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- 実験医学別冊 もっとよくわかる!腫瘍免疫学 発がん〜がんの進展〜治療 がん免疫応答の変遷がストーリーでわかる
商品情報
内容
免疫チェックポイント阻害剤の登場により注目されている腫瘍免疫学.本書では「発がん」から「治療」まで,がんと免疫との関わりを解説!がん免疫の学びはじめにも,免疫療法を改めて理解するにも最適な一冊.
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序文
はじめに
がんに対して免疫治療が保険承認されてから約10年が過ぎた.特に抗腫瘍免疫応答を負に調節する免疫チェックポイント分子に対する単クローン抗体およびT細胞養子免疫療法が,悪性黒色腫,非小細胞肺がんおよび血液悪性腫瘍などで劇的な治療効果を示したことで臨床応用が進んでいる.しかし,治療効果が限定的であることも明らかになり,治療反応性を向上させる試みとして新規のがん免疫療法の開発,バイオマーカーによる患者層別化に向けた研究が精力的に進められている.LAG3やTIGITなどの新規免疫チェックポイント分子に対する阻害剤の展開,制御性T細胞や腫瘍関連マクロファージなどの抗腫瘍免疫応答に対する多様な免疫抑制機構を標的とした治療法の開発が進んでいる.加えて,殺細胞性抗がん剤やVEGF阻害剤などの分子標的薬との併用といったがん免疫複合療法も検討され,奏効率の向上に寄与している.
また,がん免疫療法の臨床応用は腫瘍微小環境におけるがん細胞と免疫細胞の相互作用についても新たな視点を提供した.特にがん細胞が免疫監視機構を逃避するしくみが次々と解明されている.がん細胞がもつ遺伝子変異が免疫応答に与える影響をかんがみると,これまでとは全く異なるそれらを標的としたアプローチによるがん治療の開発も期待され,プレシジョン医療は分子標的薬のみならず免疫治療にも重要になってくる.
このような現状をふまえ,本書では,がんに対する免疫応答研究の歴史から昨今の臨床応用を含めた急速な研究の進展を取り上げることにした.特に,がんに対する免疫応答を「発がん―がんの進展―がん治療」というフェーズの違いに焦点を当てるという従来にないスタイルで解説した.本研究領域に意欲的に取り組まれている先生方にご尽力いただき,何度も編集会議を重ね,最先端の内容も取り込んで,がん免疫を理解するうえで新しいパラダイムの誕生を感じていただける書になったと自負している.本書ががん免疫に関する研究の基礎から臨床応用までの理解を促進し,がん免疫研究の発展,がんの治癒をめざした効果的な次世代がん免疫療法の開発・確立につながる礎となることを願っている.
2023年2月
西川博嘉
目次
はじめに【西川博嘉】
序章 もっとよくわかる!腫瘍免疫学 発がん,がんの進展,がん治療での免疫応答の変遷【西川博嘉】
1 がん免疫研究の歴史
2 「発がん―がんの進展―がん治療」での免疫応答:がん免疫編集から考えるがん免疫療法
3 おわりに
第1章 がんにかかわる免疫学の基礎
1 がんに対する免疫応答 ― 自然免疫から獲得免疫へ【竹内 理】
1 免疫反応とは
2 自然免疫
3 獲得免疫
2 がんに対する免疫応答調節 ― 免疫監視と免疫寛容【山崎小百合】
1 免疫応答の調節のしくみ
2 免疫寛容のしくみ
3 末梢性免疫寛容におけるTregとDC
4 末梢性免疫寛容と免疫監視
第2章 発がん
排除相
1 外界からの刺激と異常細胞(がん細胞)の発生【竹内 理】
1 発がんの誘導
2 炎症が惹起される機構
3 DAMPsの認識と炎症
4 慢性炎症とがん化
5 感染とがん
6 炎症とがんの進展
7 自然免疫によるがんの排除
2 排除相における免疫監視機構【山崎小百合】
1 排除相で活躍する自然免疫
2 排除相で活躍する自然免疫の主役:NK細胞
3 新しい自然免疫系の細胞:ILCも免疫監視にかかわる
4 NK細胞と同じマーカーをもつNKT細胞
5 排除相における免疫監視機構:自然免疫でも活躍するDC
6 排除相における免疫監視機構:自然免疫にかかわる免疫寛容とのバランス
平衡相~逃避相
3 平衡相における免疫監視機構と免疫選択【前田優香】
1 がん免疫編集説における平衡相
2 ヒトでの平衡相の存在:primary resistanceの誘導
3 ついにがん免疫の存在とがん免疫編集説の立証
4 それでも,やっぱり難しい「平衡相」の理解
5 マウスモデルでの検討による美しい結果
4 逃避相における免疫逃避 ―Adaptive resistance がん組織における免疫抑制機構【前田優香】
1 がん免疫編集説における逃避相
2 結界を築く―次は侵略戦略
3 がんの免疫逃避に関与する免疫抑制細胞
4 がんの免疫逃避に関与する分子
5 がんが慢性疾患になる未来
第3章 がんの進展
1 腫瘍微小環境の違い ―Hot vs Cold tumor【北岡功次,山崎加奈,茶本健司】
1 腫瘍微小環境における4つの分類
2 腫瘍微小環境における免疫学的特徴
3 腫瘍微小環境における間質の性質
4 老化(aging)による腫瘍微小環境の変化
2 腫瘍微小環境の代謝制御【山崎加奈,北岡功次,茶本健司】
1 免疫細胞の解糖系とミトコンドリア代謝
2 ワーブルグ効果(Warburg effect)と乳酸代謝
3 免疫細胞の機能分化における代謝の影響
4 TMEにおけるアミノ酸代謝
3 腸内細菌叢によるがん免疫応答の調節【山崎加奈,北岡功次,茶本健司】
1 腸内細菌叢とICI 治療との関係を示す臨床エビデンス
2 腸内細菌による末梢の抗腫瘍免疫制御機構
3 腸内細菌代謝産物による免疫制御機構
4 がん細胞からみた免疫応答とゲノミクス【河津正人】
1 がんの理解に貢献するゲノミクス
2 抗原提示とネオアンチゲンの予測
3 HLA遺伝子
4 腫瘍細胞の抗原提示と免疫編集
5 腫瘍細胞における抗原提示の障害
5 ヒトにおける臨床的がんの姿【小山正平】
1 臨床的に診断されたがんの免疫学的特性
2 免疫原性が低いcold tumorの臨床的特徴
3 免疫原性が高いhot tumorが有するさまざまな免疫回避機構
4 制御性T細胞の腫瘍内浸潤に関するメカニズム
第4章 がん免疫療法
1 Hot tumorの免疫療法【小山正平】
1 ICI治療における臨床経過のパターン
2 免疫チェックポイントを介した免疫回避とその治療
3 免疫抑制細胞を利用した免疫回避とその治療
2 Cold tumorの免疫療法【保仙直毅】
1 “がんの免疫原性が低い”とはどういうことか?
2 低くても確かにある内在性がん獲得免疫反応を引き出す戦略:ICD の誘導
3 HLA非依存性に人工的な抗腫瘍免疫反応を作り出す戦略
3 免疫解析からみたがん免疫プレシジョン医療【小山正平】
1 ICI治療効果を予測する腫瘍浸潤T細胞を用いたバイオマーカーの開発
2 免疫複合療法前後の腫瘍組織・末梢血を用いた免疫解析:新規治療戦略樹立のために
4 ゲノムからみたがん免疫プレシジョン医療【河津正人】
1 免疫療法とゲノム医療
2 腫瘍遺伝子変異量(TMB)とMSI
3 抗原提示機能に影響するゲノム異常
4 腫瘍細胞の代謝異常を引き起こすゲノム異常と免疫応答
5 免疫反応と関連するその他のゲノム異常
6 分子標的薬とICIの併用療法
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書籍情報
- ISBN:9784758122122
- ページ数:167頁
- 書籍発行日:2023年3月
- 電子版発売日:2023年3月2日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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