性感染症診療マニュアル ─達人の口伝編─

  • ページ数 : 148頁
  • 書籍発行日 : 2021年12月
  • 電子版発売日 : 2023年5月18日
¥6,600(税込)
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商品情報

内容

日本性感染症学会理事長 三鴨廣繁先生ご推薦! STI(性感染症)は患者にとってデリケートな問題であり,医師も診療にあたっては性感染症特有の性質を知っておく必要がある.本書ではSTI診療未経験者を念頭に置き,3人の達人が診療に際して最低限知っておくべき知識と技術をレクチャーします.

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序文


性感染症(sexually transmitted infection:STI)に罹患し受診してくる患者は,心配,羞恥,後悔など,心理面でも負荷をせおって,医家の門を叩きます.その状況下で医師は,患者の意をどのように汲み取って,診療を進めていくかといった実際面を解説した著書が今まで見当たらないので,そこにひとつの力点をおいて,企画を立てました.外来診療の中で性感染症をどのような流れで診断・治療するか,患者にどう接するか,といった日常的な事柄を取り上げつつ,疾患への理解も深めてもらうのが本書の狙いです.

患者の気持ちを解きほぐし,一方で,確実に診断し首尾よく完治させてあげるには,医師の頭に定石と鑑別と必要な検査手順がまずしっかりと組み込まれていること,いったん診断が確定したら,適正な治療手段を提示し,患者の心配を理解しつつ治癒までを見届けるロードマップを示せることが肝要です.

現在の日本では性感染症科あるいは性病科という標榜名が認められておらず,性感染症皮膚科,性感染症泌尿器科,性感染症内科という具合には標榜できますが,それらではこの分野が広く包含できないという難点があります.以前に性病科の標榜が認められていた時期にそれを取得している場合は既得権として引き続き標榜できますが,最近では医師の世代交代で性病科は減ってしまいました.

性感染症科という包括的な標榜ができない現在,性感染症の患者は,多くが泌尿器科,産婦人科あるいは皮膚科を受診していることと思われます.実際には,初発症状から耳鼻咽喉科,眼科,そして内科を訪れる患者も少なくはなく,本書では,咽頭感染のことなどにも可及的に言及はしていますが,まずは,性器周辺の症候・疾患を正確に把握していただくことに力点を置いた解説となっていることをご了解いただきたいと思います.

本書籍では,関東と関西とで性感染症の診療を長年,第一線で続けておられるまさに達人である尾上泰彦先生と古林敬一先生とに第1 章では荒川創一を交えた鼎談で診療のポイントを語っていただき,第2 章で古林先生に疾患ごと系統的なミニ解説,第3 章で尾上先生にアトラスで,各性感染症のより具体的な解説をしていただいています.

第1 章で語られている行間を理解していただいたうえで,第2・3 章で,さらに正確な知識を固めていただく構成となっており,開業医の先生方は診察室の机上にいわば「虎の巻」として本書を常備していただければ,きっと診療のお役に立つと考えております.

私自身,泌尿器科医ですが大学病院に籍を置いていた時期が長く,その間は,第一線の医療機関に非常勤で診察担当する折に,性感染症診療を経験してはいましたが,現在は市民病院に勤務し様々な病態のSTI に接し,その奥の深さに改めて目覚めているところです.

紀元前ヒポクラテスの時代から記載がある性感染症,人類とともに歩んできたその病原微生物の不可思議さ,それらの実際を診察室で体得しつつ,適切な診療を施すためにこの指南版を是非,座右書にして活用いただければ幸いです.


2021 年11 月

荒川創一 記

目次

1章 達人が伝授するSTI診療の基本とコツ 荒川 創一,尾上 泰彦,古林 敬一

1 STI診療を取り巻く状況─インターネット時代に医師が知っておくべきこと─

1.インターネット時代の患者さんの特徴

2.自己検査・自己治療の可能性を常に忘れない

2 STIの特徴を踏まえた診療方針

3 STIに関する基本方針を実現するため,クリニックレベルで準備するもの

1.必要なもの①顕微鏡とグラム染色液

2.簡単グラム染色!バーミー法

3.必要なもの②つまようじ

4.必要なもの③点眼瓶と生理食塩水

コラム 内診台は必要か?

コラム グラム染色のトリビア

5.必要なもの④拡大鏡

6.必要なもの⑤参考書籍

4 問診

1.問診の手順

2.患者の思い込みに引きずられないためには

3.オーラルセックスの既往

4.男性に対する問診の注意点

5 身体診察

1.採尿はあとで……

2.陰部の診察手順

コラム 亀頭にカスが出ると……

コラム CU(クラミジア性尿道炎)とGU(淋菌性尿道炎)の違い

3.オプショナルな診察

コラム 頸管粘液の性状から淋病がわかるか?

4.咽頭検体

5.女性の場合

コラム 咽頭・性器から見つかる髄膜炎菌について

6.マスクの必要性

コラム おぼえておきたい知識

6 検査

1.STI 検査のジレンマ

2.淋菌の培養

3.郵送自己検査で「XX陽性」の結果を持ってきた場合

4.クラミジアの検査について

5.近所の耳鼻科の先生と仲良くなろう

6.鏡検を患者さんにも見てもらうことのメリット

7.鏡検所見のカルテ記載

7 症状から診断へ

a 尿道炎・膀胱炎様の症状

1.女性の膀胱炎症状ではSTIを鑑別にいれる

2.尿道炎の定義

3.尿道炎の原因微生物

4.尿道炎を疑った場合の検査

5.採尿について

6.淋菌とクラミジアの同時検査

b 陰部が痒い

1.ケジラミ

2.外陰部瘙痒症

3.亀頭炎(亀頭包皮炎)

4.カンジダ(訴えへの対応)

5.子宮頸管炎

6.トリコモナス腟炎

c 帯下

1.細菌性腟症

d 陰部周辺に発疹・きずができた

1.非STI

2.STI

e 無症状

1.無症状だがSTI が心配

2.検査する意味の少ない検査

8 診察結果の説明

1.診察結果の説明

2.パートナーの検査結果と食い違うとき

9 治療

1.抗菌薬のネット購入

コラム 梅毒疑い患者への対応

2.抗菌薬をほしがる患者さんへの対応

3.使用中の薬を聞きとる

4.腎機能の評価が必要な薬

5.非淋菌性尿道炎(NGU)の治療

6.尿道炎治療後も症状を訴える患者

7.梅毒の治療中の一時的な潰瘍の増大

8.治療経過が思わしくないとき

10 その他:患者からの質問に答える

1.性器ヘルペスや尖圭コンジローマの感染性

2.どっちが先かの問題

2章 Dr.古林の【経験主義的】疾患別ミニ解説 古林 敬一

A.尿道炎・子宮頸管炎

1 尿道炎

2 子宮頸管炎

3 淋菌性尿道炎

古林コラム 淋菌のグラム染色:読影のコツ

4 淋菌性子宮頸管炎

参考 髄膜炎菌性尿道炎・子宮頸管炎

5 非淋菌性尿道炎

6 非クラミジア性非淋菌性尿道炎

参考 遭遇する主な病原微生物(頻度順)

7 クラミジア性尿道炎

8 クラミジア性子宮頸管炎

9 マイコプラズマ・ジェニタリウム性尿道炎

Dr. 荒川の早耳情報 マイコプラズマ・ジェニタリウムの検査薬が一歩前進

10 ウレアプラズマ・ウレアリティカム性尿道炎

11 トリコモナス性尿道炎

12 トリコモナス性腟炎

13 アデノウイルス性尿道炎

14 単純ヘルペスウイルス(HSV)性尿道炎

B.外陰部の発疹

1 梅毒

古林コラム 梅毒用「新薬(旧薬?)」の発売

2 溶連菌性亀頭炎

3 溶連菌性外陰炎

4 性器ヘルペス

5 尖圭コンジローマ

6 陰部伝染性軟属腫

7 ケジラミ症

8 カンジダ性亀頭包皮炎

9 外陰部腟カンジダ症

10 細菌性腟症

11 陰部帯状疱疹

12 外陰部瘙痒症

13 接触性亀頭包皮炎・外陰炎

14 陰茎モンドール病

15 陰部固定薬疹

3章 尾上アトラス 尾上 泰彦

A.生理的状態

1 Pearly penile papules

参考 Vestibular papillae of the vulva(腟前庭乳頭腫症)

2 カウパー腺液

3 タイソン腺

4 Fordyce状態

B.STI

1 淋菌性尿道炎

①男性発症例

参考 淋菌性側菅炎

②女性発症例

参考 淋菌性バルトリン腺炎

参考 淋菌性子宮頸管炎

2 クラミジア性尿道炎

参考 クラミジアと淋菌の膿汁の比較

参考 咽頭所見:クラミジアも淋菌も非特異的で区別はつかない

参考 クラミジア性子宮頸管炎

3 トリコモナス性尿道炎・腟炎

4 アデノウイルス性尿道炎

5 梅毒

①早期梅毒第1期

A.初期硬結

B.硬性下疳

C.無痛性横痃

②早期梅毒第2期

A.梅毒性バラ疹(roseola syphilitica)

参考 梅毒性乾癬

B.扁平コンジローマ

C.口腔粘膜疹(butterfly appearance)

尾上コラム わが国の市場からペニシリンG 筋注製剤が消えた理由

6 軟性下疳

7 性器ヘルペス

①初感染・男性

②初感染・女性

参考 Elsberg 症候群

③再発・男性

④再発・女性

⑤性器外感染

8 尖圭コンジローマ

①男性発症例

②女性発症例

③肛門所見

参考 HPV感染による口腔内の乳頭腫

参考 Bowen様丘疹症

参考 イミキモド(ベセルナ ®)クリームの副作用

9 性器伝染性軟属腫

①男性発症例

②女性発症例

10 ケジラミ症

11 疥癬

C.STI関連疾患

1 糖尿病性亀頭包皮炎

参考 その他の亀頭包皮炎

2 外陰部腟カンジダ症

3 陰部帯状疱疹

D.その他

1 嵌頓包茎

2 陰茎縫線嚢腫

3 非性病性硬化性リンパ管炎

4 亀頭粘膜下血腫

5 陰部固定薬疹

6 精索静脈瘤

7 ベーチェット病

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書籍情報

  • ISBN:9784059884033
  • ページ数:148頁
  • 書籍発行日:2021年12月
  • 電子版発売日:2023年5月18日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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