眼科 2019年10月号 61巻11号 特集 老視の対策【電子版】

  • ページ数 : 102頁
  • 書籍発行日 : 2019年10月
  • 電子版発売日 : 2019年10月25日
3,080
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商品情報

内容

学界のトピックス、診療のコツ、臨床現場からの症例報告。どこから紐解いても日々の診療に役立つ内容満載の、気軽に読める眼科専門誌です。

■特集 老視の対策
 ■序論
  1.最新の近用眼鏡処方
  2.マルチフォーカルコンタクトレンズ
  3.マルチフォーカルIOLとEDoF
  4.モノビジョンレーシック
  5.薬とサプリメントの可能性
  ほか

序文

序論

超高齢社会になり,人口の半分が老視という状況を迎えている。従来は老眼鏡をかけるという対処法が一般的であり,今でもその流れは変わらないものの,新しい対策も少しずつ進歩してきた。本誌でも数回特集をしているが,過去数年間の進歩を反映した特集を今回新たに企画した。

まず,近年とても増えてきた多焦点ソフトコンタクトレンズについて,ひがしはら内科眼科クリニックの東原尚代先生に執筆いただいた。東原先生からは以前に,多焦点ソフトコンタクトレンズを装用開始した患者さんのごきげん度はとても上がるということを教えていただいたことがある。老視への対策がクオリティオブライフにいかに大きく関与するかがわかる。次に,マルチフォーカルIOLの世界ではEDoF(Extended Depth ofFocus:焦点深度を深くする)レンズが副作用もなく効果もある程度得られることから大きな注目を集めているが,この新しい流れについて,みなとみらいアイクリニックの荒井宏幸先生に解説いただいた。また,日本ではあまり注目されていないが,海外では標準的に行われているモノビジョンについて,LASIKを例に名古屋アイクリニックの中村友昭先生に解説をお願いした。

最後に,老視に対する薬とサプリメントの可能性について,金沢医科大学の久保江理先生に紹介をお願いした。従来,老視の薬は難しいと言われてきたが,現在では欧米を中心にたくさんのパイプラインが開発されている。ひとつの流れは,ピロカルピンなどで縮瞳をさせることでピンホール効果を得てExtended Depth of Focusを誘導して近見視力を上げていく方法だ。あまりに簡単すぎる方法ではあるが,既に臨床試験に入りその効果も確認されている。もうひとつは,アルファリポ酸をもとに水晶体蛋白のS-S結合を切ることによって水晶体の弾性を上げて老視を治療するという方法だ。これも既にアメリカでは臨床試験が行われており,どちらの可能性も期待されている。また,サプリメントによる介入として,最近「えんきん」(ファンケル)などが調節力障害とぼやけの緩和を対象に販売されている。近くが見にくいという症状を改善する機能性食品,サプリメントの開発は,ひとつの流れになりつつあると感じる。

現在,アンチエイジング医学の世界では,レスベラトロールやスペルミジンなどのサプリメントが注目されている。全身のアンチエイジングが可能になれば,老視の進行抑制の可能性は十分にあると考えられるだろう。


慶應義塾大学医学部眼科学教室

坪田一男

目次

特集 老視の対策

■序論

1.多焦点ソフトコンタクトレンズ

2.マルチフォーカルコンタクトレンズ

3.マルチフォーカルIOLとEDoF

4.モノビジョンレーシック

5.薬とサプリメントの可能性

■綜説

眼科におけるマイクロバイオーム解析の現状

網膜パーツ移植の現状

■機器・薬剤紹介

42.走査型超広角眼底撮影装置CLARUS 500

■臨床報告

淋菌性結膜炎による角膜穿孔の1例

重篤な視力低下を示した両眼性マイボーム腺炎関連角膜上皮症の1例

■私の経験

濾過手術の術後に顕著な網膜動脈の狭細化がみられた原発開放隅角緑内障の1例

■学会抄録

第125回京都眼科学会

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