。とくに各手技では、コマ送りで手順・ポイント・ピットフォールを説明していきます。見えないところがよく見える、イラストレーションの良さが最大に生かされました!また全編がロールプレイングゲームの攻略本のようなスタイルとなっているせいか飽きることなく楽しく学びが進められるのも魅力です。教科書どおりにはいかない実情を著者同士がCHATで語ったり、体験談なども散りばめられていたりでヒント満載、隅から隅まで油断も隙もない1冊に仕上げられています。研修医必携、顔面骨骨折の治療を行うなら、まずこの1冊から! 続編も刊行予定です。
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
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序文
はじめに
「先生,顔面骨骨折の勉強するのにおすすめの本ないですか?」
これは毎年,レジデントから決まって聞かれる質問です。そう聞かれると,医局の自分の机に連れて行ってそこの本棚から「これとこれと,あとコレとかいいよ」といくつかおすすめを提示しますが,決まって彼らは,少し躊躇します。「いや,できれば日本語で絵が多い方がいいんですけど…」これが毎年のように,そして今年もデジャヴのように繰り返されました。
思い返してみれば,私も入局したての頃,同じ質問を指導医にしたことがあります。そのときに指導医から返された言葉は,「だってお前ら向けだと,あんまりいい本ないんだもん。むしろ手洗いして学べ」というものでした。
外科教育は on the job training しか成せません。患者さんの負担をできるだけ減らすために,1回の経験から多くのことを習得するためのイメージの手助けをするのが書籍です。ただ顔面骨骨折に関しては「簡単にできる」と錯覚してしまい,十分なイメージができていないことが少なくありません。それは骨のイラストしか描いていないからです。先の指導医から送られた言葉は暗に,そのことを示唆しているんだと思います。
狭い術野のなか,術者は見えない部分をどのようにイメージしながら手術を行っていくのか。実際の手術への橋渡しになるような「感じられる」教科書を作りたかった。この本ではそこに腐心したつもりです。術者の知識と技術のみならず,術中に何を感じ,考えながら行っているのか,その臨場感と患者への思いを感じていただければと思います。
私自身,入局以来,多くの諸先生方のご指導のおかげで成長することができました。まだまだ私の技術や指導力は発展途上ではありますが,これまで得た技術と知識を次の世代に少しずつ引き継いでゆくこともまた医師としての責務だと思っています。
今回,私のような若輩者の編者からの依頼にもかかわらず,余すところなく手術のコア・コンセプト=コンパスを提示していただいた執筆者の先生方に,この場を借りて深謝致します。
最後に,顔面骨骨折治療にはすでに多くの教科書が存在します。そこに新たな1冊を加えることを決断し,立ち振る舞い方など何もわからない私を編者として迎い入れ,温かく支えてくれた克誠堂出版の大澤王子さんには大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。
2022年2月 コロナ禍にて
慶應義塾大学医学部形成外科
坂本 好昭
目次
準備
01 検査の意義 山田 稔・山田祥岳・陣崎雅弘
顔面打撲の診断 ー今昔ー/CT技術の発展
02 治療までの流れ 坂本好昭
顔面骨骨折の手術適応/タイムリミット/タイムスケジュール
03 インフォームドコンセント 坂本好昭
メスを入れる意味/説明に求められるもの/
インフォームドコンセントは免罪符ではない/説明の手順/合併症
04 手術器具 坂本好昭
手術器具って?/揃えておきたい器具
05 骨固定 坂本好昭
骨固定の歴史/ドリルの使い方/ワイヤリング/
ベンディングとプレーティング/プレートシステム
06 手術室にて 坂本好昭
チームファースト/環境整備/手術は協奏曲のように/
タクトの振り方 ーリズムー/タクトの振り方 ー指示出しー/ 1 人反省会
07 顔面骨骨折を治療するということ 坂本好昭
顔面骨骨折は, 骨折片が「偏位した」状態だ/「アライメント」と「バットレス」の示す意味/
「整復」と「固定」の違い/治療目的は, 機能面と整容面の回復だ
レベル1 鼻骨骨折
01 総論 彦坂 信
治療ダイジェスト/外鼻の構造/症状と手術適応/手術適応の判断/小児例の注意点
02 鼻骨骨折整復 彦坂 信
本手技の適応/手技
Chat Time 1 骨折整復のタイムリミットは? 彦坂 信×玉田一敬×坂本好昭 42
レベル2 涙道ブジー
涙道チューブ留置 太田 優
本手技の適応/手技
レベル3 頬骨骨折
01 総論 緒方寿夫
治療ダイジェスト/頬骨の構造/頬骨の偏位/Knight and Northの呪縛/
症状と手術適応/治療法の選択
02 頬骨弓骨折 ーGilliesのアプローチ 今西宣晶
本手技の適応/手技
03 頬骨骨折 ークローズリダクション+ピンニング 坂本好昭
本手技の適応/手技
04 頬骨骨折 ーオープンリダクション 大原博敏
本手技の適応/本手技の限界/手技
Chat Time 2 眼窩下神経の麻痺,いつ治るの? 緒方寿夫×大原博敏×坂本好昭 89
レベル4 腸骨採取
本手技の適応/本手技の限界/手技 玉田一敬
レベル5 肋骨・肋軟骨採取
本手技の適応/本手技の限界/手技 今井啓道
レベル6 眼窩骨折 坂本好昭
01 総論 元村尚嗣
治療ダイジェスト/眼窩の構造/眼窩骨折の機序/症状と手術適応/
治療法の選択/移植材料について
02 Hess chart/Hertel 眼球突出計 太田 優
Hess chart/Hertel 眼球突出計
03 眼窩底骨折 (下直筋嵌頓) 玉田一敬
本手技の適応/手技
04 眼窩底骨折 玉田一敬 132
本手技の適応/手技
Chat Time 3 経上顎洞アプローチによる眼窩底整復 元村尚嗣×宮本純平×坂本好昭
05 眼窩内側壁骨折ー経皮アプローチ 宮本純平
本手技の適応/手技
06 眼窩内下壁合併骨折 元村尚嗣
本手技の適応/手技
Chat Time 4 吸収性プレートによる眼窩再建 太田 優×元村尚嗣×坂本好昭
レベル7 冠状切開
本手技の適応/手技
Chat Time 5 見学ノススメ 加持秀明×宮本純平×坂本好昭
レベル8 鼻篩骨骨折
01 総論 本多孝行
治療ダイジェスト/鼻篩骨の構造/症状と手術適応/治療法の選択
02 鼻篩骨骨折 本多孝之
本手技の適応/手技
切開・展開範囲 早見表 坂本好昭
レベル9 上顎骨骨折
01 総論 山下昌信
治療ダイジェスト/上顎骨の構造/上顎骨骨折の機序/症状と手術適応/
治療法の選択/それって上顎骨骨折?
02 咬合 石井武展・坂本輝雄
咬合とは/不正咬合/Angle分類/正常な咬合/咬合の復元
03 顎間固定 石井武展
アーチバー/ワイヤー固定/IMFスクリュー
04 上顎骨骨折 山下昌信
本手技の適応/手技
Chat Time 6 アライメント重視? 整容面重視? 井上義一×山下昌信×坂本好昭 226
レベル10 下顎骨骨折
01 総論 加持秀明
治療ダイジェスト/下顎の構造/下顎骨骨折に必要な理論/
症状と手術適応/治療法の選択
02 オトガイ部骨折本手技の適応/手技 井上義一
本手技の適応/手技
03 体部骨折 加持秀明
治療方針/手技
04 角部骨折 加持秀明
治療方針/手技
05 関節突起骨折 成田真人
本手技の適応/手技
Chat Time 7 術後の咬合異常 成田真人×石井武展×坂本好昭
SHARE
検査の限界を補完する 山田 稔
二刀流であれ ―宮本武蔵のごとくー 坂本好昭
プレーティング, ヒヤリハット 坂本好昭
助手の心構え 坂本好昭
よき指導医 坂本好昭
鼻骨骨折の治療 あるある 彦坂 信
最後は患者背景を加味して 緒方寿夫
MRIは撮れるの? 大原博敏
骨, 落としちゃいました…。 玉田一敬
どのくらい積極的に手術を勧めますか? 宮本純平
矯正歯科医の存在 石井武展
骨移植は大事だよ 山下昌信
Craniofacial surgeryとの出会い 加持秀明
正直者の患者 井上義一
BUOY
偏位? 転位? 変位? 緒方寿夫
U字鉤 坂本好昭
3Dモデルを使おう 大原博敏
小切開から採取するコツ 今井啓道
球後出血への対応 玉田一敬
鼻骨骨折, 眼窩骨折との違いは? 本多孝之 184
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書籍情報
- ISBN:9784771960930
- ページ数:280頁
- 書籍発行日:2022年4月
- 電子版発売日:2022年8月30日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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