医療観察法と司法精神科作業療法 臨床ハンドブック

  • ページ数 : 304頁
  • 書籍発行日 : 2022年8月
  • 電子版発売日 : 2023年2月8日
¥4,950(税込)
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商品情報

内容

 医療観察法に基づく医療(医療観察法医療)において、作業療法士はその黎明期から専門的多職種チーム(Multi-Disciplinary Team:MDT)の一員として、一般精神科医療の対象者に比べて、より複雑なニーズを抱える医療観察法対象者の治療に携わってきた。
 本書は、司法精神科作業療法を臨床現場でより効果的に実践するために、また精神障害領域以外の方々にも医療観察法医療と司法精神科作業療法の現状を広く知ってもらうために、医療観察法の施行以来、これまで司法精神科に深く関わってきた経験豊富な作業療法士がその経験知と実践知を余すところなく披露。
 医療観察法病棟に勤務する現任の作業療法士や、新たに医療観察法病棟に配置される作業療法士、指定通院医療機関を中心に地域で医療観察法対象者のケアに関わる作業療法士にとって必携の一冊。


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序文

刊行にあたって

2005年,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療および観察等に関する法律(以下,医療観察法)が施行された.この法律は,心神喪失または心神耗弱の状態において,重大な他害行為(殺人・放火・強盗・強制性交等・強制わいせつ・傷害の6罪種.「対象行為」と称される)を行った者に対し,継続的かつ適切な医療と,その確保のために必要な観察と指導を行うことによって,その病状の改善と同様の行為の再発防止を図り,社会復帰を促進することを目的とする.

この医療観察法に基づく医療(以下,医療観察法医療)において,作業療法士はその黎明期から専門的多職種チーム(Multi—Disciplinary Team:MDT)の一員として,一般精神科医療の対象者に比べて,より複雑なニーズを抱える医療観察法対象者の治療に参加してきた.そして,作業療法士は「人は作業を通して健康や幸福になる」という作業療法の基本理念と学術的根拠に基づいて,対象者の退院後の生活に必要となる生活技能の習得を図り,趣味活動や就労など,対象者にとっての意味のある作業・役割を見出し,その実現を図ることによって,再他害行為を防止し,対象者らしい地域生活の再建を目指す実践を継続してきた.

しかし,MDTとして協働する医師や看護師などの他職種は,作業療法士が対象者の健康的な部分を引き出す関わりが行えることや,日常生活への般化を意識し,社会復帰を見据えた関わりが行えることなどを評価する一方で,作業療法士がどのような職種であり,どのような役割を担うのかを十分に認識していない現状にあり,作業療法士と司法精神科作業療法に関する更なる情報発信が必要な状況にある.また昨今,これまで司法精神科作業療法の発展に寄与してきた作業療法士が異動や退職などによって,医療観察法医療の現場から離れる状況にあり,後進に対する司法精神科作業療法の経験知や実践知の継承が求められる状況にある.

筆者はこうした状況を鑑み,医療観察法医療に深く関わる作業療法士の方々と本書を執筆することによって,医療観察法の施行から16年以上に及ぶ司法精神科作業療法の経験知と実践知を後世に継承したいと考えた.これによって,医療観察法病棟で勤務する現任の作業療法士や,今後新たに医療観察法病棟に配置される作業療法士,指定通院医療機関を中心に地域で医療観察法対象者のケアに関わる作業療法士がより効果的な司法精神科作業療法を実践できると考える.さらには,精神障害領域以外で勤務し,司法精神科医療と司法精神科作業療法に関心を持つ作業療法士や作業療法学生,他の専門職にとっても,医療観察法医療における作業療法士の実践を広く知っていただける良い機会になると考える.

本書が医療観察法医療と司法精神科作業療法の発展のみならず,わが国の作業療法の更なる発展に寄与できれば,それは筆者にとって,望外の喜びである.


2022年6月

【著者を代表して】
大阪府立病院機構 大阪精神医療センター リハビリテーション室
作業療法士 南 庄一郎

目次

第1章 医療観察法と司法精神科作業療法

1 医療観察法と司法精神科医療 棟近展行

司法精神科医療の歴史と医療観察法制定の経緯 

医療観察法の対象者 

医療観察法の処遇の流れと特徴 

刑事司法手続きの流れと触法精神障害者の処遇 

司法精神科作業療法の発展の可能性 

2 指定入院医療機関における医療と司法精神科作業療法 南 庄一郎

指定入院医療機関と医療観察法病棟 

指定入院医療機関(医療観察法病棟)における司法精神科作業療法 

3 指定通院医療機関における医療と司法精神科作業療法 岩根達郎

指定通院医療機関とは 

まとめ,今後の課題 

第2章 司法精神科作業療法の実践に有用なモデルとアプローチ

1)作業療法のモデル

1 人間作業モデル(MOHO) 南 庄一郎

概要 

司法精神科作業療法で人間作業モデルを用いると有用な点 

司法精神科作業療法における人間作業モデルの適応例 

2 川モデル(The Kawa Model) 奥田真由美

概要 

司法精神科作業療法と川モデル 

司法精神科領域における川モデルの実践 

限界 

3 生活行為向上マネジメント(MTDLP) 南 庄一郎

概要 

司法精神科作業療法で生活行為向上マネジメントを用いると有用な点,用いる上での工夫 

司法精神科作業療法における生活行為向上マネジメントの適応例 

4 作業療法介入プロセスモデル(OTIPM) 南 庄一郎

概要 

司法精神科作業療法で作業療法介入プロセスモデルを用いると有用な点,用いる上での工夫 

司法精神科作業療法における作業療法介入プロセスモデルの適応例 

2)アプローチ

1 認知機能リハビリテーション(NEAR を中心に) 岩根達郎

認知機能障害

認知機能リハビリテーション

2 感覚プロファイル 奥田真由美

概要

司法精神科作業療法で用いると有用な点

司法精神科作業療法で用いる上での工夫や課題

適応例(事例を踏まえた実践)

考察

3 社会生活スキルトレーニング(SST) 南 庄一郎

概要

司法精神科作業療法でSST を用いると有用な点と,用いる上での工夫

司法精神科作業療法におけるSST の適応例

4 技能プログラミング 村田雄一

概要

適応例(架空事例を踏まえた実践例)

司法精神科作業療法で用いると有用な点

5 元気回復行動プラン(WRAPⓇ) 立山和久

概要

司法精神科作業療法で用いると有用な点

司法精神科作業療法で用いる上での工夫点や注意点

適応例(事例を踏まえた実践例)

6 ケースフォーミュレーション~作業療法士の立場から~ 岡庭隆門

概要

医療観察法におけるケースフォーミュレーション

司法精神科作業療法におけるケースフォーミュレーションの活用例

支援のポイント

7 クライシスプラン 棟近展行

概要

司法精神科作業療法におけるクライシスプランの作成と工夫

医療観察法医療(司法精神科作業療法)におけるクライシスプランの適用例

8 マイウェイプログラム(患者参加型治療プログラム決定プロセス) 菊池恭介

概要

司法精神科作業療法でこそ有用なマイウェイプログラム

司法精神科作業療法におけるマイウェイプログラムの実践,適応例

第3章 司法精神科作業療法の実践

1 統合失調症の司法精神科作業療法1(指定入院医療機関)~統合失調症事例の心理社会的アプローチで作業療法士の柔軟な役割が求められた事例~岩井邦寿

事例紹介

結果

考察

2 統合失調症の司法精神科作業療法2(指定入院医療機関)~処遇終了後に課題が顕在化した事例~ 奥田真由美

事例紹介

作業療法評価

介入の基本方針および作業療法計画

介入経過

結果

考察

3 統合失調症の司法精神科作業療法3(指定通院医療機関) 児玉和也

はじめに(事例:A 氏)

入院処遇

通院処遇と処遇終了後

考察

4 気分(感情)障害の司法精神科作業療法(指定入院医療機関) 立山和久

成育歴

急性期

回復期

社会復帰期

考察

5 発達障害の司法精神科作業療法(指定入院医療機関) 高岡 崇

発達障害領域の現状について

模擬事例1 自身の病気を受け入れて治療を必要としている事例への関わり

模擬事例2 自身の病気を否定し治療を受け入れることに難色を示す事例への関わり

6 知的障害の司法精神科作業療法(指定入院医療機関)~医療観察法病棟における中等度知的障害者に対する地域生活移行支援~ 南 庄一郎

事例紹介

作業療法評価

介入の基本方針

作業療法実施計画

介入経過

結果

考察

7 重複障害の司法精神科作業療法1(指定入院医療機関)~中等度知的障害を有する統合失調症者に対する長期地域移行支援~ 岡庭隆門

事例紹介

初期評価と治療方針

介入経過

退院申請,退院へ

まとめと考察

8 重複障害の司法精神科作業療法2(指定入院医療機関)~チーム医療における統合失調症と物質使用障害の対象者への作業療法士介入~ 村田雄一

事例紹介

チームにおける評価・治療計画,作業療法介入,経過

考察

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書籍情報

  • ISBN:9784908083822
  • ページ数:304頁
  • 書籍発行日:2022年8月
  • 電子版発売日:2023年2月8日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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