乳癌診療state of the art 科学に基づく最新診療

  • ページ数 : 688頁
  • 書籍発行日 : 2022年9月
  • 電子版発売日 : 2022年10月26日
19,800
(税込)
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商品情報

内容

第一線の執筆陣がまとめた乳癌診療の必携書!

●各項目冒頭にKey Sentenceを設け,素速く的確に要点を把握できるよう編集.
●乳癌の最新の診断法やリスク評価法などに関する情報やトピックスを網羅.
●術前・術後と各ステージに応じた最適な治療法やフォローアップについて,その治療成績と共に解説.
●欧米の学会やガイドラインの最新エッセンスもわかりやすく解説.
●最近話題の遺伝性乳癌やトリプルネガティブ乳癌,アドバンスケアプランニングについても記載.
●化学療法では国内未承認薬の臨床試験の成績についても解説.

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序文

序文

2004 年6 月に本書の前身となる「別冊・医学のあゆみ 乳腺疾患─ state of arts」が発刊されました.医学のあゆみstate of arts シリーズで乳腺疾患をとりあげるのは初めてでしたが,幸いにして,大変好評をいただくことができました.

今回,乳癌診療を中心としてあらたに書籍として出版される運びになりましたが,その後の乳癌診療の進化はまさに目覚ましく,次々と新しい診断法,治療法,考え方,技術が開発されております.最新情報をフォローしつつ,state of the art としてぜひとも知っておいていただきたい,理解しておきたい項目を厳選し,クリニカルパールとなる138の重要項目を抽出して各分野の最前線でご活躍の先生方に執筆をお願いしました.

今回も本書の前身「乳腺疾患─ state of arts」の良さのひとつであった各項目冒頭のKey Sentence を今回も設け,読者が素速く的確に要点を把握できるように配慮しました.真髄をなるべくシンプルにとらえ,数行のコアとなるSentence を反芻することで知識の整理に役立つこと,実地の臨床の場面で広く活用されることを目指しています.

書籍という形に変わっても“state of the art”と題しているのは,引き続き,科学に基づく知識を“art”として活用できるまでに本書を利用していただきたいという思いを込めてのことです.

100 を超す項目がありますが,どの項目もすべて重要で,乳癌診療には欠かすことはできません.大切な情報が,テーマごとに,著者の方々の思いとともにコンパクトに織り込まれています.乳癌診療体系を知るという目的において格好の書物になっていると思います.

情報は指数的に増え続け,実地臨床はより高い水準,より先進的な診療を常に求めます.予防,診断,治療,サバイバーシップ,意思決定過程における協働,数年先あるいはもっと先を見越した対応や対策,インフォーマティクスやAI の導入など,いずれをとってみても,乳癌をライフタイムで考え,病気を早く見つけることに貢献します.病気が発見されれば,病気を分析し,精確に治療を行うことで,QOL は下げない.乳癌診療は真にそのようなパラダイムシフトの真っただ中にあるように感じます.

本書を手にとった皆様におかれましては,明日からの乳癌の日常診療や研究の一助としてご活用いただくことを心より願っています.最後にお忙しい中,労をいとわずご執筆いただいた先生方に心より感謝いたします.


2022年8月

戸井 雅和

目次

第1章 乳癌の発生

1.乳癌前駆病変の自然史 森谷鈴子

2.乳癌前癌病変の病理診断 桜井孝規

第2章 乳癌の女性ホルモン依存性

1.乳癌のER 活性とホルモン依存性,抵抗性の獲得 徳永えり子

2.乳癌のER 変異と機能異常,臨床的意義 遠山竜也

第3章 遺伝性乳癌の治療コンセプト

1.遺伝性乳癌の疫学とその国際比較 矢内洋次・他

2.遺伝性乳癌に対する遺伝子修復不全標的治療 太田智彦

第4章 乳癌の疫学とリスク評価

1.わが国の乳癌登録と乳癌罹患率の動向 神野浩光

2.乳癌における大規模リアルワールドデータの分析と活用 小西孝明・田辺真彦

3.改変Gail モデルと乳癌リスク評価 橘髙信義

4.遺伝子多型と乳癌リスク 吉村章代

5.数理モデルを用いた乳癌リスク評価 川口展子

第5章 乳癌の特性

1.乳癌のゲノム異常とゲノム診断 田村研治

2.ゲノム検索から見える乳癌の薬物療法耐性 永山愛子・林田 哲

3.HER2 発現の評価,変遷と現在 増田しのぶ・野嵜 史

4.乳癌の内分泌療法耐性 紅林淳一

5.乳癌の血管新生と腫瘍微小環境 大場崇旦・伊藤研一

6.乳癌とEMT 永橋昌幸・三好康雄

7.トリプルネガティブ乳癌の分子特性 高田 護

8.乳癌におけるp53 の機能異常と薬物療法感受性予測 髙橋 信

第6章 乳癌特性の分析・評価

1.乳腺腫瘍のWHO 分類第5 版 改訂のポイント 森谷卓也

2.乳癌の病理学的グレード分類 堀井理絵

3.乳癌におけるKi67 の評価 桂田由佳・津田 均

4.小葉癌の病理と分子特性 山田 倫・三上芳喜

5.腫瘍expression profiling:PAM50/Oncotype 樋上明音・髙田正泰

6. ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後療法のための多遺伝子アッセイ:MammaPrintTM,EndoPredict®,CurebestTM 95GC Breast,Breast Cancer IndexTM 岩本高行

7.乳癌の微小転移と予後 坂井威彦

8.乳癌のanatomical stage と病理マーカーによる治療選択 田村宜子

9.乳癌とCTC 服部正也

10.乳癌におけるctDNA 解析 吉波哲大

11.乳癌におけるエクソソーム解析 橋本一樹・下村昭彦

12.乳癌の腫瘍マーカー 唐 宇飛

13.乳癌術前治療におけるバイオマーカー(ER,PgR,HER2,Ki67,TILs)の変化黒住 献・片山彩香

14.晩期再発乳癌の病理と分子特性 宮下 穣

第7章 免疫

1.免疫療法の歴史と腫瘍免疫微小環境の評価 杉江知治

2.全身免疫状態の評価 鈴木栄治

第8章 オーバービュー,コンセンサス会議

1.EBCTCG 藤本優里・他

2.乳癌初期治療のためのSt. Gallen Conference 2021 の国際的合意に基づくガイドライン渡辺 亨

3.京都乳癌コンセンサス会議 稲本 俊・戸井雅和

第9章 ガイドライン

1.JBCS,ASCO,ESMO,NCCN 中村清吾

2.有害事象マネージメント 佐伯俊昭

第10章 スクリーニング

1.乳癌検診オーバービュー,J-START 原田成美・石田孝宣

第11章 イメージング・画像診断

1.乳房画像診断アルゴリズム 植松孝悦

2.マンモグラフィ診断:カテゴリー分類と精度管理 横江隆夫

3.乳癌の石灰化病変の診断とフォローアップ 芳林浩史

4.乳房超音波診断のコツ 奥野敏隆

5.乳癌のMRI 診断 久保田一徳

6.乳癌術前化学療法の効果予測と予後予測 山口絢音

7.FDG-PET を用いた乳癌術前治療の効果判定と早期効果予測 角舎学行

8.PET による乳癌転移病変の検索と治療効果判定 三宅可奈江

9.乳房MRI ガイド下生検 甲斐亮三・戸崎光宏

10.造影マンモグラフィ 結縁幸子

11.乳癌のマイクロ波診断 木村建次郎・他

12.乳癌の光超音波イメージング 松本純明

13.月経周期が乳癌画像診断に及ぼす影響 新藏信彦

14.乳癌画像診断におけるマルチパラメトリックイメージング,ラジオミクス,人工知能(AI)片岡正子

第12章 遺伝性乳癌の診療

1.遺伝性乳癌の遺伝カウンセリング 櫻井晃洋

2.遺伝性乳癌患者のリスク低減治療 山内英子

3.リスク低減卵管卵巣切除の適応とタイミング 小林佑介・青木大輔

4.遺伝性乳癌遺伝子キャリアのフォローアップ 北田正博

5.(原発・再発)乳癌に対するPARP 阻害薬 川口英俊・相良安昭

6.運動・肥満・BMI と乳癌予防 長尾育子

7.乳癌の化学予防 石川 孝

第13章 乳腺外来

1.針生検・細胞診の基本とコツ 中島一彰・高橋かおる

第14章 リンパ節の診断と治療

1.RI 法によるセンチネルリンパ節生検 津川浩一郎

2.蛍光センチネルリンパ節診断 山神和彦

3.術前薬物療法とセンチネルリンパ節診断 林 直輝

4.リンパ浮腫の予防,評価,治療 大竹 徹

5.腋窩治療のde-escalation 髙田正泰

第15章 乳房の手術

1.術中病理診断,断端の評価 大迫 智

2.腫瘤非触知乳癌の診断と治療 小川朋子

3.非浸潤癌に対する局所療法 相良安昭

4.乳房温存療法の適応と実際 三宅智博・島津研三

5.乳房切除,NSM,SSM の適応と実際 坂東裕子

6.乳房オンコプラスティックサージャリーの実際 喜島祐子

7.内視鏡下手術 白羽根健吾

8.ラジオ波熱焼灼療法 木下貴之

9.凍結療法 福間英祐

10.乳腺外科手術の整容性評価 亀井義明

11.局所進行乳癌の治療 有賀智之

12.乳房内再発の病態と治療 菰池佳史

第16章 乳房再建

1.乳房自家再建 津下 到

2.乳房インプラントによる乳房再建 寺尾保信

3.脂肪再生療法 辻 和香子・森本尚樹

第17章 放射線治療

1.乳房全切除術後の放射線療法 山内智香子

2.寡分割放射線療法 吉村通央

3.ブースト照射の適応 唐澤久美子

4.乳癌の高精度放射線治療 土井歓子・永田 靖

5.放射線治療のフロー 清水口卓也

第18章 ホルモン療法

1.ホルモン療法薬の分類とあらたな薬剤クラス 佐治重衡

2.再発乳癌のホルモン療法 高橋將人

3.術後ホルモン療法:閉経前 山本 豊

4.化学療法誘発性無月経の意義 秋吉清百合

5.術後ホルモン療法:閉経後 諏訪裕文

6.術前ホルモン療法 上野貴之

7.ホルモン療法の有害事象マネージメント 長谷川善枝

8.DCIS に対するホルモン療法 神林智寿子

第19章 化学療法

1.乳癌術前化学療法の変遷 藤本章博・石黒 洋

2.Residual cancer burden の評価 片岡竜貴

3.術前化学療法の効果と予後 野木裕子

4.術前化学療法後の局所制御 中村力也

第20章 周術期管理,毒性予防

1.周術期薬物療法の毒性予防と管理 原 文堅

2.化学療法に伴う脱毛の予防 木下貴之

3.圧迫による神経障害予防 露木 茂

4.口腔粘膜炎の予防 久芳さやか・五月女さき子

第21章 免疫療法

1.転移再発乳癌に対する新規治療 尾崎由記範

2.早期乳癌に対する免疫チェックポイント阻害薬:現状と展望 河口浩介

第22章 抗HER2 療法

1.再発乳癌の治療体系 下井辰徳

2.HER2 陽性乳癌に対する抗体薬物複合体 三好康雄

3.低分子薬剤 細永真理・高野利実

4.術前治療 増田慎三

5.術後アジュバント 永井成勲

第23章 経口FU 薬

1.再発治療における役割 古武 剛

2.補助療法における役割 川島雅央

第24章 CDK4/6 阻害薬

1.再発乳癌治療におけるCDK4/6 阻害薬の役割 高橋信行

2.CDK4/6 阻害薬 補助療法における役割 川西佳奈・戸井雅和

第25章 他の標的薬・抗がん薬・DDS

1.血管新生阻害薬 山城大泰

2.mTOR,AKT,PI3K 標的療法 日馬弘貴・中山貴寛

3.エリブリン 高島 勉

4.ナノ粒子結合抗がん薬─特にアブラキサン® を中心に,広がる臨床応用の可能性─ 二村 学

5.Trop-2 標的治療 鶴谷純司

6.現在開発中の新薬 内藤陽一

第26章 術後フォローアップ

1.乳癌術後フォローアップ:標準と研究 枝園忠彦

第27章 骨機能調整薬

1.術後アジュバントにおける骨機能調整薬の役割 岡本 咲・山下年成

第28章 アドバンスケアプランニング(ACP)

1.乳癌のACP 片岡明美・大野真司

第29章 若年性乳癌の臨床

1.AYA 世代乳癌の特徴とサバイバーシップ 平井星映・清水千佳子

2.妊娠・授乳期乳癌の治療と予後 中井克也・齊藤光江

3.妊孕性温存 洞下由記・鈴木 直

第30章 高齢者乳癌の臨床

1.高齢者乳癌の特徴と初期治療 澤木正孝

第31章 特殊な乳癌の治療

1.小葉癌の特性と治療 髙原祥子

2.特殊型乳癌の治療 島 宏彰・九冨五郎

3.炎症性乳癌,希少がんの治療 矢﨑 秀・米盛 勧

4.男性の乳腺疾患,男性乳癌の診断と治療 高橋三奈

第32章 再発転移部位別の治療と管理

1.オリゴ転移の治療:全身療法と局所療法 井本 滋

2.脳転移,髄膜転移の治療 渡邉純一郎

3.骨転移の治療 寺尾まやこ・新倉直樹

4.薬剤性間質性肺障害の診断と治療 山中隆司

第33章 社会健康医学

1.日本の抗がん薬治療の費用対効果分析 野田健太・児玉耕太

2.乳癌におけるQOL 評価 平 成人

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欧文索引

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書籍情報

  • ISBN:9784263732052
  • ページ数:688頁
  • 書籍発行日:2022年9月
  • 電子版発売日:2022年10月26日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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