神経因性膀胱ベッドサイドマニュアル 改訂第2版

  • ページ数 : 360頁
  • 書籍発行日 : 2023年9月
  • 電子版発売日 : 2023年8月30日
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商品情報

内容

非専門医および医療スタッフのための神経因性膀胱ガイド.より実践的になった改訂版.

神経因性膀胱は泌尿器科医や神経内科医のみならず,一般内科医や整形外科医などの非専門医も出会う機会が少なくない.本書は,そんな専門外の医師や医療スタッフが容易に学べるよう,必要十分な知識をまとめた.ベッドサイドで気軽に読み進められるコンパクトなサイズ感と,知りたい項目にアクセスしやすい整理された紙面はそのままに,今版では最新の知見を盛り込んで,より実践的にバージョンアップ.実現場で使える1冊だ

序文

推薦文


このたび,中外医学社から榊原隆次先生編集の「神経因性膀胱ベットサイドマニュアル」が発刊されることになり,誠に喜ばしく思います.神経因性膀胱の頻度は高く,その障害により悩んでいる患者さんは多いのですが,神経疾患を扱う医師の側にこの分野への関心が乏しく,また排尿障害を主に取り扱う泌尿器科医にとって神経疾患がわかりにくいこともあり,患者さんに対して適切かつ十分な治療が行われにくいことが問題でした.

そんな理由から,神経内科医の私と,泌尿器科医の安田耕作先生とが1980年ごろから,共同でこの問題に取り組み始めました.そしてその成果を「神経因性膀胱の診断と治療」という本にまとめ,1985年に上梓いたしました.その後,泌尿器科医の山西友典先生と神経内科医の榊原隆次先生が私どもの研究グループに加わり,4人で「神経疾患による排尿障害ハンドブック」という本を1998年に上梓いたしました.どちらの本も多くの臨床医から好評を得ることができました.その後,神経因性膀胱の分野の研究はますます発展し,治療法もめざましい進歩がみられます.上記の本が出版された頃と比較して隔世の感がするほどです.したがって今回,私の愛弟子である榊原隆次先生を中心に,神経因性膀胱に関する本が出版されることは,誠に時宜を得たものとうれしく思います.

本書には泌尿器科医と神経内科医の他,産婦人科医,基礎医学者,看護の専門家が加わり,誠に学際的でありますが,内容は,実際的であり,それぞれの項目がコンパクトにまとめられております.神経因性膀胱を有する患者さんに接する機会のある医師や看護師,コメディカル,介護の方々に必ずや役に立つ本だと確信しております.

本書によって神経因性膀胱で困っている患者さんの苦痛を少しでも軽くしていただくことをお願いし,私の推薦の辞といたします.


2014年3月

千葉大学名誉教授・医療法人同和会理事長 服部孝道



改訂第2版  序


中外医学社から「神経因性膀胱ベッドサイドマニュアル(第1版)」が2014年に発刊されてから,早10年が経ちました.今回,改訂版(内容のアップトゥーデイト)に当たって,第1版のこころ〜すなわち泌尿器科医,神経因性膀胱を専門としない神経内科医や一般内科・脳外科・整形外科・リハビリテーション医,さらに患者さんに接する看護師,コメディカルの方々を広く対象に,過活動膀胱も含めた神経因性膀胱に関する知識を,エキスパートの立場からわかりやすく解説する書・総論的知識はもちろん,診断・治療のノウハウを実践的にまとめる,神経因性膀胱診療ガイドブック〜という趣旨を引き継ぎました.さらに改訂版では,第1版よりも幅広い先生方にご協力を頂き,決定版と言っては言い過ぎですが,それに近いものができたように思います.

本書は,全体がコンパクト,コンサイスで,携帯にも便利であり,患者さんに実際に接する先生方,看護師さん,コメディカル,ケアに携わる方々に,必ず役に立つ一冊であると思います.本書をベッドサイドで手に取って頂き,知識の整理,治療・ケア方針の決定に役立つならば,望外の喜びです.

最後に,編集発刊に向け終始ご助言を賜りました,中外医学社 鈴木真美子さんに心より深謝申し上げます.


2023年7月

医療法人同和会顧問・脳神経内科津田沼・同和会千葉病院
(前)東邦大学医療センター佐倉病院神経内科教授
榊原隆次

目次

1章 総論

1.下部尿路症状へのアプローチと神経診察入門[榊原隆次]

1.排尿障害と神経症候の関連─神経診察のポイント

2.排尿障害の病態

3.排尿障害のパターン

4.高齢者の排尿障害のとらえ方

2.下部尿路症状と機能的脳画像[橘田岳也]

1.はじめに

2.排尿反射における正常と病的状態

3.機能的脳画像

4.健常者における機能的脳画像

5.下部尿路機能障害患者における機能的脳画像

3.臨床オリエンテド 下部尿路の解剖と生理,中枢神経の役割[日下部直久,川瀬紘太,宮里 実]

1.概要

2.下部尿路の解剖

3.下部尿路の末梢神経支配

4.下部尿路の平滑筋の収縮・弛緩

5.排尿における中枢神経路

4.臨床オリエンテド 下部尿路の受容体と薬理・治療への示唆を含めて[清水翔吾,齊藤源顕]

1.排尿生理

2.薬物治療とその薬理作用

5.神経因性下部尿路機能障害における尿流動態検査の考え方[関戸哲利]

1.UDSの位置づけ

2.正常下部尿路機能からみたUDSの限界と実施上の注意点

3.UDSの種類

4.尿流測定(UFM)

5.残尿(PVR)測定

6.尿道内圧測定(UPP)

7.膀胱内圧測定(CMG)と内圧尿流検査(PFS)

6.括約筋筋電図のとり方と読み方[高橋 修,清水彩未,杉山 恵,柴田千晴,榊原隆次]

1.目的

2.対象

3.方法

4.判定

7.前立腺肥大症の鑑別と治療[大木健正,網谷兆康]

1.定義

2.病因

3.病態

4.診断

5.治療法

8.腹圧性尿失禁の鑑別と治療[中田真木]

1.腹圧性尿失禁(SUI)とは

2.病因と病態

3.症候と評価方法

4.治療

9.間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の鑑別と治療[巴 ひかる]

1.間質性膀胱炎・膀胱痛症候群とは

2.間質性膀胱炎の鑑別

3.間質性膀胱炎の治療

10.夜間多尿の鑑別と治療[鈴木康之]

1.夜間多尿と夜間頻尿

2.定義・検査・評価

3.鑑別疾患と治療

11.薬剤性排尿障害の鑑別と治療[武井実根雄,藤木富士夫]

1.起こり得る排尿障害(下部尿路機能障害)と原因になり得る薬剤

2.鑑別と治療

12.心因性排尿障害の鑑別と治療[榊原隆次,高橋 修,清水彩未,澤井 摂,尾形 剛]

1.心因性頻尿・排尿障害(膀胱SSD)とは

2.心因性頻尿・排尿障害(膀胱SSD)の尿流動態検査と病態機序

3.心因性頻尿・排尿障害(膀胱SSD)の治療

13.神経因性膀胱の治療方針[亀井 潤]

1.治療の目的と原則

2.治療方針の決定

3.神経障害部位別の主な治療指針

4.保存的治療

5.低侵襲治療

6.外科的治療

14.間欠導尿指導の仕方[西村かおる]

1.定義と操作方法について

2.間欠導尿の対象者と適応のアセスメント

3.患者と家族への指導

4.トラブルへの対処

2章 各論

【A.脳疾患】

1.Parkinson病[山本達也,内山智之,榊原隆次]

1.PDにおける下部尿路症状

2.PDにおける尿流動態検査所見

3.治療

4.進行期PDに施行される脳深部刺激療法

5.PDにおける下部尿路機能障害の病態生理学

6.Lewy小体型認知症

7.純粋自律神経不全症

2.多系統萎縮症[山本達也,内山智之,榊原隆次]

1.MSAにおける下部尿路症状

2.MSAにおける初発症状としての下部尿路症状

3.MSAにおける尿流動態検査所見

4.外肛門括約筋筋電図

5.MSAの診断基準における尿流動態検査所見・外肛門括約筋筋電図検査所見の位置づけ

6.下部尿路機能障害からみたPDとMSAの鑑別

7.下部尿路機能障害の予後予測因子としての有用性

8.MSAの下部尿路機能障害に対する治療法

3.脳血管障害[曲 友弘]

1.脳血管障害の分類

2.脳卒中におけるLUTDの原因と病態

3.脳卒中患者の尿意

4.脳卒中の病変部位との関係

5.脳卒中によるLUTDの尿流動態検査所見

6.LUTD診断のポイント

7.治療のマネジメント

8.行動療法

9.薬物療法

10.排出障害に対する治療

11.尿道カテーテル抜去時期

4.高齢者の白質病変(かくれ脳梗塞)[曲 友弘]

1.概念と病因

2.WMDにおける下部尿路機能障害の病態生理

3.WMDと下部尿路症状の実際

4.他疾患との比較

5.WMDにおけるLUTS(OAB)の治療

5.Alzheimer病[朝倉博孝,篠島利明]

1.概念

2.病因と病態生理

3.症状

4.診断・検査

6.治療

6.前頭側頭型認知症[藤木富士夫,武井実根雄]

1.概念

2.病因・病態・治療

3.FTDの排尿障害

4.FTDの排尿障害の治療

7.進行性核上性麻痺,大脳基底核変性症[藤木富士夫,武井実根雄]

1.概念

2.病因・病態・治療

3.PSPの排尿障害

4.CBDの排尿障害

5.排尿障害の治療

8.脊髄小脳変性症[山本達也,内山智之,榊原隆次]

1.脊髄小脳変性症とは

2.脊髄小脳変性症の下部尿路症状

3.脊髄小脳変性症の尿流動態検査

4.SCA3における外肛門括約筋筋電図所見

9.正常圧水頭症[橘田岳也]

1.概念と病因

2.病態生理

3.排尿障害の特徴

4.治療

10.Wernicke脳症[橘田岳也]

1.概念

2.病因・病態・診断

3.Wernicke脳症における排尿障害

4.治療

11.脳腫瘍[内山智之,山本達也,榊原隆次]

1.概念

2.病因・病態・治療

3.脳腫瘍の下部尿路機能障害

4.脳腫瘍のLUTDの治療

12.その他の脳疾患[内山智之,山本達也,榊原隆次]

1.はじめに

2.脳膿瘍

3.頭部外傷

4.クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)

5.神経核内封入体病(NIID)

【B.脊髄疾患】

1.脊髄損傷[仙石 淳]

1.概念・病因・病態

2.脊髄損傷による下部尿路機能障害と尿路管理法

2.脊髄梗塞・脊髄動脈症候群[山西友典]

1.概念

2.病因・病態・治療

3.下部尿路機能障害

4.下部尿路機能障害に対する治療

3.多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害[山本達也,内山智之,榊原隆次]

1.はじめに

2.神経障害部位と下部尿路機能障害

3.下部尿路機能障害の診断

4.慢性期治療

4.急性散在性脳脊髄炎・急性横断性脊髄炎[内山智之,山本達也,榊原隆次]

1.急性散在性脳脊髄炎(ADEM)

2.急性横断性脊髄炎(ATM)

5.髄膜炎-尿閉症候群[榊原隆次,高橋 修,清水彩未,杉山 恵,柴田千晴]

1.MRSの臨床と検査所見

2.MRSの排尿機能検査と尿閉のメカニズム

3.MRSの類似疾患と鑑別診断

4.軽症例(髄膜炎症候がなく,髄液異常と尿閉のみを呈した例)

5.Elsberg syndromeについて

6.MRSの治療

6.HTLV−1関連脊髄症[大内みふか,橘田岳也]

1.概念

2.ウイルスの特徴

3.病理・病態

4.症状

5.疾患の活動性と治療

6.HAMによる下部尿路症状と下部尿路機能障害

7.下部尿路症状のその他の要因

8.検査

9.HAMに伴う下部尿路症状の治療

10.下部尿路症状の治療

7.放射線脊髄症[内山智之,山本達也,榊原隆次]

1.概念

2.病因・病態・治療

3.放射線脊髄症の下部尿路機能障害

4.DRMのLUTDの治療

8.筋萎縮性側索硬化症[藤木富士夫,武井実根雄,内山智之,山本達也,山西友典,平田幸一]

1.概念

2.病因・病態・治療

3.ALSの排尿障害

4.ALSの排尿障害の治療

9.遺伝性痙性対麻痺[山本達也,内山智之,榊原隆次]

1.遺伝性痙性対麻痺とは

2.遺伝性痙性対麻痺の症状

3.遺伝性痙性対麻痺の下部尿路症状

4.遺伝性痙性対麻痺の尿流動態検査所見

10.脊髄動静脈奇形[山西友典]

1.概念

2.病因・病態・診断

3.脊髄AVFにおける原疾患の治療

4.脊髄AVFにおける下部尿路機能障害

5.神経因性膀胱の治療

11.二分脊椎[百瀬 均]

1.二分脊椎の病態と分類

2.疫学

3.二分脊椎に合併することの多い病態

4.二分脊椎における下部尿路機能障害の原因

5.二分脊椎における尿路管理の目的と特殊性

6.下部尿路機能障害の診断法

7.各種尿路管理法の適応と実際

8.手術療法の適応と実際

9.脊髄係留症候群

10.脊髄空洞症

【C.末梢神経疾患・筋疾患】

1.糖尿病性ニューロパチー[古田 昭]

1.概念

2.病態生理

3.症状・検査

4.治療

2.腰椎変性疾患[鈴木康之]

1.腰椎変性疾患患者の下部尿路症状LUTSと腰痛

2.病態・症状・診断

3.経過観察と治療

3.Guillain-Barré症候群[大塚裕之,橘田岳也]

1.概念

2.病因・病態・診断

3.原疾患の治療

4.GBSにおける下部尿路機能障害

4.アミロイドニューロパチー[齊藤徹一,関島良樹]

1.概念

2.ATTRアミロイドーシスの病因・病態

3.遺伝性ATTRアミロイドーシスの疫学

4.遺伝性ATTRアミロイドーシスの診断

5.遺伝性ATTRアミロイドーシスに対する疾患修飾療法

6.遺伝性ATTRアミロイドーシスによる排尿障害の病態

7.遺伝性ATTRアミロイドーシスによる排尿障害の評価

8.遺伝性ATTRアミロイドーシスに対する肝移植治療の排尿障害への影響

9.アミロイドニューロパチーによる排尿障害の治療

5.疱疹性ウイルス疾患群感染症(帯状疱疹・単純性疱疹)[朝倉博孝,篠島利明]

1.概念

2.病因

3.症状

4.診断・検査

5.予防

6.治療

7.下部尿路機能障害

6.筋疾患・神経筋接合部疾患[橘田岳也]

1.概念

2.筋疾患・神経筋接合部疾患の病態と診断

3.筋疾患・神経筋接合部疾患における排尿障害の治療

7.Ochoa症候群・Fowler症候群・その他の疾患[関戸哲利]

1.Ochoa症候群

2.Fowler症候群

3.術後尿閉

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書籍情報

  • ISBN:9784498064218
  • ページ数:360頁
  • 書籍発行日:2023年9月
  • 電子版発売日:2023年8月30日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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