新訂版 写真でわかる看護のための感染防止アドバンス

  • ページ数 : 124頁
  • 書籍発行日 : 2023年9月
  • 電子版発売日 : 2023年10月6日
3,630
(税込)
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商品情報

内容

新型コロナウイルス感染症を経て、最新の感染防止対策にアップデート!
「パンデミックに備えた医療機関における感染対策」を追加。


本書は、スタンダード・プリコーション、感染経路別予防策、職業感染対策についての内容のほか、看護師が日々実践する看護技術についても、わかりやすく解説、実践できる構成になっています。
そして、今回の改訂では、新しい章として「パンデミックに備えた医療機関における感染対策」を追加しました。日本赤十字社医療センターの実践例をもとに、有事に備えた組織としての感染対策、クラスター発生対策について、ポイントを紹介しています。

序文

まえがき

医療従事者にとって、感染予防に努めることはとても重要で基本的なことです。そして、感染対策は医療安全推進とともに医療機関の重要な取り組みであり、医療の質の根幹となっています。

基礎教育でも臨床教育でも、感染防止に関する知識・技術の習得は必須であり、1996年にアメリカ疾病管理予防センターが発行した隔離予防策ガイドラインにより提唱された「スタンダード・プリコーション(標準予防策)」の考え方に基づいて実践されています。

特に看護師は、患者にとって最も近い存在であるため、院内感染を防止したり、感染経路を遮断するためにも、とても重要な役割を担っています。

2020年に、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るい、パンデミックを引き起こしました。連日報道されるニュースに、医療者である私たちも恐怖心を煽られ、また、メディアによって異なる情報に混乱をきたすこともありました。

そのような状況の中で私たちの施設も、一般診療の規模の縮小や診療体制を変更し、新型コロナウイルス感染症に罹患された患者、それ以外の疾患の患者に医療を提供してきました。病院長が対策本部長となる対策本部を設置して、感染対策や診療体制に関する決定事項を組織全体へ周知しました。多くの職員が、医療提供の継続と感染管理の徹底についてジレンマを感じており、その不安や要望を吸い上げる体制も構築して対応していきました。その中には、自分自身を感染から守る方法、他者に感染させない方法等についての質問も多くあり、ICT(Infection Control Team)が、スタンダード・プリコーションや感染経路別予防策、また体液曝露等の職業感染対策に基づいた説明を丁寧に行いました。そのほか、隔離やゾーニングの考え方、フェーズに応じた診療体制の変化等についても、ICTやICN(Infection Control Nurse)を中心に体制を整備していきました。

このように、感染対策を日常業務や生活に根付かせて過ごした2020年からの3年間を振り返り考えたことは、適切な感染対策は1日にしてならず、一朝一夕にできることではない、ということです。私たちの施設にも、感染対策マニュアルがあり、今回実践してきたことも記載されています。日々、マニュアルに基づき、実践してきたはずですが、今回の感染拡大、パンデミックは、私たちの知識や技術の再確認の機会となりました。そして、感染拡大を起こさないためには、平時から、スタンダード・プリコーションや感染経路別予防策、また、職業感染対策の実践を定着させることが重要であると痛感しました。

医療現場の感染予防は、看護師の活動がまさに鍵と言えます。患者や家族に最も近い存在である看護師が感染予防の役割を担うことは、施設全体の感染予防対策につながっていきます。

本書は、スタンダード・プリコーション、感染経路別予防策、職業感染対策についての内容以外にも、看護師が日々実践する看護技術についても、わかりやすく解説され、実践できる構成になっています。患者、自分自身、施設、地域を守るために正しい知識や技術を身に付け、安心して業務に従事していただきたいと思います。

そして、今回の改訂にあたって、新しい章として「パンデミックに備えた医療機関における感染対策」を追加しました。当センターの実践例をもとに、有事に備えた組織としての感染対策、クラスター発生対策について、ポイントを紹介しています。

また、感染予防には、看護職、医師などの医療従事者のみならず、職場に出入りする作業員や業者なども確実に予防策を実施する必要があります。ぜひ、貴施設の感染対策の実践のために本書を活用していただければ幸いです。

最後に、本書の刊行にあたり、当センター感染症科の上田晃弘先生にご指導、ご協力いただきましたことに心から感謝申し上げます。さらに、株式会社 インターメディカ社長赤土正明様はじめ本書の制作に加わっていただきました方々に厚く御礼申し上げます。


2023年7月

日本赤十字社医療センター 看護部長
川上 潤子

目次

CHAPTER.1 病院感染対策の基礎

 スタンダードプリコーション

 感染経路別予防策

CHAPTER.2 病院感染対策の実践

1 手指衛生

 アルコール擦式消毒

 流水石鹸手洗い

【動画収録】

アルコール擦式消毒/流水石けん手洗い

2 個人防護用具

 手袋の着脱方法

 マスクの着脱方法

 ガウンとビニールエプロンの着脱方法

 ゴーグル・シールドの着脱方法

【動画収録】

未滅菌手袋の着用方法/未滅菌手袋の外し方/サージカルマスクの着用方法/

N95マスクの着用方法/未滅菌ガウンの着用方法/未滅菌ガウンの外し方/

ビニールエプロンの着用方法/ビニールエプロンの外し方

3 滅菌物の取り扱い

 滅菌パックの開き方

 滅菌鑷子の取り扱い

 滅菌手袋の着脱方法

 滅菌包の開き方

【動画収録】

滅菌パックの開き方/滅菌鑷子の取り扱い/滅菌手袋の着用方法/

滅菌手袋の外し方/滅菌包の開き方

4 血管内留置カテーテルの管理

 中心静脈カテーテル

 末梢静脈内カテーテル

【動画収録】

中心静脈カテーテル挿入の手順

5 尿道留置カテーテルの管理

 カテーテルの挿入

 カテーテル挿入中の管理

【動画収録】

カテーテルの挿入/カテーテル挿入中の管理

6 呼吸器関連の管理

 人工呼吸器の管理

 吸引時の管理

 気管切開部の管理

 酸素吸入器の管理

 ネブライザー式高流量酸素投与時の管理

 超音波ネブライザーの管理

 その他機器の管理

【動画収録】

気管内吸引:閉鎖型吸引カテーテルを用いる場合/

気管内吸引:開放型吸引カテーテルを用いる場合/

口腔内吸引

7 創傷の管理

 適切な除毛

 術創の管理

 排液ボトル・ドレーン管理

8 洗浄・消毒・滅菌

 洗浄

 消毒

 滅菌

9 環境整備

 日常清掃

10 感染性廃棄物の処理

 感染性廃棄物の種類

 感染性廃棄物の取り扱い

11 細菌培養検体の採取方法

 検体の採取方法:喀痰

 検体の採取方法:尿

 検体の採取方法:血液

【動画収録】

検体の採取方法:血液

CHAPTER.3 職業感染対策

1 針刺し防止対策

 厳守すべきルール

 針刺し防止のための器材

2 血液汚染事故時の対応

 針刺しへの対応

3 職員抗体検査とワクチン接種

 各感染症への対応

CHAPTER.4 パンデミックに備えた医療機関における感染対策

 組織としての対策  クラスター対応  ゾーニング

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書籍情報

  • ISBN:9784899964834
  • ページ数:124頁
  • 書籍発行日:2023年9月
  • 電子版発売日:2023年10月6日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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