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- Visual Dermatology Vol.22 No.10(2023年10月号)「さまざまな手湿疹」
商品情報
内容
本特集では,手湿疹の代表的な病型を提示し,それらの原因や臨床的特徴,行うべき検査法,治療,防御対策について解説.
序文
治せるようで治せない手湿疹
手湿疹は日常診療でよく遭遇する疾患です.スキンケアの実施やステロイド外用薬の塗布により皮疹は一時的には改善しますが,手湿疹をおこす行動を続けてしまったり,アレルギーの原因物質が回避されていなければ,手湿疹は容易に慢性化します.ここ数年は,コロナ禍により一般の方も手指消毒や洗浄を頻回に行わなければならず,手湿疹に苦慮する幼児から高齢の方に至る幅広い年代の方々をよくみかけました.
難治例や職業性に皮疹が誘発されている場合は原因物質を同定するための検査としてパッチテスト,プリックテストを行うことが勧められますが,多くの日常診療の場では,臨床症状と経過から手湿疹と判断し,必要な治療を行っていらっしゃるのではないかと思います.
2018年に『手湿疹診療ガイドライン』が日本皮膚科学会,日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会(現:日本皮膚免疫アレルギー学会)から委嘱された委員らにより策定されています.このガイドラインは現時点におけるわが国の手湿疹の基本的,標準的治療の目安を示すものであり,先生方も利用されていると思いますが,なかなか満足度の高い治療を行うことが難しいのが,この「手湿疹」ではないかと思います.
手湿疹は,刺激物質や接触アレルゲンが皮膚に接触することによって発症する湿疹であり,男性より女性に多いとされています.また,職業性皮膚疾患としても起こる頻度が高く,発症しやすい職業として,理・美容師,医療従事者(主に看護師),調理・炊事・皿洗い業などがあげられます.Thyssen JP らの一般集団における手湿疹の疫学調査では,手湿疹の罹患率はおよそ4%,生涯有病率は15%,具体的には1,000人に5.5人(女性9.6人,男性4.0人)で,発症要因として「女性」,「接触皮膚炎」,「アトピー性皮膚炎」,「ウェットワーク」が挙げられています.これは日本でも同様ではないかと思います.
手湿疹の治療で大切なことは,皮疹の性状や経過から手湿疹を病型分類し,鑑別診断を挙げ,正しく診断し治療を行っていくことです.適切に検査を実施せず生活や職場環境から悪化因子を回避できないと湿疹がくり返され,患者のQOLは著しく下がりますし,手湿疹が全身性の疾患の一症状である場合は手湿疹のみに注目して治療をしていてはいけません.さらに,職業性では,患者は就業開始から数年以内の若年性に手湿疹を発症することが多く,産業医と連携した配置転換が必要になる場合もあり,手湿疹には皮膚科医として専門的な知識を基に取り組むべき診療内容がたくさんあります.
今回,手湿疹や接触皮膚炎に造詣の深い先生方に,貴重な症例を基に,手湿疹の診療で知っておかなければならない情報を詳細に記述していただきました.この号を手に取っていただいた読者の先生方に,手湿疹の代表的な病型や原因,そして臨床的な特徴,行うべき検査,治療や防御対策をお伝えし,日常診療でお役立ていただければと願うとともに,ご執筆いただいたひとりひとりの先生方に心より感謝いたします.
矢上 晶子
Akiko Yagami
藤田医科大学ばんたね病院総合アレルギー科 教授
目次
羅針盤
治せるようで治せない手湿疹 矢上 晶子
総論
手湿疹 Over view 矢上 晶子
Part1.さまざまな手湿疹の臨床像と検査・治療
総説 1 さまざまな手湿疹の臨床的特徴 高山 かおる
case 1 刺激性接触皮膚炎 杉浦 真理子
case 2 アレルギー性接触皮膚炎 松倉 節子
case 3 アトピー型手湿疹 鍬塚 さやか,室田 浩之
case 4 手掌多汗症 藤本 智子
case 5 掌蹠膿疱症 増井 由紀子,伊藤 明子
case 6 タンパク質抗原に対する接触皮膚炎(protein contact dermatitis) 伊藤 崇
case 7 真菌症 石崎 純子
case 8 膠原病による手の皮疹 小泉 遼,室 慶直
Part2.職業性に生じる手湿疹と原因物質の検査法・対策・治療
総説 2 職業性に生じる手湿疹 鈴木 加余子
case 9 メタクリルレジンによるアレルギー性接触皮膚炎 渡部 裕子
case 10 ヘアカラーによるアレルギー性接触皮膚炎 松永 佳世子,矢上 晶子
case 11 ゴム手袋関連:加硫促進剤・ゴム硬化剤 飯島 茂子
case 12 手湿疹から生じる経皮感作・食物アレルギー 峠岡 理沙
case 13 樹脂 鷲崎 久美子
case 14 植物 石川 武子
Part3.手湿疹の対策と保護方法
総説 3 手湿疹の対策と治療 伊藤 明子
解説 1 手洗い・洗浄方法 安部 正敏
解説 2 保湿剤(バリアクリーム)の種類と効果,使い分け 鷲尾 健
解説 3 炎症を伴う症状の治療薬の使い方 加藤 敦子
解説 4 光線療法 清水 佳祐,葉山 惟大
解説 5 グローブ(ゴム手袋)の使い方,推奨する手袋 二村 恭子
【連載】
即答組織診断!(190) 常深 祐一郎
Your Diagnosis?
10月号の出題:橋川 恵子,名嘉眞 武國
8月号の解答:廣保 翔,鶴田 大輔
【エッセイ&コラム】
Photo Essay 259「手入れの良し悪し」 塚谷 裕一
エッセイ No wine, No Derma(10) 服部 浩明
コラム 天然痘根絶の立役者蟻田功先生逝く 小野 友道
市場を歩く 208「函館 自由市場(3)」 金子 健彦
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書籍情報
- ISBN:9784059885177
- ページ数:92頁
- 書籍発行日:2023年9月
- 電子版発売日:2023年10月20日
- 判:A4変型
- 種別:eBook版 → 詳細はこちら
- 同時利用可能端末数:3
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