薬の基本とはたらきがわかる薬理学

  • ページ数 : 349頁
  • 書籍発行日 : 2023年10月
  • 電子版発売日 : 2023年10月27日
3,300
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商品情報

内容

「臨床現場で使用する薬」の作用がよくわかる薬理学のテキスト
薬理学の基本概念と,臨床現場で使用する薬の作用がわかるテキスト.主要な疾患別治療薬のはたらきが豊富な図表で目で見て学べます.章末問題で理解度もチェックでき, 医療系養成校の講義・自習教材に最適!

序文


薬理学とは,その名の通り,薬の理(ことわり)を研究する学問である.薬はなぜ効くのか,なぜ有害作用が出るのか,それを防ぐにはどうしたらいいのか,どう対応すべきかを明らかにするものである.

医学の進歩・新薬の開発に伴って薬物治療も大きく変化している.厚生労働省に認められた薬価収載医薬品(病院で使う医薬品)は,1万3,000品目(2023年8月時点)に及ぶため,治療薬すべてに詳しくなることはおよそ不可能である.そのため,まずは,薬理学の基本的な考え方を総論において学ぶとともに,よく使われる薬について,各論でしっかりとした知識を身につけることが重要である.本書も「総論」と「各論」の二部構成となっている.臨床で必要とされる薬物相互作用,特に食事成分の影響などは,個々の薬で理解することも大切であるが,基本となる原則ルールを知ることで応用できるようになる.本書では,総論を大事にしているが,それは応用力を身につけてほしいとの願いからである.また,「総論」↔「各論」,「各論」↔「各論」など,参照先を多く掲載しているのも特徴である.参照先をあたることで,ばらばらの知識が自然につながり,理解が深まっていくはずである.

本書の制作にあたっては,学生さんが自ら勉強し続けたくなる(=「気づき」を促す)薬理学の教科書を目指した.執筆は,薬理学研究教育の第一線でご活躍されている多くの先生方に参画いただいた.ただ単に薬理作用や有害作用を記載するだけではなく,将来,臨床の現場において役に立つ知識をできるだけわかりやすく,イメージしやすい図表を使いながら解説いただいたので,臨床に出てからも参照できる内容となっている.「難しい」と苦手意識をもたれがちな薬理学であるが,側注に有害作用のイラストや薬の名前の由来などを載せて,できるだけ記憶に残るよう工夫しているので,ぜひあわせて見ていただきたい.医療従事者となる学生の皆さんが,これから長く付き合うことになる薬と向き合ううえで,本書が“薬理学”の楽しさを知るきっかけになればと願っている.本書の制作にあたり,ご尽力いただきました多くの先生方,そして本書の企画段階から完成まで,根気強く丁寧に支えていただきました羊土社の杉田真以子氏,金子葵氏,望月恭彰氏に心より感謝申し上げます.


2023年10月

柳田俊彦

目次


本書使用にあたって

執筆者一覧

総論

第1章 薬の基礎知識

A 医薬品の定義と分類

1 医薬品の定義

2 法律による医薬品の分類

3 製造方法や承認制度などによる医薬品の分類

4 使用目的による医薬品の分類

B 薬が効くしくみ

1 薬物治療の基本的概念

2 薬力学と薬物動態学

3 薬力学(PD)とは

4 薬物動態学(PKとは)

第2章 薬物治療の注意点

A 薬物相互作用

1 薬物動態学的相互作用

2 薬力学的相互作用

B 薬効の個人差

1 新生児・小児への薬物投与

2 小児への薬物投与量の設定

3 高齢者への薬物投与

4 妊婦・授乳婦への薬物投与

5 腎機能・肝機能が低下している患者への薬物投与

C 薬物治療の有益性・安全性

1 用量関連性・非用量関連性の薬物有害反応

2 薬物の用量と作用の関係

3 治療薬物モニタリング(TDM)

D さまざまな有害反応

1 薬物に対するアレルギー反応

2 薬物性肝障害

3 薬物性腎障害

4 変異原性と発がん性

E 妊娠中の投薬:催奇形性と胎児毒性

F 授乳中の投薬

G 薬物の反復投与による影響

1 薬物耐性

2 薬物依存(drug dependence)

H ポリファーマシー

臨床現場と薬物〜その留意点

第3章 くすりと法律・新薬の開発

A 薬と法律

B 処方箋と添付文書

C 薬の開発と臨床試験

1 基礎研究(探索・スクリーニング)

2 非臨床試験

3 臨床試験

4 承認申請・製造販売後調査

D 薬物療法とチーム医療

各論

第4章 感染症治療薬

A 感染症治療薬と適正使用

1 感染症と感染経路

2 感染症治療薬

3 培養検査

4 抗微生物薬の適正使用

B 抗菌薬

1 抗菌薬概論

2 抗菌薬の種類と作用機序

3 時間依存性と濃度依存性

4 PK(薬物動態)とPD(薬力学)の関係性

5 各抗菌薬の特徴

C 抗真菌薬

1 抗真菌薬概論

2 各抗真菌薬の特徴

D 抗ウイルス薬

1 抗ウイルス薬概論

2 抗インフルエンザウイルス薬

3 抗ヘルペスウイルス薬

4 抗HIV薬

5 抗サイトメガロウイルス薬

6 B型肝炎ウイルス薬

7 C型肝炎ウイルス治療薬

E 抗寄生虫薬

1 抗寄生虫薬概論

2 抗原虫薬

3 抗蠕虫薬

F 消毒薬

1 滅菌と消毒

2 各種消毒薬

第5章 抗がん薬

A がん治療とは

B がん薬物療法の目標

C 抗がん薬の理論

D 抗がん薬の種類と特徴

1 細胞障害性抗がん薬

2 分子標的治療薬

3 内分泌療法

4 免疫チェックポイント阻害薬

第6章 免疫治療薬

A 免疫系とは

1 免疫システム

2 免疫に関与する主な細胞とその機能

B 免疫抑制薬

1 代表的な免疫抑制薬

C 免疫増強薬・予防接種薬

1 代表的な免疫増強薬

2 代表的な予防接種薬

第7章 抗炎症薬・鎮痛薬

A 抗アレルギー薬

1 アレルギー反応とは

2 アレルギーの原因となる化学メディエーター

3 抗アレルギー薬の作用機序

B ステロイド性抗炎症薬

1 ステロイド骨格〜糖質および鉱質コルチコイドと性ホルモンの基本構造

2 ステロイドの離脱症状

C 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

1 NSAIDsの作用機序

2 NSAIDsの弱点を補うCOX-2選択的阻害薬

3 アセトアミノフェン〜NSAIDs類似の解熱・鎮痛作用

D 関節リウマチ治療薬

1 関節リウマチ

2 薬物治療

第8章 末梢神経系に作用する薬

A 末梢神経系とは

1 末梢神経系を構成する神経

2 交感神経と副交感神経の機能的役割

3 自律神経の神経伝達物質と受容体

B 交感神経作用薬

1 概要

2 各論

C 副交感神経作用薬

1 概要

2 各論

D 筋弛緩薬・局所麻酔薬

1 筋弛緩薬

2 局所麻酔薬

第9章 中枢神経系に作用する薬

A 中枢神経系とは

1 中枢神経系の構造

2 中枢神経系を構成する主な細胞と機能

B 睡眠薬・抗不安薬

1 睡眠薬

2 抗不安薬

3 ベンゾジアゼピン受容体アゴニストによる常用量依存

4 フルマゼニル

C 抗うつ薬と気分安定薬

1 気分障害とは

2 抗うつ薬

3 気分安定薬(双極性障害の治療薬)

D 抗精神病薬

1 統合失調症

2 抗精神病薬

3 有害作用

E パーキンソン病治療薬

1 パーキンソン病の病態と薬物療法

2 抗パーキンソン病薬

F 認知症(アルツハイマー病)治療薬

1 認知症とは

2 アルツハイマー病治療薬

3 アルツハイマー病の病態を改善する疾患修飾薬の開発

4 BPSDに対する薬物療法

G 抗てんかん薬

1 てんかんの概要

2 臨床で覚えておくべき代表的な抗てんかん薬

3 小児・思春期のてんかん発作

4 血中濃度モニタリングの必要性

5 有害作用

H 麻薬性鎮痛薬

1 痛みとオピオイド

2 オピオイドローテーションとオピオイドレスキュー

3 臨床で覚えておくべき代表的な麻薬性鎮痛薬

4 緩和ケア

5 有害作用

I 全身麻酔薬

1 全身麻酔薬の要素

2 吸入麻酔薬

3 静脈麻酔薬

4 鎮痛薬(オピオイド鎮痛薬,麻薬)

5 筋弛緩薬

J 片頭痛治療薬

1 片頭痛

2 臨床で覚えておくべき代表的な片頭痛の薬物療法(治療と予防)

第10章 循環器系疾患治療薬

A 高血圧治療薬

1 血圧の上がるメカニズム

2 心拍出量(循環血液量)の増加する理由

3 末梢血管抵抗の増加する理由

4 降圧薬を継続して服薬してもらうために

5 降圧薬のメリットと注意点

6 降圧薬の種類と特徴

B 狭心症治療薬

1 心臓の働き

2 狭心症に伴った胸痛

3 狭心症のタイプ

4 心筋梗塞

5 虚血性心疾患に用いられる薬の種類と特徴

C 心不全治療薬

1 心不全についての治療の考え方

2 最近の心不全治療

3 心不全の種類と新しい治療ターゲット

4 心不全治療に用いられる薬の種類と特徴

D 抗不整脈薬

1 不整脈の種類と発症のメカニズム

2 不整脈の治療

3 抗不整脈薬の種類

4 不整脈治療に用いられる薬の種類と特徴

E 利尿薬

1 体液量のバランス

2 利尿薬について

3 尿細管と利尿薬

4 降圧薬としての利尿薬

5 利尿薬の種類と特徴

F 腎不全治療薬

1 腎臓は老化をあらわす臓器

2 慢性腎不全薬

3 腎不全治療薬の種類と特徴

G 脳血管障害治療薬

1 脳血管障害

2 脳血管障害の治療に用いられる薬の種類と特徴

H 血栓症治療薬

1 生理的止血と病的血栓

2 抗血小板薬

3 抗凝固薬

4 血栓溶解薬

I 血液に作用する薬

1 貧血治療薬

2 その他の造血薬

第11章 内分泌系疾患・代謝系疾患治療薬

A 糖尿病治療薬

1 糖尿病とは

2 糖尿病の治療

3 インスリン製剤

4 インスリン分泌を促進する血糖降下薬

5 インスリン分泌を促進しない血糖降下薬

B 脂質異常症治療薬

1 脂質異常症とは

2 脂質異常症の治療

3 LDL-C低下薬

4 TG低下薬

C 甲状腺疾患治療薬

1 甲状腺ホルモンとは

2 甲状腺機能低下症

3 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

D 骨粗鬆症治療薬

1 骨粗鬆症とは

2 骨粗鬆症治療薬

E 高尿酸血症・痛風治療薬

1 高尿酸血症・痛風とは

2 高尿酸血症治療薬

3 痛風発作治療薬

F 視床下部・下垂体ホルモン製剤

1 視床下部・下垂体によるホルモン分泌量の調節

2 視床下部・下垂体ホルモンの分泌異常による疾患

3 視床下部・下垂体前葉ホルモンの分泌異常に対する薬物

4 下垂体後葉ホルモンの分泌異常に対する薬物

第12章 消化器系・呼吸器系・泌尿生殖器系疾患治療薬

A 消化器系疾患治療薬

1 消化性潰瘍の治療薬

2 制吐薬

3 便秘・下痢の治療薬

B 呼吸器系疾患治療薬

1 気管・気管支の収縮・弛緩機構

2 気管支喘息

3 気管支喘息治療薬

4 鎮咳薬

5 去痰薬

C 泌尿生殖器系疾患治療薬

1 排尿における膀胱・尿道の収縮・弛緩機構

2 過活動膀胱治療薬

3 前立腺肥大症治療薬

4 ED治療薬

5 子宮収縮・弛緩薬

第13章 皮膚科用薬・眼科用薬

A 皮膚科用薬

1 皮膚の構造と働き

2 皮膚疾患の種別

3 皮膚疾患と治療薬

4 ステロイド外用薬

B 眼科用薬

1 眼の構造と機能

2 眼科関連疾患と治療薬

第14章 漢方薬

A 漢方医学総論

1 漢方医学の歴史および漢方薬の特徴

2 漢方の診察・診断法と役割

3 医療用漢方製剤と市販の一般用漢方製剤

4 漢方薬の有害作用

5 科学的エビデンスをもちはじめた漢方薬

B 漢方医学各論

1 医療用漢方薬でよく用いられる漢方薬

2 高齢者に用いられる漢方薬

3 がん患者に用いられる漢方薬

4 婦人科疾患による症状を改善する漢方薬

第15章 輸液

1 体内での水分の組成と分布

2 輸液の目的

3 体液のバランス補正のための輸液法

4 栄養補給に用いられる輸液製剤

文献一覧

索引

コラム

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書籍情報

  • ISBN:9784758121699
  • ページ数:349頁
  • 書籍発行日:2023年10月
  • 電子版発売日:2023年10月27日
  • 判:B5判
  • 種別:eBook版 → 詳細はこちら
  • 同時利用可能端末数:3

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