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- 眼科 2023年8月号 65巻8号 特集 前眼部解析アップデート 【電子版】
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序文
序論
近年,眼科領域における診断機器の発達は目覚ましく,前・後眼部ともに非接触かつ非侵襲的に検査が可能となってきている。また,それぞれの機器の解析ソフトウェアの改良も急速に進んでいる。これらの診断機器の特徴やアプリケーションについて熟知すれば,診断精度が向上することは論をまたないが,機器の進歩に合わせて常に知識を更新し続けることは容易なことではない。
本特集では,特に前眼部に焦点を絞り,解析機器についてエキスパートの先生方に解説をいただいた。
前眼部光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)は近赤外光を用いて非接触式・短時間で,高解像度の生体組織の断面検査を行う装置である。前眼部OCTは後眼部用のOCTに比べて長波長光源を用いているため,可視光では透過しない混濁した角膜や結膜,強膜などの不透明組織も描出可能であり,前眼部診療に幅広く使用されている。2018年から保険収載され2023年には角膜移植術後,急性緑内障発作を疑う狭隅角眼または外傷後毛様体剥離の患者への適応も認められている。Scheimpflug-basedtomographyによる前眼部解析は高さ情報を含めた角膜形状データを正確に評価可能で,角膜形状解析以外にもコンタクトレンズフィッテイング,有水晶体眼内レンズ(pIOL)シミュレーション,Optical Densitometryなど,多彩な解析ソフトウェアがある。波面収差解析装置は波面収差を測定することにより,眼球光学的特性を評価する装置で,当初は主に角膜疾患や角膜屈折矯正手術の術前後の評価に用いられていたが,現在は白内障,ドライアイなども含めて視覚の質の評価には欠かせない機器となっている。また,角膜生体力学特性を非侵襲的に検査可能な機器は,いまだ一般的とはいえないが,角膜疾患の診断や治療効果の判定などに使用されている。
本特集では,前眼部OCTについて筑波大学の上野勇太先生,シャインプルーク式前眼部解析について北里大学の神谷和孝先生,波面収差解析について大阪大学の高 静花先生,角膜生体力学特性について名古屋アイクリニックの小島隆司先生にご担当いただき,基本的事項から最新の情報までわかりやすくご解説いただいている。
本特集により知識がアップデートされ,診療の一助となれば幸いである。
根岸一乃
慶應義塾大学医学部眼科学教室
目次
特集:前眼部解析アップデート
序論……根岸一乃
1.前眼部OCT……上野勇太
2.シャインプルーク式前眼部解析(PentacamⓇ AXL Wave)……神谷和孝
3.波面収差解析……高 静花
4.角膜生体力学特性……小島隆司
綜説
黄斑円孔の最新の手術手技の評価……木村修平・他
抗VEGF薬の全身への影響……小幡峻平・他
マルチモーダルイメージングによる眼科疾患の診断と病態解明
8.傍乳頭網膜血管芽腫のマルチモーダルイメージング……加瀬 諭・他
機器・薬剤紹介
67.Myopia MasterⓇ(Oculus)……松村沙衣子
症例報告
急性網膜壊死と鑑別を要したサイトメガロウイルス網膜炎の1例……高井康行・他
私の経験
自閉症偏食児のビタミンA欠乏症による重症眼球乾燥症・夜盲症・視神経乳頭浮腫の1例……田中瑛三・他
中年期に発症した急性後天共同性内斜視の1例……高尾彩芽・他
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書籍情報
- ISBN:9784003506508
- ページ数:104頁
- 書籍発行日:2023年8月
- 電子版発売日:2023年8月11日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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