臨牀消化器内科 2023 Vol.38 No.7 増刊号「肝疾患―診療のチェックポイント2023」

  • ページ数 : 296頁
  • 書籍発行日 : 2023年6月
  • 電子版発売日 : 2023年6月13日
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商品情報

内容

特集「肝疾患―診療のチェックポイント2023」

 本増刊号では,さまざまな肝疾患の診断ならびに治療の進化について,消化器・肝臓系の主要学会で発表演者として第一線で活躍される日本肝臓学会の先生方にご執筆いただきました.(序文より抜粋)

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序文

推薦のことば


臨牀消化器内科Vol.38 No.7増刊号「肝疾患― 診療のチェックポイント2023」の出版に当たり,推薦のことばを述べさせていただく.本増刊号は,かつて小生が企画・編集をした増刊号「肝疾患―診療のチェックポイント2002」から21年ぶりに新たに企画された最新版である.企画・編集は,日本医科大学消化器肝臓内科の厚川正則先生を指名させていただいた.2002年版の当時,東京大学内科の助教授(現在の准教授)であった小生同様に現在准教授である厚川先生にご企画いただき,現役バリバリの先生方に執筆してもらおうという意図であった.「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」である.期待どおり,いや期待以上の出来栄えの増刊号になったと申し上げたい.

2002年版の序文でも述べたのであるが,その前の1989年版「肝疾患―診療のチェックポイント」(故・岡 博先生ご企画)の内容とくらべると,その13年間で肝臓学,肝臓病学は驚くべき進歩を遂げていた.2002年当時は,ウイルス肝炎,画像診断,そして肝疾患治療学の領域においてとくに進歩が著しいことを記した.2023年版においては,それらの領域においてさらなる進歩が得られているが,さらに,代謝関連肝疾患,肝細胞癌の薬物治療,肝硬変の治療などにおいて,長足の進歩が認められている.

さて,僭越ながら,日本肝臓学会,日本内科学会,日本消化器病学会の理事長を歴任させていただいた身として,肝臓学,肝臓病学の現在の位置を考えてみることがある.若い医師にとって,肝臓は魅力があるだろうか? たとえば,内科専門医制度は2階建てで構成されつつあるが,消化器病領域は2階にまず「消化器内科(消化器病)専門医」があり,それをベースとして肝臓内科(肝臓病学)専門医と(and/or)消化器内視鏡専門医の修練を,いわば2.5階部分として行うことになっている(注:専門医の名称は2023年5月現在の暫定名称であり確定したものではない).そこで,若い専攻医に肝臓専門医を選択してもらえるか否かは,肝臓学,肝臓専門医の将来を考えるうえで大きな鍵となっている.肝臓学,肝臓病学を知ってもらい,その魅力を伝えるうえでも,本書は最適のものと思われる.多くの先生方,とくに若い先生に本書を手に取っていただきたいと考える次第である.


2023年5月

東京大学名誉教授(消化器内科学)/公立学校共済組合関東中央病院 病院長
小池 和彦



序文


この度,東京大学名誉教授の小池和彦先生より御推挙いただき臨牀消化器内科Vol.38 No.7増刊号「肝疾患― 診療のチェックポイント2023」の企画・編集を担当させていただくことになりました.本テーマを掲げての増刊号は21年ぶりの発刊になります.前回の編集を担当された小池和彦先生からのバトンを受けこのような仕事をさせていただくことは誠に光栄であると同時に大きな責任を感じております.21年前というと,ちょうど私が研修医を終えて消化器・肝臓学の道に足を踏み入れたときになります.すなわち,私自身肝臓学・肝臓病学の発展を体感してきた世代です.そこで,同じ境遇でbed sideで肝疾患患者と向き合ってきた同世代の先生方に執筆を依頼したいと考え,小池和彦先生にもご快諾いただきました.

前号を拝見したところ現在では,疾患の概念から検査・治療方針まで様変わりしております.そこで,普遍的かつ基礎的な領域に加え,現在学会等で議論が活発な項目を盛り込み,全く新しいコンテンツとなりました.とくに大きく変わった点はウイルス性肝炎の治療であると思います.2000年にB型慢性肝炎に対する核酸アナログ製剤が承認され,多くのB型慢性肝炎患者のウイルス量を感度以下にすることで肝線維化や肝発癌を一定頻度で抑制することが可能になりました.またC型慢性肝炎においては2014年以降これまでのインターフェロンに代わり直接型抗ウイルス薬の登場によりHCVを排除できない症例はきわめてまれになりました.さらに,本邦で2,000万人以上罹患しているといわれている脂肪性肝疾患について,NASHの概念が広く知れわたった2000年ころよりも診断や治療は大きく変遷し,今日では非侵襲的に肝線維化を診断する方法や機器の発展もみられます.肝硬変患者における多くの合併症に対する薬剤も多々登場し,小生が若いときにしばしば外来で行っていた腹水穿刺ドレナージや,夜間の肝性脳症での救急搬送も明らかに減少している印象です.そして,近年の最も大きな変革は肝細胞癌に対する薬物治療であると思います.一方2019年以降猛威を振るった新型コロナウイルス感染症との関係が指摘されている小児の急性肝炎については,今後原因が解明され肝疾患診療の一項目として加わっていくことでしょう.

本増刊号では,さまざまな肝疾患の診断ならびに治療の進化について,消化器・肝臓系の主要学会で発表演者として第一線で活躍される日本肝臓学会の先生方にご執筆いただきました.一つ残念であったのは,誌面の都合上,本増刊号がすべての領域を網羅しているわけではないということです.執筆に加わっていただきたかった先生はこの他にも多くいらっしゃいました.まだまだ興味深い多くの領域がございますので別の号などを参照いただければと思います.多くの先生方のご協力で,若手の先生にはもちろん消化器・肝臓専門医にも知識の整理になる素晴らしい増刊号になりました.最後に,肝臓領域の諸先輩方には,肝臓グループへ若手をリクルートするツールの一つとして本増刊号をプレゼントしてほしいと考えます.


2023年5月

日本医科大学付属病院 消化器肝臓内科
厚川 正則

目次

診断のチェックポイント

1. 問診と身体所見のチェックポイント

2. 肝機能検査を読むときのチェックポイント

3. 肝炎ウイルスマーカーのチェックポイント

4. 肝画像診断のチェックポイント

5. 肝疾患鑑別診断のチェックポイント

6. 肝硬変合併症診断のチェックポイント

7. 慢性肝疾患における肝細胞癌診断のチェックポイント

治療のチェックポイント

1. 急性肝炎治療のチェックポイント

2. 慢性肝炎薬物療法のチェックポイント

3. アルコール性肝障害治療のチェックポイント

4. 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)治療のチェックポイント

5. 急性肝不全治療のチェックポイント

6. 原発性胆汁性胆管炎と原発性硬化性胆管炎治療のチェックポイント

7. 食道胃静脈瘤治療のチェックポイント

8. 腹水の治療のチェックポイント

9. 肝性脳症の治療のチェックポイント

10. 門脈血栓症治療のチェックポイント

11. 門脈圧亢進症に伴う肺病変のチェックポイント

12. 肝細胞癌の治療のチェックポイント

13. 肝細胞癌の外科治療と生体肝移植のチェックポイント

肝疾患の生活指導

1. 慢性肝炎・肝硬変の生活指導のチェックポイント

2. 脂肪肝の新定義「MAFLD」とは

3. 慢性肝疾患に伴うサルコペニア

4. 慢性肝疾患と腸内細菌

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書籍情報

  • ISBN:9784004003807
  • ページ数:296頁
  • 書籍発行日:2023年6月
  • 電子版発売日:2023年6月13日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
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