心不全治療薬の考え方,使い方 改訂2版

  • ページ数 : 332頁
  • 書籍発行日 : 2023年10月
  • 電子版発売日 : 2023年9月28日
5,280
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商品情報

内容

U40心不全ネットワークの「青本」、4年ぶりの大改訂

複雑な心不全治療薬の使い方について,エビデンスを中心に整理することはもちろん,同系薬剤の使い分けや未知の事柄についても追記した超実践的な書の改訂版.ARNIやSGLT2阻害薬の躍進,ベルイシグアトの登場,さらには成人先天性心疾患合併や免疫抑制療法など,心不全診療を巡る話題を網羅した内容となっている.またコラムも刷新し,読み応えも十分.U40心不全ネットワークの新世代による心不全治療薬のスタンダードをぜひご覧ください.

序文

2 版の序

初版を出版してから4 年が経過し,この間に心不全治療を取り巻く背景は大きく変わった.IMPELLA やMitra—Clip など重症心不全に対する侵襲的治療が成熟し,薬物療法ではベルイシグアトが登場し,ARNI やSGLT2 阻害薬のエビデンスが蓄積され,保険適応の拡大に伴い治療選択肢が広がってきている.それに伴い,個々の心不全患者に対してどのように治療を組み立てていくことの重要性が日に日に増してきている.

改訂版は,心不全治療薬をエビデンスに基づき整理するという点は前版を踏襲しつつ,前述の新規薬剤の追加,また既存の薬物に関してもアップデートを加え,より現状に即したものとしている.またアミロイドーシスやFabry 病,閉塞性肥大型心筋症から漢方,医療経済に至るまで臨床トピックとしてのコラムをさらに充実させた.さらに成人先天性心疾患合併の心不全や,心不全における免疫抑制療法の使い方など,これまで成書で扱う機会の少なかった臨床疑問にも対応することでより実践的な書籍を目指した.最後に,本書で扱った薬物の具体的な投与量と薬物動態をまとめた.

今回も前版に引き続き,2013 年に40 歳以下の心不全診療に興味を持つ有志で立ち上げたU40 心不全ネットワーク(http://u40hf.com/)に所属し,臨床の最前線で活躍している医師に分担執筆頂いた.前版の執筆者の中で40歳を超えられた先生の原稿は,現役メンバーに執筆を踏襲させる形での依頼とさせていただいた.多忙な臨床業務の中,より実践的な内容の執筆にご尽力いただいた執筆者の先生方へ感謝の念に堪えない.心不全診療の現場に立つすべての医療者にお勧めしたい一冊として完成したものと自負している.

最後に,本書の発行に際し,貴重な機会を頂き,企画,編集いただいた中外医学社 企画部 桂彰吾氏ならびにU40 心不全ネットワーク現役世代の執筆にご共鳴いただいた初版執筆者の皆さまに心から感謝申し上げる.


2023年9月

齋 藤 秀 輝
鍋 田   健
柴 田 龍 宏

目次

1章 心不全治療薬の考え方,使い方概論 〈柴田龍宏 大石醒悟〉

A.心不全の薬剤使用総

 

2章 基本薬

1.β遮断薬 〈鍋田 健〉

 A.β遮断薬の作用機序

 B.β遮断薬を心不全症例に使用する目的

 C.β遮断薬の心不全症例における有効性を示すエビデンス

 D.β遮断薬を使用する際の注意点

 E.同型薬剤の使い分け

 F.β遮断薬の未知

2.ACE阻害薬 〈門田宗之 伊勢孝之〉

 A.作用機序

 B.心不全患者に使用する目的

 C.心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意点(副作用,漸増の仕方,中止の判断など)

 E.同系薬剤の使い分けについて

 F.ACE阻害薬に対する未知

3.ARNI(Sacubitril/Valsartan) 〈松本新吾 末永祐哉〉

 A.作用機序

 B.心不全患者に使用する目的

 C.心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意点(副作用,漸増の仕方,中止の判断など)

 E.同系薬剤の使い分けについて

 F.ARNIに関する未知

4.ミネラルコルチコイド受容体

 〈本川哲史 末永祐哉 相澤直輝〉

 A.作用機序

 B.心不全患者に使用する目的

 C.心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意点(副作用,漸増の仕方,中止の判断など)

 E.同系薬剤の使い分けについて

 F.同薬剤に関する未知

5.SGLT2阻害薬 〈堀内 優〉

 A.作用機序

 B.心不全患者に使用する目的

 C.心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意点

 E.使い分けについて

 F.今後の展望

 G.キーとなる臨床試験のまとめ

 

3章 利尿薬

1.ループ利尿薬 〈白石泰之〉

 A.ループ利尿薬の作用機序

 B.ループ利尿薬を心不全患者に使用する目的

 C.ループ利尿薬の心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意点(副作用,漸増の仕方,中止の判断など)

 E.ループ利尿薬の使い分けについて

 F.ループ利尿薬に関する未知

2.サイアザイド系利尿薬 〈白石泰之〉

 A.サイアザイド系利尿薬の作用機序

 B.サイアザイド系利尿薬を心不全患者に使用する目的

 C.サイアザイド系利尿薬の心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意点(副作用,漸増の仕方,中止の判断など)

 E.サイアザイド系利尿薬の使い分けについて

 F.サイアザイド系利尿薬に関する未知

3.トルバプタン 〈生駒剛典 末永祐哉〉

 A.トルバプタンの作用機序

 B.トルバプタンを心不全患者に使用する目的

 C.トルバプタンの心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.トルバプタンを使用する際の注意点

 E.同系薬剤の使い分け

 F.トルバプタンに関する未知

4.利尿薬抵抗性に対する対応 〈石原里美 末永祐哉〉

 A.心不全治療におけるうっ血管理の重要性

 B.利尿薬抵抗性の機序

 C.利尿薬抵抗性への対応

 D.ultrafiltration

 

4章 強心薬

1.ドブタミン 〈加来秀隆〉

 A.ドブタミンの作用機序

 B.ドブタミンを心不全患者に使用する目的

 C.ドブタミンの心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意点 副作用・漸減・漸増・中止の判断

 E.同系薬剤との使い分けについて

 F.ドブタミンに関する未知

2.PDE—III阻害薬 〈近藤 徹〉

 A.PDE—III阻害薬の作用機序

 B.各国ガイドラインのPDE—III阻害薬の適応

 C.PDE—III阻害薬のエビデンス

 D.PDE—III阻害薬の投与方法と注意点

 E.同系薬剤の使い分け,ドブタミンとの併用療法

 F.PDE—III阻害薬に関する未知

3.経口強心薬 〈竹内一喬 中本 敬〉

 A.経口強心薬の作用機序

 B.経口強心薬の使用目的

 C.経口強心薬のエビデンス

 D.経口強心薬を使用する際の注意点

4.その他(ドパミン,ノルアドレナリン,血管収縮薬など) 〈池田祐毅〉

 A.作用機序

 B.使用目的

 C.使い分け

 D.注意点

 E.未知

5.強心薬開始の基準,漸減の仕方,その際のチェック項目 〈永田春乃 千村美里〉

6.移植申請のタイミング,機械的補助循環(MCS)と薬剤併用 〈大石英生 澤村昭典〉

 A.MCSの種類と特徴

 B.MCSサポート下での薬剤使用

 C.MCS導入後のストラテジー

 D.MCSからの離脱

 

5章 血管拡張薬

1.硝酸薬とCa拮抗薬の違いと使い分け 〈鈴木利章 長友祐司〉

 A.硝酸薬

 B.静注Ca拮抗薬

2.カルペリチド 〈松本新吾〉

 A.作用機序

 B.心不全患者に投与する目的

 C.有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意点(初期投与量,副作用,終了判断など)

 E.同系薬剤の使い分けについて

 F.カルペリチドに関する未知

3.ニコランジル 〈鍵山暢之〉

 A.ニコランジルの作用機序および虚血性心疾患への適応

 B.心不全患者に対する使用目的およびそのエビデンス

 C.心不全に使用する際の注意点

 D.硝酸薬との使い分け

 E.ニコランジルに関する未知

4.血管拡張薬の考え方,使い方 〈小保方 優〉

 A.急性心不全患者における血管拡張薬使用の現状

 B.血管拡張薬の血行動態への影響を考える

 C.血管拡張薬のエビデンス

 D.急性心不全患者に対する血管拡張薬投与の実際

 E.急性心不全患者に対する新規血管拡張薬

 

6章 抗不整脈薬

1.アミオダロン 〈黒田俊介〉

 A.アミオダロンの作用機序

 B.アミオダロンの心不全患者への使用目的

 C.アミオダロンの心不全患者へのエビデンス

 D.使用する際の注意(副作用や漸減方法,中止の判断など)

 E.同系統薬の使い分けについて

 F.アミオダロンの未知

2.心不全管理における至適心拍数の考え方と薬剤使用 〈高麗謙吾 千村美里〉

 A.レートコントロールとリズムコントロール

 B.レートコントロールに使用する薬剤

 C.至適心拍数とは

 

7章 心不全に併発した心房細動に対する抗凝固薬 〈佐藤宏行〉

A.作用機序

B.心不全患者に使用する目的

C.心不全患者における有用性を示すエビデンス

D.使用する際の注意点・具体的な使用方法

E.薬剤の使い分け

F.今後の展望・未知

8章 その他の薬剤

1.ジゴキシン 〈松本紘毅〉

 A.薬剤の作用機序

 B.心不全患者に使用する目的

 C.心不全患者におけるエビデンス

 D.使用する際の注意点

 E.薬剤の使い分けについて

 F.薬剤に関する未知

2.イバブラジン 〈堀内 優〉

 A.作用機序

 B.心不全患者に使用する目的

 C.心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意

 E.今後の展望

3.ベルイシグアト 〈石井奈津子〉

 A.作用機序

 B.心不全患者に使用する目的

 C.心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.使用する際の注意点(副作用,漸減の仕方,中止の判断など)

 E.同薬剤の使い分け

 F.ベルイシグアトにおける未知

4.心筋ミオシン活性化薬 〈岡田 厚 野村征太郎〉

 A.作用機序

 B.心不全患者に使用する目的

 C.心不全患者における有用性を示すエビデンス

 D.心筋ミオシン活性化薬に関する未知

PV loopから考える薬の考え方,使い方 〈横田翔平 坂本隆史〉

 A.圧容積ループ(pressure volume loop)

 B.圧容積ループからわかること

 C.心拍出量直線,心拍出量曲線をイメージする

 D.循環平衡理論

 E.圧容積ループ,循環平衡理論から考える心不全治療薬の効果

 

10章 心不全に合併する電解質異常の治療 〈西崎公貴 北井 豪〉

 A.低Na血症

 B.K代謝異常(低K血症/高K血症)

 

11章 心不全に合併する貧血の治療 〈増田真由香 藤本 恒〉

A.心不全と貧血

B.心不全と鉄代謝

C.鉄補充

D.輸血療法

E.心腎貧血症候群

F.ESA(erythropoiesis stimulating agent)

G.HIF—PH(hypoxia—inducible factor—prolyl hydroxylase)

12章 心不全に合併する高尿酸血症の治療 〈小林雄太〉

A.高尿酸血症の定義

B.高尿酸血症の病型分類と,尿酸降下薬の作用機序

C.適応・禁忌,使用するのに注意すべき点,有用な患者・注意すべき患者

D.薬剤の心不全患者における代表的なエビデンス(ガイドライン)

E.具体的な使用方法

13章 アドヒアランスを意識した薬剤使用とポリファーマシー

1.アドヒアランスを意識した薬剤使用 〈柴田龍宏〉

 A.心不全患者と服薬アドヒアランス

 B.服薬アドヒアランスを高めるためには?

 C.内服薬の管理のしやすさを目指す

2.ポリファーマシー 〈齋藤秀輝〉

 A.ポリファーマシーの定義とその問題点

 B.心不全におけるポリファーマシーの実態とその介入法

 

麻薬,鎮静薬の考え方,使い方と心不全緩和ケア 〈濱谷康弘 大石醒悟〉

 A.心不全における医療用麻薬の考え方,使い方

 B.心不全患者における鎮静薬の考え方,使い方

 C.心不全患者に対する緩和ケア

 

15章 成人先天性心疾患患者の心不全 〈齋藤秀輝〉

A.成人先天性心疾患患者の心不全とその特徴

B.心不全をきたす主な先天性疾患とそのポイント

C.ACHD合併心不全における薬物療法の立ち位置とその考え方

D.ACHD合併心不全におけるSGLT2阻害薬・ARNIの立ち位置

E.成人循環器科医としてのACHDにどう携わるべきか?

16章 心不全における免疫抑制療法 〈鍋田 健 吉田常恭〉

A.心筋炎

B.心臓サルコイドーシス

C.ステロイド・免疫抑制薬の使い方と注意点

17章 心不全治療薬の投与量と薬物動態

 


索引

column 1.心不全患者への包括的心臓リハビリテーション 〈三浦弘之〉

column 2.心不全患者の遠隔モニタリング 〈菊池篤志〉

column 3.海外留学ってお勧め? 米国編1 〈小保方 優〉

column 4.海外留学ってお勧め? 米国編2 〈堀内 優〉

column 5.海外留学ってお勧め? ヨーロッパ編1 〈鍋田 健〉

column 6.海外留学っておすすめ? ヨーロッパ編2 〈近藤 徹〉

column 7.心不全における心エコー図の方向性 〈鍵山暢之〉

column 8.IMPELLA 〈那須崇人〉

column 9.意外に役立つ!心不全患者にそっと寄り添う漢方のチカラ 〈夜久英憲〉

column 10.心不全患者に対するSGLT2阻害薬は費用対効果まで優れているのか? 〈庄司 聡〉

column 11.HCMの管理のポイント 〈秋田敬太郎〉

column 12.心アミロイドーシスについて 〈山田敏寛〉

column 13.Fabry病 〈中川頌子〉

column 14.肺高血圧(2群メイン) 〈※山陽一 ※木へんに久〉

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書籍情報

  • ISBN:9784498136595
  • ページ数:332頁
  • 書籍発行日:2023年10月
  • 電子版発売日:2023年9月28日
  • 判:A5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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