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- 子宮頸癌取扱い規約 病理編 第5版
商品情報
内容
WHO組織分類(2020年)に基づき病理学的な取扱いを一新。扁平上皮癌、腺癌およびそれらの前駆病変の分類が再編され、HPV関連か、HPV非依存性かによって区分されることになった。また、子宮頸部腺癌の浸潤様式を評価するためのSilvaシステムが新たに掲載されたほか、巻末には精選された106枚の組織図譜や、付録として免疫組織化学に用いる抗体/マーカーの一覧表、外陰腫瘍・腟腫瘍の進行期分類と組織分類が収載されている。
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序文
序文
2014年に改定・出版された世界保健機関(World Health Organization:WHO)による女性生殖器腫瘍分類 第4版(WHO分類 第4版)に準拠した『子宮頸癌取扱い規約 病理編 第4版』が2017年に出版されてから、2018年にはFIGOによる進行期分類の改定、2020年にはWHO分類 第5版の出版が続いた。この間、子宮頸癌をhuman papillomavirus(HPV)との関連の有無によって区別するという方向性がWHOによって打ち出され、組織分類の再編成が進められた。その背景には、HPVワクチンの普及によってHPV 関連腫瘍の罹患と死亡数を減少させるという明確な意思が込められており、その先にはHPV非依存性子宮頸癌の制圧という課題が視野に入っている。近年、次世代シークエンサーを用いた網羅的な遺伝子解析の手法を用いた研究により腺癌を中心としてHPV関連、HPV非依存性子宮頸癌の分子遺伝学的背景とその生物学的特性が明らかにされ、新たな治療戦略の確立に向けて多施設臨床試験など関係者の努力が続けられている。こうした状況のもと、『子宮頸癌取扱い規約 臨床編』が2020年に出版され、これに続いて病理編 第5版を出版する運びとなった。
本書の体裁は第4版を概ね踏襲しているが、読者に配慮して最初に組織学的分類を含む主な変更点を要約した。その次に病理診断報告書の実際の記載法を報告様式(例)として提示し、組織学的予後因子、腫瘍径の評価、治療効果判定やリンパ節転移の扱いに関する解説を加え、切除・摘出検体の取扱いや術中迅速組織診断について解説している。特に適切な検体の取扱いは正確な進行期の決定のみならず、がんゲノム医療において分子遺伝学的解析を行うための高品質のパラフィンブロックを作製するためにも必要不可欠であることから、婦人科医と病理医の連携が図られることを期待したい。進行期分類については、2020年に出版された『子宮頸癌取扱い規約 臨床編 第4版』の内容に準じて「日産婦2020」、「FIGO 2018」を掲載したほか、UICC 2021の日本語訳も追加した。取扱い規約 病理編 第4版で解説した微小浸潤扁平上皮癌の深達度評価、検体処理については図表とともに若干の変更を行って詳述したが、組織診断用語としての扁平上皮内病変 squamous intraepithelial lesion については我が国においても定着したと考えられることから、用語の変遷についての記述は簡潔なものとした。病理編の要となる図譜は第4版に掲載したものに加えて、WHO分類 第5版に対応して適宜追加を行った。なお、外陰がん・腟がんについてはこれまで取扱い規約がなかったことに配慮し、付録の中で進行期分類とWHO分類 第5版における外陰腫瘍、腟腫瘍の分類リストをICD-Oコードとともに掲載した。使用される語句や用語の統一を図り、可能な限り日本産科婦人科学会 編『産科婦人科用語集・用語解説集』に準拠するよう努め、WHO分類 第5版などで採用された新用語については編集委員による議論を踏まえて記述したが、齟齬が生じることがあり得ることをご理解いただきたい。
なお、WHO分類 第5版の編集・改定には我が国からは小西郁生京都大学名誉教授、片渕秀隆熊本大学名誉教授のほか、本規約の編集に関わった清川貴子東京慈恵会医科大学教授、三上芳喜熊本大学教授らが参画し、改定の背景にある思想と議論、歴史的変遷を踏まえながら編集作業を進めることが可能であった。規約の改訂作業は日本産科婦人科学会(婦人科腫瘍委員会および子宮頸癌取扱い規約改訂小委員会)と日本病理学会から委員を迎えて、2021年8月に開始され、8回の会議を経て推敲を重ねて最終稿を確定し、2022年12月に発刊に至った。本規約が子宮頸癌の病理診断の標準化とそれに基づいた最適な診療の実践、臨床研究の発展、癌登録に貢献することを祈念している。さる4月に子宮頸癌ワクチンの政府による接種勧奨が再開されたこの時期に本規約が上梓されることはまさに時宜を得たものであり、医療関係者および一般市民の方々のHPVおよび子宮頸癌への関心の高まりにいささかでも寄与することができれば望外の喜びである。
2022年12月
日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会 委員長 永瀬 智
子宮頸癌取扱い規約改訂小委員会 委員長 馬場 長
日本病理学会子宮頸癌取扱い規約改訂病理系委員会 委員長 三上 芳喜
目次
1.改訂の要点と留意事項
2.病理診断報告書の記載法
a.腫瘍径と深達度の評価
b.組織学的異型度(Grade)
c.子宮傍組織浸潤
d.リンパ節転移の扱い
e.その他の臓器への転移
f.治療効果判定
3.切除・摘出検体の取扱い
a.生検材料
b.子宮頸部円錐切除材料
c.子宮摘出材料
4.術中迅速組織診断
5.進行期分類
a.進行期分類(日産婦2020、FIGO 2018)
b.進行期分類決定のための検査と優先順位
c.TNM 分類(UICC 2021)
6.組織学的分類
a.はじめに
b.組織学的分類およびICD-Oコード
c.組織学的分類の説明
I.上皮性腫瘍 Epithelial tumors
A.扁平上皮病変および前駆病変 Squamous cell lesions and precursors
B.腺腫瘍および前駆病変 Glandular tumors and precursors
C.良性腺腫瘍および腫瘍類似病変 Benign glandular tumors and tumor-like lesions
D.その他の上皮性腫瘍 Other epithelial tumors
II.上皮性・間葉性混合腫瘍 Mixed epithelial and mesenchymal tumors
A.腺筋腫 Adenomyoma
B.腺肉腫 Adenosarcoma
III.胚細胞腫瘍 Germ cell tumors
A.卵黄?腫瘍 Yolk sac tumor
IV.神経内分泌腫瘍 Neuroendocrine neoplasia
A.神経内分泌腫瘍 Neuroendocrine tumor(NET)
B.神経内分泌癌 Neuroendocrine carcinoma(NEC)
C.神経内分泌癌が混在する癌 Carcinoma admixed with neuroendocrine carcinoma
V.間葉性腫瘍および腫瘍類似病変 Mesenchymal tumors and tumor-like lesions
A.平滑筋腫 Leiomyoma
B.生殖器横紋筋腫 Genital rhabdomyoma
C.平滑筋肉腫 Leiomyosarcoma
D.横紋筋肉腫 Rhabdomyosarcoma
E.胞巣状軟部肉腫 Alveolar soft part sarcoma
F.血管肉腫 Angiosarcoma
G.腫瘍類似病変 Tumor-like lesions
VI.メラノサイト腫瘍 Melanocytic tumors
A.青色母斑 Blue nevus
B.悪性黒色腫 Malignant melanoma
VII.リンパ性および骨髄性腫瘍 Lymphoid and myeloid tumors
A.リンパ腫 Lymphomas
B.骨髄性腫瘍 Myeloid neoplasms
7.図譜
8.これまでの既刊の序
付1 子宮頸癌の診断に用いられる免疫組織化学
付2 外陰腫瘍・腟腫瘍の進行期分類・組織学的分類
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書籍情報
- ISBN:9784307301527
- ページ数:136頁
- 書籍発行日:2022年12月
- 電子版発売日:2022年12月13日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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