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- 泌尿器外科 2023年3月号(Vol.36 No.3)【特集】泌尿器科医必見! がんゲノム医療の基本と応用
商品情報
内容
本邦におけるがん遺伝子パネル検査の現状/がんゲノム医療の世界へようこそ/がんゲノム医療時代の遺伝性腫瘍の基礎知識 ほか
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序文
序文
2019年6月にNCCオンコパネルおよびFoundationOne CDxの2つの「がん遺伝子パネル検査」が本邦でも保険収載されてからすでに3年半以上が経過いたしました。診療体制としても,がんゲノム医療拠点病院が指定され,がんゲノム医療を提供する医療機関として,中核拠点病院11施設,拠点病院34施設およびこれらと連携する連携病院122施設(施設数は2022年2月現在)が整備されています。
これらの検査や制度は,悪性腫瘍における数百に上るがん遺伝子変異の有無が短期間に同定されることで,個々の患者ごとに有効と思われる治療を選択する極めて重要な指標を得ることを目標に整備,施行されるものです。わが国の医療においても,がんゲノム検査に基づく個別化医療,精密医療(プレシジョンメディシン)が強力に推進される時代に突入した考えてよいでしょう。
一方で,「がん遺伝子パネル検査」が通常のがん診療において身近な立ち位置に定着したとは到底言いがたい状況だと思われます。日常診療に暇がない臨床泌尿器科医にとっては,「がん遺伝子パネル検査」は特定の施設の腫瘍内科医にお任せする「オプション検査」と考えられているのかもしれません。基本的には,このような医療の細分化は効率的な面も多く,すべてにおいて否定的な視点で評価することは問題だとは思いますが,やはり「医師と患者」または「医師と医師」との良好な関係を構築するためには最低限習得していただきたい知識や技術について,すべてを専門家任せにするのはいかがなものかつくづく感じています。
小生が「がんゲノム外来」の現場で経験する一例をあげましょう。「がん遺伝子パネル検査」に縁のない医師のなかには,「組織ブロック」と「パラフィン包埋ブロック」の貸与をお願いしても「組織プレパラート」しかご提供いただけないことがあります。おそらくは,前立腺がん患者を他院に紹介する際にルーティン化された,「病理検体=プレパラート」の習慣に慣れてしまっているのではないかと拝察します。この事例は,実は稀な例ではないのです(けっして責めているわけではないのでご容赦ください)。この事例における問題は2つあります。1つはやはり「勉強不足」です。もう1つは,「お互いの連携の欠如」です。説明されれば理解できることであり,やはりお互いに尊重し合った人間関係を築くためにも「知識と経験」が重要であることは「がんゲノム医療」の分野も例外ではないのではないでしょうか。そういう意味では,依頼する側にも問題がありますので,最近では,「DNA抽出する際にパラフィン包埋切片が必要になるので,検鏡用のHE染色プレパラートに加えて,組織(ブロック)自体が必要になります」という決まり文句を必ず文面や口頭で沿えるように心がけております。
小生は,臨床の世界で仕事をしながらも多少の基礎研究の経験がございますが,ゲノム関連研究についてはほとんど縁がありませんでした。55歳を過ぎてから半ば仕方なく「がん遺伝子パネル検査」を勉強する羽目になり,実際に患者さんに,①がん遺伝子パネル検査の必要性を説明し,②検査のオーダーを行い,③結果をみてレポート案を作成し,④院内ローカルパネルで議論し,⑤さらに中核病院とのエキスパートパネルで最終結論を導き,⑥最終的に患者さんに結果を説明する,という作業を数十回繰り返してまいりました。この繰り返しでようやくわかったことは,「結局,自分が勉強不足だったのだ」という結論でした。同時に,この世界に入り込んではじめて味わった楽しさもあります。「医師と医師」との関係では,腫瘍内科の先生方はもちろん,他診療科,特に一般内科の先生方との会話や議論が圧倒的に増えました。「医師と患者」との関係面では,患者さんからは時に喜ばれますが,大概において,落胆される姿を拝見して無力感を感じつつも,あきらめずに何か工夫をしてみようという気持ちをこれまで以上に強く持つようになりました。
本企画では,「がんゲノム医療を極めよう」などというハードルの高い目標は定めておりません。一般診療に多忙を極める泌尿器科の医師にとって,遺伝子パネル検査についての詳細と遺伝子バリアントについての細かな知識が必須だとは思わないからです。しかし,がんゲノム医療の大筋の流れを理解しつつがん診療を行う必要がある時代がすでに到来していることだけは理解していただきたいと思います。現在の臨床研究データ偏重の傾向を決して否定している訳ではないのですが,最近のglobal phaseⅢ studyの実情を鑑みると,泌尿器科の世界では「個別化医療」とか「precision medicine」という概念に基づいた治療戦略を構築する気運が薄れているように感じます。「この患者さんにとってベストな治療は何か」という命題に明確に回答するのは容易なことではありませんが,その姿勢を堅持することの重要性をいつも銘記しておいてほしいと思います。
本企画内容を読んでいただいた後で,例えば「泌尿器科がんの診断や治療方法についてもう一度再考してみよう」と思われる読者の方々,特に,今となっては廃語になりつつある「physician scientist」を目指す若手泌尿器医が少しでも増えることを祈念し,序文とさせていただきます。
藤田医科大学がん医療研究センター
住友 誠
目次
特集:泌尿器科医必見! がんゲノム医療の基本と応用
序文
藤田医科大学がん医療研究センター 住友 誠
本邦におけるがん遺伝子パネル検査の現状
藤田医科大学がん医療研究センター 佐谷 秀行,他
がんゲノム医療の世界へようこそ
北海道大学病院医療・ヘルスサイエンス研究開発機構先端診断技術開発センター(C-DAD) 畑中佳奈子
がんゲノム医療時代の遺伝性腫瘍の基礎知識
愛知県がんセンター研究所 井本 逸勢,他
相同組換え修復異常とPARP阻害剤─その耐性獲得メカニズム─
東海大学医学部医学科基礎医学系分子生命科学 谷口 俊恭
がんゲノム医療におけるがん免疫療法の位置づけ
東京大学大学院医学系研究科泌尿器外科学 佐藤 悠佑
リキッドバイオプシーの現状と未来
名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学講座 赤松 秀輔
腸内細菌の遺伝子検査と泌尿器癌
近畿大学医学部泌尿器科 藤田 和利,他
がんゲノム診断の未来
慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット 西原 広史
連載
第145回 泌尿器科領域におけるトラブルシューティング
ロボット支援下手術中のトラブルシューティングと緊急離脱シミュレーション
愛媛大学医学部泌尿器科 雑賀 隆史
総説
ラット副腎皮質ホルモン生合成とコレステロールエステル
あすか製薬株式会社 村越 正典
臨床研究
尿路上皮がんの術後に関するアンケート調査─Urothelial cancer Patient’s Real Intension SurvEy:UPRISE 研究─
小野薬品工業株式会社メディカルアフェアーズ統括部オンコロジーメディカルアフェアーズ部 森島 直士,他
過活動膀胱に対するビベグロン(ベオーバ®錠50mg)の安全性・有効性の検討─ベオーバ®錠 50mg 一般使用成績調査 中間結果報告─
杏林製薬株式会社信頼性保証本部安全管理部 上田 良子,他
症例報告
術後6年再発のない女性尿道憩室癌の1例
聖隷浜松病院泌尿器科 袴田 康宏,他
地方会
第87~89回 日本泌尿器科学会埼玉地方会
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書籍情報
- ISBN:9784019203603
- ページ数:104頁
- 書籍発行日:2023年3月
- 電子版発売日:2023年4月6日
- 判:A4判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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