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- EBM血液疾患の治療2023-2024
商品情報
内容
血液疾患における諸問題をいかに解決し,対応すべきか,最新のエビデンスをもとに解説したレファランス.治療に必須の知見を「序論,指針,エビデンス,根拠となった臨床研究の問題点と限界,患者に適応する際の注意点,コメント」の順に紹介し,今日の時点における最新の治療法,考え方だけでなく,現場で判断に迷うような事柄・問題点に指針を与えるものとなっている.さらにはCOVID-19や最新研究の話題までフォローしており,血液疾患診療を網羅的に学ぶために最適な一冊である.
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序文
監修の序
「EBM血液疾患の治療」は,血液疾患の日常診療で遭遇する様々な疑問に対し,最新のエビデンスを持って答える書として,長年多くの読者に愛読されてきた.
この度,2023‒2024年版の発刊の運びとなったことは望外の喜びである.
従来,本書は,編集者(5名)と監修者(1名)が一堂に会し,構成内容を議論してきたが,新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)が蔓延したため,2021‒2022年版についてはメール会議,2023‒2024年版についてはWeb会議にて目次・構成内容について熱い議論が交わされた.コロナ禍にあっても,血液疾患の診療に関する新しい知見が続々と出てきていることに驚かされる.しかし,学会や研究会がオンラインとなり,また人との会合が制限された中では,日常業務に多忙な臨床医が新たな知見を把握し,日常臨床へどのように活かしたら良いかを適切に判断することは困難である.
EBM(evidence‒based medicine)では,当該疾患の治療に関する利用可能な信頼のおける最新情報(医学論文)を,迅速かつ最大限に活かし,医療の現場で実践することが重要となる.本書は,血液疾患治療における種々の問題点や疑問点について,最新の代表的な文献(evidence)を紹介しながら,最新の治療法や考え方がわかるとともに,現場で判断に迷うような事柄・問題点に指針を与えられるものとなるよう企画されている.
本書では,疾患治療に関して,「序論,指針,エビデンス,根拠となった臨床研究の問題点と限界,本邦で患者に適応する際の注意点,コメント」の順に紹介する構成である.他の書籍とは異なりエビデンスの基になる医学論文が主役となっている.重要なエビデンスとなる論文が何時出版されたかが一目瞭然で,主題として設定した疑問に対する答えを時系列に把握することが可能になっている.さらに,本書は,治療に関するEBMを取り扱った書籍であるが,将来的に治療に密接にも関わってくる話題やトピックスついても取り上げている.
本書が血液学専門医の日々の診療に役立つとともに,他領域の医師,研修医,看護師,臨床検査技師などの方にも有益な書となることを祈念している.最後に,誠にご多忙な折に執筆をお引き受け頂いた先生方にこの場を借りて深謝する次第である.
2022年9月
金倉 譲
序
「EBM血液疾患の治療」は2003‒2004年版より続くシリーズで,血液疾患の日常診療で遭遇するさまざまな疑問に対し,論文のエビデンスで答える書として長年多くの読者に愛読されてきた.今回,2023‒2024年版をお届けすることになった.このシリーズは,以前は血液疾患以外の分野でも多く出版されていたが,現在は血液疾患のみとなっていると聞く.血液内科医がエビデンスを大切にしていることの反映と受け止めているが,本書を手にしていただいた読者の方々には,御礼申し上げたい.
今回の版でも前回同様,金倉先生監修の下,5人の編集者が知恵を絞ってコンテンツを考えた.しかしながら,時はコロナ禍であるため編集会議はリモートで開催された.例年通りの,「赤血球系疾患」,「白血病」,「リンパ系腫瘍」,「多発性骨髄腫と関連疾患」,「出血・血栓性疾患」,「支持療法・輸血」,「造血幹細胞移植」の各領域という構成は変わらないが,2023‒2024年版では冒頭に,「話題」としてCOVID‒19関連のテーマを3つ設定した.タイムリーな企画として,読者のお役に立てば幸いである.
いずれの血液分野においても,昨今の進歩は著しい.多くの有効な新薬が登場する一方で,キメラ抗原受容体改変T細胞療法(CAR‒T細胞療法)がリンパ腫に続いて骨髄腫でも導入された.抗体療法,小分子化合物に続いて,第3の分子標的療法として細胞療法が一分野を築くのかが焦点となるが,他の腫瘍や他の標的抗原への拡大が期待されるところである.他方,選択肢が増えるということは,それだけ治療選択の悩みが増えることも意味し,論文エビデンスの重要性も増すものと言えよう.また造血器腫瘍の分野では,本書発刊の直前にWHO分類第5版が公表された.Web公開という新形態での販売方法もさることながら,旧版の編集者たちがICC(International Consensus Classification)という別分類をBlood誌上で公表したことも話題となっている.疾患分類が今後どのような顛末をたどるのかは,現時点ではまだわからない.
これまでの慣習通り,執筆は前回版とは異なる先生方にお願いした.類似の項目でも,治療法の進歩・変遷とともに,エキスパートの個人の意見の違いなどにも興味を持っていただければ幸いである.編集者としては,本書が臨床現場で活用され,患者さんの診療に貢献することを祈念する.この改訂版が,医師のみならず様々な医療スタッフにも役立つ一冊になれば幸甚である.最後に,ご多忙の中,素晴らしい原稿をご執筆くださった先生方への感謝を申し上げたい.
2022年9月
編者一同
目次
I.話題
1.新型コロナウイルス感染症流行下における造血器腫瘍の治療 〈豊嶋崇徳〉
Topics 1 血液疾患患者への新型コロナワクチン接種の現状と課題 〈千葉 滋〉
Topics 2 COVID-19と血栓症 〈安本篤史〉
II.赤血球系疾患
1.再生不良性貧血とHLA 〈材木義隆〉
2.再生不良性貧血に対するTPO-RA 〈山崎宏人〉
3.重症再生不良性貧血に対するHLA半合致移植・臍帯血移植 〈大西 康〉
4.赤芽球癆の治療 〈石田文宏〉
5.MDSの分子病態解明の進歩 〈牧島秀樹〉
6.MDSに対する予後予測 〈安東恒史 宮崎泰司〉
7.低リスクMDSの治療 〈中崎久美〉
8.高リスクMDSの治療 〈前田智也〉
9.遺伝性骨髄不全症候群に対する診断と治療 〈村松秀城〉
Topics 1 血液疾患とゲノム編集治療 〈大森 司〉
10.温式自己免疫溶血性貧血(wAIHA)の治療 〈川本晋一郎〉
11.寒冷凝集素症の治療 〈高橋康之 木崎昌弘〉
12.PNHに対する治療 〈植田康敬〉
Topics 2 PNHに対する開発中の新規治療薬 〈西村純一〉
13.腎性貧血に対するHIF-PH阻害薬 〈安倍寛子 田中哲洋 菅原真衣〉
Topics 3 加齢とクローン性造血 〈原田結花 原田浩徳〉
III.白血病
A.急性骨髄性白血病(AML)
1.初発AMLの治療 〈山口博樹〉
2.再発・難治性AMLの治療 〈石川裕一〉
3.高齢者AMLの治療 〈久保田寧〉
4.小児AMLの治療 〈森谷京子 石前峰斉 江口真理子〉
5.CBF白血病の治療 〈合山 進〉
6.AMLに対する分子標的治療の現状 〈細野奈穂子〉
7.AMLに対する造血幹細胞移植の現状と課題 〈田中淳司〉
Topics 1 AMLの分子病態解析研究の進歩 〈安田貴彦〉
Topics 2 AML幹細胞 〈仲 一仁〉
B.急性前骨髄球性白血病(APL)
1.初発APLの治療 〈高田 覚〉
2.再発・難治APLの治療 〈冨田章裕〉
C.急性リンパ性白血病(ALL)
1.成人Ph陽性ALLの治療 〈八田善弘〉
2.成人Ph陰性ALLの治療 〈早川文彦〉
3.再発・難治ALLの治療 〈土岐典子〉
4.AYA世代ALLの治療 〈加藤元博〉
5.高齢者ALLの治療 〈土橋史明〉
D.慢性骨髄性白血病(CML)
1.初発CML-CPにおける治療選択 〈小野孝明〉
2.進行期(AP/BP)CMLの治療 〈渡邊直紀 高久智生〉
3.チロシンキナーゼ阻害薬による有害事象のマネジメント 〈入山規良〉
4.TFRを目指したCML治療の現状と課題 〈木村晋也〉
Topics 慢性骨髄性白血病におけるTKI耐性機序とその克服 〈國定浩大 南 陽介〉
E.骨髄増殖性腫瘍(MPN)
1.真性多血症(PV)の治療 〈杉本由香〉
2.本態性血小板血症の治療 〈赤羽大悟 後藤明彦〉
3.原発性骨髄線維症(PMF)の治療 〈竹中克斗〉
4.慢性好中球性白血病の病態と診断・治療 〈長尾貴代 高橋直人〉
5.好酸球増加症の診断と治療 〈本田 晃 黒川峰夫〉
Topics MPN分子病態研究の進歩「成人発症MPNのドライバー変異は胎児期や小児期に生じている」 〈幣光太郎〉
IV.リンパ系腫瘍
A.慢性リンパ性白血病(CLL)
1.初発CLLの治療方針 〈小島研介〉
2.再発・難治性CLLの治療方針 〈青木定夫〉
3.CLLで検索すべき遺伝子異常 〈鈴宮淳司〉
B.Indolent B細胞リンパ腫
1.進行期低腫瘍量濾胞性リンパ腫の治療方針 〈石澤賢一〉
2.進行期高腫瘍量濾胞性リンパ腫の治療方針 〈古林 勉〉
3.再発・再燃濾胞性リンパ腫の治療方針 〈入山智沙子〉
4.辺縁帯リンパ腫・リンパ形質細胞リンパ腫の治療方針 〈三宅隆明 林 克起 若山聡雄〉
C.マントル細胞リンパ腫
1.若年者マントル細胞リンパ腫(MCL)の治療方針 〈宮崎香奈〉
2.高齢者マントル細胞リンパ腫(MCL)の治療方針 〈楠本 茂〉
D.Aggressive B細胞リンパ腫
1.限局期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の初回治療方針 〈福原規子〉
2.若年進行期びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の初回治療方針 〈棟方 理〉
3.高齢者びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針 〈山口素子〉
4.再発・再燃びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療方針 〈鈴木康裕 永井宏和〉
5.中枢神経原発リンパ腫の治療 〈近藤英生〉
E.T/NK細胞リンパ腫
1.末梢性T細胞リンパ腫の初回治療方針 〈島田和之〉
2.再発・難治末梢性T細胞リンパ腫の治療方針 〈瀧澤 淳〉
3.節外性NK/T細胞リンパ腫の治療方針 〈磯部泰司〉
4.アグレッシブNK細胞白血病の治療方針 〈藤本亜弓〉
F.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)
1.ATLLの治療方針 〈野坂生郷〉
2.ATLに対する造血幹細胞移植 〈塚崎邦弘〉
G.ホジキンリンパ腫
1.限局期ホジキンリンパ腫の治療方針 〈吉田 功〉
2.進行期ホジキンリンパ腫の治療 〈伊豆津宏二〉
3.再発・難治ホジキンリンパ腫の治療方針 〈錦織桃子〉
H.総合・その他
1.AYA世代リンパ腫の特徴と治療方針 〈関水匡大〉
2.リンパ系腫瘍に対して今後期待される新薬 〈丸山 大〉
3.次期WHO分類(第5版)リンパ系腫瘍における方針 〈鈴木律朗〉
Topics リンパ腫病型とゲノム異常 〈坂田(柳元)麻実子 槇島健一 末原泰人〉
V.多発性骨髄腫と関連疾患
1.MGUS/くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)の治療方針 〈尾崎修治〉
2.移植適応初発多発性骨髄腫(MM)の治療 〈佐藤 剛 伊藤薫樹〉
3.移植非適応初発多発性骨髄腫(MM)の治療方針 〈池田宇次〉
4.再発・難治性多発性骨髄腫(MM)の治療 〈半田 寛〉
5.多発性骨髄腫(MM)における維持療法の意義 〈福原 傑〉
6.多発性骨髄腫(MM)に対する免疫療法の現状と課題 〈田村秀人〉
7.Frailty評価と高齢者多発性骨髄腫(MM)の治療 〈鈴木智貴〉
8.原発性ALアミロイドーシスの治療戦略 〈石田禎夫〉
9.原発性マクログロブリン血症の治療 〈皆方大佑〉
10.POEMS症候群に対する治療戦略 〈中世古知昭 大和田千桂子 堺田惠美子〉
11.Castleman病の診断と治療 〈川端 浩〉
12.原発性形質細胞性白血病の治療 〈多林孝之〉
Topics 1 多発性骨髄腫の病態解明研究の進歩 〈古川雄祐〉
Topics 2 多発性骨髄腫に対する新薬開発の動向 〈飯田真介〉
VI.出血・血栓性疾患
1.特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の診断・治療 〈横山健次〉
2.後天性血栓性血小板減少性紫斑病(aTTP)治療の新展開 〈宮川義隆〉
3.血友病診療の新しい考え方 〈藤井輝久〉
4.新しいVWD診療ガイドライン 〈日笠 聡〉
5.後天性凝固因子インヒビターに対する診断・治療の進歩 〈野上恵嗣〉
6.最近の抗血栓療法の考え方 〈朝倉英策〉
7.DICの診断と治療 〈池添隆之〉
Topics 1 がん関連血栓塞栓症の病態生理 〈森山雅人〉
Topics 2 遺伝性血栓性素因に対する妊娠管理 〈小林隆夫〉
VII.支持療法・輸血
1.輸血のトリガー値 〈高見昭良〉
2.TRALIとTACOの予防と治療 〈田崎哲典〉
3.発熱性好中球減少症(FN)の予防と治療 〈石川和宏 森 信好〉
4.アゾール系抗真菌薬と新規抗がん剤の相互作用 〈林 裕美 諫田淳也〉
5.造血器腫瘍女性患者の妊娠後の経過 〈藤井伸治〉
VIII.造血幹細胞移植
1.急性GVHDの新規治療 〈杉田純一〉
2.慢性GVHDの新規治療 〈稲本賢弘〉
3.特発性肺炎症候群(IPS)の治療 〈玉置雅治〉
4.造血幹細胞移植後のクローン性ドナー造血の影響 〈南谷泰仁〉
5.造血幹細胞移植前後における免疫チェックポイント阻害薬使用が与える影響 〈加藤光次〉
6.同種造血幹細胞移植後のメチル化阻害薬維持療法 〈名島悠峰〉
7.造血幹細胞移植後のB型肝炎ウイルス対策 〈小野澤真弘〉
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書籍情報
- ISBN:9784498225404
- ページ数:574頁
- 書籍発行日:2022年10月
- 電子版発売日:2022年10月14日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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