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- 臨床画像 2023年9月号 特集1:適応拡大の今こそ知りたいRFA/特集2:夜間の画像診断体制2023
商品情報
内容
適応拡大にあたって−総論−
RFAの適応拡大の紆余曲折
救急診療における画像診断の位置付け−CTは診察手順の一部となったか− ほか
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序文
特集1:適応拡大の今こそ知りたいRFA 序説
2022年9月にラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation;RFA)の適応拡大が厚生労働省から承認された。2016年に日本IVR学会が,医薬品医療機器総合機構の所管する「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」にRFAの適応拡大を申請してから実に6年後のことである。
筆者は1987年に三重大学 放射線医学教室に入局した。肝癌の肝動脈塞栓術に没頭したが,当時の三重大学での動脈塞栓術後の5年生存率は3%と惨憺たるものだった。2000年から肝癌のRFAを開始した。RFAを受けた肝癌患者の5年生存率は66%に向上し,30%以上の10年生存率も得られるようになった。まさにRFAはepoch–makingな治療法である。肝以外にも,肺,腎,骨軟部へと適応を拡大し,RFAの治療効果の素晴らしさを実感してきた。小型腎癌の5年生存率は95%以上であるし,大腸癌肺移転の3年生存率は84%である。機能を温存しながら,手術と同等の治療効果を提供できる。痛みを伴う転移性骨腫瘍の80%以上の患者で痛みを和らげてあげることもできる。子供に多い類骨骨腫の第一治療選択肢は欧米ではRFAである。
しかし,保険収載が肝以外の臓器で進まないなか,肝以外のRFAは自費診療で行われてきた。多くの患者は複数のRFA治療が必要となるため,経済的な負担は決して小さいものではなかった。子供の多発肺転移に対して,多数回のRFAを行っていたが,「お金がなく断念したい」と申し出た父親も知っている。今回の適応拡大は,まさに多くの患者にとって福音である。筆者も当初からRFAにかかわってきた医師の1人として,感慨もひとしおである。
新たに適応拡大がなされた疾患は,①小径腎悪性腫瘍,②肺悪性腫瘍,③類骨骨腫,④骨盤内悪性腫瘍,④悪性骨腫瘍,⑤四肢,胸腔内および腹腔内に生じた軟部腫瘍である。小径腎悪性腫瘍を除いて,適応となるのは「標準治療に不適・不応の患者」である。標準治療に不適・不応の患者は,合併症を起こす危険性も標準治療を受けられる患者よりも高いことを考慮して,慎重に適応を判断する必要がある。特に肺RFAは死亡にもつながる重篤な合併症を起こす可能性が高いので,関連科での十分な適応の検討が必要である。
本特集では,RFAの適応拡大に対して,筆者が術者要件と施設要件を中心に解説する。荒井保明先生(国立がん研究センター中央病院)には,RFAの適応拡大を達成するまでの紆余曲折を紹介していただきながら,保険適用拡大がなされるまでのプロセスを解説いただく。髙木治行先生ら(兵庫医科大学)には肺RFA,山中隆嗣先生(三重大学)には腎RFA,穴井 洋先生(市立奈良病院)には骨盤内RFA,谷川 昇先生ら(関西医科大学)には骨軟部腫瘍RFA,宮崎将也先生(埼玉医科大学総合医療センター)には類骨骨腫RFAの適応や,手技の実際,合併症,留意点などを詳述いただく。また,アブレーション治療は腫瘍免疫を賦活することも知られている。髙木治行先生らには基礎研究の知見から,アブレーション治療の新たな可能性と今後の治療展開について執筆いただく。本特集が読者の先生方の日常診療に役立ち,多くの患者の笑顔に貢献できれば幸いである。
企画・編集:山門亨一郎 兵庫医科大学 放射線医学教室
特集2:夜間の画像診断体制2023 序説
救急搬送患者数は年々増加し,高齢者の占める割合は60%を超える。24時間継続しなければならない救急診療にあって,十分な体制で診療を行えないことは多く,特に夜間など,研修医や若手医師,または非専門家が診療を担当していることも少なくない。そうした状況では,比較的簡便に客観性の高い情報を提供してくれる画像への依存は高くなりがちで,比較的低い閾値で全身CTが撮られることが多くなったと感じる画像診断医も多いと思うが,この傾向は諸外国でも同じようである。人手あるいは能力不足も十分にありうる状況で,診療の質を担保し,同時に少しでも効率性高く,増え続ける需要に応えるためには,乱用と揶揄されかねない画像診断の「積極活用」は,もはや新しい診療方法といえるのかもしれないが,それに寄り添うことで,画像診断の位置付けがさらに高くなるとも考えられる。
少し古くなるが,コロナ禍前に行われた,救急診療に対する画像診断の実態調査(松本ら,第21回日本臨床救急医学会,2018年,対象:診療担当医,回答者193人)では,常勤放射線科医がいる施設からの回答が多かった(86.9%)が,全体では,「時間外に画像診断の対応はない」との回答が79%を占めた。画像診断関連で「誤ったマネージメントや誤診,見逃しを経験した」は56%,「追加説明や自宅への連絡など,新たな処置や患者対応が必要となった経験をした」は40%,「医療安全委員会への報告や訴訟,示談を経験した」も9%であった。24時間の画像診断サービスについては,「遠隔でもよいから必要」との回答は87.3%に上り,「院内に常駐すべき」の3%と合わせると,90%以上が,24時間サービスを必要と感じていることがわかった。内訳として,24時間サービスを希望する医師は,救急科所属が多く,また,より経験年数の多い医師が多かった。また,すでにオンタイムのサービスを経験している医師は,そうでない医師に比べて,有意に多くニーズを感じていたことは興味深い。
いくら有用性が高いとはいえ,画像診断医不足も相当に深刻である。残念ながら,現場の需要・期待に十分に応えられるだけの余裕は,画像診断側にはない。現場の要求に応えようとすれば,画像診断への負荷は過剰となりえ,日勤帯を含めた放射線診療全体の持続可能性が低くなってしまう。本特集では,救急診療の現実を理解しつつ,問題点を共有しながら,効率的な,持続可能な救急・当直放射線サービスのあり方を考えるべく,専門家,有識者の方々に執筆をお願いした。救急診療の質を保つ,あるいは上げるために,画像診断の果たせる役割はとても大きいことを意識しつつも,画像診断だからこそ推進しやすい持続可能性の高い働き方を模索するうえで参考になれば幸いである。ただし,故石川 徹先生が掲げられた“just be there”の精神は,決して忘れたくないものである。
各原稿の末尾には企画・編集担当からのコメントを入れております。読者の皆様からもぜひ多くのご意見やご質問をお受けしたいと思っています。ぜひ編集部(clinimage@medicalview.co.jp)まで,ご意見,ご質問をお寄せください。
松本純一 聖マリアンナ医科大学 救急医学 救急放射線部門
服部貴行 地方独立行政法人 東京都立病院機構 東京都立広尾病院 放射線科
目次
特集1:適応拡大の今こそ知りたいRFA 企画編集:山門亨一郎
適応拡大にあたって−総論− 山門亨一郎
RFAの適応拡大の紆余曲折 荒井保明
肺RFA 髙木治行
RFAの適応拡大−小径腎悪性腫瘍− 山中隆嗣
骨盤内RFA−主に疼痛緩和を目的に− 穴井 洋
骨軟部悪性腫瘍に対するRFA 谷川 昇
類骨骨腫に対するRFA 宮崎将也
RFAの今後−基礎研究から− 髙木治行
特集2:夜間の画像診断体制2023 企画編集:松本純一,服部貴行
[救急診療における画像検査の適応を考える]
救急診療における画像診断の位置付け−CTは診察手順の一部となったか− 昆 祐理
CTによる被ばくはどの程度危険なのか? −最新の知見とともに考える− 尾田済太郎
[依頼からプロトコルの決定まで]
依頼時臨床情報共有,どうすればうまくいく? 妹尾聡美
「とりあえず単純CT」はだめか? −CTプロトコルの意味− 高橋麻里絵
[夜間画像診断体制のあり方]
夜間休日の画像診断体制のあり方 船曵知弘
聖マリアンナ医科大学の救急放射線体制と医師の働き方改革−「救急放射線」と「当直放射線」− 松本純一
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書籍情報
- ISBN:9784008004309
- ページ数:0頁
- 書籍発行日:2023年8月
- 電子版発売日:2023年8月21日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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