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- いつできる?何ができる?整形外科疾患のトレーニングメソッド
商品情報
内容
代表的な疾患について,トレーニングの方法・流れを豊富なチャートと写真で解説.適切なタイミングと治療介入を学べるので,「いつやる?」「何をする?」といった臨床でよく生じる疑問が解決できる!
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序文
監修の序
整形外科と理学療法はほかのどの科よりも密接にかかわり合っています.整形外科における運動器疾患,外傷の治療のなかで理学療法は治療法の一つの柱であり,その治療は謂わば組織の炎症・癒着,関節拘縮,筋力低下との戦いです.このような状態を起こさないためにもなるべく治療の早い段階でリハビリテーションを行うことが重要だと考えます.医師の立場からも,手術療法の場合は術前および術後になるべく早くリハビリテーションができるような手術方法を選択し固定期間の短縮を図ること,また保存的治療の場合でも早期にリハビリテーションができるように固定方法の工夫が必要であると考えます.当院では,20 年以上前は医師と理学療法士との意思疎通がなく,医師がリハビリテーションを処方すると理学療法士がそれに従い治療をしていくという分業のようなスタイルでした.医師はリハビリテーションについての関心や知識があまりなく,初期治療が終わったらあとはすべて理学療法士にお任せし,理学療法士も疾患についての深い理解がないままに指示通りにリハビリテーションを進めていました.当然そのような治療では中々治療成績が上がりませんでした.そ こでそのような分業的治療を反省し,一人の患者について医師と理学療法士が一つのチームとなり協力しながら,術前から積極的に治療にあたるように治療体制を改善し続けてきました.そして治療の各段階において医師の立場からの治療方針,理学療法士の立場からの身体所見を共有し,議論してよりよい治療をめざしました.また医師も参加する症例検討会においてすべてのスタッフが共通の情報,治療方針を共有できるようにしたことにより,徐々に治療成績を上げることができるようになりました.本書は長年そうして当院の理学療法士が医師とともに築き上げた,整形外科における各疾患の治療法の集大成です.試行錯誤しながらも,患者によりよい治療を提供できるように工夫・改善してきた治療法です.ただこれがゴールではありません.今後も手術などの治療法が進歩すれば,現在の治療のプロトコールをもとにさらにリハビリテーションも進化させていかなければなりません.
本書が整形外科に携わるすべての医療従事者,とりわけセラピストの方々の日々の診療の手助けになれば幸いです.
2023年6月
医療法人慈和会 吉田整形外科病院 理事長
山田高士
編集の序
私が整形外科領域の運動療法に携わるようになってから,早23 年が経ちました.幸運にも,私の師匠であり恩師である,現運動器機能解剖学研究所所長の林典雄先生と6年間臨床でご一緒させていただけたことが,私の理学療法士としての基盤となり,今に至っております.当時はそれぞれ関節班に分けられており,私は,肘・手関節と足関節を任されておりました.同僚でありよきライバルでもある,現さとう整形外科の赤羽根良和先生は肩関節と膝関節を,現松波総合病院の大久保佳範先生が股関節と脊椎をそれぞれ担当し,互いに切磋琢磨しながら,夜な夜な実技練習や文献抄読,学会のスライドや論文を作成していたことが,昨日のことのように思い出されます.
整形外科領域における運動療法の目的は,一言で言えば,拘縮改善と筋力トレーニングによって,個々の関節のみならず,全体の安定性を得ながら動作に反映させることでしょう.さらにスポーツ領域では,パフォーマンスの向上につなげるための複合的なトレーニングを行うことが必要です.セラピストは,まず拘縮や痛みの原因を推察し,ターゲットとなる組織を絞ったうえで治療を行わなければなりません.林先生から「手の外科領域が,一番拘縮理論を考えるうえで勉強になる」と言われておりましたが,まさに手の外科領域の拘縮の考え方が,私自身どの関節に対しても拘縮治療へのヒントになっております.
もう1 つの幸運は,本書をご監修いただきました,私のもう1 人の恩師である山田高士先生との出会いでした.外傷や手術後では,拘縮をいかに最小限に抑えることができるかが治療成績を左右するため,早期からの運動療法が不可欠ですが,何をどの程度行ってよいのかを決めるためには医師との連携が欠かせません.数多くの手術を見学させていただき,手術の場から運動療法を考える.時には,後療法を考えた手術展開を行う.運動療法は手術室からはじまっていると言っても過言ではないぐらい,手術中に議論を重ねて運動療法に反映させてきました.本書では,手術後早期の運動療法やトレーニングについても掲載しておりますが,損傷組織の修復過程を妨げない範囲で,どの程度の負荷を加えて行ってもよいのかという点も重視して提示しています.
一方で,拘縮や疼痛改善を目的に徒手的介入を中心とした運動療法を行い即時的に改善を認めたにもかかわらず,また元に戻っていたり,長期的に改善しないということはないでしょうか.そもそも,生じた拘縮や疼痛は,どのような原因で引き起こされたのか,それを追求し改善しない限り,堂々巡りになることは容易に想像できるかと思います.当院では数年前からメディカルフィットネスを併設し,アスレティックトレーナーと協働して患者さんやスポーツ選手をサポートしています.彼らが行うトレーニングによって,少々の拘縮や疼痛であれば十分に改善し,リバウンドも消失することを実感しています.まさに陥った原因を追求して,再燃させないような体づくりを行い,それを維持するための継続したトレーニングを行っていくことの重要性を感じております.セラピストの役割は,トレーニングに悪影響を及ぼす範囲での拘縮や疼痛を改善させ,トレーニングを正確に遂行するための入り口に導くためのアプローチを行うことです.迅速かつ的確にトレーニングを遂行し,拘縮や疼痛を再燃させることなく日常生活やスポーツの現場に復帰できるかが重要といえます.拘縮や疼痛改善のための徒手的介入を中心とした書籍は数多く出版されておりますが,本書では,それらの治療を行ったうえでどのようなトレーニングを行うべきなのかに焦点を当てました.また,若手のセラピストやトレーナーの方々が数多く経験する疾患に絞りました.さらに段階的にトレーニングを進めるためのフローチャートやプロトコルを提示しております.ただし,これらは,あくまでも治療の方向性を示す羅針盤にすぎません.羅針盤は,15 世紀から17 世紀中頃まで続いた大航海時代に,航海で方位を示すために使用されたものです.その航行では,荒波もあったでしょうし,あるいは炎天下の連続もあったことでしょう.そのような状況に対していかに対応できるかは,事前予測と準備が整っていること,それらの状況を判断して迅速に修正できることが,遭難することなく目的地まで辿り着く鍵になったのではないかと思います.本書も同じです.フローチャートやプロトコルという羅針盤によって,方向を示しているに過ぎません.患者さんの症状や,そのときに置かれた状況に合わせた対応・判断ができることを切に願い,その一助として手におとりいただけたら幸いです.最後に,本書を作成するにあたって,私のわがままに最後までお付き合いくださいました,羊土社編集部の大家有紀子氏,金子葵氏をはじめ,編集部の皆様方,執筆いただきました先生方,写真撮影に協力してくれた当院のスタッフに深くお礼申し上げます.
2023年6月
医療法人慈和会 吉田整形外科病院リハビリテーション科 科長
中宿伸哉
目次
基礎編 トレーニングの理論と知識
1 筋の基礎知識【湖東祐貴】
2 トレーニングに必要な条件【中宿伸哉】
3 トレーニングの基礎【谷口祐平】
4 整形外科疾患におけるトレーニングの考え⽅【中宿伸哉】
実践編 疾患別トレーニング
第1章 肩関節・肘関節
1 腱板断裂(鏡視下腱板修復術後)【中宿伸哉】
2 肩関節周囲炎【中宿伸哉】
3 上腕⾻近位端⾻折【小澤知哉】
4 投球障害(肩・肘)【篠田光俊】
5 肘関節周辺⾻折【上杉拓馬】
第2章 手関節
1 橈骨遠位端⾻折【水上和樹】
第3章 腰殿部
1 圧迫⾻折【篠田光俊】
2 腰椎椎間板ヘルニア【水上和樹】
3 腰部脊柱管狭窄症【宮ノ脇沙耶香】
4 腰椎分離症【宮ノ脇沙耶香】
5 腰痛【中宿伸哉】
第4章 股関節・大腿
1 ⼤腿⾻近位部⾻折【宮ノ脇翔】
2 変形性股関節症【宮ノ脇翔】
3 ⼈⼯股関節全置換術【渡邊大輔】
4 寛骨臼回転⾻切り術【渡邊大輔】
5 ⿏径部痛症候群【伊藤憲生】
6 ⾁離れ(ハムストリングスを中心に)【伊藤憲生】
第5章 膝関節
1 変形性膝関節症【中宿伸哉】
2 ⼈⼯膝関節全置換術【鞠山大輝】
3 半⽉板切除・縫合術後【丹羽雄大】
4 前⼗字靱帯損傷【丹羽雄大】
第6章 下腿・足関節・足部
1 ⾜関節果部⾻折【中宿伸哉】
2 アキレス腱断裂【十亀 麗】
3 足関節捻挫【伊藤憲生】
4 踵⾻⾻折【十亀 麗】
5 Jones⾻折【篠田光俊】
第7章 段階的トレーニングの実際
1 上肢【谷口祐平,湖東祐貴,中村祐太】
2 下肢【谷口祐平,湖東祐貴,中村祐太】
3 体幹・全⾝【谷口祐平,湖東祐貴,中村祐太】
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書籍情報
- ISBN:9784758110006
- ページ数:432頁
- 書籍発行日:2023年7月
- 電子版発売日:2023年7月21日
- 判:B5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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