臓器移植抗体陽性診療ガイドライン2023

  • ページ数 : 231頁
  • 書籍発行日 : 2023年7月
  • 電子版発売日 : 2023年9月1日
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商品情報

内容

臓器移植にかかわる移植医療者必読のガイドライン最新版。

血液型不適合移植についても記載。臓器移植医療にかかわるあらゆる職種と患者、家族も対象。

序文

2023年版 改訂に寄せて

2015年秋に日本移植学会理事長を拝命した際、移植学会のミッションとして抗体関連拒絶克服を掲げた。それまで血液型不適合研究会という全国組織の枠組みの中で腎臓移植を手本として血液型不適合肝移植の標準化とリツキシマブの適応拡大を目指し活動してきた経験を活かし、日本移植学会として抗ドナーHLA抗体診療に必要な抗体検査、治療法、戦術の確立を目指した。抗体検査は新たに内保連に加入して審査担当の先生方に丁寧に説明することから始めた。リツキシマブとIVIGはメーカーとタッグを組んでPMDAの門をくぐり、血漿交換の適応拡大は外保連のアンケートに書き込むことから始まった。薬剤の適応拡大に関しては、実態調査と少なくとも一臓器における企業治験と他臓器における臨床研究または実態調査による有効性と安全性の確認が求められた。戦術を確立するためにMinds診療ガイドラインに沿ったガイドライン作成を始めた。これらの仕事は、日本移植学会内の委員会が担当した。資金は当初学会の自己資金で開始したが幸いにもAMEDの支援を得ることができた。「臓器移植抗体陽性診療ガイドライン2018年版」はこの2017年採択AMEDの成果物である。

その後、日本移植学会として遺伝子多型情報を基軸とした長期成績向上のための研究を立ち上げAMEDに2020年に採択された。その研究事業の1つが「臓器移植抗体陽性診療ガイドライン2018年版」の改訂である。改訂版には、最新の文献として2017年採択AMEDの成果物である日本の抗体陽性診療情報が記載されることになることと血液型不適合移植に関しても記載することになっている。この本が、日本移植学会が求める「高いレベルの標準化」の具現に貢献し移植患者さんが健やかに過ごされることを期待する。


令和5年1月吉日

日本移植学会理事長 江川裕人

目次

Ⅰ 臓器移植抗体陽性診療ガイドライン2023改訂について

A.改訂版の方針

1)対象と目的 

2)手順と作業 

3)ガイドライン構成 

4)責任 

5)作成資金 

6)利益相反 

B.推奨の強さとエビデンスレベル

C.略語一覧

Ⅱ 抗HLA 抗体・non-HLA抗体

第1章 総論・抗体の定義

A.抗HLA抗体産生の機序

B.抗体の種類・特異性・検出時期による違い

1)抗体の種類 

2)抗体の特異性 

3)抗体の検出時期 

C.HLA表記法とプロトコル

1)HLA 表記法 

2)プロトコル 

第2章 組織適合性検査

A.検査の歴史

B.組織適合性検査

1)HLA 抗体検査 

2)クロスマッチ(リンパ球交差試験) 

3)HLA タイピング 

4)結果に影響する薬物と対処法 

C.抗HLA抗体検査保険適応と算定条件

1)移植後の抗体検査 2018年(平成30 年)4月1 日 

2)移植前の抗体検査 2020年(令和2年)4月1 日 

D.新たな解析法

1)C1q 

2)C3d 

3)IgG サブタイプ 

4)エピトプ・エプレット解析 

E.検査実施の現状

第3章 移植前抗体陽性

A.既存抗体陽性の臨床的意義 

CQ3-1 既存抗体陽性は移植成績に影響するか

CQ3-2 抗体の種類・nMFI などによって移植成績は異なるか

B.既存抗体陽性への対応 

CQ3-3 脱感作療法は有効か

CQ3-4 どのような脱感作療法があるのか

CQ3-5 どのような抗体陽性例で脱感作療法が必要か

CQ3-6 脱感作療法の時期と評価法はどのようにすべきか

CQ3-7 Preformed DSA は移植後消失することがあるのか

CQ3-8 Preformed DSA 消失後再度発生した抗体はde novo DSA か

CQ3-9 脱感作療法後に移植を回避する判断基準はあるか

C.Non-DSA、non-HLA抗体陽性への対応 

CQ3-10 Non-DSAやnon-HLA抗体陽性に脱感作療法は必要か

第4章 抗体関連型拒絶反応

A.基準・定義 

CQ4-1 Preformed DSA と de novo DSA では予後は異なるか

CQ4-2 De novo DSA発生率は移植後経過期間で異なるか

CQ4-3 抗体の種類・nMFI などによって移植成績は異なるか

B.診断法 

CQ4-4 抗体関連型拒絶反応の診断に必要な検査項目は何か

C.治療法 

CQ4-5 治療介入・非介入の判断基準は何か

CQ4-6 抗体陽性で治療非介入は予後不良か

CQ4-7 抗体関連型拒絶反応の治療法は何があるのか

CQ4-8 抗体関連型拒絶反応の治療評価はどうすべきか

CQ4-9 抗体関連型拒絶反応の治療評価時期はいつが適切か

D.Non-DSA、non-HLA抗体陽性への対応 

CQ4-10 Non-DSAやnon-HLA抗体陽性に治療介入は必要か

Ⅲ 血液型抗体

第5章 抗体検査法

A.総 論

1)ABO 血液型 

2)血液型抗体価 

B.検査法

1)血液型検査法 

2)抗体価検査法 

第6章 血液型不適合移植

A.抗体除去法(腎・肝) 

CQ6-1 どのような除去療法があるか

CQ-6-2 どのような症例で除去療法を実施するのか

B.移植の適応(腎・肝) 

CQ6-3 移植可否の判断基準はあるか

C.血液型抗体による抗体関連型拒絶反応の診断(腎・肝) 

CQ6-4 血液型抗体関連型拒絶反応の診断基準は何か

D.血液型抗体による抗体関連型拒絶反応の治療(腎・肝) 

CQ6-5 どのような治療法があるか

E.予後(腎・肝) 

CQ6-6 血液型不適合移植は血液型適合移植に比べ予後は異なるか

CQ6-7 血液型抗体によって予後は異なるか

F.腎・肝以外の臓器移植 

CQ6-8 腎・肝以外の臓器で血液型不適合移植は施行されているか

G.ABO血液型以外の血液型不一致移植(全臓器) 

CQ6-9 ABO 血液型以外の血液型不一致は移植可能か

Ⅳ 治療薬とアフェレシス

A.治療薬

1)保険適応薬 

2)これからの適応薬 

B.アフェレシス

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書籍情報

  • ISBN:9784907095802
  • ページ数:231頁
  • 書籍発行日:2023年7月
  • 電子版発売日:2023年9月1日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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