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- 医用画像情報学 改訂5版
商品情報
内容
診療放射線技師を目指す学生の画像情報学を学ぶための定番教科書.今改訂ではコンピュータ画像診断と人工知能(AI)の章を新設,また実際の臨床現場で活用されている医療情報システムやセキュリティに関する最新知識も解説している.
序文
改訂5版の序
「医用画像情報学」は桂川茂彦博士(元,熊本大学教授)が企画され2002年に初版を発行されました.その内容はmedical imagingの理解に必要なフーリエ変換,X線画像の形成,画像の評価を含んでいます.さらに,土井邦雄博士(シカゴ大学名誉教授)を中心に開発研究が進んだコンピュータ支援診断(computer-aided diagnosis, CAD)に長年携われてこられた桂川茂彦博士と藤田広志博士(岐阜大学名誉教授)による像処理の基本技術と続きます.そして最後に近年ますますその重要性が高まっているmedical informaticsまでを扱っていました.初版から20年の間に,医療はあらゆる方面で急速に進化を続けておりmedical imagingを取り巻く状況も大きく変化しました.ディジタルX線画像とほかのモダリティを含めた画像技術を扱う分野は,medical imaging(医用画像)であり,医療現場ではmedical informaticsとmedical imagingを効率よく連携させることが大事な課題です.あらゆる分野でのディジタル化を急速に進めている医療現場では,多くの情報を取り扱い,情報通信技術を駆使します.そのために国際的なガイドラインの深い理解が必要で,すべてを網羅するには独立した本が必要です.そこで桂川茂彦博士から引き継いだ改訂第5版では,medical informaticsは用語解説に留め,詳細は各種ガイドラインや他の専門書に任せることにしました.
本書は初版から一貫して,診療放射線技師を目指す学生や初学者がmedical imagingの概念と概要を学び,必要に応じてさらに深い知識を得るための契機となることを目指しています.改訂第5版では,いまなお世界で最も頻繁に使用されているX線画像を中心に,medical imagingで用いられている像処理技術,客観的あるいは主観的な画像評価法の基本と最低限必要なmedical informaticsを含めました.CADに関してはその変遷についてと今後ますます普及すると予想される人工知能の技術とその評価の理解を深める内容を強化しています.今後も診療放射線技師を目指す学生と,医療現場で活躍する診療放射線技師が振り返って学習できる教科書を目指したく,読者からのご指摘,ご批判ならびにご指導をお願いいたします.
2023年8月
杜下 淳次
目次
1章 フーリエ変換とウェーブレット変換
A.実空間領域と空間周波数領域
B.フーリエ級数展開とフーリエ変換
1.周期関数とフーリエ級数
2.フーリエ変換とその性質
C.フーリエ変換の応用
1.方形パルスのフーリエ変換
2.デルタ関数のフーリエ変換
3.デルタ関数列のフーリエ変換
4.線形システム応答
5.二次元ディジタル画像の離散フーリエ変換
D.ウェーブレット変換
1.窓フーリエ変換
2.ウェーブレットとは
3.連続および離散ウェーブレット変換
4.多重解像度解析
5.画像の多重解像度解析
2章 X線画像の形成
A.画像形成と診断
1.画像形成
2.X線画像診断
B.アナログ画像の形成
1.画像形成過程
2.画質に影響する因子
C.ディジタル画像の形成
1.ディジタル系における画像形成装置
2.ディジタル化
3.標本化
4.量子化
5.画像のディジタル化と画質
6.画像のデータ量
7.CRにおける画像形成
8.FPDにおける画像形成
3章 画像の評価
A.入出力特性
1.X線TV系の入出力特性
2.ディジタルX線画像システムの入出力特性
B.入出力特性の測定法
C.解像特性
1.空間領域における評価
2.広がり関数
3.MTFの定義と測定法
D.ノイズ特性
1.画像におけるノイズの影響
2.X線光子の統計的な性質
3.ノイズ特性の評価法
4.ディジタルX線画像システムのノイズ特性の評価
5.ノイズ特性の測定手順
E.DQE
1.DQEの定義
2.DQEの解釈と注意点
4章 画像の主観的評価法
A.視覚評価とは何か
B.刺激反応行列
C.感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率
D.両正規分布とROC曲線
E.ROC曲線で何がわかるか
F.ROC観察者実験
1.実験目的と信号の決定
2.試料画像の作成と収集
3.予備実験
4.観察者の選択および数
5.学 習
6.評定実験
7.データ入力とカーブフィッティング
G.データ解析と ROC 曲線間の統計的検定
H.ROC解析の実験例
I.LROCとFROCの意義
1.LROC解析の対象
2.FROC解析の対象
J.視覚評価のその他の手法
1.ハウレットチャート
2.ランドルト環
3.C‒Dダイアグラム
4.2肢強制選択法
5.一対比較法
5章 ディジタル画像処理
A.ディジタル画像ファイル
1.ビットとバイト
2.画像ファイルの構成
3.文字列のテキスト形式表現
4.数値のバイナリ形式表現
5.DICOMファイルフォーマット
B.情報理論
1.情報量の定義
2.平均情報量
3.符号化
4.可逆圧縮と非可逆圧縮
5.画像圧縮技術
C.フィルタリング
1.空間フィルタリング
2.空間周波数フィルタリング
D.画像診断で使われる画像処理技術
1.階調処理
2.ボケマスク処理
3.サブトラクション処理
4.骨陰影抑制処理
5.散乱線補正処理
E.しきい値処理
1.2値化のためのしきい値決定法
2.連結成分のラベリング
F.3次元画像処理など
1.ボリュームレンダリング
2.サーフェイスレンダリング
3.curved MPR
4.MIP法
5.raysum法
6.仮想内視鏡
7.トモシンセシス
8.X線動画解析技術
G.最適化技術
1.最適化の概念
2.最適化技術の実用例
6章 コンピュータ支援診断と人工知能
A.コンピュータ支援診断
1.基本概念と歴史
2.AIによるCADの新潮流
B.人工知能
1.機械学習・パターン認識
2.ディープラーニング
7章 医療情報
A.医療情報とは
1.個人情報とプライバシー
2.診療録等の電子的な保存
B.医療を支える情報処理技術
1.コンピュータの構成
2.ネットワーク技術
3.データベース技術
C.医療情報システム
1.病院情報システム
2.地域連携システム
3.遠隔医療システム
D.医療画像表示用モニタ
1.液晶モニタの構造
2.モニタの階調特性
3.モニタの品質管理
E.医療情報分野の標準規格
1.DICOM
2.HL7
3.IHE
4.用語・コードの標準
F.医療情報セキュリティ
1.情報セキュリティへの脅威と対応の例
2.情報セキュリティの3要素
3.情報セキュリティの主な対策と技術
参考文献
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書籍情報
- ISBN:9784525279356
- ページ数:360頁
- 書籍発行日:2023年10月
- 電子版発売日:2023年10月5日
- 判:A5判
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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