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- ダヴィンチ導入 完全マニュアル
商品情報
内容
手術支援ロボット“ダヴィンチ”(da Vinci Surgical System)の導入から稼働までを実体験に基づいて時系列に沿って解説。導入要件の確認からチーム編成,導入前の準備,見学やシミュレーションについて,中小規模の市中病院での具体的な体験談・写真を多数用いて詳細に説明している。さらに,ダヴィンチ本体の扱い方や点検,洗浄・滅菌方法についても,わかりやすく解説。泌尿器科・消化器外科の視点で,看護師・医師・臨床工学技士・医事課職員の各メンバーに必須の情報を漏れなく記載した。
導入時に困ったことや,それをどのように乗り越えたかの生の声も随所に掲載。書き込みスペースやチェックリストも用意されており,本書をなぞれば「ダヴィンチ」導入までの一連の流れを理解することができる。
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
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序文
序文
「ダヴィンチを導入するための教科書って,どこにもないんですね」
2022年4月のある月曜日,手術が終わり一息ついていたところ手術室看護師の小松君から言われた。インターネットで調べてみると,どうやら本当に一冊もない。医者の,手術手技のための教科書しかないのだ。
「小松君,ないなら我々で作ろう」
その日から本書のプロジェクトは始まった。一緒に何冊も医学書を作っているメジカルビュー社の辣腕編集者さんに「ダヴィンチ導入本が必要だ」と熱っぽく話すと,しかし「???」という顔。ダヴィンチ手術の保険適用がどんどん拡大していること,ダヴィンチシステムに加えhinotoriTM など他ロボットも参入しこれからはロボット手術時代が来ること,しかし導入は簡単ではなく,多くのハードルと落とし穴があることを2時間かけて説明した。
ダヴィンチ手術は,外科医にとってとても「ラク」な手術だ。誤解されては困るが,外科医にとって「ラク」とは,そのぶん質が高い手術が行えることを意味する。長いさいばしで食事をするような,そもそも無理のある腹腔鏡手術に比べて,ロボットはとても快適に切ったり縫ったりできるのだ。手ブレ防止機能があり,手先が器用になるスケーリング機能があり,人間の手首の倍は回る関節可動域があり,どれだけずっと持っていても疲れない鉗子がある。術者は3D で快適な視野を,手洗いせずに椅子に座って自在に動かす。 私は消化器外科医として各種専門医をほぼ最速で取り,現在も第一線でロボット手術を執刀する一方で,手術業界をひろくウォッチする医療ジャーナリストをしている。その目から言えることは,「今後,あらゆる手術はロボット手術になる」である。これから起きること。それは,各社が手術ロボットを販売することにより価格競争が起き,導入コストが下がり,一気に日本で購入する病院が増える。10年もすれば手術をする病院の半分ほどは導入している可能性だってある。
そんな現状で,本書は,
・ダヴィンチ導入をうっすら考えている医師,事務担当者
・ダヴィンチ導入が決まった病院の看護師,医師,事務担当者に向けて書かれた。
本書の特徴は,
「ダヴィンチ導入に必要なすべての情報を掲載した」
ことである。
「すべての情報」とは,ロボット手術に必要な機器のリストと実際の配置,泌尿器科や消化器外科の術式の流れのみではない。販売元であるインテュイティブサージカル社とのやり取りや,保険償還のための施設基準と術者基準のチェック,導入前の他院見学チェックリストからエキスパート招聘にかかる費用,そして自院でのロボット手術チームのメンバーリスト,さらには手術中のトラブルシューティングについてもまとめた。
さらなる本書の特徴として,「大病院ではない中小病院で,ロボット手術を安全でスムーズに導入するコツ」が盛り込まれている。大病院であれば人員や部屋などに余裕がある。が,本書をまとめた湘南東部総合病院は約400床の中規模病院で,稼働する手術室は3室と多くはない。常勤の手術室看護師はわずか12人だ。部屋の広さなど,多くの制限があるなかでのロボット手術導入には多くの困難があり,そこから生まれたコツがある。それを,私と当院手術室看護師が熱を持って書き上げた。
想定する読者は,医師,手術室看護師,病院長や経営幹部,臨床工学技士,医事関係・用度関係の事務の方々だ。読者は,本書をそのまま遂行するだけでスムーズにロボット手術を導入できるだろう。本書の使い方としては,ロボット手術の導入が決定した病院では,執刀医のみならず,手術室看護師に熟読してもらうことを強く薦める。意外と思われるかもしれないが,ロボット手術導入のリーダーとなり関係各所に目を配って指示を出すのは,医師ではなく手術室看護師だからだ。導入には病院幹部,外科系医師,手術室看護師,臨床工学技士,医事課などの事務,業者の方々など,多くの職種の密な連携が必要になる。全体像を把握し,抜けがなくプロジェクトを推進する船長役は,看護師でなければ難しい。それを,2病院での立ち上げを経験した私は身を持って実感している。
本書は,ほとんどの病院でダヴィンチ導入のきっかけとなる泌尿器科と消化器外科にフィーチャーして書かれた。今後,改訂とともに産婦人科,呼吸器外科なども追加していく必要があるだろう。
本書が,ロボット手術を導入するすべての病院への助けとなれば,望外の喜びである。
2022年秋 茅ヶ崎の病院手術室にて
湘南東部総合病院外科 医師 中山 祐次郎
目次
SECTION 1 見落としを防ぐ導入までのチェックリスト
1 . 導入条件は満たせているか
① 施設条件の確認
② 術者条件の確認
③ 全体のスケジュールの把握
2 . ロボット導入チームを結成する
① メンバー編成
② ミーティングを開く
3 . チーム内での役割分担
① 医事課とのセッション
② 医師が主導して行うべきアクション
③ 臨床工学技士が主導して行うべきアクション
④ 看護師が主導して行うべきアクション
4 . 見学~実際のセッティングまで
① 手術見学
② トレーニングコース受講
③ シミュレーション(結腸手術)
④ 患者入室前からロールイン
SECTION 2 ダヴィンチの使い方を知り尽くす
1 . 装置概要
2 . 入室前の部屋・物品準備
3 . 機器保管場所
4 . セットアップ
5 . 術中点検
6 . ロールアウト~収納
7 . 器具の洗浄・消毒・滅菌方法
SECTION 3 いざ手術
1 . はじめの10例で特に注意すべきこと
2 . 泌尿器科:前立腺全摘術,腎部分切除術
3 . 消化器外科:胃癌手術
4 . 消化器外科:大腸癌手術
SECTION 4 トラブルシューティング
コラム
手術ロボットは本当に必要か?
ダヴィンチ,買うならX かXi のどちら?
患者さんはロボット手術をどう思っている?
ロボット手術を執刀しているのってどんな感じ?
ハーモニックか,バイポーラか
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書籍情報
- ISBN:9784758307604
- ページ数:168頁
- 書籍発行日:2023年4月
- 電子版発売日:2023年3月29日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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