UKAマスターバイブル

  • ページ数 : 160頁
  • 書籍発行日 : 2023年2月
  • 電子版発売日 : 2023年1月26日
¥13,200(税込)
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商品情報

内容

人工膝関節単顆置換術(uni-compartmental knee arthroplasty;UKA)は,TKAに比べて侵襲・術後疼痛が小さく,機能回復も早く,なにより患者満足度が非常に高いというメリットがあり,⻑期成績でも良好なデータが得られるようになってきており,近年は手術件数が増加してきている。
本書では,Zimmer Biomet 社による講習会「Oxford® Partial Knee Instructional Course」での講義内容をベースに,UKAの正しい理解と知識習得に向けて,適応,手術手技から合併症や術後評価・患者管理までを詳細に解説する。

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序文

はじめに


人工膝関節置換術は末期変形性膝関節症(osteoarthritisris of the knee;膝OA)に対する治療の最終選択で,関節機能の回復を目指すうえでは敗北ととらえる整形外科医は多いのではないだろうか。人工関節は破壊的であり,一度行うと人体の修復機能や自己保存機能をなくし,後戻りできないと考える。人工関節を適応せざるをえないほど破壊の進んだ膝OAの変性は,すべてのコンパートメントにおよび,すべてを人工材料で置換するべきで,ファーストチョイスは前後十字靱帯を切除するPS型人工膝関節を用いるとし,片側だけに限って置換するのはもってのほかと考える。

不必要な破壊を行わず損傷して機能を失った部分を置換する人工膝関節単顆置換術(unicompartmentalknee arthroplasty;UKA)は,関節機能再建としては部分的であるが,破壊された部分のみを必要十分に補綴する人工関節として臨床応用されてきた。Oxford UKAは関節軟骨面の機能を再現し,半月板の機能をベアリングにもたせ,UKAの最大の欠点である摩耗を解決し,優れた長期成績を得られることが報告されている。2002年からわが国ででも再導入され,本書の執筆陣を始め年々適応が広がり,正しい理解の下,適切な適応と手技により安定した結果が得られるようになった。このことが実感されるに従って,人工膝関節のなかでもUKAは最終に使うという考えから,適切なタイミングで使用するという考えに変わってきたのではないだろうか。

人工膝関節置換術が膝関節の生理的な機能を再建するとすれば,UKAは正常キネマティックスを再現できているといえる。しかし,人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty;TKA)もさまざまな機構を組み込むことでそれを実現してきた歴史をもち,UKAの適応領域をこの30年間ほどで食いつぶしてしまった。今でもUKAの適応をまったく考慮しない術者も多く,使われたとしてもごく限られた症例に対してのみで,始めにUKAの適応がないかを考慮することは少ない。本書の執筆陣は人工膝関節の適応のなかでUKAを用いる割合は3割を超え,筆者は6割に達している。UKAを正しく理解できれば,膝OAの末期の治療法の選択にまずUKAを考えてみることで,現在TKAを行っているなかの少なくとも1/3は,片側置換型のよい適応であることが理解される。

「UKA脳」というかUKAの適応から膝OAを考えていくためには,本書で述べるようにUKAを行うにあたって正常の膝関節と膝OAの病態についての正しい理解が必要である。UKAを用いるにあたっては,変形変性の進行状態は個々に異なり,正確な診断を行って適切な適応をすることが最も重要である。すべての靱帯を温存するUKAでは,個々の変形や靱帯のバランスに合わせて人工関節の設置を最適にするための手術器械と手術手技が必要である。Oxford UKAが開発されて半世紀になろうとしているなかで,ベアリングのデザインなど人工関節そのものにも改良が加えられ,圧倒的に小切開で行える手術器具がデザインされ,さらに安定した結果が得られるようになった。手術中に個々の症例ごとに靱帯などの軟部組織のバランスと人工関節の設置状態を一致させる調整が肝要であり,本書ではこれらのコツについても詳細に述べているのでぜひ参照にしていただきたい。


2023年1月

整形外科吉田クリニック
吉田研二郎



出版の経緯


人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty;TKA)の成績が安定しているのに,どうして人工膝関節単顆置換術(unicompartmental knee arthroplasty;UKA)が必要なの? また,欧米に比して体格が小さい,骨粗鬆症が多い,脛骨内反が強い日本人にもUKAは安定した成績が得られるのだろうか? こう思われている術者もおられるかもしれない。

日本で行われた人工膝関節置換術は,2011年にはTKAが65,684関節(92.8%),UKAが5,092関節(7.2%)であった。それ以後,TKA,UKAともに年々増加しているが,2020年にはTKAが85,216関節(87.3%),UKAが12,376関節(12.7%)と,UKAはこの9年で約2.4倍に増加し,人工膝関節のなかでのUKAの比率も増加傾向にある。2021年にはUKAの比率は13%以上と予測されており,UKAの術後成績がより注目されてきている。これは,適切な適応であれば,TKAよりUKAのほうが低侵襲で患者満足度が高いことの影響があるようだ。 Oxford UKAはPhase Ⅲとして2002年に日本へ導入され,20年が経過した。2002年から毎年,University ofOxfordより教授陣が来日し,「Oxford Partial Knee Instructional Course」というセミナーを行ってきた。2020,2021年はCOVID-19の影響で教授陣の来日が困難であったため,Webinarを行った。このように毎年セミナーを行っているインプラントは,ほかに見当たらない。

日本導入以後もインプラントや手術器具が改良され,日本での良好な中長期成績も報告されてきている。Oxford groupは,人工膝関節の20%以上の適応でUKAを施行している施設の成績は良好で,40~60%が最適であると述べている1)。また,英国のNational Joint Registryでは年間に30例以上UKAを施行する術者のrevisionrateは低いと報告している2)。適応を遵守すれば,日本でのUKAの比率は上昇し,良好な成績が得られる。 今回,日本導入20年を記念して本書の出版を企画した。執筆は,適切な適応と手術手技を用いて良好な成績を収めており,直近5年間にOxford UKAを年間30例以上,人工膝関節に対する比率が30%以上の先生方にお願いした。全員の先生が快く執筆を受けていただき,心より深謝いたします。

本書はUKA,特にOxford UKAの専門書であり,これから手術をしようとする方,もう一度勉強しようという方,以前Oxford UKAを行っていたが最近あまりしなくなった方などのために,Oxford UKAの歴史,適応,術前計画,手術手技,合併症の対処法などを参考になるよう,また,多くの論文をreferencesにしてevidenceに基づくようにした。本書を臨床の場で活用していただけると幸いである。


2023年1月

西宮渡辺病院整形外科/西宮人工関節センター
福岡慎一


【文献】

1) Liddle AD, Pandit H, Judge A, et al. Optimal usage of unicompartmental knee arthroplasty: a study of 41,986 cases from theNational Joint Registry for England and Wales. Bone Joint J. 2015 Nov; 97-B(11): 1506-11. doi: 10.1302/0301-620X.97B11.35551. PMID: 26530653.

2) Mohammad HR, Matharu GS, Judge A, et al. The effect of surgeon caseload on the relative revision rate of cemented andcementless unicompartmental knee replacements: an analysis from the National Joint Registry for England, Wales, NorthernIreland and the Isle of man. J Bone Joint Surg Am. 2020 Apr 15; 102(8): 644-53. doi: 10.2106/JBJS.19.01060. PMID:32004190.

目次

1章 総論

1 UKAの歴史:開発からOxford UKAの導入まで  [吉田研二郎]

はじめに

開発初期:脛骨板

現在のUKAデザインの始まり:1960年代

UKAよりTKA:1970~80年代

UKAの改善:1990年代

小切開UKA

Oxford UKAの導入

おわりに

2 UKAの歴史:2002年の日本導入以後  [福岡慎一]

はじめに

2002年:日本へのOxford UKA導入

2004年:High‒flex femoral component

2005,2010年:Anatomical bearing

2012年:MicroplastyTM

2015年:セメントレスOxford UKA

3 なぜmobile bearing type UKAなのか  [福岡慎一]

UKAの種類

Fixed bearing type UKAの特徴

Mobile bearing type UKAの特徴

なぜmobile type UKAなのか?

4 UKAの臨床成績   [乾 洋]

はじめに

内側型

外側型

2章 Oxford UKAの適応

1 術式の選択・判断基準  [児玉隆夫]

はじめに

準備する画像

Decision Aidを用いて

その他手術適応について

2 Antero‒medial osteoarthritis  [福岡慎一]

はじめに

UKAの適応

術後成績

おわりに

3 骨壊死症(osteonecrosis)  [乾 洋]

はじめに

膝骨壊死症の分類

手術適応

実際のONに対するOxford UKA手術における注意点

脛骨側の骨壊死

4 適応外にする必要のない病態・変性  [児玉隆夫]

はじめに

Oxford mobile UKAの適応

禁忌

考察

まとめ

5 TKAへのコンバージョンを考慮すべき場合  [浜口英寿]

ベアリング脱臼

インプラントのゆるみ

外側変形性膝関節症の進行

ポリエチレンの摩耗

サイズ選択の誤り

“Unexplained pain”

UKAからTKAへのコンバージョンの注意点

3章 手術の実際

1 術前計画・手術準備  [平中崇文]

術前計画

術前準備

2 手術ステップ  [道下和彦]

はじめに

適応:前内側OA

Step 1:脛骨骨切り

Step 2:大腿骨骨切り

Step 3:トライアル設置

Step 4:ギャップ計測

Step 5:ミリング

Step 6:インプランティング

Fixed UKAの手術ステップ

3 Oxford UKAの具体的な手術手技  [吉田研二郎]

はじめに

手術適応

術前計画

手術の流れと具体的な手術手技

おわりに

4 セメンティングテクニック  [福岡慎一]

UKAにおけるセメンティング

セメントの特性

Implant‒cement interface

Cement‒bone interface

まとめ

5 手術におけるピットフォール  [浜口英寿]

展開のピットフォール

脛骨縦切りのピットフォール

脛骨横切りのピットフォール

IMロッドの刺入点のピットフォール

ミリングのピットフォール

伸展ギャップ測定のピットフォール

伸展屈曲ギャップ調整のピットフォール

大腿骨前方クリアランス作製のピットフォール

脛骨トライアルのサイズ決定におけるピットフォール

4章 合併症とその対策

1 骨折,インプラントのゆるみ,モバイルベアリング脱転  [平中崇文]

はじめに

合併症:骨折

合併症:ゆるみ

合併症:モバイルベアリング脱転

2 感染  [武井 聰]

はじめに

診断

治療

まとめ

3 外側軟骨変性進行(lateral progression)  [武井 聰]

はじめに

頻度

外側化の原因

診断

人工関節による治療方法

まとめ

5章 術後評価・患者管理

1 X線評価  [道下和彦]

術後X線評価

術後X線撮影法

X線像による評価

セメント固定における術後X線像透亮像(radiolucencies)

2 術後管理  [富樫栄太]

はじめに

疼痛管理

出血

リハビリテーション

筆者の行っている術後管理

おわりに

これからのUKA  [吉田研二郎]

おわりに  [福岡慎一]

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書籍情報

  • ISBN:9784758321808
  • ページ数:160頁
  • 書籍発行日:2023年2月
  • 電子版発売日:2023年1月26日
  • 判:A4判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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