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- がん性疼痛 薬の使い方
商品情報
内容
薬物療法における、作用と特徴/適用と種類/臨床投与の実際/副作用/禁忌と注意点などを中心に解説。
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序文
序文
がん対策基本法が施行されたのは2007年4月のことである。話題性の多い法律でもあり、その後、医療界において緩和ケアに対する理解が深まってきた。
がん対策基本法が施行されてから5年経過した2012年において、がん対策推進基本計画の見直しがなされ、“治療の初期段階からの緩和ケアの実施”を“がんと診断された時からの緩和ケアの推進”と変更された。このことは、がんと診断された時点で、医療従事者が患者さんに対して“緩和ケア”について解りやすく、しかも誰もが十分に理解できるように平易に説明することが基本的な概念となっていることが不可欠である。また、緩和ケアは、診断、治療、在宅医療などさまざまな場面において切れ目なく実施されることが必要とされている。このような背景のもとで、雑誌「麻酔」60巻9号の特集「癌性疼痛と痛みの評価」において“がん性疼痛”に焦点を当てて取り上げられたのはその直前2011年のことであった。それから10年が経過しているが、まだまだ十分とはいえないのが現状である。とはいえ、その間、わが国において、がん性疼痛に適用をもつ新しい複数のオピオイド鎮痛薬が市場に顔を出してきた。このような変化に伴い、緩和ケアに対する日々の進歩を踏まえて、現在、がん性疼痛の薬物療法についてのさらに進化した成書の必要性が要求されている。現在、わが国における医療用麻薬の使用量が先進各国よりかなり少ないために、緩和ケアの浸透性が悪いと判断され、がん医療において緩和ケアが、十分に果たされていないことが推測されている。すなわち、医療者間で、がん医療における緩和ケアの重要性の認識がまだまだ不足している、また国民に対して緩和ケアを正しく周知すること、および正しく理解してもらうという基本的な事項が進んでいないと考えられている。多くの医師が“もう治療法がありません。緩和ケアかホスピスへ”という言葉を使うという話もある。一般社会においても“緩和ケア”は、もう手立てのない最後の医療手段のように捉えられることが多い。緩和ケアはけっして終末期医療ではないことを、強く訴えていく必要がある。そして、がん診療に緩和ケアを組み入れた診療体制にしていくことが重要である。話は戻るが、“がんと診断された時からの緩和ケアの推進”が重要である。がんの初期段階は約3割の患者さんが痛みを訴えておられるが、終末期には約7—8割に患者さんが、痛みに悩まされることになる。その意味でも、がんと診断されたときからの緩和ケアが大切で、患者さんが、少しでも痛みを感じることなく、検査や治療に積極的に取り組まれることを願っている。それがまた、患者さんのQOL改善とともに、生存期間の延長にも関連している。
国民の約半数ががんに罹患する高齢社会である現状を鑑みて、緩和ケアは必須かつ重要な医療である。
現在、医師を対象に緩和ケア研修が全国で実施されている。年間約1万人が受講しているが、まだまだ、医師全体が受講するには、20年以上も必要であると推測されている。
克誠堂出版からは、すでに「癌性疼痛(2010年)」「誰にでも理解できる緩和ケアの実践書(2015年)」が発刊されている。このたび、がん性疼痛3部作の第3弾として新しく薬に特化した「がん性疼痛―薬の使い方―」を発刊するに至った。
克誠堂出版緩和ケア関連3成書の第3部としての本書が、わが国における緩和ケアのさらなる推進に役立てれば幸いである。
2022年3月吉日
東京大学名誉教授
JR東京総合病院名誉院長
東京八重洲クリニック名誉院長
花岡 一雄
目次
Ⅰ がん性疼痛の発生機序 橋口 さおり
Ⅱ がん性疼痛に使用される薬物
1.NSAIDs 鈴木 孝浩
2.アセトアミノフェン 伊原 奈帆
3.コルチコステロイド 田邉 豊
4.オピオイド
A.弱オピオイド 鈴木 正寛
ⅰ.コデイン(リン酸コデイン)
ⅱ.ジヒドロコデイン(リン酸ジヒドロコデイン)
B.拮抗性鎮痛薬 井手 康雄
ⅰ.拮抗性鎮痛薬とは
ⅱ.ペンタゾシン
ⅲ.ブプレノルフィン
C.強オピオイド
ⅰ.モルヒネ製剤 山本 兼二、平林 高暢、間宮 敬子
ⅱ.オキシコドン 松田 陽一
ⅲ.フェンタニル 松田 洋祐、林 章敏
ⅳ.タペンタドール 佐藤 哲観
ⅴ.ヒドロモルフォン 余宮 きのみ
ⅵ.メサドン 久保田 敬乃
5.がん性疼痛における漢方治療 世良田 和幸
Ⅲ オピオイド
1.がん性疼痛におけるオピオイドの使い方と基本概念 下山 直人、下山 恵美
2.オピオイドの副作用とその対処 山口 敬介
3.オピオイドが効きにくい痛みとその治療法
A.神経障害性疼痛 住谷 昌彦、阿部 博昭、小西 満
B.骨転移 清水口 卓也、伊藤 慶
C.オピオイド受容体遺伝子を含む関連遺伝子とオピオイド感受性─がん性疼痛オピオイド治療の将来へ向けて 林田 眞和、西澤 大輔、池田 和隆
Ⅳ 鎮痛補助薬
1.抗うつ薬 益田 律子
2.抗不安薬 田邉 豊
3.抗痙攣薬 有田 英子
4.抗不整脈薬 栗山 俊之、川股 知之
5.NMDA受容体拮抗薬 水野 樹
6.局所麻酔薬、その他 石田 高志、川真田 樹人
Ⅴ がん性疼痛に対する各種療法
1.神経ブロック療法
A.交感神経ブロック 安部 洋一郎
B.知覚神経ブロック 都築 有美、石田 裕介、大瀬戸 清茂
2.脊髄鎮痛法:硬膜外鎮痛法、脊髄くも膜下鎮痛法 服部 政治、前 知子
3.持続皮下注射法 沼田 祐貴、濱口 眞輔
4.持続静脈内注射法 上原 優子、水嶋 章郎、井関 雅子
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書籍情報
- ISBN:9784771960985
- ページ数:298頁
- 書籍発行日:2022年4月
- 電子版発売日:2022年9月2日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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