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入院時重症患者対応メディエーター養成テキスト
日本臨床救急医学会 教育研修委員会 入院時重症患者対応メディエーター養成小委員会 (編) / 一般社団法人日本臨床救急医学会 , 一般社団法人日本クリティカルケア看護学会 (監) / 救急認定ソーシャルワーカー認定機構 (編集協力) / へるす出版
商品情報
内容
重症患者やその家族らと医療者の架け橋となって対話を促進し,意思決定支援を行う入院時重症患者対応メディエーター。その養成講習用テキストとして本書が誕生しました。入院時重症患者対応メディエーターが活躍し,重症患者に効果的な支援を行うためには多職種の理解が必須です。講習の受講者・修了者だけでなく,入院時重症患者対応メディエーターの役割を理解する必要のあるすべての医療関係者必読の一冊です。
・講習用資料を全面的に改訂!
・2022年度より新設の「重症患者初期支援充実加算」の説明を追加!
・対話の場の設定から視線の動きに至るまで,具体的なメディエーションスキルを解説!
※講習会の内容や日程など,最新の情報は入院時重症患者対応メディエーター養成講習ホームページをご覧ください。
※本製品はPCでの閲覧も可能です。
製品のご購入後、「購入済ライセンス一覧」より、オンライン環境で閲覧可能なPDF版をご覧いただけます。詳細はこちらでご確認ください。
推奨ブラウザ: Firefox 最新版 / Google Chrome 最新版 / Safari 最新版
序文
緒言
突発的な外傷や突然の疾病により救命救急センターや集中治療室に入院した救急患者の家族らは,精神的に不安定で医療者側の説明による治療方針やその内容の理解が困難な状況にある。偶発的な事故や突然に発症した重篤な疾病により入院した医療機関から連絡を受けた患者家族らが患者に面会する際には,元気であった姿とまったく異なった様相に大きな衝撃を受け,精神的,心理的に動揺し,恐怖,悲嘆などの反応を示す。一方,患者の病態変化が激しいため救急医や集中治療医,脳神経外科医などの主治医,看護師やその他の医療スタッフは患者の容態変化の対応に追われ,患者家族らへの説明に十分な時間を確保することができない状況である。
その結果,患者家族らが十分納得した治療とならない場合がしばしば発生し,時には医療不信を招き,家族らの悲しみはさらに強くなる。このような事態を回避するために,医師,看護師に加えて,入院時重症患者対応メディエーター(以下,メディエーター)と呼ばれる職種が患者家族ら側と医療者側との仲介を行い,患者家族ら側に対して医療機関から示される病態の説明や治療方針,治療内容の理解を促し,治療に必要な患者家族らの意思決定を支援する。
メディエーターの活躍は救命救急センターや集中治療室などに入院している患者の家族らの理解や満足度の向上につながり,その配置は,重症患者の診療・治療に際し必要とされる患者家族らの意思決定を支援する。また,そのようななかで脳死とされ得る状態となり,看取りの医療が必要となった際などには,選択肢の一つである臓器提供に関する意思決定の支援も可能となると期待され,平成29~令和元年度厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)「脳死下・心停止下における臓器・組織提供ドナー家族における満足度の向上及び効率的な提供体制構築に資する研究」(研究代表者:横田裕行)における「臓器提供時の院内コーディネーションに関する研究」(研究分担者:三宅康史)でメディエーターの育成に向けた議論がなされた。そして,同研究班と日本救急医学会,日本臨床救急医学会の協力の下に令和元(2019)年9月と令和2(2020)年1月に養成講習会が対面式で開催された。その後,令和2~4年度厚生労働科学研究費補助金(移植医療基盤整備研究事業)「脳死下,心停止後の臓器・組織提供における効率的な連携体制の構築に資する研究」(研究代表者:横田裕行)の分担研究「重症患者対応メディエーター(仮称)のあり方に関する研究」研究班(研究分担者:三宅康史)と日本臨床救急医学会教育研修委員会と共同でメディエーターの育成を積極的に行う予定であったが,新型コロナウイルス感染拡大により対面式の講習会開催が不可能となり,リモート形式の開催に変更し,急遽リモート開催に対応する教材の作成を行った。その結果,令和4(2022)年2,3月〔令和3(2021)年度〕に講習会を計4回開催し,計71名が受講した。令和4年4月の診療報酬改定のなかで,「重症患者等に対する支援に係る評価」が新設され,メディエーターの配置が算定可能となった。そのような状況も背景となってメディエーターが注目され,令和4年度には前述の厚生労働省研究班と日本臨床救急医学会教育研修委員会によって計12回の講習会が開催され,360名が受講した。
本テキストは講習会参加者の教材であり,また日常診療のなかでのメディエーターのあり方の一端を示したものである。本テキストが,救急・集中治療を必要とする重篤な急性期患者,その家族や関係者などと医療機関側のスタッフとの良好な仲介者となるメディエーターの育成に寄与し,患者側の意思決定支援の促進や満足度向上に資することを祈念している。
厚生労働科学研究費補助金(移植医療基盤整備研究事業)「脳死下,心停止後の臓器・組織提供における効率的な連携体制の構築に資する研究」
研究代表者 横田 裕行
日本体育大学大学院 保健医療学研究科長/教授
緒言
入院時重症患者対応メディエーターの存在は,深刻な症状の患者をめぐって,大きな悲嘆や不安など感情的に混乱した患者の家族らが,医療チームの説明を適切に受け止め,情報を共有したうえで,熟慮に基づく意思決定ができるよう支援していく役割として,重要な意義をもっています。それが,ひいては,救急の現場で急迫する状況に向き合う医療チームの説明への支援としても機能することになります。
私自身はこれまで,医療メディエーション・モデルの開発と教育に携わってきました。医療メディエーションは紛争解決のためのものとよく誤解されますが,これは初期の普及が事故後の深刻な状況への適用だったことが原因と思われます。本来,汎用的に対話を促進し,関係を調整していくモデルがメディエーションであり,海外でも初等教育の場や,職員の関係調整スキルとして,管理職にも教育され広く活用されています。また医療界では,終末期の意思決定支援のモデルとしても活用されています。
入院時重症患者対応メディエーターに関して初めてその計画を伺ったのは,メディエーションについても理解が深い,帝京大学医学部附属病院院長を務めておられた坂本哲也教授(現・公立昭和病院病院長)からでした。「近々,相談がいくと思うのでよろしく」とのお話があり,その後厚生労働省の研究班で,横田裕行教授を中心として三宅康史教授が主宰されている分担班での人材育成へ向けた研究に参加させていただくこととなりました。課題を検討するなかで,対話の促進というメディエーション本来の機能が有効であると確信し,私なりに救急の現場に即したアレンジも含めて提言などをさせていただきました。もとより私自身は救急の現場については知識もなく,横田先生,三宅先生に助言をいただきながら,一緒に,少しずつ,入院時重症患者対応メディエーターの姿を構成してきました。そして,これまでの試行的な研修や教材作成,コロナ禍でのウェブ研修の構築などを経て生まれたテキストが本書であり,まさに協働作業の成果といえるかと思います。
入院時重症患者対応メディエーターはまだ発展途上であり,現場の実践からみえてきた課題をさらに克服していく形で,今後も進化を遂げていく必要があります。そうした柔軟な姿勢を前提に,入院時重症患者対応メディエーターという役割がいっそう現場に役立つように,なにより不安に苛まれた患者・家族らとの情報共有と適切な意思決定に役立つように,ブラッシュアップされつづけていけばと思います。本書が,そうした進化の手がかりとしての役割を果たせれば幸いです。
早稲田大学法学学術院
教授 和田 仁孝
発刊によせて
救急医療の現場では,急性心筋梗塞や急性大動脈解離,脳卒中,さらには外傷など,突然発症した病態により搬送される救急患者への診療が日々行われています。医療従事者は患者の救命のために,限られた情報のなか懸命に診療を行いますが,必ずしも患者や家族,関係者が期待する結果を得られないこともあります。一方,家族や関係者は,患者および自身の環境の突然の変化に戸惑うとともに大きな不安と悲しみに直面しています。このような状況において,診療の早期から家族らに寄り添い,その不安や疑問を和らげる職種(入院時重症患者対応メディエーター)の存在が強く求められていました。
これまで,横田裕行日本医科大学名誉教授,三宅康史帝京大学医学部救急医学講座教授,和田仁孝早稲田大学法学学術院教授らが中心となり,厚生労働科学研究「脳死下,心停止後の臓器・組織提供における効率的な連携体制の構築に資する研究」の分担研究として「重症患者対応メディエーター(仮称)のあり方に関する研究」が進められ,令和元(2019)年より「入院時重症患者対応メディエーター養成講習会」が開催されてきました。一般社団法人日本臨床救急医学会は,学術団体としての立場からこの講習会を共催しています。
令和4(2022)年度の診療報酬改定により,「集中治療領域において,特に重篤な状態の患者及びその家族等に対する支援を推進する観点から,専任の担当者(入院時重症患者対応メディエーター)を配置して当該患者等に対する支援を行う体制を整備した場合」に「重症患者初期支援充実加算」を算定できるようになりました。入院時重症患者対応メディエーターの必要性が認められたものであり,今後多くの医療機関で活躍することが期待されます。
本書では,「入院時重症患者対応メディエーター養成講習会」において用いた教材などを基に,入院時重症患者対応メディエーターとして必要な知識と技法をわかりやすくまとめています。とくに各論にある,入院時重症患者対応メディエーターの業務の理解や,その役割,患者家族らの理解,対話手法といった実践的な内容は,入院時重症患者対応メディエーターとしての業務遂行において,大変役立つ内容であると思います。入院時重症患者対応メディエーターの皆様および共に働く多職種の医療者の皆様には,是非本書を手にとっていただき,患者や家族,関係者への対応に際して役立てていただけますと幸いです。
一般社団法人日本臨床救急医学会
代表理事 溝端 康光
大阪公立大学大学院医学研究科救急医学 教授
推薦のことば
救命救急センターや集中治療室に入院する重症患者は身体・精神的問題を抱え,生命の危機状態にあります。さらに,救命することができない場合は終末期のプロセスをたどっていきます。また,患者の家族も,精神的あるいは社会的な問題から苦悩を抱えることになります。こうした患者と家族に対し,医療者はさまざまな側面からこれらの問題に対してケアと支援を実施しています。その実践には,全人的な苦痛緩和,こころのケア,意思決定支援,家族に対する悲嘆ケア,精神的危機介入など多岐に渡ります。これらの実践の担い手として,臨床では看護師に期待されることが多いかと思います。しかし,意識障害や鎮静による不十分な意思疎通,患者・家族に関する情報不足,多忙などを理由とした医療者側の対応不足などにより,効果的かつタイムリーなケアと支援ができないこともあります。
現在,医療者の合意形成に基づき,業務の移管や共同化(タスク・シフティング,タスク・シェアリング)が推進されています。それぞれの医療職がもつ力量を最大限に発揮しながらチーム医療を進めることが重要です。そのため,重症患者へのケアと支援は,チーム医療の機能を発揮しながら各医療職の専門性を活かした実践が必要となります。2019年から養成講習が始まった入院時重症患者対応メディエーターは,患者・家族の情報収集,各医療者との連携と調整,意思決定支援,倫理調整,臓器提供時の調整などを通して,ケアと支援を実践する役割を担っています。救命救急センターや集中治療室などに入院する重症患者とその家族に対し,効果的かつタイムリーなケアと支援をするために,入院時重症患者対応メディエーターの活躍が大いに期待されています。
一般社団法人日本クリティカルケア看護学会
副代表理事 山勢 博彰
山口大学大学院医学系研究科 教授
目次
第Ⅰ章 重症患者の支援
1 重症患者の治療限界と意思決定支援
2 終末期医療(人生の最終段階における医療)に関するガイドライン
3 重症患者初期支援充実加算
第Ⅱ章 総論
1 入院時重症患者対応メディエーターの定義と役割
2 入院時重症患者対応メディエーターの養成と現場のサポート体制
3 入院時重症患者対応メディエーターが知っておくべき臨床倫理
4 意思決定支援
第Ⅲ章 各論
1 入院時重症患者対応メディエーターの業務
入院時重症患者対応メディエーターの業務内容
メディエーションにおける患者・家族らとの関係構築
メディエーションにおける医療チームとの関係構築
医療ソーシャルワーカーとの連携
臨床心理士との連携
移植コーディネーターとのかかわり
現場で起こり得る問題とその対処:看護師の立場から
現場で起こり得る問題とその対処:ソーシャルワーカーの立場から
現場で起こり得る問題とその対処:臨床心理士の立場から
多職種カンファレンスと記録
支援にかかわるマニュアル整備
2 救急・集中治療領域におけるメディエーションの理論と技法
ナラティブの差異―患者・家族らの視点を理解する
IPI概念―患者・家族らの想いを理解する
自己紹介とかかわり方
対話の場の設定と基本
対話の進め方―受け止めと問いかけによる促進
3 各領域における急性期重症患者の病態
救急領域
脳神経外科領域
集中治療領域
脳死と臓器・組織提供
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書籍情報
- ISBN:9784867190678
- ページ数:104頁
- 書籍発行日:2023年5月
- 電子版発売日:2023年5月31日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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