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商品情報
内容
病態生理とエビデンスを基に,集中治療と管理の最適解をシンプルに解説。手順がわかる図解(STEPチャート)や薬剤投与例を豊富に取り入れ,「まず何を考え,どう介入するのか」を整理。
初期・後期研修,専門医を目指す人まで役立つ,ベーシックな思考法と介入がわかる実践書!
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序文
序文
2020年以降,現在までの足掛け3年,世界中の集中治療は新型コロナウイルス感染症に翻弄された。しかし同時に,この衝撃的な出来事は,日本国内における「集中治療」や,その実践の場である「ICU」という医学用語を一般社会に大きく広めるきっかけともなった。それまでは,「ICU」といえば都内のキリスト教系私立大学を想起するのが一般的だったが,「ICU」とは急性期医療の最後の砦である集中治療部というユニットを意味する用語であることが知れ渡り,さらには集中治療という医療の重要性も,広く一般国民にも認識されることになったのである。
このような背景のなか,2022年10月には「集中治療科」の標榜が許可されるに至り,長年この領域を専門分野としてきた身として,悲願成就の年となった。自治医科大学卒業後,出身県でのおよそ10年間の勤務ののち母校に戻って以来,30年余を集中治療専従医として過ごし,とうとう今年度末で退任する年齢となったが,悲願成就が最後の年度となったことは感慨深いものがある。
自治医科大学附属病院集中治療部は,国内でもいち早く独立診療ユニットとしてのclosed ICU systemを確立し,院内各科のみならず,院外からも多数の研修医トレーニングを受け入れてきた。その名称も,「集中治療部研修」,「麻酔・集中治療ローテーション」,「麻酔・救急・集中治療パッケージ」などと時代の変遷とともに変わってきているが,この間,私自身も数えきれない数の若手医師とともに寝食をともにしながら成長できたと思っている。退任年度にあたり,母校への恩返しの意味も込めて,初代の窪田達也教授から大竹一栄教授,そして三代目の私へと引き継がれ,ブラッシュアップされてきた研修医トレーニングの要点をまとめることができたのは,編者の小山寛介准教授をはじめとする教室員や,関係するすべての方々のご尽力の賜物であると感謝に耐えない。
本書をきっかけに,多くの若手医師が集中治療医を志してくれることになれば,企画者として望外の喜びである。
2023年2月
自治医科大学
麻酔科学・集中治療医学講座集中治療医学部門
布宮 伸
目次
1章 ICU概論
1. ICUの適応 (小山寛介)
2. ICUにおけるチーム医療 (小山寛介)
2章 重症患者管理の基本
1. 重症患者の診かた・考えかた (小山寛介)
2. ICUプレゼンテーション (小山寛介)
3章 臓器管理Ⅰ(評価編) ICUフレームワーク
1. 重症患者への初期アプローチ (小山寛介)
2. 臓器別アプローチ~ System by System (小山寛介)
3. 重症患者管理ルーチン (小山寛介)
4. 循環と呼吸の評価 (小山寛介)
4章 臓器管理Ⅱ(治療編) ICUインターベンション
1. 酸素療法
① 酸素マスク・カニュラ (藤内 研)
② 高流量鼻カニュラ/high flow nasal cannula (藤内 研)
③ NPPV (藤内 研)
2. 人工呼吸管理(初期設定)
① 人工呼吸器の設定 (小山寛介)
② 換気モード (小山寛介)
③ PEEPの設定 (小山寛介)
3. 人工呼吸管理のチェック項目
① グラフィックモニタリング (方山真朱)
② 非同調 (方山真朱)
③ 人工呼吸関連肺合併症 (方山真朱)
4. 人工呼吸器のウィーニングとSBT (藤内 研)
5. 呼吸不全に対するレスキュー治療
① 肺リクルートメント (方山真朱)
② 腹臥位療法 (方山真朱)
③ 持続筋弛緩 (方山真朱)
④ NO療法 (方山真朱)
⑤ VV-ECMO (方山真朱)
6. 気管挿管,気道の管理 (小山寛介)
7. 輸液蘇生と体液量の評価 (小山寛介)
8. 循環補助デバイス
① 補助循環デバイス (小山寛介)
② IABP(大動脈内バルーンパンピング) (小山寛介)
③ VA-ECMO (小山寛介)
④ Impella® (小山寛介)
⑤ 一時的ペースメーカ (小山寛介)
9. CHDF(持続的血液濾過透析) (小山寛介)
10. 重症患者に対する輸血療法 (鯉沼俊貴)
11. 重症患者における感染症治療
① 感染症に対するアプローチ (鈴木 潤)
② 抗菌薬療法 (鈴木 潤)
12. 栄養療法 (方山真朱)
13. 鎮痛・鎮静,早期離床
① 鎮痛・鎮静~「痛み」の管理 (小山寛介)
② 鎮痛・鎮静(非薬物的アプローチ) (福田侑子)
③ 離床・リハビリテーション (直井為任)
14. 神経集中治療と脳保護 (長友香苗)
5章 臓器管理Ⅲ 臓器障害の管理
1. 急性循環不全(ショック) (小山寛介)
2. 急性呼吸不全 (小山寛介)
3. ARDS( 急性肺損傷)
① ARDSの病態生理と診断 (方山真朱)
② ARDSの管理(肺保護戦略) (方山真朱)
4. AKI(急性腎障害) (後藤祐也)
5. 凝固障害と血小板減少
① 凝固障害 (小山寛介)
② 血小板減少~ DICと類縁疾患 (小山寛介)
6. せん妄
① せん妄の特徴と診断 (小山寛介)
② せん妄の管理・予防 (長友香苗)
③ せん妄に対する看護ケア (茂呂悦子)
6章 ICUでよくみる問題へのアプローチ
1. 血圧の低下 (小山寛介)
2. 血圧の上昇 (小山寛介)
3. 尿量の減少 (小山寛介)
4. 多尿 (小山寛介)
5. 頻脈 (小山寛介)
6. 徐脈 (小山寛介)
7. 経皮的酸素飽和度(SpO2 )の低下 (小山寛介)
8. 意識障害(覚醒度の低下と意識変容) (小山寛介)
9. 不穏 (小山寛介)
1.. 発熱 (小山寛介)
7章 ICUモニタリング
1. 基本モニタリング
① 4つの基本モニタ(心電図,動脈圧,SpO2 ,ETCO2 ) (小山寛介)
② CVP(中心静脈圧) (小山寛介)
2. 循環(前負荷と心拍出量)のモニタリング
① APCO (藤内 研)
② 経肺熱希釈法(TPTD) (藤内 研)
③ 肺動脈カテーテル(PAC) (鯉沼俊貴)
3. BISモニタ (佐多奈歩)
4. 動脈血液ガス(酸・塩基平衡)の読みかた (方山真朱)
5. 電解質モニタリング
① Na異常 (小山寛介)
② 低Na血症 (小山寛介)
③ 高Na血症 (小山寛介)
④ カリウム(K)異常 (小山寛介)
8章 ICUにおける画像検査
1. 胸部X線 (藤内 研)
2. 胸部CT (藤内 研)
3. 心エコー (藤内 研)
4. 肺エコー (原 鉄人,鈴木昭広)
9章 ICUで使用される輸液・薬剤投与の仕方
1. 循環作動薬(カテコラミン類) (小山寛介)
2. 抗不整脈薬 (小山寛介)
3. 鎮痛薬 (小山寛介)
4. 鎮静薬 (小山寛介)
5. 利尿薬 (小山寛介)
6. ステロイド (藤内 研)
7. 抗凝固薬 (小山寛介)
8. 腎機能障害・肝機能障害に対する薬剤の調節 (今関 稔)
9. 肥満・るい痩に対する薬剤の調節 (今関 稔)
10章 代表的な疾患に対する集中治療管理
1. 敗血症 (小山寛介)
2. 予定手術患者の術後管理 (小山寛介)
3. 急性心不全 (小山寛介)
4. 肺水腫(心原性と非心原性) (小山寛介)
5. 不整脈
① 頻脈性不整脈 (小山寛介)
② 徐脈性不整脈 (小山寛介)
6. 気管支喘息 (藤内 研)
7. COPD (藤内 研)
8. 急性膵炎 (富岡義裕)
9. てんかん重積状態 (長友香苗)
10. 熱傷 (米川 力)
11. 熱中症 (米川 力)
12. 多発外傷 (松村福広,新庄貴文)
13. 頭部外傷 (伊澤祥光)
14. 血液悪性疾患 (今長谷尚史)
15. 脳死と臓器移植
① 臓器移植 (今長谷尚史)
② 脳死下臓器提供と心停止後臓器提供 (今長谷尚史)
11章 ICU患者において注意すべき病態
1. 腹部コンパートメント症候群(ACS) (鯉沼俊貴)
2. PICS (今長谷尚史)
3. ICU-AW (今長谷尚史)
4. フレイル(frailty) (今長谷尚史)
12章 意思決定と倫理
1. 倫理 (今長谷尚史)
Note
・ナラティブとストーリー
・ベンチュリー効果とは
・ventilator or respirator?
・動脈血液ガス測定のタイミング
・機種によるモード名称の違い
・強制換気とは
・サイクル~吸気を終了させる機構
・トリガー~吸気を開始させる機構
・ECPELLA
・プレショックと代償反応
・worm shockとcold shock
・敗血症の凝固障害
・von Willebrand因子
・乏尿の定義~どこまで尿量減少をみていいのか
・急性脳障害
・意識清明とは?
・術後せん妄とBIS値
・自由水
・尿浸透圧と尿比重
・初期補正量の理論値
・麻薬(narcotics)
・LVEF分類は収縮障害・拡張障害の分類ではない
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書籍情報
- ISBN:9784758313094
- ページ数:592頁
- 書籍発行日:2023年3月
- 電子版発売日:2023年3月23日
- 判:B6変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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