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見えない発作を見逃さない!ICUでの脳波モニタリング~神経集中治療に強くなる

  • ページ数 : 269頁
  • 書籍発行日 : 2022年12月
  • 電子版発売日 : 2022年12月16日
4,950
(税込)
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商品情報

内容

見た目のけいれんがなくても発作は起きている?患者の脳内で何が起きているかを脳波モニタリングで解明しよう!脳波の基本から正常脳波と異常脳波の見分け方,ICUでの活用法まで実際の症例をもとにやさしく解説!

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序文

序文

脳波と聞いて皆さんはどのような印象をおもちでしょうか?非常に判読が難しく,専門外の医療者は縁がない検査という印象があるのではないでしょうか.私もそうでした.大学の医学部の授業で耳にした脳波学は,興味深くはあったものの,理解が追いつきませんでした.研修医の頃も,脳波を判読している医師の姿を見て,尊敬はしましたが,これは自分には縁のない話だと感じた記憶さえあります.

一方で,神経集中治療を行っていると,脳波の重要性を強く感じます.集中治療で用いる脳波をcritical care EEG とよびますが,それを有効活用するために,何を参考に,またどのように解釈すればいいのかわからないまま月日が流れていったのを覚えています.そんな中,米国の臨床神経生理学会(American ClinicalNeurophysiology Society:ACNS)が提唱するStandardized Critical Care EEGTerminology 2012 やSalzburg Consensus Criteria に辿り着き,私自身は脳波を有効に利用できるようになりました.ただし,非常に難解な文献を読み解きながら,臨床に適応したため,とてつもない労力を要しました.一般的な普及のためには,工夫が必要であると感じていました.

集中治療領域では,critical care EEG はモニタリングとして使用されます.何時間も何日もの間,脳波検査を施行します.情報量はとてつもなく多いです.細部にこだわらず,重要な所見を拾っていくことが大切です.「脳を守るためには脳波から何を効率的に読みとればいいのか?」自然とそのような疑問が湧くはずです.脳波はもっと簡単に臨床活用されるべきです.そこで,私のこれまでの経験をまとめ,皆さんにcritical care EEG の魅力や有効性をお伝えしたいと思い,本書の執筆に至りました.本書は,東京女子医科大学附属足立医療センター脳神経外科の久保田有一先生やTMG あさか医療センター,脳神経外科の中本英俊先生にも執筆をしていただいております.その他,朝霞台中央総合病院(現TMG あさか医療センター)に2016 年に神経集中治療部を設立し,一から試行錯誤しながらcritical care EEG の診療システムを一緒につくり上げていったメンバーで執筆していますので,実臨床で生きる内容になっているはずです.

本来なら二年前に出版を予定しておりましたが,ACNS が大きく改訂され,非常に明快になったため,編者の強い思いから,大幅な延期のもと出版となりました.専門的な内容も少し含まれますが,できるだけ噛み砕いて解説をしています.

本書をきっかけに,少しでも多くの方がcritical care EEG に興味をもってくださり,神経集中治療が発展し,多くの意識障害の患者さんが人生をとり戻せることを期待しています.

それでは,最後までどうぞよろしくお願いします.


2022年11月

TMG あさか医療センター神経集中治療部,脳神経外科,脳卒中・てんかんセンター/
Columbia University Irving Medical Center Neurological ICU
江川悟史

目次

第1章 脳波モニタリングを行う上で知っておくべき脳波の基本【久保田有一】

1.脳波の基本を知ろう

2.正常脳波を学ぼう

第2章 集中治療における脳波モニタリング

1.どのように脳波モニタリングを行う!?【江川悟史】

2.脳波モニタリングの適応と応用【江川悟史】

3.critical care EEGその1:背景活動の異常所見【中本英俊,江川悟史】

4.critical care EEGその2:発作に関連する異常所見【中本英俊,江川悟史】

5.NCSEの診断【中本英俊,江川悟史】

6.てんかん重積状態 〜けいれん性てんかん重積状態を中心に〜【鈴木秀鷹,江川悟史】

7.NORSE【藤本佳久】

第3章 ケーススタディ【中本英俊,江川悟史】

1.皮質下出血症例 〜NCSE without coma〜

2.重症頭部外傷後の昏睡で脳波モニタリングを行った症例 〜NCSE with coma〜

3.意識変容の原因精査を行った症例

4.時間外に緊急で脳波モニタリングを必要とした意識障害の症例

5.急性硬膜下血腫術後に意識障害が遷延した症例

6.難治性てんかん重積状態(RSE)を認めた症例


索引

columns

アーチファクトに関して【江川悟史】

脳波技師とは【福地聡子】

脳波モニタリングの導入実績【鈴木秀鷹】

脳卒中後てんかん【宮尾 暁】

ACNS2021年版におけるNCSEの診断基準の改訂について【江川悟史】

急性症候性発作とてんかんの狭間で【中本英俊】

補足:てんかん重積状態に関連する用語のまとめ【江川悟史】

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書籍情報

  • ISBN:9784758118927
  • ページ数:269頁
  • 書籍発行日:2022年12月
  • 電子版発売日:2022年12月16日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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