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- 救急医学2023年7月号(47巻7号) 外傷CTは“何のトンネル”だ?
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序文
特集:外傷CTは“何のトンネル”だ?
外傷患者治療における最大の使命は救命であり,次いで機能的予後の改善があげられます。四肢の機能的予後改善も重要ですが,脳の機能的予後がこれよりも重要です。そして,脳機能予後改善にも増して,救命が求められます。
救命の要点は呼吸・循環の維持であり,そのためには,どこにどのような損傷があるのかを把握して,それをいち早く治療し改善させることが求められます。損傷を把握するためには,病歴や身体所見,検査所見が参考になり,処置と並行して施行できる画像検査としては,FAST(focused assessment withsonography for trauma)と呼ばれる超音波検査と,ポータブルでの胸部・骨盤のX線検査が従来から行われてきました。これらの検査から治療方針に必要な情報を得ることができますが,近年ではCT機器の進歩に伴って,圧倒的に情報量の多いCT検査を施行して治療方針を決定することが,実臨床では増えてきていると思われます。
とくに重症外傷診療におけるCTは“死のトンネル”などと表現されてきましたが,近年ではショック時にCTを施行しても死亡率は悪化しないといった,重症例であってもCTを撮影することが許容される可能性を示す報告も出てきました。それがすべての重症外傷診療に適応できるのであれば,たしかにCTは“生へのトンネル”になったともいえます。
しかしながら,CTを“生へのトンネル”として診療に活かすためには,たしかに存在するデメリットに対する理解や,検査施行時のさまざまな工夫,職種の枠を越えた協力体制が求められます。では,実際どのようなことに配慮し,どのように使用すれば外傷CTが“生へのトンネル”となり得るのか。本特集が,それを考え,各施設で実践する一助になれば幸いです。
特集企画ゲストエディター:藤田医科大学病院高度救命救急センター 船曵 知弘
目次
特集
Ⅰ.外傷CTの意義
CTと外傷のかかわり
藤田医科大学病院高度救命救急センター 船曵 知弘
外傷診療におけるCT撮影の考え方─ CTを“死のトンネル”にしないために
日本医科大学千葉北総病院救命救急センター/ショック・外傷センター 益子 一樹 他
CTをその先の治療に活かすために
国立病院機構災害医療センター放射線科 一ノ瀬 嘉明
Ⅱ.領域別─外傷CTの実際
体幹部穿通性外傷診療とCT
慶應義塾大学医学部救急医学教室 山元 良
体幹部鈍的外傷診療とCT
公立豊岡病院但馬救命救急センター 永嶋 太
頭部外傷診療とCT
日本医科大学大学院医学研究科救急医学分野/日本医科大学付属病院救命救急科 松本 佳之 他
四肢・骨盤・脊椎外傷診療とCT
国家公務員共済組合連合会虎の門病院外傷センター 黒住 健人
Ⅲ.機器・環境別─外傷CTの実際
外傷診療におけるCT撮影の工夫─ Canon製機器
済生会横浜市東部病院放射線部 稲垣 直之
外傷診療におけるCT撮影の工夫─ GEヘルスケア製機器
長岡赤十字病院放射線科部 小林 潤
外傷診療におけるCT撮影の工夫─ PHILIPS製機器(IQon Spectral CT)
大阪府立中河内救命救急センター放射線室 中村 賢二
外傷診療におけるCT撮影の工夫─ Siemens製機器
国立病院機構水戸医療センター放射線科 田中 善啓
ハイブリッドERにおける外傷CT─ CTを“生のトンネル”にするために考えるべきこと
済生会横浜市東部病院救急科 妹尾 聡美
ハイブリッドERにおける外傷CT─ Primary CTとそのピットフォール
島根大学医学部Acute Care Surgery講座/同附属病院高度外傷センター 比良 英司 他
連載
救急医四方山話
医師とMBA
仙台市立病院救命救急センター 山内 聡
出張版Dr.ʼs Prime Academia
第7回 ERでのタイムマネジメント術─救急外来の「混雑」について考える
練馬光が丘病院総合救急診療科 北井 勇也
原著論文
悪性疾患に伴う上大静脈症候群に対する放射線治療
埼玉医科大学病院放射線腫瘍科 舟越 和人 他
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書籍情報
- ISBN:9784012004707
- ページ数:128頁
- 書籍発行日:2023年7月
- 電子版発売日:2023年7月7日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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