レジデントのための心不全道場

  • ページ数 : 215頁
  • 書籍発行日 : 2023年10月
  • 電子版発売日 : 2023年9月27日
4,950
(税込)
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商品情報

内容

心不全と向き合うための知識やコツを熱くやさしく教えます!
大好評のwebinar「心不全道場」を開催するU40心不全ネットワークの医師が,熱くやさしく丁寧に教えます!治療・管理から再発予防・リハビリ・緩和ケアまで,現場で使える知識やコツをゼロから学べる一冊!

序文

まえがき

心筋梗塞や不整脈に対するカテーテル治療をはじめとした医療技術の進歩により循環器疾患の予後は改善しました.また,近年心不全に対してARNI やSGLT2阻害薬など新しい内服薬の長期予後のエビデンスが多く報告され,生命予後の延伸に寄与しました.一方で,心不全患者数は人口の高齢化も相まって増加の一途を辿っており,急性期病院の循環器科医師を中心としたこれまでの診療ではなく,これからはプライマリ・ケア医やメディカルスタッフも含めた地域全体で心不全患者を支えていく必要があります.循環器を専門としないレジデントやメディカルスタッフも心不全診療を体系立てて学ぶ機会の需要が高まっています.

2013 年に40 歳以下の心不全診療に興味を持つ有志の若手医師でU40 心不全ネットワーク(https://u40hf.com/) が結成され,心不全診療の臨床現場を担う若手の医師たちが施設を超えて自由闊達に議論をすることができる場が生まれました.U40 心不全ネットワークでは,2022 年1 月から心不全診療に携わるメディカルスタッフやレジデント向けの通年企画として月に1 回のWEB 勉強会『心不全道場』を開催しており,初年度から3,000 人以上の申し込みをいただきご好評いただいています.今回はその書籍化を熱望する声に応える形で本書の出版を実現することができました.

本書は,薬物療法や急性期治療,増悪因子・基礎疾患など各章ごとに分類し,U40 心不全ネットワークに所属する臨床現場の最前線で活躍している医師のレクチャーに加えて,実際の『心不全道場』企画で視聴者からいただいた質問を各章末に「ここも教えてほしい! Q&A」という形で掲載しました.心不全の基本的な内容を各章ごとに体系立ててまとめるとともに,実際の臨床疑問にQ&A で答えることでより実践的な書籍が完成したと自負しています.

多忙な臨床業務の中,より実践的な内容の執筆にご尽力いただいた執筆者の先生方へ感謝の念に堪えません.最後に,本書の発行に際し,貴重な機会をいただき,企画,編集いただいた羊土社の編集部の皆さまに心から感謝申し上げます.


2023年10月

齋藤 秀輝

目次

1.総論【髙麗謙吾】

Q1 Forrester分類は有名ですが,心不全管理に右心カテーテル検査は推奨されていないという話も聞きます.実際はどのようにしているのでしょうか?

Q2 多職種チームの必要性はわかりますが,実際には何が必要でしょうか? 他のスタッフの方が心不全に詳しく,自分の強みがわかりません.

2.薬物療法を⾝につけよう!【⽵内⼀喬】

Q1 心保護薬の導入順は何か決まりはありますか?

Q2 低拍出を見つけるためには何を意識したらよいですか?

Q3 ポリファーマシーとならないよう気をつけている点などありますか?

3.⾮薬物療法を⾝につけよう!【佐藤宏⾏】

Q1 PCI後のDAPTについて質問です.ステント留置数か月後にはかかりつけ医に紹介された患者さんで,DAPTのまま1年以上の例も見かけます.どのタイミングでSAPTの提案を行うとよいでしょうか?PCIを施行した病院へ問い合わせする方がよいのでしょうか?

Q2 TAVIやMitraClipRを提案しても患者さんが希望されませんでした.そのような場合,どのようなことに気をつけるべきでしょうか?

Q3 ICD植込み後の自動車運転制限はどのように指導するべきですか?たまに「入れて禁止になるなら手術したくない」と言われることがあります.どのように対応するのがよいでしょうか.

4.急性期治療を⾝につけよう!【那須崇⼈】

Q1 急性期治療における輸液の選択を教えてください.

Q2 急性心不全の治療時の尿電解質所見の応用について教えてください.

Q3 施設の高齢者で,血圧も体重も安定して経過しているようだったのに,急に心不全増悪を起こして紹介せざるを得なくなる事例がありました.日々の診療・介護の工夫で急性増悪の頻度を減らせた事例とそのポイントのようなものが知りたいです.

Q4 強心薬減量の指標と方法を教えていただきたいです!

Q5 心拍数コントロールで疑問があります.ベラパミル投与についてです.血圧低いときためらうのですが,どのくらい許容でしょうか.

Q6 急性期にもともと服用していたカルベジロール,ビソプロロールの中止(その後の再開も)もしくは継続の判断はどのような点で決めているのでしょうか? 低心拍出症状があれば,中止するイメージです.

Q7 カテコラミン併用下で心不全患者の病棟内ADL(身体活動量)の向上について質問です.

強心薬の漸減のタイミングについて教えてください.医師は依存も考慮し,代償が上手くできたら漸減していきますが,理学療法士としては,ある程度活動を確保できた段階で心不全症状が強くならないことを確認して,漸減できるとありがたいなと思うことがあります.

Q8 利尿薬はフロセミドが第一選択ですが,どの程度の量まで増やして効果がなければ,二剤目を追加しますか.また,フロセミドの初期量の考え方はいろいろあるとは思いますが,何を参考にされていますか.

5.増悪因⼦・再発予防を学ぼう!【⽯井奈津⼦】

Q1 怠薬に対してどのようにアプローチを行いますか? 認知症の患者さんにはどうアプローチしますか?

Q2 複数の問題点を抱えている場合に,何からとりかかったらよいのでしょうか?

6.⽔分管理・栄養管理を⾝につけよう!【藤本恒,松本新吾】

Q1 急性心不全でうっ血のある患者さんでも,利尿薬への反応が乏しい際に補液と利尿薬を併用し「水分・塩分を入れながら引く」という治療を見かけたことがあります.これは一般的に行われている治療なのでしょうか?

Q2 心不全患者さんに対して水分制限をする先生と,しない先生がいるかと思います.どちらがいいのでしょうか?

Q3 超高齢者の心不全管理,食生活もふくめて.超高齢の心不全患者が多いので,どこまでの食事管理をするのか?

Q4 心不全の栄養管理というと過体重の方への指導をイメージしがちですが,サルコペニアや低栄養の方へのICU入室時から退院,外来までの栄養介入が必要な患者はどのくらいいるのでしょうか?退院後,栄養管理のフォローまでしているというのはあまり聞いたことがなくてお伺いしました.

Q5 地域によって塩分過多となっている原因食品が違う等ありますか?

7.画像検査の重要性を学ぼう!【⽯原⾥美】

Q1 心エコー図検査では,どこを,どの順番で見ていますか?

Q2 心エコー図所見の基準値はありますか?

Q3 心不全診療における循環器内科医師の心エコー図検査の着眼点や活かし方について教えてください.

8.⼼不全の基礎疾患を学ぼう!【堀内優】

Q1 リモデリングは良いことでしょうか?悪いことでしょうか?

Q2 慢性心不全(HFrEF)の方の内服薬がいわゆる4剤治療となっていない場合に,主治医に積極的に処方提案していいのでしょうか.

9.不整脈管理を⾝につけよう!【髙麗謙吾】

Q1 心不全患者さんに心房細動が見つかったときに気をつけておくべきことはなんですか?

Q2 心不全患者さんに心室頻拍が生じたら,アブレーションをしますか? ICDを入れますか?

10.⼼臓リハビリテーションを学ぼう!【⽣駒剛典】

Q1 地域のかかりつけ病院と,心リハの連携をする際のポイントを教えてください.

Q2 理学療法士です.医師が心不全患者さんの心リハで,理学療法士に望むことは何ですか?

Q3 心リハで包括的疾患管理を進めるとき,司令塔は主治医であるべきでしょうか?

Q4 エレベーターのない3階に住んでいる,運動耐容能が2 METsの患者さんに,どのように指導すればよいですか?

Q5 薬剤師です.薬剤が運動療法の阻害要因になることはありますか?

11.地域連携を学ぼう!【齋藤秀輝】

Q1 どのように各職種が連携しているか,心不全チームの運営のしかたや多職種でのケースカンファレンスで,チームダイナミクスに関して先生方が工夫されている点が知りたいです.

Q2 実際の心不全患者に対する多職種チームの介入について,実際の介入方法を具体例とともにお教えいただきたいです.

Q3 高齢者や認知機能障害のある方など,退院後の在宅療法における訪問看護や訪問薬剤師との連携が重要かと思いますが,実際の症例においてどのように介入されているでしょうか?

Q4 多職種連携しての介入においてなかなかメディカルスタッフ間の意思疎通が上手くいきません.多職種が連携をより強くするうえで,何か工夫していることなどありましたら,取り上げていただきたいです.

Q5 心不全のクリニカルパスや地域連携パスの現状やコツ? など教えていただけますでしょうか.

12.⼼不全緩和ケアについて考えよう!【⻄崎公貴】

Q1 ACPについて,進め方や着地点の決定手法など教えてください.

Q2 ACPは現実的に難しいと医師に言われました.具体的にどのように介入しているか教えていただきたいです.

Q3 末期心不全で症状が完全にとれない場合のゴール設定や他職種との連携のしかたについて聞きたいです.

Q4 心不全の緩和ケアでの難しさは,心不全の治療が緩和ケアにつながることにあるのだと思っていましたが,そうするとDNARの立ち位置って……と,また悩んでしまいます.

Q5 循環器病棟にいると,毎回の心不全増悪に慣れてしまい,身体機能が全体的に低下したステージDに入ったことに気づくのが遅れてしまうことも多いと感じています.入院したときに,いつもと違う!と気づくことに特化したツールがあるといいのにと思います.そのような状況はありませんか?

あとがき【髙麗謙吾,⽵内⼀喬,⻄崎公貴】


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書籍情報

  • ISBN:9784758113021
  • ページ数:215頁
  • 書籍発行日:2023年10月
  • 電子版発売日:2023年9月27日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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